• 更新日 : 2024年11月14日

秘密保持契約書(NDA)は電子契約にできる?安全性やメリットについて解説

秘密保持契約書(NDA)は、企業の機密情報を保護する「秘密保持契約」で使われる書類です。業務委託先との契約時や、機密情報を伝える場合に活用されます。

この記事では、秘密保持契約書の目的や電子契約が選ばれる理由について解説します。電子化のメリットも合わせて解説するので、秘密保持契約書を電子契約にする際の参考にしてください。

秘密保持契約書(NDA)とは

秘密保持契約書(NDA)は、企業が持つ機密事項の漏えいを防ぐために発行されます。英語では「Non-Disclosure Agreement」と表記され、頭文字を取って「NDA」とも呼ばれる契約書です。業務提携先や委託先が、自社が共有した機密情報を本来の用途以外で利用することや、第三者への情報開示を制限する目的で使用されます。

目的

秘密保持契約書は、自社以外の他社と業務提携する際に使用されます。業務上知り得た機密情報や知的財産の漏えい、不正利用を防止しつつ、適正に管理することが目的です。

秘密保持契約書には、機密情報の範囲を設定する役割もあります。機密情報の範囲を定めることで、漏らしてはいけない情報の範囲が明確になり、情報の適切な管理が可能です。

適切な管理と情報漏えいを防ぐために、損害賠償請求権についても規定します。法的な拘束力をもたせることで、機密情報がより堅固に保持されるでしょう。

契約締結する場面

秘密保持契約を締結するのは、大きく以下の2場面です。

  • 従業員の雇用など社内に人を入れる場面
  • 業務提携や製造委託、研究開発など第三者と共同して事業を行う場面

それぞれ、下表のような具体例が想定されます。

社内に人を入れる場面第三者と共同して事業を行う場面
  • 新規に取り引きを開始するとき
  • 業務提携や資本提携を実施するとき
  • 共同制作や共同開発を行うとき

契約締結するタイミング

秘密保持契約を締結するタイミングは、プロジェクトの開始前です。その他、相手方と何らかの契約関係をもとうとする場合にも契約が交わされます。

具体的には、商談や打ち合わせの開始時や取引開始時など、契約締結前に双方の機密情報を開示する必要がある場合です。

秘密保持契約書は、資本提携や業務提携の検討前や、技術情報を開示する前にも交わされます。自社が開発した技術情報が外部に漏えいすることにより、利益を失ったり重大な損失を招いたりする可能性があるからです。

秘密保持契約書は電子契約にできる

秘密保持契約書は電子契約にすることができます。

電子契約が増加傾向にあることと相まって、電子契約で秘密保持契約書を交わす企業も増加中です。電子契約とは、インターネット経由で締結する契約を指します。電子契約では、電子署名とタイムスタンプを付与することで、書面での契約と同等の効力が保持されます。電子署名は書面における「署名」、タイムスタンプは「押印」と同じ扱いです。

電子署名法3条によると、情報を表すために作成された電磁的記録は、本人だけが行える電子署名がなされることで真正に成立したものと推定される旨が記載されています。電子契約を使った秘密保持契約書も同様です。本人が実施した電子署名があれば、秘密保持契約が締結されたとみなされます。

秘密保持契約書は電子帳簿保存法の対象外

電子契約により発行された秘密保持契約書は、電子帳簿保存法の対象とはなりません。

電子帳簿保存法の対象書類は、次の3種類です。

  • 国税関係帳簿
  • 決裁関係書類
  • 取引関係書類

秘密保持契約書は取り引きを行う目的の書面ではないため、電子帳簿保存法の対象外となります。とはいえ、電子帳簿保存法によりほとんどの契約書を電子保存している場合、秘密保持契約書だけ紙で保存しても意味がありません。管理の手間を省くため、秘密保持契約書も他の契約書と同じく電子保存にすることをおすすめします。

秘密保持契約書の発行に電子契約が選ばれる理由

秘密保持契約書で電子契約が選ばれる理由は、以下の3点です。

  • 締結の頻度が高い
  • すぐに契約を締結できる
  • コストが削減できる

選ばれる理由を、1つずつ掘り下げていきましょう。

締結の頻度が高い

電子契約が選ばれる大きな理由は、秘密保持契約書での契約締結頻度が高いことです。

多くの企業と提携している企業では、秘密保持契約の締結頻度は上がります。締結の度に紙を送付して返信を待っていると、業務が滞ってしまうかもしれません。高頻度で秘密保持契約を締結していたとしても、業務の進行はスムーズであるべきです。他の業務に悪影響を与えないよう、締結の頻度が高い秘密保持契約では当事者が対応しやすい電子契約が選ばれています。

すぐに契約を締結できる

送信してすぐ契約を締結できることも、秘密保持契約書で電子契約が選ばれる理由です。

電子契約による秘密保持契約書は、自署による署名や捺印がいりません。電子署名を使って署名や捺印を行いメールで契約書を送信するため、早ければその日のうちに締結が完了します。関係者が複数いる場合でも、書類を全員に回して署名捺印を依頼する必要がないため、スムーズに処理が進みます。

このようにスムーズに処理ができ、すぐに契約を締結できることが、秘密保持契約書で電子契約が選ばれている理由の1つです。

コストが削減できる

秘密保持契約書を電子契約にすることで、コスト削減にもつながります。

秘密保持契約書を一から作成する場合でも、ひな形を使えば数時間で完成でき、時間コストの削減が可能です。書面を郵送する必要がないため、郵送にかかるコストも削減できます。保管に際して場所を作る必要もなく、場所的コストの削減も可能です。

このようにさまざまなコストが削減できる点も、秘密保持契約書で電子契約が選ばれる一因となっています。

秘密保持契約書を電子契約化しても安全に問題はない?

秘密保持契約書を電子契約にすることで、安全面に不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。電子契約を使用しても、安全面の心配はありません。2種類の鍵を使う「公開鍵暗号方式」を採用することで、情報が固く守られているからです。

公開鍵暗号方式とは、「公開鍵」と「秘密鍵」を使って文章を暗号化する方法をいいます。公開鍵は受信者が持ち、秘密鍵は発行者が持ちます。2つの鍵を発行できるのは契約書の発行者だけです。

契約書を受け取った側は、公開鍵を使って電子署名やタイムスタンプを暗号化します。発行者は自分の秘密鍵を使って、暗号化されたデータを復元します。発行者以外が暗号化された契約書を受け取っても、秘密鍵がないため解読はできません。

電子契約は、2つの鍵を使って電子署名やタイムスタンプを暗号化し、かつ受信者以外は暗号を復元できないシステムにより、セキュリティ面での安全を保っています。秘密保持契約書も同様です。

秘密保持契約書を電子化するメリット

秘密保持契約書を電子化すると、以下のメリットを受けられます。

  • 郵送代の削減
  • 契約締結のスピードアップ
  • 契約書管理や照会作業の効率化

1つずつ見ていきましょう。

郵送代の削減

秘密保持契約書を電子化すると、郵送代が削減できます。郵送にかかるのは、郵送代だけではありません。封筒代、印刷代、紙代といった郵送まわりのコストもまとめて削減可能です。

書面の契約書を郵送する際は、人件費もかかっていました。電子契約にすることで、郵送代はもちろん、郵送にかかる物的コストと人的コストの両方を削減可能です。

契約締結のスピードアップ

秘密保持契約書を電子化することで、契約締結のスピードも上げられます。

電子契約ではメールで契約書を送信するため、作成後すぐに相手に送付可能です。書面の契約書の場合、最短でも翌日到着となります。着いた日に返送したとしても、発行元に届くまで中1営業日は必要でした。

電子契約の場合、相手も届き次第すぐ対応できるため、送信した当日でも契約締結が可能です。最短数分で契約が締結できるため、他の業務のスピードアップも図れるでしょう。

契約書管理や照会作業の効率化

電子化すると秘密保持契約書を一元管理できるため、照会作業の効率化も可能です。

書面の契約書は、種類ごとに管理場所が異なる場合があり、探し出せないこともありました。契約書を電子化して電子契約サービスを使うと、あらゆる契約書を一元管理できます。締結者やキーワードでの検索もできるため、管理や照会作業の効率化が可能です。

電子契約サービスなら秘密保持契約書の更新期限管理もできる

契約を締結する際、自動更新の漏れや契約終了ができずに困ったことはないでしょうか。契約書を電子化し電子契約サービスを使うと、更新期限を管理するアラート機能やリマインド機能により更新漏れを防ぐことが可能です。

「マネーフォワード クラウド契約」のアラート機能を例に、詳しく解説します。

「マネーフォワード クラウド契約」では、契約終了日と自動更新の解約期限の前にアラートメールを設定できます。日にちは任意で設定可能です。通知メールは、以下の時間に到着します。午前中の早い時間にメールが届くため、朝一番での処理が可能です。

メール種別到着時間
自動更新の解約期限午前8時半頃
契約終了日指定日の午前9時頃

送信先も、以下の対象から選択できます。

  • 全権限を持っている者
  • 契約担当者
  • 申請者
  • 閲覧者

対象者を選択して送信先を選べるため、不要なメールを送信する心配もありません。

対象者を選択して送信先を選べるため、

さらに、書類ごとに通知の可否も選べるため、通知が不要な場合も安心して利用できます。

さらに、書類ごとに通知の可否も選べるため

マネーフォワード クラウド契約なら秘密保持契約書も電子化できる

「マネーフォワード クラウド契約」は契約書の作成から締結、管理までを網羅した電子契約・契約書管理サービスです。契約書には、秘密保持契約書も含まれます。電子契約だけでなく、紙の契約書もまとめて管理可能です。

マネーフォワード クラウド契約

保管料はかからず、管理数の上限もありません。想定より秘密保持契約書が増えた場合でも、安心して利用できます。

チャットやメールサポート、サポートサイトもあるため、導入や使用時に困ったときのサポート体制が整っている点も魅力です。

「マネーフォワード クラウド契約」では、秘密保持契約書を締結するまでの背景や、秘密保持契約書を更新した場合も管理できます。マネーフォワードの他機能も使えるため、契約と請求書発行や債権管理などを連動させ、法務や経理に関する業務の多くをマネーフォワードで管理することも可能です。

電子契約サービスを活用して秘密保持契約書の電子化を進めよう

秘密保持契約書は、企業の機密情報を保護する秘密保持契約で使用されます。業務委託先との契約時、資本提携や業務提携に際して機密情報を伝える場合に活用される書類です。

秘密保持契約書は電子帳簿保存法の対象外ですが、電子契約でも発行できます。多くのメリットがあることから、電子契約にしている企業も増えています。

秘密保持契約書を電子契約にすると、更新期限通知機能により更新漏れを防止できます。安全性も担保されている電子契約サービスを有効活用し、秘密保持契約書の電子化を進めましょう。

 


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事