- 更新日 : 2026年3月31日
契約書の訂正印はどう押す?正しい書き方や捨印との違い、電子契約の修正法
契約書の訂正は二重線で修正し、当事者双方の訂正印を押すのが法的ルールです。
- 修正液は禁止、元の文字が見えるように
- 「〇字削除 〇字加入」と正確に記載
- 電子契約はシステム上修正不可のため注意
訂正印を押すスペースがない場合は欄外や捨印を活用しますが、重要箇所なら作り直しが確実です。電子契約の場合は直接修正できないため、未締結なら再送、締結済みなら「覚書」を作成して変更内容を合意する必要があります。
「契約書に誤字を見つけたが、二重線を引くだけでいいの?」
「訂正印を押す場所がない時はどうすれば?」
重要な契約書で書き損じをしてしまった時、焦って修正液を使ったり、適当に線を引いたりして直そうとしていませんか?実は、契約書の訂正には実務上の基本があり、間違った方法で修正すると、合意内容をめぐる争いが生じたり、改ざんを疑われたりするリスクがあります。
この記事では、契約書の正しい訂正方法(訂正印の押し方、文字数の書き方)から、訂正印を押すスペースがない場合の対処法、さらに電子契約における修正ルールまでわかりやすく解説します。
目次
契約書の訂正が必要になるケースとは?
契約書の作成中や締結後に、金額、日付、社名などの重要事項に誤りが見つかった場合、訂正が必要です。締結前であれば作り直し、締結後であれば当事者の合意が分かる形で訂正・変更を行わないと、将来的なトラブルの原因になります。
よくある誤記の例
契約書で訂正が必要になる主なケースは以下の通りです。
- 単純な誤字脱字:「株式会社」の位置間違い、「100万円」を「10万円」と記載など。
- 事実と異なる記載:住所の番地間違い、代表者名の旧字体・新字体のミスなど。
- 条件の変更:契約締結後に納期や金額を変更する場合は、訂正ではなく、変更契約書や覚書で対応するのが一般的。
軽微なミスであっても、契約書は「当事者の合意内容を証明する文書」であるため、正確性が求められます。
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【基本】訂正印を使った正しい修正手順
訂正箇所に二重線を引き、正しい文字を書き込みます。その上で、当事者全員が署名欄に押印したものと同じ印鑑で訂正印を押し、「〇字削除・〇字加入」などと記載するのが一般的です。
具体的な訂正ステップ
契約書の訂正は、以下の4ステップで行います。
- 二重線で消す:誤った文字の上に、黒のボールペン等で二重線を引きます。修正液や修正テープは、元の記載内容が確認できなくなるため、使わないほうが安全です。
- 正しい文字を書く:二重線のすぐ上(縦書きなら右側)に、正しい文字を記入します。
- 訂正印を押す:訂正箇所の近く、または欄外に、契約書に使った印鑑と同じもので、甲乙双方が押印します。
- 削除・加入数を記載する:訂正印の近くに「3字削除 4字加入」のように記載します。
「削除・加入」の書き方のポイント
- 文字数:削除した文字数と、新たに追加した文字数を正確に書きます。記号(、。)も1文字としてカウントします。
- 数字:改ざん防止のため、大字(壱、弐、参)を使うのが理想ですが、算用数字(1, 2, 3)でも実務上は通ります。漢数字(一、二、三)は線足しで改ざんされやすいため避けましょう。
(例)
誤:「100,000円」 → 正:「150,000円」
記載:「6字削除 6字加入」(カンマも含む)
訂正印は「双方」必要?「片方」だけでもいい?
原則として、契約当事者全員(甲と乙の双方)の訂正印が必要です。
片方だけの訂正印では、「勝手に書き換えた(改ざん)」とみなされるリスクがあります。ただし、軽微な誤字で相手の承諾がある場合は、例外的に一方の印のみで済ませるケースもありますが、基本は双方押印です。
訂正印を押す「スペースがない」場合の対処法
行間が狭くて訂正印が押せない場合は、「欄外(マージン)」を利用するか、「捨印(すていん)」を活用する方法があります。
1. 欄外(余白)で訂正する
該当する行の横(ページの左右の余白)に、引出線を引いて「〇行目 〇字削除 〇字加入」と記載し、そこに訂正印を押します。
これなら本文が汚れず、明確に修正できます。
2. 「捨印」を活用する
契約書の欄外(上部など)に、あらかじめ「捨印」を押しておくと、その捨印を使って原本を保有する側が単独で訂正できる場合があります。「捨印」とは、後で誤記などが見つかった場合に備え、原本を保有する側がその印を使って訂正できるようにしておく押印です。
ただし、金額などの重要事項まで勝手に書き換えられるリスクがあるため、捨印の利用は慎重に判断すべきです。
3. 契約書の再作成(作り直し)
訂正箇所があまりに多い、または金額などの重要部分でスペースがない場合は、無理に訂正せず、契約書自体を印刷し直して作り直すのがより確実な方法です。
契約書の電子化と訂正印に代わる修正方法
紙の契約書では訂正印を用いた修正が一般的ですが、近年は契約業務のデジタル化に伴い、電子契約への移行が進んでいます。株式会社マネーフォワードが独自の調査を実施し、企業における電子契約の利用実態を明らかにしました。
7割以上の企業が電子契約を主体に利用
業務委託契約の締結に関与する方を対象に、電子契約の利用状況を尋ねました。その結果、最も多いのは「電子契約と紙契約どちらも使うが、電子契約のほうが多い」で、51.7%でした。次いで「ほぼ全ての契約で電子契約を利用している」が24.3%、「電子契約と紙契約どちらも使うが、紙契約のほうが多い」が16.0%と続いています。
これらのデータから、回答者の76.0%が電子契約を主体として利用しており、契約業務のデジタル化が標準となりつつある傾向が読み取れます。
電子契約ではシステム上で直接上書きするような修正ができないため、訂正印を用いた従来のアナログな修正方法は使えません。誤りがあった場合は、変更契約書の締結や書類の再送といったデジタルのルールに沿った対応が求められます。契約書の訂正が必要になった際は、紙と電子それぞれの契約方法に合わせて、正しい修正手順を理解しておくことが大切です。
出典:マネーフォワード クラウド、電子契約の利用状況【業務委託契約書に関する調査データ】(回答者:881名(有効回答:業務委託契約に関与する605名)、集計期間:2026年1月実施)
電子契約書における訂正・修正方法
電子契約(クラウドサイン等)で締結済みの契約書は、システム上、直接訂正することができません。修正が必要な場合は、変更契約書や覚書を新たに締結するのが一般的で、必要に応じて合意解約の上で再契約する方法もあります。
変更契約書・覚書(おぼえがき)で修正する
最も一般的な方法です。「〇年〇月〇日付の契約書の第〇条を以下の通り変更する」といった内容の変更契約書や覚書を新たに作成し、電子署名で締結します。これにより、元の契約書を残したまま、どの条項をどのように変更したかを明確にできます。
誤送信などで未締結の場合
相手がまだ合意(署名)ボタンを押していない段階であれば、サービスの機能に従って書類を取り消し、正しいファイルで再送する対応が考えられます。
契約書の訂正に関するよくある質問
収入印紙が必要になるケースや、二重線のみでの訂正の是非について解説します。
Q. 二重線だけで訂正してもいい?(訂正印なし)
避けたほうがよいです。
二重線だけでは、誰がどのような合意に基づいて訂正したのかが分かりにくく、後で改ざんを疑われるおそれがあります。訂正時は二重線だけでなく、当事者全員の訂正印などにより、訂正内容がわかるようにしておきましょう。
Q. 訂正によって収入印紙は必要になる?
ケースバイケースです。
変更契約書や覚書が印紙税の課税文書に当たる場合、その文書に収入印紙が必要になることがあります。契約金額の変更では、増額・減額だけで一律に決まるのではなく、変更契約書にどのように金額が記載されているかによって印紙税の取扱いが決まります。
なお、電子契約の電磁的記録には印紙税は課税されません。
出典:No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額|国税庁
訂正印は「誰が見てもわかる」ように
契約書の訂正は、単なるミスの修正作業ではありません。どの内容を、どのような合意に基づいて直したのかを明確に残すために行われます。
- 基本ルール:二重線+正しい文字+「〇字削除 〇字加入」などの記載+当事者全員の訂正印。
- スペースがない時:欄外を利用するか、作り直す。
- 電子契約:変更契約書や覚書などを新たに締結して対応する。
- 避けたい訂正方法:修正液、修正テープ、鉛筆書き。
「面倒だから」と適当に処理せず、正しい手順を踏むことが、将来のトラブルから自社を守ることに繋がります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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