• 更新日 : 2023年8月18日

催告書とは?督促状との違いや参考になるテンプレートを紹介

催告書とは?督促状との違いや参考になるテンプレートを紹介

「催告書」や「督促状」という言葉は、あまり馴染みがないかもしれません。催告書とは何か、督促状との違いは何か、作成時の文例や届いた時の注意点などをあらかじめ確認しておき、いざという時に備えましょう。

催告書とは

催告(さいこく)とは、債権者が債務者に対して債務を履行するよう請求する意思の通知のことで、催告書はそれを文書にしたものです。催告書は、一般的に金銭債務の履行(例えば、借金の返済)を求める際に使用されます。ただし、債権者と債務者が顔見知りであったり、継続的に取引を行っている関係であったりする場合は、一度返済が滞ったからといってすぐに催告書を送ることはあまりないでしょう。まずは通常の手段(電話や対面、メールなど)で催促したり、事情を尋ねたりして、それらを何度か行っても状況が変わらなければ催告書を送ることになります。

催告書を送る側としては、債務者に対して今回の通知がこれまでの催促や請求とは違い、いわば最後通牒(さいごつうちょう)であることを知らせて債務の履行を促すため、読み方を把握するだけでなく、様式や書式にも注意する必要があるのです。

催告書と督促状の違い

督促(とくそく)とは、相手に何らかの行為を強く促すという意味なので、債権関係に当てはめると督促状は「債権者が債務者に履行を強く促す」ことを記した文書となり、催告書とほぼ同義となります。

では、催告と督促はどちらのほうがより効力が強いのでしょうか。
ちなみに税金が期限までに納付されなかった場合や、国民年金保険料の未払いが生じた場合などに行政機関が送る文書は「督促状」です(地方税法第329条など参照)。税金が未納付の場合、行政機関は納付期限後20日以内に督促状を送り、その後10日以内に完納されなければ、未納付者の財産の差押えができるとあります。(同第72条の68)行政ゆえに有無を言わさず差押えが可能になるわけで、このイメージから督促状のほうが催告書より強く感じる方もいるでしょう。

しかし、督促状を送っても納付がない場合に、今度は「催告書」を送付する自治体が一定数あります。とはいえ、「督促状の次は催告書を送らなければ自治体は差押えができない」という法令はないため、未納者に再度納付を促すための慣習として「催告書」という別名を使っているとも考えられます。その場合は、督促状と催告書には違いがないといえるでしょう。

一般的な債権債務関係においても、督促状と催告書は単に言葉の違いと考えればよく、どちらを使用しても構いません。文書名が違っても内容が同じであれば、内容証明郵便で送ることで裁判時の証拠書類となる、時効中断事由になるといった一定の効力が生じます。
以下では、「催告書」に統一して説明します。

参考:地方税法|e-Gov法令検索

催告書を使用するシーン

前述のとおり、催告書は金銭債務の支払いを求める際に利用されることが多いのですが、再三の催促にも関わらず支払いをしない相手に送付するものです。これまでと同じような記載内容では、支払いを受けられないかもしれません。債務者に「今度こそ支払いを履行しなければならない」というプレッシャーを与えることも催告書の役割なのです。

法的措置をとることを告げる

催告書においては、まずは債務の内容や支払金額、履行期限を明示し、期日までに履行がなかった場合は法的措置をとることを相手に告げましょう。訴訟を起こし、最終的には差押えを行うことも厭わないという姿勢を示すのです。これは企業間であれ個人間であれ、「これまで通りの取引関係は保てない」という意思表示でもあります。

さらに、契約書に期限の利益喪失特約が記載されている場合は、もともとの債務が分割払いであっても、期限の利益を喪失していれば提示した期日までに一括での支払いを求める内容にします。

相手方に「今回はこれまでの催促や請求とは違う」と思わせる内容にすることが重要です。

内容証明郵便で送る

上記の内容を記載した催告書は、内容証明郵便で送付しましょう。内容証明郵便は、「いつどのような内容の文書が、誰から誰に送付されたか」ということを第三者である郵便局が記録を残すことで証明する郵便です。通常の生活や取引ではあまり使われない郵便であり、相手にこちらの本気度を示す効果が期待できます。配達証明を付けることで、相手は「そのような文書は受け取っていない」という抗弁ができなくなります。

内容証明郵便で催告書を送ることの利点として、「時効の完成猶予」の効力も挙げられます。

債権の消滅時効は権利行使ができる時から5年(民法第166条1項1号)ですが、催告時に時効期限ぎりぎりであっても、催告することで時効が催告時より6ヵ月間完成猶予されるのです(同150条第1項)。

「催告」に決まった様式はなく、口頭や普通郵便、メールでも構いません。しかし、訴訟を見据えたうえで催告を行う場合は、裁判時に「催告による時効の完成猶予事由がある」ことの確実な証拠とするため、内容証明郵便で通知するべきです。

なお、時効の完成猶予期間中に裁判上の請求などをしなければ、時効完成となってしまうため、注意しましょう。

さらに、例えば弁護士が代理人となって内容証明郵便を作成し、送付すれば、相手方に訴訟を現実的なものとして捉えさせ、より大きな心理的圧力をかけられるかもしれません。

参考:民法|e-Gov法令検索

催告書が届いた場合の対処法

一方、上記のような形で催告書を受け取った債務者側は、どう対応すればよいのでしょうか。

もちろん期限内に速やかに債務の履行(弁済等)を行えば、それに越したことはありません。

しかし、期限の利益を喪失し、一括で請求されると支払不能になるケースが多いでしょう。それでも、放置するのは禁物です。期限が過ぎる前に必ず債権者に連絡し、支払えない理由を説明しましょう。

債権者としては債務回収の目途がつけばよく、「訴訟に持ち込むのはなるべく避けたい」というのが本音です。然るべき事情があり、定期の支払いが約束されるのであれば、分割の支払額を減らす、支払期限を延長する、利子部分を減額するといった解決策を受け入れてくれることもあるでしょう。

とにかく、無視を決め込むのは厳禁です。どうしても支払えそうにない場合は、債務整理や会社再生手続を検討することになりますが、その際もその旨を債権者にきちんと伝える必要があります。

催告書のひな形・テンプレート

実際に使える、催告書のひな形(テンプレート)を無料でダウンロードいただけます。
金銭債務の一括返還を求める内容になっており、内容証明郵便の書式で作成しています。
ぜひご活用ください。

催告書の文例・書き方

ここでは、催告書の文例・書き方についてご紹介します。

書き方としては、債務が履行されていない事実と、催告書に示した期間内に支払いがない場合の意向を伝えるに留めることをおすすめします。何度催促しても相手が一向に支払わない場合は怒りやいら立ちを覚えるかもしれませんが、あまり強い文面で請求したり、相手を罵ったりすると、逆に脅迫罪に問われるおそれがあるので注意してください。

催告書は債務の履行を促す最終通告!

催告書は、度重なる催促を試みても債務を履行しない債務者に対する最終通告です。受け取った債務者に速やかな債務の履行、もしくは債権者への連絡という行為をとらせるために、支払期限内の履行がなければ法的措置をとることを明記し、内容証明郵便で送付しましょう。

よくある質問

催告書とは何ですか?

債権者が、債務者に対して債務を履行することを請求する意思の通知を文書にしたものです。詳しくはこちらをご覧ください。

催告書と督促状の違いについて教えてください。

どちらも債権者が債務者に履行を強く促すことを記した文書ですが、公的機関ではまず督促状、次に催告書を送るところが多いです。詳しくはこちらをご覧ください。


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