• 作成日 : 2024年1月5日

機械売買契約書とは?ひな形をもとに記載項目や注意点を解説

機械売買契約書とは?ひな形をもとに記載項目や注意点を解説

機械売買契約書とは、機械の売り買いをするときに交わす契約書のことです。日常的に行われている売買と同じ契約類型ですが、目的物が機械であり高額な取引金額も発生しやすいことから、保証や契約不適合等のルールを明確化しておく必要性が高くなります。

本記事では機械売買契約書について、ひな形を用いて作成のポイントを解説します。

機械売買契約書とは

機械売買契約書は、機械を売買する際に締結する契約書です。機械の売買取引について、「何を(目的物)」「いくら(金額)」「いつ(引渡しの時期)」「どうやって(引渡しの方法)」などの条件を定めます。

契約書を作成しなくても、機械の売買契約は成立します。たとえばメールや口頭での合意による場合も、契約は有効です。

しかし機械の売買については、取引金額が数百万円以上することも珍しくないため、契約条件を明確化することが非常に大切です。そのため機械売買契約書を作成して、売主・買主間の合意内容を明確化しましょう。

なお、本記事では機械を目的物とする「機械売買契約書」について解説しますが、売買契約書一般については以下の記事を参考にしてください。

機械売買契約書のひな形

以下のページから、機械売買契約書のワード形式のひな形をダウンロードができます。取引の内容に応じて、適宜条項を調整してご利用ください。

機械売買契約書に記載する主な項目

契約書を作成するときは、まず表題にて何の契約なのかがわかるように「機械売買契約書」などと定め、前文でさらに「…次の通り売買契約を締結する」と記載します。

機械売買契約書の本文では、主に以下の事項を記載します。

  • 機械の特定
  • 売渡代金とその支払い
  • 機械の引渡しと滅失・損傷したときの負担
  • 品質等の保証と契約不適合責任 など

それぞれ以下で詳しく説明していきます。

機械の特定

まずは、売買の目的物である機械を特定します(ひな形第1条)。

他の物(機械)と区別できればよく、書き方に決まりはありません。機械の型番、年式、仕様、数量などの情報を記載するのが一般的です。

売渡代金とその支払い

売渡代金(売買代金)の金額と、その支払い方法を明記します(ひな形第2条)。

金額については、「〇〇円」と具体的に記載するか、または計算方法を明確に記載しましょう。

支払い方法については、一括払いとすることもありますが、高額の機械については分割払いとすることもあります。一括払いであれば支払期日を、分割払いであれば支払期日と各支払期日に支払うべき金額を明記しましょう。

機械の引渡しと滅失・損傷したときの負担

機械の引渡しの方法について、以下の事項を定めましょう(ひな形第3条)。

  • 引渡しの期日
  • 引渡しの場所
  • 引渡しの完了条件(試運転など)
  • 引渡し完了時に所有権が移転する旨

また引渡し前の段階で、売主・買主双方の責めに帰すべき事由によらずに機械が滅失・損傷した場合に、どちらがその損失を負担するのか(=危険負担)についても定めておきましょう(ひな形第4条)。

品質等の保証と契約不適合責任

引き渡す機械の品質等を保証する条項を設けることもあります(ひな形第5条)。

具体的には、機械が国内外の法令等に基づく品質規格・仕様・検査等に適合する旨の保証を定めます。また、契約で定めた性能に関する期間限定の保証などを定める場合もあります。性能保証については、保証期間内であれば無償修理を行うのが一般的です。

手厚い保証が設定されれば買主にとって有利である反面、売主にとっては負担が重くなります。そのため、保証に関する規定は契約交渉におけるポイントの一つです。

また、契約の内容に適合しない機械が引き渡されたときに、売主が買主に対して負う責任(=契約不適合責任)についても規定しましょう(ひな形第6条~第9条)。

具体的には、契約不適合があった場合には履行の追完(機械の修補・代替物の引渡し・不足分の引渡し)、代金の減額、損害賠償、契約の解除ができる旨などを定めます。

契約不適合責任については民法にも規定がありますが、契約によって異なるルールを定めることも可能です。

その他の条項

上に挙げた条項以外にも、以下の事項などを必要に応じて定めましょう。

  • 契約解除の条件、手続き(ひな形第9条)
  • 期限の利益喪失事由(ひな形第10条)
  • 損害賠償(ひな形第11条)
  • 遅延損害金(ひな形第12条)
  • 誠実協議(ひな形第13条)
  • 合意管轄(ひな形第14条)

機械売買契約書をチェックする際のポイント

機械売買契約書の作成にあたってチェックしておきたいポイントを整理します。売主・買主のどちらであるかによって、チェックの仕方も変わってきますので要注意です。

  • 目的物が明確か契約書内に、契約の目的物となる機械の名称や型番、仕様、数量などを明記する。他の物(機械)と明確に区別できるような記載とする。売主・買主双方が確認すべきである。
  • 代金の支払いと引渡しの時期・方法・条件・代金については、金額・支払方法・振込手数料の負担を明記する。機械の引渡しについては、時期・方法・満たすべき条件(試運転の合格など)を明記する。いずれも売主・買主双方が確認すべきである。
  • 保証の内容
    機械の品質等の保証については、売主としては必要最小限の保証にとどめることが望ましい。一方買主としては、長期間の保証が付されることが望ましい。それぞれの立場に応じて契約交渉を行う。
  • 契約不適合責任
    不適合の定義、責任期間、責任追及の方法(履行の追完・代金の減額・損害賠償・契約の解除)などを明記する。民法の規定と比較して、自社に不利益な内容となっていないかをチェックする。

保証や異常時の責任に注意して機械売買契約書を作成しよう

取引金額が小さく日常的に購入・販売を繰り返すような物であれば、逐一契約書を作成せずに簡易な方法でやり取りをすることもあるでしょう。しかし単なる消耗品とは異なり、自社の事業遂行のために欠かせない機械の購入、単価の高い機械の購入となれば慎重に取引を行う必要があります。

取引相手とのトラブルを避けるには、取引条件を明記した機械売買契約書を作成し、その内容を精査することが大事です。目的物や代金・引渡しに関する規定に加えて、特に性能や品質についての保証、契約不適合があるときの責任についてはよくチェックしておきましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談していただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事