• 作成日 : 2024年6月7日

デザイン制作契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説

デザイン制作契約書とは、デザインの制作について委託者と受託者が締結する契約書です。委託するデザイン業務の内容や、委託料および納入・検収の手続きなどの契約条件を定めます。本記事では、デザイン制作契約書の書き方・条文の具体例・レビュー時のポイントなどを解説します。

デザイン制作契約とは

デザイン制作契約とは、デザインの制作に関する諸条件を定め、委託者と受託者が締結する契約です。

デザインの制作については、企業間における発注や、企業からフリーランスへの発注などが盛んに行われています。委託する側(=委託者)と仕事を受ける側(=受託者)の間のトラブルを予防するため、デザイン制作契約を締結して、デザインの制作に関する諸条件を明確化することが大切です。

デザイン制作契約を締結するケース

デザイン制作契約を締結するのは、委託者側においてデザインの制作を外部委託するニーズがあり、受託者側が委託者の提示する条件に応じた場合です。

委託者側においては、内部で制作管理を行うのはコストがかかりすぎる、より高度なデザイン技術を持つ外部人材を活用したいなどといった場合に、デザイン制作業務を外部委託するニーズが生じます。この場合には、知人の紹介・求人サイト・クラウドソーシングなどを活用して、デザインの制作を請け負ってくれる人を探すことになります。

受託者側は、委託者側からのオファーを受けて、委託料などの諸条件を確認し、デザインの制作を受注できるかどうか検討します。契約条件が合わないときは、委託料の引き上げなどについて交渉が行われるケースもあります。

最終的に、委託者と受託者が契約条件に合意した場合には、デザイン制作契約が締結されます。

デザイン制作契約書のひな形

デザイン制作契約書のひな形は、以下のページからダウンロードできます。実際にデザイン制作契約書を作成する際の参考にしてください。

※ひな形の条項と本記事で紹介する条項は、異なる場合があります。

デザイン制作契約書に記載すべき内容

デザイン制作契約書に記載すべき主な事項は、以下の通りです。

①委託業務の内容
②委託料
③納期・納入方法
④検収手続き
⑤再委託の可否
⑥知的財産権の帰属等
⑦その他

それぞれの項目を、具体例とともに詳しく見ていきましょう。

委託業務の内容

株式会社○○(以下「甲」という。)と、●●(以下「乙」という。)とは、甲の○○○○についてのデザイン制作に関する業務(以下「本件業務」という。)につき、以下の通り制作委託契約(以下「本契約」という)を締結する。

第○条
甲は乙に対し、本件業務を委託し、乙はこれを受託する。
2 乙は、甲が別途添付する仕様書に記載された内容に基づき、本件業務を行う。
3 乙は、本件業務の実施に際し、甲に必要な協力を要請できるものとし、甲は乙から協力を要請された場合には、適宜これに応ずるものとする。

委託者が受託者に対して委託する、デザイン制作業務の内容を明記します。
「○○○○についてのデザイン制作に関する業務」などの概括的な記載に加えて、制作すべきデザインの詳細を記載した仕様書を添付するのがよいでしょう。

委託料

第○条
本件業務の委託料は、金○○円とする。
2 乙は、甲に対し、第○条に定める本件業務完了後に、前項に定める委託料の請求書を発行し、甲は、乙に対し、請求書を受領した日より〇日以内に、当該委託料を、乙の指定する金融機関の指定口座に振り込む方法で支払う。振込手数料は、甲の負担とする。

委託者が受託者に対して支払うべき委託料について定めます。具体的には、金額・請求書の発行方法・支払期限・支払方法・振込手数料の負担者などを定めましょう。

納期・納入方法

第○条
本件業務の納期は、令和○年○月○日とする。
2 乙は、前項の納期までに本件業務を完成させ、本件業務の成果物(以下「本成果物」という。)を甲が合理的に指定した場所において、甲が合理的に指定した方法により納入するものとする。
3 乙は、納期に本成果物を納品することができないおそれが生じたときは、ただちにその旨を甲に通知し、甲の指示に従う。
4 乙は、納期遅延により甲が損害を被ったときは、その損害を賠償しなければならない。ただし、当該遅延が甲の責に帰すべき事由によって生じたとき、または天変地異その他の乙の責に帰することができない事由によって生じたときは、この限りではない。

※具体的な納期・納入場所・納入方法を別途やり取りする発注書によって定める場合は、以下の内容に差し替える。
第○条
本件業務の納期、ならびに本件業務の成果物を納入すべき場所及び当該納入の方法は、甲乙間の合意により別途定めるものとする。当該合意は、甲が乙に対して発注書を交付し、乙がその内容を承諾する方法によって行うものとする。
2 乙は、納期に本成果物を納品することができないおそれが生じたときは、ただちにその旨を甲に通知し、甲の指示に従う。
3 乙は、納期遅延により甲が損害を被ったときは、その損害を賠償しなければならない。ただし、当該遅延が甲の責に帰すべき事由によって生じたとき、または天変地異その他の乙の責に帰することができない事由によって生じたときは、この限りではない。

受託者が委託者に対して、制作したデザインを納入すべき時期(=納期)と、納入の場所や方法などを定めます。

検収手続き

第○条
甲は、本成果物の納品後遅滞なく検査を実施し、乙に対し、納品後〇日以内に結果を通知する。納品後〇日を過ぎても当該通知がないときは、本件業務は完了したものとみなす。
2 前項の検査により、瑕疵や修正すべき点等(以下「瑕疵等」という。)が発見されたときは、乙は、ただちに甲の指示に従って瑕疵等の対応を行い、再度納品を行う。なお、当該対応に要した費用は乙の負担とする。

委託者が、受託者から納入を受けた成果物に問題がないかどうかチェックすることを「検収」といいます。
デザインの制作については検収が必要になるので、検収期限や検収不合格時の取り扱いなどを契約書に明記しましょう。

再委託の可否

第○条
乙は、甲の事前の書面による承諾なくして、本件業務の全部または一部を第三者に再委託することはできない。

デザイン制作業務の再委託については、委託者の書面による承諾を必須とするのが一般的です。ただし、特定の者への再委託を例外的に認める旨を明記する場合や、再委託を原則認める建付けとする場合もあります。

知的財産権の帰属等

第○条
本成果物についての所有権及び著作権その他の知的財産権(以下「知的財産権等」という。)は、甲が当該本成果物の検収を完了し、かつ甲が乙に対して委託料の全額を支払ったときに、乙から甲に移転する。
2 本成果物の滅失、毀損その他全ての危険負担についても、前項に定める知的財産権等の移転と同時に、乙から甲に移転する。
3 甲は、乙の承諾なくして本成果物を改変してはならない。
4 乙は、本成果物につき、前項に定める事項に関するものを除き、著作者人格権を行使しないものとする。
5 乙は、甲に対して、本件業務に関し、第三者の著作権その他の権利を侵害していないことを保証する。

受託者が制作したデザインに関する所有権や知的財産権については、委託料の支払いと同時に委託者へ移転させます。危険負担(滅失・毀損などによって生じる損害)についても、知的財産権等の移転と同時に移転させるのが一般的です。

また、成果物が著作物である場合には、著作者人格権の取り扱いについても明記しておきましょう。受託者による著作者人格権の不行使を定めるのが一般的ですが、改変を禁止するなどの例外を設けるときはその旨を明記します。

その他

上記のほか、デザイン制作契約書には以下の事項などを定めます。

・受託者における資料等の保管義務
・秘密保持義務
・契約の解除
・損害賠償
・誠実協議
・合意管轄
など

デザイン制作契約書を作成する際の注意点

デザイン制作契約書を作成する際には、委託者・受託者間のトラブルを予防するため、契約条件を明確に定めることが大切です。

特に、受託者においてどの程度の修正依頼に応じる必要があるかについては、当事者間の認識のずれを解消する必要があります。契約書の本文か、または仕様書において明確化しましょう。
そのほか、委託料や検収手続きなども、委託者・受託者の間でもめることが多いポイントです。曖昧な点を残さないように、デザイン制作契約書の条文を慎重に作成しましょう。

デザイン制作契約書は、契約条件の明確化が大切

デザインの制作をトラブルなく進めるためには、デザイン制作契約書において、契約条件を明確化することが大切です。特に、委託業務の内容や受託者の対応範囲、委託料、検収手続きなどについては、委託者・受託者の間でトラブルになることが多いので、明確な文言で条文を作成しましょう。

また、特に相手方がデザイン制作契約書のドラフトを作成した場合は、自社にとって不当に不利益な条項が含まれていないかどうかも確認すべきです。不適切な条項が含まれていた場合には、なぜ不適切であるかの理由を付したうえで、相手方に対して修正を求めましょう。


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