- 更新日 : 2024年11月26日
契約書の作成代行とは?費用の相場や依頼先の選び方、違法行為を解説
契約書の作成代行とは、取引内容に適した契約書を作成するサービスです。契約書の作成ができるのは弁護士か行政書士であり、いずれかに依頼する形式になります。メリットや対応できる業務範囲はそれぞれ異なるため、自社に合う依頼先を選びましょう。
本記事では、契約書の作成代行の概要や費用、依頼する流れなどを解説します。
▼契約書のひな形・テンプレートは下記より無料でダウンロードいただけます。
目次
契約書の作成代行とは?
契約書の作成代行とは、契約内容に沿った契約書の作成を請け負うサービスのことです。契約書の作成ができるのは弁護士か行政書士のみ(一部の契約書は司法書士も可能)であり、専門家以外が作成代行することは違法行為となります。そのため、作成の依頼先は必ずいずれかの専門家でなければなりません。
企業間取引で契約書は重要な役割があり、契約締結後のトラブルを防ぐためにも、適切な契約書の作成が必要です。契約書作成に慣れていない場合は、専門家のサポートが必要になるケースもあります。
不備のない契約書を作成してリスクを抑えたい場合は、作成代行の利用も検討してみるとよいでしょう。
契約書の作成代行には資格が必要か
契約書の作成代行ができるのは、弁護士と行政書士のみです。弁護士はあらゆる法律事務を取り扱うことができ、契約書業務もそのひとつです。
弁護士法第72条では、弁護士または弁護士法人でない者が報酬を得る目的で、弁護士のみに認められている法律事務を取り扱うことを禁止しています。
この規定によれば、契約書作成業務も弁護士のみが行うことができ、弁護士以外が行うことは「非弁行為」として許されません。
ただし、行政書士の場合は、権利義務に関する書類を作成できることが行政書士法で規定されています。この規定により、弁護士法72条の例外として、行政書士は契約書業務を取り扱うことができます。
参考:e-GOV検索 弁護士法
参考:e-GOV検索 行政書士法
行政書士に契約書の作成代行を依頼するメリットや業務範囲
行政書士と弁護士はともに契約書作成を代行できますが、依頼するメリットや契約書作成で対応できる業務範囲は異なります。どちらに依頼するかは、取引内容に応じて決めることになるでしょう。
取引内容が複雑で法的リスクが高い場合や様々な事項を相談しながら作成を進めたい場合は、弁護士が適しています。一方、比較的シンプルな契約書の場合は、行政書士の方がコストを抑えることができるでしょう。
ここでは、行政書士に契約書の作成代行を依頼するメリットと業務範囲を解説します。
行政書士に契約書の作成代行を依頼するメリット
行政書士に作成を依頼するメリットは、弁護士と比較してコストを抑えられる点です。契約締結後、万が一トラブルが起きて訴訟になった場合、行政書士は法律業務に対応することはできませんが、和解書などの書類作成ができます。
紛争になる可能性が低い定型の契約書であれば、行政書士に依頼するメリットは高いといえるでしょう。
また、自社の業界に精通した行政書士に依頼すれば、的確なアドバイスも期待できます。
行政書士に依頼できる業務範囲
行政書士の業務範囲は、官公署に提出する書類や、権利義務または事実証明に関する書類を作成することです。この中に、契約書の作成代行も含まれます。
あくまで書類作成の対応がメインであり、弁護士のように法律相談を受けたりトラブル発生時における訴訟の代理人になったりすることはできません。弁護士ほど対応範囲は広くないといえるでしょう。
弁護士に契約書の作成代行を依頼するメリットや業務範囲
弁護士に契約書作成を依頼するメリットや業務範囲は、行政書士と異なります。詳しくみていきましょう。
弁護士に契約書の作成代行を依頼するメリット
法律の専門家である弁護士は、行政書士よりも広い範囲で契約書作成業務に対応できます。そのため、契約書の作成だけでなく、契約に関する幅広いサポートを受けられる点がメリットです。
また、弁護士は法律に関する専門知識や訴訟経験が豊富であり、紛争を予防する契約書の作成に精通しています。複雑な契約書にも対応でき、訴訟に発展した場合には一貫して対応できることもメリットといえるでしょう。
弁護士に依頼できる業務範囲
弁護士の業務は、訴訟事件や非訟事件、その他一般の法律事務と、幅広い範囲に及びます。契約書の作成だけでなく、リスクを減らすためのリーガルチェックも可能です。事前の相談でも法的根拠にも基づいた最善の提案ができ、トラブルが起きた場合にも代理人となり、訴訟手続きを行えます。
また、弁護士はあらゆる法律事務に対応できるため、行政書士や司法書士の業務を弁護士の資格として行うことも可能です。
契約書の作成代行に依頼する際の費用
契約書の作成代行は、依頼する契約書の内容や専門家によって異なります。行政書士に契約書の作成を依頼する場合、費用の相場は3万円〜20万円程度です。
弁護士の場合は、契約が定型的か非定型的かで異なります。取引内容が定型的でシンプルな場合、費用相場としては5〜30万円程度です。
たとえば、売買契約書や請負契約書、賃貸借契約書など、一般的な取引で作成にも時間がかからない場合は、5万円程度で依頼できるでしょう。
取引内容が非定型的で複雑な場合、相場は20万円〜100万円程度です。契約書作成のために関係者からの事情を聞き取るなどの時間がかかる場合は、別途費用がかかる場合もあります。
契約の取引金額によって設定している場合もあり、取引金額が高額になれば、100万円以上になるケースもあるでしょう。
契約書の作成代行を依頼する際の流れ
契約書作成を専門家に依頼する一般的な流れについて、弁護士を例に紹介します。
- 取引内容の関係資料を用意する
- 相談を予約する
- 関係資料を持参して相談し、作成依頼の契約を締結する
- 弁護士が契約書案を作成する
- 依頼側で契約書案を確認する
- 内容の要望を伝え、必要に応じて修正を依頼する
- 完成した契約書を受け取る
契約書の完成までにかかる期間は、基本的に依頼から約2週間程度です。ただし、契約内容や事務所によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
契約書の作成代行を依頼する際の選び方
契約書作成を依頼する際は、次の点をチェックしましょう。
- 契約書作成代行の実績
- 対応している契約書と費用
- 契約書の納期
それぞれ、詳しく解説します。
契約書作成代行の実績
作成を依頼する前にまず確認したいのが、契約書を作成している実績が豊富かどうかです。契約書作成には契約に関するさまざまな知識や経験が必要であり、これまでに対応してきた実績により、依頼できる内容は異なります。
契約書作成の実績は、事務所のホームページでチェックできます。「事務所紹介」や「これまでの実績」などの項目を確認してみましょう。
対応している契約書
自社が依頼する契約書の分野に対応しているかの確認も必要です。契約書は種類が多く、契約内容ごとに必要な知識は異なります。実績を確認する際は、どのような契約書の実績があるかも確認しておきましょう。
また、自社の業界・業種に精通しているかもチェックしてください。業界・業種に詳しければ、取引に潜むリスクを把握し、予防策を講じることができるでしょう。
契約書の納期
納期の確認も重要なポイントです。取引では契約書を作成する期限が設定されていることがほとんどであり、作成が遅れると取引先に迷惑をかけることになります。
契約書作成では作成案の確認や修正などで何度かやり取りをするため、そのレスポンスが早いことも大切です。相談を申し込む段階から、対応の早さについてチェックしておくとよいでしょう。
契約書のひな形・テンプレート
契約書の作成を依頼する際は、どのような契約書にしたいかを説明するため、ひな形を確認しておくとよいでしょう。次のURLから、各種契約書のテンプレートを無料でダウンロードできます。ぜひご活用ください。
契約書は専門家に作成代行を依頼できる
契約書は弁護士や行政書士に作成代行を依頼できます。ただし、メリットや依頼できる業務範囲は異なるため、契約内容やニーズに合わせて選んでください。複雑な契約で契約締結後もサポートが必要な場合は、弁護士に依頼するとよいでしょう。
依頼先を選ぶときは、契約書作成代行の実績や対応している契約書が自社に合うかの確認が必要です。納期の確認も忘れないようにしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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