- 更新日 : 2024年8月30日
自動車リース契約書とは?ひな形をもとに書き方や項目を解説
自動車リース契約書は、自動車のリース契約を締結する際に必要な書類です。無用なトラブルを避けるためにも、書き方や記載すべき項目について弁護士などの専門家の助力を得ることが重要です。
こちらの記事では、自動車リースに関する概要と、契約書の書き方について解説します。弁護士監修済みのひな形も用意しているのでお役立てください。
目次
自動車リース契約書とは?
「リース契約」とは、機械設備などの有形資産をリース会社が購入し、それに対して利用者がリース料を支払うことで使用できる契約方式です。
自動車のリース契約、いわゆる「カーリース」もそのサービスの一種で、利用者は自動車を相応の値段で購入しなければならないところを、毎月のリース料を負担するだけで自動車を使用できます。
契約時にはリース契約書を作成し、利用者はその契約書の内容に則って対象となる自動車を利用する流れとなります。
自動車賃貸契約との違い
利用者自身が所有権をもたずに自動車を利用する契約方式は、ほかにも「賃貸契約」である「レンタカー」という方法もあります。
リース契約と賃貸契約はどちらも業者が自動車の所有権をもっているという点では同じですが、さまざまな点が異なります。
大きな違いとしては、レンタカーなどの自動車賃貸は業者が保有する車両から選んで借り受けるのに対して、自動車リースは契約者が選んだ車両をリース業者が購入し、それを貸し出すという点です。
また、そうした契約方式であるため、リース業者は車両購入費の償却をする必要があります。そのため自動車リースは原則として途中解約ができず、よほどの事情がない限り契約期間中はリース料を支払い続ける必要があります。
結果として、自動車リース契約は自動車賃貸契約と比べて契約期間が長く、数年単位となるのが一般的です。
自動車リース契約書が交わされるケース
自動車リース契約書は、リース会社と自動車のリース契約を締結する際に作成されますが、具体的には以下のような理由でリース契約を結ぶことが多いです。
- 営業車両としてのリース契約
- 配送や物流業務用のリース契約
- 季節的なニーズに対応するためのリース契約
- 個人でのカーリース契約
自動車のリース契約が業務用に用いられる機会がある理由としては、第一に「初期投資を抑えられる」という点があります。
とくに業務用の大型車両ともなると1台だけでも購入費用が高額になり、多数の車両を調達する必要がある場合はさらに高額の初期投資をしなければなりません。
そのため、月額料金で業務用車両を調達し運用できるリース契約は、初期投資を抑えつつ業務用車両を準備できる方法として大きなニーズがあります。
また、法人が自動車をリース契約で利用する場合、毎月のリース料を費用として計上できます。さらに自賠責保険料や自動車関連の税金もリース料に含まれているのが基本のため、費用として計上する際に費用計算がしやすい特徴があります。
また、自社で車両を購入する場合は減価償却で数年かけて資産価値を減らす会計処理が必要ですが、リースの場合は毎月のリース料を費用計上するだけで済みます。
こうしたビジネス面でのメリットが多いことから、業務用車両をリース契約で調達する企業も少なくないのです。
自動車リース契約書のひな形、テンプレート
自動車をリース契約するにあたっては、必須内容を記載している契約書を作成する必要があります。
以下のページから自動車リース契約用の契約書のテンプレートをダウンロードできるので、実際の契約内容にあわせて調整の上、ぜひ活用してください。
自動車リース契約書に記載すべき内容
自動車リース契約が無事に遂行されるためには、契約時に作成する契約書に不備がないことが重要です。
そこで、自動車のリース契約時に作成する契約書に記載すべき内容について解説します。
契約内容の趣旨
最初の項目では、賃貸人と賃借人の間でリース契約を締結するといったリース契約の趣旨・概要を記載します。
基本的な項目ではありますが、契約内容をきちんと明文化してリース会社と利用者双方が確認できることが重要です。
リース車両の明示
契約書の冒頭では、契約内容の基本情報として、賃貸人が、賃借人が指定する車両を購入して賃借人にリースする旨を記載します。
また、リース対象となる車両を特定できる基本情報として、車名、型式、年式、登録番号、車台番号などを記載しておきましょう。
自動車引き渡しの明文
自動車リース契約では、リース会社から利用者に対して対象の自動車を引き渡すことになるので、その旨を明言する項目も契約書に盛り込む必要があります。
リース会社にとっては自社の資産を貸与する重要な契約になるので、トラブルを避けるためにも契約書に記載しておきましょう。
リース期間
自動車のリース契約は、賃貸契約と比較すると長い期間の貸与が続きます。
そのため、リースする期間を厳密に定めておき、その期間や日数を契約書にきちんと盛り込んでおく必要があるのです。
なお、この項目には、リースする自動車のリース期間中の使用方法や、保存などに関する内容が一緒に盛り込まれているケースもあります。
リース料
リース契約では、月額方式でリース料をリース会社に支払う必要があるので、料金についての項目も契約書に記載しておく必要があります。
リース契約期間中は契約の解約ができないことや、それに伴って期間中はどのような事情があってもリース料の支払いが発生することなどについても記載しておきましょう。
トラブル発生時の対応
自動車のリースでは、自動車の所有権がリース会社にあることなどを踏まえて、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
トラブル発生時の悪影響を最小限に抑えるために、以下のようにトラブル関連の項目を数多く契約書に記載するのが一般的です。
- リース中の禁止事項
- 事故などが発生した場合の連絡義務
- 契約不適合責任
- 損害賠償
- 事故や盗難
- 遅延損害金
リース契約後に契約者との間で紛争が起こるのを避けるため、どのようなトラブルが発生し得るのかを想定し、その内容を漏れなく記載しておくことが必要です。
自動車の返却
リース契約では自動車の所有権はリース会社にあり、リース契約を延長しなければ契約期間満了後は速やかに自動車を返却しなければなりません。
また、返却時の原状回復義務や、契約内容次第では期間満了後に自動車が契約者側に譲渡されることもあり、そうした返却に関係する内容をこの項目に記載します。
契約の解除や中途解約
自動車リース契約は原則として契約期間中の解約は認められておらず、それについての項目を契約書にも必ず記載します。
利用者側の事情次第では例外的に途中解約が認められるケースもありますが、「具体的にはどのような場合であれば認められるか」などの内容も盛り込んでおきましょう。
反社会的勢力の排除
リース会社と利用者、双方とも反社会勢力との関わりをもたないこと、反社会的勢力と関わりをもっていた場合は、催告なく契約を解除できることを記載します。
定めのない事項および特約
本契約書に書かれていない問題が発生したときは、リース会社と利用者が都度協議して解決することを記載します。
管轄裁判所
リース会社と利用者の間で紛争が起こり裁判となった場合のために、リース会社の所在地を管轄する地方裁判所を第一審の裁判所に指定しましょう。
自動車リース契約書の作成ポイント
自動車リース契約で契約書を作成する場合は、後々に違法行為などのトラブルに発展させないためにも、いくつか注意すべきポイントがあります。
途中解約ができない旨は必須
自動車リース契約は、リース会社が利用者の希望する車両を購入して貸すサービス形態です。そのため、車両の購入額以上の総額分を利用者からのリース料でまかなえなければ、リース会社は赤字となってしまいます。
自動車リース契約書を作成する際には、原則として途中解約ができない旨を記載しておきましょう。
必要な場合は専門家の助言を得る
「契約」という取引形態を用いる以上、その手続きに瑕疵があれば無用なトラブルを招く可能性があります。
契約上のトラブルは、リース会社にとっても利用者にとっても好ましくない事態であるため、契約書の作成という根本の部分でトラブルの原因を作るわけにはいきません。
もし、自動車のリース契約書の作成で不安な部分があれば、弁護士など法律の専門家にアドバイスをもらい、トラブルの原因にならない契約書を作成しましょう。
収入印紙は必要?
自動車のリース契約においては、契約書などに収入印紙を準備する必要はありません。
自動車のリース契約は、要するに賃貸借契約であり、動産の賃貸借契約は収入印紙が必要な「課税文書」ではないため、収入印紙を貼る必要はありません。
不備ない自動車リース契約書を作成してトラブルを回避しよう
自動車のリース契約では契約書の作成が必要不可欠ですが、作成内容によっては後にトラブルの原因になる可能性があります。
契約関連でトラブルが発生することは契約者双方にとって避けたい事態であり、そのためには法的に問題のない契約書を作成して、双方がその内容を遵守して行動をとることが重要です。
これからリース契約の契約書を作成するのであれば、契約関連の法律に強い弁護士などの専門家のアドバイスを受けることも視野に入れて、内容的に問題のない契約書を作成しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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