• 更新日 : 2024年8月30日

フリーソフト利用規約とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説

フリーソフト利用規約とは、インターネット上で無料ダウンロードできるソフトウェアを提供する際、ユーザーに提示する規約です。事業者が有する権利義務や、ユーザーが利用するにあたって遵守すべき内容などをまとめています。

本記事では、フリーソフト利用規約の書き方や具体例、作成する際に注意するポイントを解説します。

フリーソフト利用規約とは

フリーソフトとは、オンライン上で無料ダウンロードができるソフトウェアのことです。ただし、無料であるからといって、まったく制約がないわけではありません。フリーソフトには一般的に、サービスの利用に関するルールを記載した利用規約が作成されています。

利用規約とは、サービス内容に関して事業者が有する権利義務や、サービスの利用者が遵守すべき内容をまとめたものです。利用規約はサービスを提供する事業者が作成し、相手方に提示するという点が特徴です。利用者からの同意を得ることで利用規約は契約の一部となり、利用者は契約内容に拘束されます。

また、次のような特徴もあります。

  • ユーザーとの契約交渉が想定されていない
  • 利用規約の内容は事業者が一方的に定めることがでる
  • 利用規約に同意しないユーザーはサービスを利用できない

フリーソフトの利用規約が作成されるのは、不特定多数の利用者に対して同一内容のサービスを効率良く提供するためです。個別に契約書を作成し契約を締結するのは煩雑ですが、統一的なルールを定めて内容を包括的に承諾してもらう利用規約を定めれば、契約締結の手続きがスムーズになります。

フリーソフト利用規約を掲載するケース

事業者がフリーソフト利用規約を掲載するのは、インターネット上に無料でダウンロードできるソフトウェアを掲載する場合です。

無料で公開するのは、主に次のような理由があります。

  • 便利なソフトを広めたいという制作者の意思
  • [有料版の宣伝
  • ベータ版(正式版をリリースする前に試用してもらうためのサンプル)として

利用契約を掲載して同意を得る方法は、利用規約の表示とユーザーからのアクションとしていくつかのパターンがあります。
それぞれ、詳しくみてみましょう。

全文表示する場合

利用規約は、全文を表示し、利用規約の内容をスクロールした最後に同意のチェックボックスもしくは同意ボタンを配置するパターンが一般的です。ただし、利用規約の全文表示は長文になり、スクロール作業が長くなってユーザーが離脱しやすいというデメリットがあります。

ほかに、利用規約の全文を表示するものの、利用規約に対する同意ボタン等は配置せず、「表示内容を了承して注文する」といった別アクションに付随して利用規約への同意を取得する方法もあります。

リンクにより表示する場合

同意取得画面には利用規約を表示せず、リンクを貼ってリンク先に記載されている内容を閲覧してもらう方法もあります。ユーザーがリンク先の利用規約を必ず閲覧するとは限らないという点がデメリットです。

利用規約へのリンクがわかりやすく設定され、利用規約へのリンク画面に容易に到達できるようにすることが求められます。

全文表示の場合と同様に、同意ボタン等が設置されている、もしくは他のアクションに付随して同意を取得するという2つのパターンがあります。

フリーソフト利用規約のひな形

フリーソフト利用規約の作成は、テンプレートを利用すると便利です。下記のページから、弁護士が監修したワード形式のフリーソフト利用規約のひな形を無料でダウンロードできます。ぜひご活用ください。

フリーソフト利用規約に記載すべき内容

フリーソフト利用規約に記載する内容は、主に次の7点です。

  • 利用規約への同意と用語の定義
  • サービス内容
  • 知的財産権の帰属
  • サービス利用時の遵守事項
  • 利用規約違反者に対するペナルティ
  • 損害賠償に関する事項
  • サービス提供の変更・終了

それぞれ、詳しく解説します。

利用規約への同意と用語の定義

まず、利用規約がユーザーとの契約になることを明記します。自社サービスの利用には利用規約全文を読んで同意が必要であること、ユーザーがこの規約に沿ってサービスを利用すべきことを記載してください。

また、利用規約で使用される用語が複数の意味に解釈できる場合は、各条項についても解釈が異なるおそれがあるため、用語の定義も必ず記載しましょう。

(記載例)

この利用規約(以下「本規約」といいます。)は、株式会社〇〇(以下「当社」といいます。)が、当社が運営するWebサイト(http://××)で公開しているプログラム(以下「本フリーソフト」といいます。)をダウンロードして利用する者((以下「利用者」といいます。)に共通に適用される利用条件を定めるものです。

本フリーソフトのご利用に際しては、本規約の全文をお読みください。

ユーザーは、本規約に承諾の上、本フリーソフトの利用を申し込むものとし、本フリーソフトの申込をした場合、本規約を承諾したものとみなします。

サービス内容

事業者が利用者に対して提供するサービスの内容を、具体的に明記します。フリーソフトの場合は、無料で利用できること、個人での利用か商用利用もできるかなどを記載してください。

(記載例)

第1条
本フリーソフトは、個人利用、商用利用を問わず、利用者が無料で利用できるものとします。

知的財産権の帰属

ダウンロードするソフトウェアに関する著作権や特許権などの知的財産権につき、利用規約によって帰属が明示されていない権利については事業者が保有することを記載します。

(記載例)

第2条
本フリーソフトのすべての著作権、特許権等の知的財産権は、甲に帰属するものとします。

サービス利用時の遵守事項

ソフトウェアをダウンロードするにあたって利用者がしてはならないことや、守るべきルールについて記載します。

(記載例)

第3条
本フリーソフトの改変・改良は、利用者が自己の責任に基づいて自由に行うことができるものとします。

2 前項の改変・改良により発生する不具合は、利用者が責任を負うものとします。

第4条
利用者は、以下の行為をしてはならないものとします。

(1)本フリーソフトの再配布
(2)本フリーソフトを使用し、第三者から対価を得ること
(3)本フリーソフトを第三者に使用させること
(4)その他、当社に損害をもたらす行為

利用規約違反者に対するペナルティ

利用規約に違反する行為はペナルティがあることを記載します。合わせて、違反した場合の措置についても明記しましょう。

(記載例)

第5条
当社は、利用者が本規約に違反する行為をした場合には、本フリーソフトの利用の停止を求めることができるものとします。
2 利用者の本規約に違反する行為、または不正もしくは違法な行為によって、当社に損害を与えた場合には、当社は、利用者に対して、当該行為の差止め、および当社の被った損害の賠償を請求することができるものとします。

損害賠償に関する事項

フリーソフトについてユーザーから問われることが想定される損害賠償請求について、免責事項を記載することも必要です。

(記載例)

第5条
当社は、本フリーソフトの不具合、本フリーソフトを使用すること、もしくは本フリーソフトを使用できなかったことに関して発生した損害について、一切責任を負わないものとします。

サービス提供の停止・終了

事業者の都合により、フリーソフトのサービス提供を停止・終了することも想定されます。そのため、サービス停止・終了に伴い契約が中断・終了する可能性についても定めておきましょう。

(記載例)

第7条
当社は、本フリーソフトの全部または一部の提供を、利用者の同意を得ることなくいつでも停止・廃止することができるものとします。
2 当社は、前項の提供の停止・廃止により利用者に発生した損害について、一切責任を負わないものとします。

利用規約の変更

事業者の都合により利用規約を変更する場合に備え、利用規約の変更方法について記載します。

(記載例)

第8条
本規約は、日本法に準拠し、同法に従い解釈されるものとします。
2 本規約は、利用者への事前告知なく当社が変更することができるものとします。変更後の規約は、当社のWebサイトに掲載されたときに効力が発生するものとします。

フリーソフト利用規約の作成ポイント

必要事項を盛り込んだ利用規約を正しく作成しても、ユーザーから「利用規約は見ていない」「同意していない」と主張されては意味がありません。表示や同意ボタンなど、わかりやすく設置する工夫が必要です。

利用規約を作成する際、既存のテンプレートを参考にする場合でも、そのまま利用するのは避けましょう。自社が提供するサービス内容や想定する補償内容などを明確にして、実態に合う内容にしてください。

フリーソフトの利用規約を正しく作成しよう

フリーソフトの利用規約は、オンライン上で無料のソフトウェアを利用しようとするユーザーが表示内容に同意することで、契約の一部となります。

利用規約は事業者が一方的に作成し、掲載は全文表示するかリンク先で閲覧するといった方法が一般的です。

利用規約を作成する際は、記載すべき項目を網羅し、民法や著作権法など自社サービスに関連する法令も確認しておきましょう。


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