• 更新日 : 2024年11月14日

定期建物賃貸借契約は電子契約できる!電子化する条件やメリットを解説

定期建物賃貸借契約は、法改正により電子契約での締結が可能になっています。電子契約システムの導入は、手間やコストの削減につながるなどのメリットがあります。

本記事では、定期建物賃貸借契約の基本と、電子契約が認められた背景について紹介します。また、電子契約における書面の交付方法や注意点、導入のメリットについても詳しく解説します。

定期建物賃貸借契約とは

定期建物賃貸借契約とは、期間の定めのある建物賃貸借契約のうち、契約期間の満了により賃貸借が終了する契約を指します(借地借家法第38条)。通常、期間の定めのある建物賃貸借契約では契約更新の余地がありますが、定期建物賃貸借契約では、更新ができません。

定期建物賃貸借契約が結ばれるケースとしては、「一定期間のみ賃貸物件として出したい」などのケースが挙げられます。例えば、将来的に大規模なリフォームや建て替え、大家の自己利用などが予定されているような場合です。

また、短期賃貸マンションなど、一定期間で賃借人が退去することがあらかじめ決まっているような場合も定期建物賃貸借契約を締結します。

定期建物賃貸借契約は電子契約が可能

定期建物賃貸借契約は、書面による契約の他に、電子契約によって締結することが可能です。

以下では、法改正によって定期建物賃貸借契約で電子契約が認められた流れと、賃借人が紙での書面交付を求めた場合の注意点について解説します。

2022年より電子書面の交付が可能に

2022年の借地借家法改正により、賃貸借契約においても電子契約が可能になりました。それ以前の借地借家法では、定期建物賃貸借契約を電子で締結しても、書面と同様の扱いは認められていませんでした。

しかし、デジタル社会形成整備法などの影響から2022年5月に借地借家法が改正されたことにより、定期建物賃貸借契約は電子契約でも書面による契約と同様の扱いにできると認められました。

具体的には、事前説明書面の電子化や、オンライン上での契約締結、締結後の文書の電子交付ができるようになりました。

賃借人が紙での書面交付を求めた場合

賃貸人側が定期建物賃貸借契約の電子契約を導入していても、賃借人側が紙での書面交付を求めた場合は、それに応じて紙で契約書を発行しなければなりません。なぜなら、賃借人には事前説明書類や契約書類の内容を確認し、署名してもらう必要があるからです。賃貸人は、賃借人が書面の内容を確認できる方法で送付する必要があります。

宅地建物取引業法においても、宅建業者が利用予定のソフトウェアなどに、説明する相手方が対応可能であるかの確認が義務付けられています。

定期建物賃貸借契約の電子化で利用できる方法と条件

定期建物賃貸借契約の電子化で利用できる電磁的方法は複数あります。

以下では、定期建物賃貸借契約の電子化で利用できる方法について3つ紹介します。また、電磁的方法で書面を交付する際は、条件を満たすことが必要です。どのような条件を満たせばよいかについても解説します。

電子メールを送信する

まず、賃貸人から賃借人に対し、事前説明書面や契約書のファイルを電子メールに添付して送信する方法です。書面には賃借人の住所や氏名などの個人情報が含まれるため、パスワードを設定すると安心です。

賃借人が書面を確認し、電子署名をした後は、賃借人から再び電子メールに添付して送り返してもらいます。

クラウドにアップロードしたファイルをダウンロードする

電子メール以外にも、賃借人がファイルを出力して書面を作成できる方法であれば可能です。例えば、クラウド上にファイルをアップロードし、相手にダウンロードしてもらう方法も挙げられます。

クラウド上にアップロードした場合は、賃借人に対しメールなどで通知をするとよいでしょう。

情報を記録した媒体を交付する

事前説明書面や契約書を記録した媒体(USBなど)を、手渡しや郵送で交付することも可能です。相手がファイルを出力して書面にできればよいからです。

どの交付方法がよいかは賃借人によって異なるため、あらかじめ希望の交付方法を確認しましょう。

電磁的方法で書類を交付する条件

電磁的方法で書類を交付する際は、以下の条件を満たす必要があります。

  • 書類が改変されていないかどうかを確認できること
  • 相手方が紙で書面を出力できること

書類が改変されていないかどうか確認する方法としては、電子署名やタイムスタンプが挙げられます。自社のシステムに電子署名やタイムスタンプ機能がない場合は、電子契約システムを活用するとよいでしょう。

定期建物賃貸借契約に電子契約を導入するメリット

定期建物賃貸借契約に電子契約を導入するメリットは複数あります。

以下では、代表的な3つのメリットについて紹介します。

賃借人の時間的・経済的コストを削減できる

電子契約を導入すれば、賃借人側の時間的・経済的コストの削減にもつながります。書類で事前説明書や契約書のやり取りをする必要がなくなれば、来店回数を減らせるからです。

電子契約でやり取りすれば、メールやクラウド上のやり取りで済むため、都度来店する必要がなくなり、その分の交通費や時間的コストを減らせます。また、来店のたびに日程調整する必要もなくなるため、賃借人にとっての負担が軽減するメリットがあります。

印紙税を削減できる

電子契約であれば、印紙代を節約できるメリットもあります。電子ファイルは課税文書に該当せず、印紙税がかからないからです。

印紙代の額は契約金額によって異なりますが、下は200円から、高いものは数十万円に上ります。定期建物賃貸借契約のたびに印紙代をかけて書類を送付していれば、印紙代だけで膨大なコストとなる可能性もあるでしょう。

この点、電子契約であれば、印紙代がかからないため、コストの節約につながります。

契約書を一元管理して業務を効率化できる

電子契約を導入することで、契約書や事前説明書などの関係書類をすべて一元管理できるようになるため、業務の効率化につながります。電子契約であれば、書類をすべてPDF化してクラウドやサーバー上に保存できるからです。

書類を電子化して一元管理すれば、紙での印刷やファイリング、保管場所の確保といった手間が省けるメリットがあります。

マネーフォワード クラウド契約なら定期建物賃貸借契約も電子化できる

マネーフォワード クラウド契約であれば、定期建物賃貸借契約書を電子化できます。また、書類の電子化だけでなく、契約の一連の業務を電子化するにあたっても非常に有用です。

マネーフォワード クラウド契約

主に、以下の3つの点から電子契約化をサポートします。各ポイントについて紹介します。

紙の契約書と電子契約をまとめて管理

マネーフォワード クラウド契約であれば、電子契約はもちろん、紙の契約書もまとめて管理できるため、効率的に業務を進められます。

また、他社の電子契約サービスから受領する電子ファイルやデータも、自動で取り込むことが可能です。したがって、書類の保管場所を確保したり、ファイリングの作業をしたりといった手間と時間を削減できます。

契約業務をワンストップで完結

マネーフォワード クラウド契約では、契約書の作成から申請・承認、締結、保存、管理までを一括して完結させることが可能です。

「電子契約を導入したいが、何をどのようにすればよいかわからない」という場合でも、一からサポートします。

また、一画面で一連の作業を完結できるため、電子契約に慣れない方でも使いやすい点がメリットです。

契約書送信料・保管料は0円

マネーフォワード クラウド契約では、契約書の送信件数・保管件数による課金や上限設定はありません。したがって、管理したい契約書が増えても金額の心配なく送信・保管ができます。大勢の賃借人、または同じ賃借人と何度もやり取りする場合に有用です。

定期建物賃貸借契約の電子化で業務効率アップ

定期建物賃貸借契約は、法改正により電子化することが可能になりました。電子契約にすれば、書類の印刷や郵送、ファイリングの手間が省けたり、印紙代が節約できたりするなどのコスト削減につながります。また、賃借人側にとっても来店の手間が省けるといったメリットがあります。

このように、定期建物賃貸借契約を電子化すれば、契約業務のさまざまな負担を軽減でき、業務効率化につながります。契約書の電子化を進めたいがどのようにすればよいかわからないという場合は、電子契約システムの導入を検討してみましょう。

 


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