• 更新日 : 2024年11月14日

電子契約とEDIの違いは?それぞれのメリットやどちらも導入すべきかを解説

電子契約とEDI(電子データ交換)はどちらも電子上で取引を行う方法でペーパーレス化を進める多くの企業に導入されています。一見して同じように見える電子契約とEDIですが、通信規格や対象者、機能などにさまざまな違いがあります。

この記事では、電子契約とEDIの違い、それぞれのメリットについて詳しくご紹介します。

電子契約とは?

電子契約とは従来の紙に基づく契約とは異なり、インターネットを介して契約内容を電子的に締結する方法です。電子署名やタイムスタンプを用いて、契約書の正当性や改ざんの防止が図られるため、信頼性が高い締結方法といえます。紙の契約書を取り交わす代わりに、契約内容をデジタルで保存・管理することで、契約手続きの効率化やコスト削減が可能です。また、電子契約は場所を選ばずに契約を完了できるため、リモートワークの普及により多くの企業で導入が進んでいます。

電子契約は企業同士の取引だけでなく、個人間や個人事業主と企業間の契約にも活用されています。書類の保存スペースや管理の手間を大幅に軽減できる点から近年注目が高まっています。

なお、電子契約については以下の記事でくわしく解説しています。

EDI(Electronic Data Interchange)とは?

EDI(Electronic Data Interchange)とは、企業間での商取引に必要な書類やデータを電子的に交換する仕組みです。従来の紙ベースの書類ではなく、デジタルフォーマットで注文書や請求書などをやり取りすることで、業務の効率化やコスト削減が可能となります。特に大規模な取引において、処理の迅速化が求められる場合に広く利用されています。

個別EDI

個別EDIとは、取引先ごとに独自の形式や認識コードを決めて運用するEDIシステムです。取引先に合わせたカスタマイズが可能であり、特定のビジネス要件に対応しやすいのが特徴です。

しかし、取引先ごとに異なるシステムを使用するため、導入や運用においてコストがかかることや、複数のEDIシステムの管理が複雑になる点が課題となります。主に、大企業や特定の取引先と安定した関係を築いている企業で利用されています。独自性が高い分、特定のニーズに柔軟に対応できるメリットがあります。

標準EDI

標準EDIは、業界や業務ごとに定められた共通の規格を使用してデータを交換するEDIのことです。標準化されたフォーマットを利用することで、取引先間でのデータの互換性が高まり、導入コストの削減や運用の効率化が期待されます。また、業界全体での統一された形式を使用するため、新たな取引先とのシステム接続が容易になる利点があります。

ただし、標準規格に準拠するため、個別の要件に対する柔軟な対応が難しいケースも存在します。

VAN型EDI

VAN型EDIとは、Value Added Network(付加価値通信網)を利用してデータを交換するEDIの一種です。専用のネットワークを利用することで、データの安全性や信頼性を高めることができ、取引先間のデータ伝送がスムーズに行われます。VAN業者が提供するサービスには、データ保管や監視などの付加価値が含まれているため、運用面でのサポートが充実しているのも特徴です。

一方で、専用回線を使用するため、インターネットを利用したEDIに比べて導入コストが高くなる傾向があります。

Web-EDI

Web-EDIは、インターネットを利用してブラウザ上でデータを交換するEDIシステムです。専用のソフトウェアやインフラを必要とせず、インターネット環境があれば取引先と簡単にデータをやり取りできるのが利点です。比較的安価で導入しやすいため、特に中小企業に向いているとされます。

ただし、インターネット回線を利用するWeb-EDIは、不正アクセスなどに対するセキュリティ対策を求められたり、標準化されていないため企業ごとに仕様の確認が必要だったりする点にも注意が必要です。

電子契約とEDIの違いは?

電子契約とEDIはデジタル化されたビジネスプロセスを支える重要な技術ですが、それぞれ異なる目的と機能を持っています。

電子契約は、契約書を電子的に作成・署名し、契約の成立を確認するための手段です。一方、EDIは、ビジネス間でのデータの自動交換を目的としたシステムです。

従って、電子契約は契約そのものに関連し、EDIは取引データの流通に関与しています。

対象となる業務の違い

電子契約は契約の成立やその管理に関わる業務に特化しています。特に契約書の電子化や、リモート環境での署名を通じて契約することで従来のプロセスを効率化します。紙の契約書と同等の法的効力を持つことが重要視されるため、契約内容の確認や承認に関する機能が求められるのです。

一方、EDIは注文書や請求書などの業務データを電子的にやり取りすることに特化しており、業務の効率化に適しています。このような特性からEDIは、サプライチェーンの管理や物流業務においてよく使われている手段です。

このように、電子契約は契約の成立に、EDIは業務プロセス全体に関連しているため、それぞれのニーズに応じた導入が求められます。

通信やフォーマットの違い

電子契約とEDIでは、通信方法やデータフォーマットにおいても顕著な違いが存在します。電子契約では一般的にWebブラウザを使用し、クラウドサービス上で契約書を作成・管理します。インターネット経由でどこからでもアクセス可能で、リアルタイムでの更新が可能です。

対照的に、EDIでは特定の業界標準やフォーマット(EDIFACTやANSI X12など)に従ってデータが交換されるため、取引先との間でデータの互換性が求められます。

また、EDIは専用のネットワークやプロトコル(VANやAS2など)を用いることで、より安全で信頼性の高いデータ通信ができます。

電子契約とEDIのメリットを比較

電子契約とEDIは、ともにビジネスの効率化に貢献する重要なツールですが、それぞれに異なったメリットがあります。

電子契約のメリット

まずは電子契約を行うメリットを3つご紹介します。

  • 迅速な契約締結

電子契約はオンラインで契約を締結できるため、印刷や郵送にかかる時間が省かれ、迅速に契約を締結できます。

  • コスト削減

紙ベースの契約書が不要になるため、印刷費や郵送費が不要。また、契約にかかる人件費も軽減できます。

  • 改ざん防止

デジタル署名やタイムスタンプを利用することで、契約内容の改ざんが防止でき、契約の真正性が保証されます。

EDIのメリット

続いて、EDIのメリットについて見ていきましょう。

  • 業務効率化

EDIを導入することで、発注書や請求書などのデータ交換が自動化され、手作業による入力ミスが減少し、業務の効率化が図れます。

  • コスト削減

EDIにより、書類の印刷や郵送が不要になり、取引コストが削減。また、取引先とのデータ交換が迅速になることで、資金繰りの改善も期待できます。

  • リアルタイムのデータ共有

EDIはリアルタイムでのデータ共有が可能なため、在庫管理や受注管理の効率が上がり、ビジネスの俊敏性が向上します。

電子契約とEDIはどちらも導入すべき?

電子契約とEDIは、ビジネスの効率化やコスト削減に貢献する重要なツールです。企業や個人事業主がこれらのシステムを導入する際、どちらが自社にとって有益かを考慮することが求められます。

電子契約の特徴

電子契約は、契約書を電子的に作成し、署名することができるシステムです。契約書の保存や検索が容易で、手続きが迅速に行えるため、時間とコストの両方を削減できます。担当者にとっては、契約の管理が効率的になることが大きなメリットです。

  • 迅速な契約締結

オンラインで簡単に契約が締結できるため、ビジネスのスピードが向上します。

  •   デジタル証拠の保存

契約内容の証明が容易になり、後のトラブル防止につながります。

  • ペーパーレス化

環境にも配慮でき、コスト削減にも寄与します。

EDIの特徴

EDIは企業間でのデータ交換を効率的に行うシステムです。発注書や請求書などのビジネス文書を電子的に送受信することで、業務の効率を大幅に向上させることができます。

  • 業務の自動化

データ入力や処理の手間が削減され、人為的なミスが減少します。

  • リアルタイムの情報共有

在庫状況や受注状況を即座に把握でき、迅速な意思決定が可能になります。

  • コスト削減

書類の印刷や郵送が不要になり、取引コストが大幅に削減されます。

電子契約とEDIはそれぞれ異なる目的や機能を持っています。ビジネスの特性や業務フローに応じて、導入スタイルを決めましょう。

電子契約サービスを導入するならマネーフォワード クラウド契約

電子契約を導入するのであれば「マネーフォワード クラウド契約」がおすすめです。操作がシンプルで、最短数分で契約の締結が可能です。

スマホやパソコンでいつでも・どこでも、契約が締結でき、書面の契約書が不要になるので、業務効率が大幅に改善できます。

契約書の作成から締結、保存、管理まで、契約に関わる業務は一つで完結します。

電子契約とEDIの違いを知って導入を検討しよう

電子契約とEDIは、同じくパソコンやデバイスを使って取引が電子化できる便利な方法ですが、適した業務内容や規格などに違いがあります。

どちらも導入している企業も多いようですが、業務内容によってはどちらか一方だけでよい場合も多いので、まずは自社の業務内容を明確にしたうえでどちらを導入するか決めるとよいでしょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事