- 作成日 : 2022年6月17日
三文判とは?実印やシャチハタなど他の印鑑との違いを解説
印鑑には三文判やシャチハタ、実印などさまざまな種類があり、用途に合わせて使い分ける必要があります。この記事では印鑑の種類を整理できるよう、特に「三文判」について言及し、他の印鑑との違いなどを説明します。
また三文判がどのようなシーンで利用できるのか、利用時の注意点なども解説します。
目次
三文判とは
三文判は印鑑の一種です。
オーダーメイドで作ってもらう印鑑とは異なり、一般的にはすでに文字が刻印されている状態で店頭に並んでいます。大量生産される三文判は機械で刻印等の加工が施されるため、同じ製造元で作られた三文判で、かつ同じ文字であれば印影は同じです。
三文判は用途で区別される印鑑の種類ではなく、実印として使われることもあれば、認印として使われることもあります。
そのため、三文判に対しては、実印や認印などといった区分で分類するのではなく「大量生産され、広く流通している安価なハンコ」と認識しておくとよいでしょう。
印鑑の種類とそれぞれの違い
印鑑には、三文判以外に「シャチハタ」や「角印」といった種類もあります。
シャチハタは印鑑の内部にインクが内蔵されていて、押印の際に朱肉を用意する必要がないゴム製の印鑑です。朱肉が必要ないため利便性が高いものの、ゴムおよびインクが劣化しやすく、また「なりすまし」も容易なので、重要な契約の場面などでは利用が認められないことも少なくありません。
角印は、印影が四角い印鑑です。「会社印」として認印に近い形で利用されることが多いですが、三文判と同様に実印などの用途でも利用できます。
用途で印鑑の種類を分けると、以下のようになります。
- 実印
印鑑登録の手続きを経て登録された印鑑。印鑑登録証明書を付することでなりすまし等のリスクを防ぐことができるため、重要な契約の場面などで使われる。 - 銀行印
銀行などの金融機関で登録した印鑑。登録後は、その印鑑で本人確認が行われる。 - 認印
「書類の内容を認めた」ことを表すための印鑑。印鑑登録や銀行登録をしていないケースが多い。郵便物の受領時など、リスクが低いやり取りで使われる。
実印や銀行印を認印として使うこともできますが、リスクが大きいため避けたほうがよいでしょう。
印鑑は、押印の仕方でも分類できます。例えば、書面の記載内容を修正する場面で使われるのは「訂正印」、契約書などを複数作成する場面で使われる「割印」、契約書などが複数ページにおよぶ場合に使われる「契印」などです。
三文判を利用できるシーン
前述のとおり、三文判は印鑑登録をすれば実印として使うこともできます。認印として使うこともできますし、会社印として使うことが禁じられているわけでもありません。
しかしながら、契約締結の場面といった対外的なやり取りで三文判を利用するのはリスクが大きいといえます。印影が同じ印鑑が大量に流通しているからです。
三文判が利用されるシーンとしては、社内や重要度の低い場面が挙げられます。稟議書や申請書といった社内で利用する文書に押印する場面や、荷物の授受において認印として利用する場面などです。
外出先で印鑑を所持しておらず、緊急で押印の必要が生じた場合は三文判の利点を活かせるでしょう。
三文判と同じく利用が限定的なシャチハタに関しては、こちらの記事で触れています。
三文判を使用する際の注意点
三文判にはすぐに印鑑を用意できることや、朱肉は必要ですがシャチハタが認められない場面でも押印ができるといったメリットがあります。
しかしながら、大量生産なので容易になりすましができるため、利用できる場面は限定的と考えるべきです。そもそも押印をする意図は、書面を使ったやり取りにおいてその後の紛争リスク等を避けることにあります。そのため、特に企業の方が押印を求められた際には、どの印鑑を利用すべきかを慎重に判断する必要があります。
三文判を実印として印鑑登録するのは危険
三文判を実印として登録しても、リスクがなくなるわけではありません。むしろ同じ印影を再現できる三文判を登録すると、リスクが非常に大きいといえます。
そのため、誰でも簡単に入手できる三文判ではなく、自社だけが持つ唯一の印鑑を作成し、実印登録を行うようにしましょう。
実印や銀行印に使う印鑑はどこで買える?
実印や銀行印に使う印鑑は、さまざまな場所で購入できます。
印鑑専門店の店頭で直接購入することもできますし、お店がネットショップを運営している場合はインターネットを介して購入することも可能です。独自のECサイトを持たず、ECモールに出店している業者もあります。
また、印鑑専門店でなくても、文具店やホームセンターなどで印鑑を作ってくれるところもあります。
実印などで使える印鑑は基本的にいつでも買うことができますが、劣化したり破損したりしないよう、しっかりとしたものを購入することをおすすめします。
三文判など印鑑の使い分けには注意しよう
三文判は100円ショップや近くのスーパーなどでも売っていることがあり、低コストですぐに手に入れることができます。しかし、使い方には十分注意しなければならず、重要な書面への押印は避けるべきです。また、三文判を実印として登録することも避けたほうがよいでしょう。印鑑の種類に変わる性質や使用する場面を理解し、上手く使い分けていくことが大切です。
よくある質問
三文判とは何ですか?
一般的に大量生産された安価な印鑑のことを三文判といいます。詳しくはこちらをご覧ください。
三文判を利用できるシーンについて教えてください。
同じ印鑑を用意することや同じ印影を再現することが容易なので、重要度の低い書類への押印や荷物の授受などのシーンでの利用に限定すべきです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
法人印鑑とは?会社印の種類と各用途をくわしく解説
法人印鑑は、企業や団体などが組織を運営するために使用する会社印の総称です。主な法人印鑑は5種類あり、書類や手続きによって使い分けます。種類によって用途や形状が異なるため、それぞれの特徴を確認しておきましょう。 法人印鑑とは 法人印鑑は企業や…
詳しくみる謎マナーと言われるお辞儀ハンコの実態を徹底解説!
書類手続きの電子化が進んできたとはいっても、会社の中で印鑑を押す機会もまだまだ多いのではないでしょうか。パソコン上で捺印できる電子印鑑も登場しており、ビジネスの場における印鑑の地位はまだまだ下がっていません。 そんな印鑑文化の中で、しばしば…
詳しくみる訂正印の適切な押し方とは?印鑑の種類や修正内容の書き方を解説
「訂正印」とは文書の内容を訂正するときの印鑑です。当記事ではこの訂正印について言及し、文字の追加や削除を行う方法など具体的な訂正印の押し方を解説。「どの印鑑を使用できるのか」に関しても併せて説明します。記載ミスがあった場合の対処法をここで押…
詳しくみる印相体とは?印鑑の書体の種類について解説
印相体は、実印として用いられることが多い印鑑用の書体の一つです。印鑑は企業において重要な役割を担うため、書体選びに悩む方は少なくありません。各書体の特徴について理解を深めておくと、用途に適した書体を選びやすくなります。今回は印相体をはじめ、…
詳しくみる印鑑の偽造は罪に問われる可能性が!偽造にあたる行為は?
印鑑を偽造する行為は、罪に問われる可能性があります。この記事では、印鑑の偽造にまつわるどのような行為が犯罪とみなされるのかを示し、避けるべき行為について解説します。 また、印鑑を偽造されないようにすることも大切ですので、偽造を防ぐために注意…
詳しくみる割印とは?契印との違いと正しい押し方を解説
割印とは、複数の文書にまたがって捺す(おす)押印方法のことです。また、割印と混同されやすい押印方法に、契印があります。今回は割印と契印の違いや、割印の正しい押し方・位置、失敗しないためのコツなどを解説します。 割印とは 割印(わりいん)とは…
詳しくみる