• 作成日 : 2022年2月24日

撮影許可とは?許可申請をケースごとに解説

近年のSNSや動画共有サイトの人気もあって、美しい風景写真や動画を使った広告や作品を多く見るようになりました。しかし、写真や動画はどこでも撮影できるわけではありません。建物や風景を撮影する際、「撮影許可」が必要になるケースもあります。今回は、撮影場所ごとの撮影許可の取り方について解説します。

   

撮影許可とは?

撮影を行う場合は、事前にその場所の管理者の承諾を得る必要があります。特に建築物は、著作物として著作権法で規定されています。

第10条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一~四 (略)
五 建築の著作物
六~九 (略)
2~3 (略)

引用:著作権法|e-GOV法令検索

独創的・美術的な建造物の場合は無断で撮影を行い、写真や映像を商用利用すると著作権法の侵害に該当する場合があるため、撮影許可を得る必要があります。

ただし、趣味で写真や動画を撮影する分には問題ありません。その根拠は、著作権法46条に規定されています。

第46条 美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
一 彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合
二 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合
三 前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合
四 専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合

引用:e-Gov法令検索|著作権法

また、公共の場で撮影を行うことで通行の妨げになる、被写体や写り込んだ人物のプライバシー侵害や肖像権侵害のおそれがあるといった理由で、撮影許可が必要になることもあります。特に、撮影した写真や映像を広告に使用する、作品として販売する、ドラマなどのロケを行う、動画サイトに投稿して広告費を得るといった場合は、必ず撮影許可を取るようにしましょう。

撮影許可がいる場所

撮影許可が必要な場所は公園、河川、道路、商業施設(ショッピングモールや百貨店、商店や飲食店など)、鉄道・駅、高速道路サービスエリアなどさまざまです。不特定多数の人が利用する公共の場所や他人が所有・管理している場所では、基本的に撮影許可を取らなければならないと考えておいたほうがよいでしょう。

撮影許可を取らずに撮影した写真や映像を商用利用すると、著作権や肖像権の侵害に該当する、交通の混乱などのトラブルが発生する、管理者や所有者に不利益(風評被害など)を及ぼすといった問題が生じるリスクがあります。実際に無断で撮影した写真や映像をインターネットに公開したことで、所有者から損害賠償を請求された事例もあります。

撮影許可がいらない場所

撮影者が所有する敷地や建物内であれば、撮影許可は不要です。自宅や自分の土地を撮影して写真や映像を利用するのは、その人の自由だからです。ただし、賃貸物件の場合は所有者である大家さんに撮影許可を取る必要があります。

自宅や自分の土地から撮影した風景であっても、他の建物や公共施設、他人の姿などが写り込む可能性がある場合は、撮影許可が必要になることがあります。

公共施設の撮影許可について

ここからは、具体的に撮影許可を誰にどのようにして申請すればよいかについて、場所ごとに解説します。まずは公園や河川、道路といった公共施設での撮影許可の申請について、場所ごとに見ていきます。これらの施設は国や地方自治体、指定管理者などが管理しているため、公共団体に撮影許可を申請することになります。

公園での撮影許可を取る方法

公園で撮影した写真や映像を商用利用する場合は、その公園を管理している自治体や管理者に撮影許可申請、あるいは占用許可申請を行う必要があります。公園は県や市区町村が管理している場合と、指定管理者が管理している場合があります。都道府県や市区町村役場によっては、ホームページに許可申請の方法を記載しているところがあります。わからない場合は、所管する部署(都立公園であれば東京都建設局)に問い合わせましょう。

公園や管理者によっては撮影許可・占用許可申請だけでなく、利用料の支払いも必要になることがあります。機材や用途によって利用料が変わるケースもあるため、必ず確認しておきましょう。

河川での撮影許可を取る方法

河川は公共用物であるため、基本的に自由に利用することができます。趣味で風景を撮影する、少人数で撮影するといった場合は何の問題もありません。ただし、セットを組むような大掛かりな撮影を行う場合や、河川敷を通行止めにして一時的に場所を占用する場合は撮影許可が必要です。

国土交通省の河川事務所もしくは地方自治体の土木事務所に、撮影許可(「河川占用許可」や「河川使用届」など自治体によって呼び方が異なります)を申請します。立入禁止区域や緊急用河川敷道路などは、許可が下りないこともあるでしょう。また、河川敷の公園やグラウンドなどは、その管理者に許可を取る必要があります。

道路での撮影許可を取る方法

道路に関しても通行に妨げがない範囲であれば、基本的に許可なく撮影することができます。ただし、大掛かりなロケを行う場合や三脚やレフ板などの機材を使って撮影する場合は、道路交通法77条による使用許可を申請する必要があります。

第77条 次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。
一~四 (略)
四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーションをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者
2~7 (略)

引用:道路交通法|e-Gov法令検索

「所轄警察署長の許可」となっていますが、通常は撮影場所を所轄する警察署の交通課が窓口になります。道路使用許可申請書や地図、企画書、道路の使用方法を明らかにした図面、台本などの資料を提出し、道路使用許可証を取得します。

道路は不特定多数の車や人が行き交います。交通を妨げると多くの人に迷惑をかけたり、危険を及ぼしたりするおそれもあるでしょう。そのため、撮影時は道路使用許可証を携帯する、交通の妨害をしない、歩道上から撮影する、状況に応じて交通整理員を配置するといったルールを守りましょう。

商業施設の撮影許可について

ショッピングモールや百貨店などの商業施設や鉄道・駅、サービスエリアなどは企業が管理しているため、撮影許可の申請はその企業に対して行います。前項の道路であれば道路交通法に基づく使用許可が必要ですが、私有地である商業施設への申請は「お願い」という形になります。

許可するかどうかは管理者によるため、丁寧に依頼したとしても必ず許可が下りるとは限りません。前述のとおり、無断で撮影した写真や映像を商用利用するとトラブルに発展するおそれがあるため、必ず撮影許可を取るようにしましょう。

ショッピングモールや百貨店の撮影許可を取る方法

ショッピングモールや百貨店などの商業施設は、管理権を持つ管理者の許可を得る必要があります。多くのテナント(お店)が入居し、多くの顧客が訪れる場所であるため、商用・私用に関わらず撮影行為自体を禁止しているところもあります。権利関係が複雑であることもハードルが高い要因です。まずは、その店舗を運営している企業の窓口で相談してみましょう。

ショッピングモールや百貨店などの商業施設も公共施設と同様に、他の人の迷惑にならないよう配慮する必要があります。

鉄道や駅の撮影許可を取る方法

鉄道や駅構内で撮影を行う場合は、鉄道会社に撮影許可を取らなければなりません。鉄道の安全運行に関わるため、こちらも許可が下りないケースがあります。許可が下りた場合でも、駅構内での撮影には利用料や入場料、立会料がかかります。ちなみに、線路内に鉄道会社の許可なく立ち入ると鉄道営業法違反という犯罪に該当する可能性があります。

撮影を行う際は列車の運行や乗客の通行を妨げない、立入禁止区域に入らないなどの配慮が求められます。撮影が原因で列車の事故や遅延が発生した場合は、損害賠償を請求されることもあります。

参考:鉄道営業法違反|e-Gov法令検索

サービスエリアの撮影許可を取る方法

高速道路のサービスエリアやパーキングエリアは、どこで撮影を行うかによって申請先が異なります。サービスエリア全体はNEXCOが管轄していますが、サービスエリア内のカフェテリアや売店はNEXCOのグループ会社、駐車場は所轄の高速道路警察隊が管理しています。例えば、パーキングエリアの外観とお店の中を撮影する場合は、NEXCOとそのグループ会社に撮影許可を申請することになります。

特に、駐車場は道路と同じように多くの車両が行き交うため、通行の妨げにならないよう撮影を行う必要があります。

撮影をする際には、撮影許可の有無について必ず確認しておこう!

撮影許可を取らずに撮影を行うと、著作権法や道路交通法などの法律違反にあたることがあります。私有地であっても「少しだけだから」「他の人もやっているから」と無断で撮影すると、さまざまなトラブルにつながります。通行人の映り込みに関しても注意しましょう。

商用利用のための写真や映像を撮影する場合は、その場所における撮影許可の要否を必ず確認し、必要な場合は管理者に撮影許可を申請しましょう。

よくある質問

撮影許可とは何ですか?

第三者が所有・管理する敷地内で撮影を行う場合や、建物や施設を撮影する場合に取得する必要がある許可のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

公園で写真等を撮影する場合も許可が必要ですか?

商業利用の場合は許可が必要です。公園を管理する自治体あるいは管理者に許可を申請する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:福谷陽子(元弁護士、法律ライター)

弁護士時代は契約書作成やレビュー、不動産取引や債権回収、破産倒産、一般民事、家事事件など多種多様な事件を取り扱っていた。今はその経験を活かし、専門的な法律知識を一般ユーザーへわかりやすく解説する法律記事の作成に積極的に取り組んでいる。
各種サイトで法律記事を執筆監修。実績は年間1000件以上。ブログやYou Tubeなどによる情報発信にも熱心に取り組んでおりチャンネルを運営中。
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世捨て人mimi
元弁護士の世捨て猫🌟ぴりか(mimi)法律ライター

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