- 更新日 : 2024年9月2日
収入印紙に消印は必要?適切な押し方や印鑑の種類を解説
契約書や領収書などの文書は、印紙税法の規定に従い印紙税の課税対象になることがあります。書類に印紙を貼る場合、収入印紙を貼付した上で消印を押さなければなりません。どのように消印を行うのか、適切な押し方や使用できる印鑑の種類など、契約書作成に関わる基礎知識を当記事で解説していきます。
収入印紙を貼る際は消印が必要
契約書や領収書などの書面に対しては、その内容に応じて印紙税が課税されることがあります。印紙税の課税文書は、印紙税法別表第一に列挙されています。
収入印紙が必要な書類に関しては、こちらのページもご参照ください。
印紙税は、「収入印紙」を購入して契約書などに貼り付ける方法で納付します。ただし、貼り付けるだけではなく「消印」を行わなければなりません。印紙税が課される契約書を作成する場合には、収入印紙の貼付と消印を忘れずに行いましょう。
適切な消印の方法
消印を行う際には、まず、契約書等の書面に収入印紙を貼付します。収入印紙を貼り付ける場所について法的な決まりはありませんが、冒頭または署名欄に貼付するケースが多いです。
収入印紙を貼付したら、そこに消印を行います。
消印については、印紙税法および印紙税法施行令に次の規定が置かれています。
課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙を貼り付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。
課税文書の作成者は、法第八条第二項の規定により印紙を消す場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない。
つまり消印は、下図のように収入印紙と課税文書の上にまたがるようにして、印章または署名により施す必要があります。単に斜線を引いたり“印”の文字を記載したりするだけでは、有効な消印として認められません。
消印に使える印鑑の種類は?
消印の際は、基本的に上述の「課税文書と収入印紙にまたがること」に注意していれば問題ありません。
ポイントは「印紙の再利用を防止すること」にありますので、印鑑を使って消印する場合は実印にこだわる必要性はなく、用いるのがゴム印であっても構いません。契約書の調印に用いたものとは異なる印鑑を消印に使用することもできます。会社名等を自書するのでも問題ありません。
なお、消印に印鑑を用いる場合は、自己(本人)またはその代理人(法人の代表者を含む)、使用人その他の従業者の印章を用いる必要があります。
消印を誤った際の対応
消印に使える印鑑に決まりはありませんし、消印を施す際あまりシビアに考える必要はありませんが、うまく押印されておらず、かすれているような場合は再度押印をしましょう。印影が薄すぎると、消印として有効にならないリスクがあります。
「収入印紙には一度しか消印をしてはいけない」といったルールもありません。消印がうまくいかなかったときは、失敗した印影に被らないように別の箇所に押しましょう。
電子化された書類には収入印紙が不要
あらゆる文書に印紙税が課税されるわけではありません。紙で作成した書面であっても、印紙税が課されるのは特定の種類の契約書に限られています。
また、書面だと課税文書になる契約書でも、電子契約として締結すれば印紙税は課税されません。契約書以外の課税文書(領収書など)についても、電子的に作成すれば課税文書には該当せず、収入印紙の貼付は不要です。収入印紙の購入費用を節約したい場合は、契約書などを電子化すると良いでしょう。
印紙・消印のルールを正しく理解して文書を作成しよう
印紙税の課税文書を作成するときは、収入印紙を貼付した上で、正しい方法により消印を押さなければなりません。違反した場合は過怠税が課されるほか、悪質なケースでは刑事罰の対象となるので注意が必要です。
契約書などを電子化すれば、収入印紙の貼付は不要となります。印紙税のコストカットを図りたい場合は、電子契約の導入を検討すると良いでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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