• 作成日 : 2022年10月21日

印鑑照合の方法は?並べて確認するだけでよい?

印鑑照合を行うことで、押印された印鑑が正しいものであるか、本人のものであるかを確認することができます。「照合」というと難しいと思われるかもしれませんが、さまざまな方法があり、誰でもできる簡易な方法もあります。

今回は、印鑑照合の種類とやり方について説明します。

印鑑照合とは?

印鑑照合とは、その印影が正しいものか照合することを指します。押印は、自分が作成したことを証明する、契約の名義人であることを証明するといった目的で行います。例えば、Aさんが契約書を読んで押印すると、Aさんはその契約に同意したとみなすことができるのです。

しかし、印鑑は万能ではありません。印章(印鑑そのもの)や印影(印鑑を押した時にできる朱肉の跡)がAさん以外の人の手元にあれば、偽装できてしまいます。似たようなデザインの印章を用意すれば、わざわざ偽造しなくてもごまかせるかもしれません。そもそも、Aさんの印鑑の印影がどのようなものであるかを把握しておかなければ、その印影がAさん本人の押印によるものかどうかがわかりません。

印鑑証明書には印影が記されているため、それと押印された印影を照らし合わせることで、その印影が本人の印章によるものなのかどうかを確認することができます。

印鑑照合の方法はいくつか種類がある

印鑑照合にはさまざまな手段があり、いずれかもしくは複数の方法を組み合わせて確認作業を行います。ここからは、印鑑照合の種類とやり方について見ていきましょう。

平面照合

印鑑証明書と押印文書を並べて、それぞれ押印された印影を肉眼で見比べます。もっともシンプルかつ頻繁に行われる印鑑照合の手段ですが、細かい違いを見落とす可能性があります。

残影照合

印鑑証明書の印影と押印文書の印影を重ね、紙をめくることで見える残影で照合する方法です。

印鑑証明書もしくは押印文書を机の上に置き、もう一方を印影が重なるように上に置きます。片手で上の書類を何度もペラペラとめくると残影が見えるようになり、印影が一致していないとひと目でわかります。

平面照合よりは精度が高いといえますが、うまくめくるためには慣れが必要です。

折り重ね照合

印鑑証明書の印影部分を半分に折り、押印文書の印影に重ねます。印影が印鑑登録された印章で押印されたものであればきれいに一致しますが、印影のデザインや大きさが異なるとズレなどが生じるため、偽装していることがわかります。

拡大鏡照合

拡大鏡を使って、印鑑証明書と押印文書の印影を見比べる方法です。平面照合や残影照合、折り重ね照合で違和感があった場合は、拡大鏡照合で細部を比較することで、その印影が正しいものであるかどうかを確認することができます。

スキャナによる照合

スキャナで印鑑証明書と押印文書の印影を取り込んで、専用のソフトウェアで判定する方法です。

ここまでで紹介したものは人間の目で確認する方法なので、見間違いや見落としが発生する可能性がありますが、こちらはコンピュータが判定する方法なので高精度な印鑑照合が可能です。最近は、スマホで写真を撮影することで簡易的に照合できるアプリもあります。

基本的には平面照合のみでよい

印鑑照合にはさまざまな方法がありますが、基本的には平面照合で問題ありません。これについては、最高裁判所の判例があります。

昭和46年に手形取引に使われた印鑑が偽造品であったことを見破れなかった銀行の責任を争った裁判が行われました。「最判昭46・6・10民集25巻4号492頁」では「特段の理由がない限り平面照合よりもさらに慎重な確認は不要である」との判断が下されています。平面照合で問題が見当たらなければOKで、偽装が疑われるなどのケースのみ、他の方法で確認すればよいということです。

参考:裁判例結果詳細|裁判所

ただし、この判例は昭和46年のものであり、技術の発達した現在に争われたら違う判決が出る可能性もあります。また、前述のとおり平面照合は人の目で確認する方法であり、どうしても見間違いやミスが発生するリスクが伴います。スキャナやアプリを使えば簡単かつ正確に照合できるので、これらのツールを積極的に利用しましょう。

印鑑照合をマスターして偽造やなりすましを防ごう!

印鑑照合ができれば、その印影が偽造された印章によるものかどうか、なりすましで押印されたものかどうかを見破ることができます。契約を締結する機会が多い方は、ぜひマスターしておきましょう。スマホに印鑑照合アプリをインストールしておき、それを活用して照合をするのもよいかもしれません。

また、電子契約であればセキュリティが高く、偽装やなりすましのリスクを大幅に抑えることができますし、印鑑照合の手間もかかりません。他にも契約締結までの時間を短縮できる、印紙税や契約書の作成・郵送にかかるコストを削減できるなど、さまざまなメリットがあります。これを機に、電子契約の導入も検討してはいかがでしょうか。

よくある質問

印鑑の照合はどのような場合に行いますか?

契約を締結した際に押印に使われた印鑑が偽造されたものでないか、本人の押印によるものであるかを確認するために行います。詳しくはこちらをご覧ください。

印鑑照合のやり方にはどのような種類がありますか?

残影照合、折り重ね照合、拡大鏡照合、スキャナを使った照合があります。詳しいやり方は、こちらの記事で説明しています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事