- 作成日 : 2024年10月25日
契約書管理システムを乗り換えるときに検討すべきポイントと進め方を解説
契約書管理システムとは、契約書の期限やバージョン管理などを行うシステムです。業務効率化に必須のシステムですが、乗り換える際は複数の事項を検討しなければなりません。
この記事では、契約書管理システムの乗り換えにあたっての確認事項や流れを解説します。乗り換えの概要を把握できますので、ご一読ください。
目次
乗り換えを進める前に確認しておくべきこと
契約書管理システムを乗り換える際は、自社の課題を明確にしておく必要があります。自社にどのような契約書管理システムの機能が必要なのかが明確になるからです。
契約書の枚数により従量課金されるシステムもあるため、自社で契約書を発行している枚数も把握しておきます。
では、課題を明確にすることと契約書の枚数を確認すべき理由について、詳しく見ていきましょう。
何が課題なのかを明確にする
検討項目を絞ることができます。
契約書管理システムを乗り換える前に、まず自社では何が課題となっているのかを明確にしておきます。
契約書管理では、以下のような課題が発生しがちです。
- どうすれば情報を検索しやすくかつ管理しやすくなるか
- 一元管理を実現するにはどうすればいいか
- 契約更新や期限の管理はどうすればいいか
- 適切なセキュリティ対策はどれか
自社の課題を明確にするには、現在使用しているシステムと業務内容をすり合わせます。すり合わせの過程で「現行システムでの課題」が見えてくるため、検討項目の絞り込みが可能です。
自社の契約書の枚数を把握しておく
あとから送信コストや管理コストを比較する際に必要です。
契約書管理システムを乗り換える際は、自社で発行する契約書枚数の把握も欠かせません。
契約書管理システムの中には、送信数をベースにした従量課金制を採用するシステムもあります。送信数が多い企業が従量課金制のシステムに乗り換えた場合、契約書を作成するコストが跳ね上がり、乗り換え前よりも高額になるかもしれません。自社が現在契約書を作成する数で想定されるコストを正確に判断するためにも、契約書の枚数は先に把握しておきましょう。
一般的な契約書管理システムの標準機能
契約書管理システムに搭載されている主な標準機能は、次の4つです。
- 契約書の期限管理
- 契約書の電子データ化
- 契約書のバージョン管理
- 契約書の検索
1つずつ見ていきましょう。
契約書の期限管理
契約書管理システムの代表的な機能として、契約書の期限管理が挙げられます。
日々多くの契約を締結する企業では、個別の契約ごとに期限を管理するのは困難です。個別に管理しようとして抜けがあった結果、契約の更新漏れが出てくる可能性も考えられます。
契約書管理システムは更新期限を自動でかつ一元管理できるため、更新の抜け漏れを防げます。
契約書管理システムには、更新期限が近づくと自動的に通知をしてくれる機能もあります。更新通知により、更新だけでなく契約の解除についても管理が可能です。
契約書の電子データ化
契約書管理システムの機能として、紙で管理していた契約書を電子化する「契約書の電子データ化」も外せません。
2022年1月より電子帳簿保存法が改正され、契約書のペーパーレス化がさらに推進されました。契約書管理システムの導入で、契約書の電子データ化と電子帳簿保存法への対応が一気に可能となります。
また、契約書の電子データ化により、契約書に付随する書類も一元管理できます。管理の際も、PDFやWord、Excelなど普段使っているツールに応じたファイル形式での利用が可能です。
契約書のバージョン管理
契約書管理システムは、契約書のバージョン管理もできます。いつ誰が更新したかの履歴が記録されるため、契約書の改ざんを防止し、契約の透明性を担保できます。誰かが誤って更新してしまったとしても、バージョン管理をしていれば、元のバージョンに復元可能です。
新バージョンを作成した際に承認用のワークフローを同時に行うシステムや、更新前と更新後の違いを表示できるシステムもあります。バージョン管理と同時に閲覧者や編集者を指定して契約者ごとに閲覧権限を変えることで、企業の機密漏えいも防げます。
契約書の検索
契約書管理システムの機能として、契約書の検索も忘れてはいけません。一元管理された契約書がデータベース化されることで、見たい契約書をすぐに見つけられます。契約先や契約開始日、契約期限を基準にすることはもちろん、単語や文字列によるキーワード検索も可能です。
検索機能が充実している契約書管理システムを導入すると、見たい契約書をすぐ検索できるため、社員の時間コストを削減できるでしょう。
契約書管理システムを乗り換えるときに検討すべきポイント
契約書管理システムを乗り換えする際は、機能やコストについての検討が必須です。検討せずに導入してしまうと、導入後にさまざまな問題が発生しがちです。
ここからは、契約書管理システムを乗り換えるときに検討すべきポイントを解説します。
電子帳簿保存法に対応しているか
契約書管理システムを乗り換える際は、電子帳簿保存法への対応可否を必ず確認しましょう。
2022年に改正された電子帳簿保存法では、以下のように電子帳簿等の保存要件が定められました。契約書も「電子帳簿等」の対象書類です。
- 取引年月日、取引金額、取引先により検索できること
- 日付または金額の範囲指定により検索できること
- 2以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること
契約書が電子帳簿保存法の対象であることから、契約書管理システムも電子帳簿保存法へ対応していなければなりません。要件に合致しない場合は、追徴課税や青色申告の取り消しといったペナルティを受ける恐れがあります。
既存の契約書をそのまま利用できるか
契約書管理システムを乗り換える際は、既存の契約書をそのまま利用できるかどうかも、外せないチェックポイントです。既存の契約書をそのまま使えるシステムを導入することで、乗り換えた際にあらためて契約書を作成する手間が省けます。
紙の契約書であれば破損や汚損、紛失の心配がありました。既存の契約書をそのまま利用できる契約書管理システムへの乗り換えであれば、紙の契約書をそのままスキャンでき、破損や汚損、紛失せずに保存が可能です。さらに、紙で契約書を作成していた際に必要だった保管スペースも不要になります。
ワークフロー機能がついているか
内部統制の強化に必要で、いつ・誰が申請・承認したかを可視化できます。
ワークフロー機能がついた契約書管理システムに乗り換えると、社内の申請から取引先との契約までがスムーズに進み、業務効率化につながります。
例えば、取引先と契約する場合、それまでは別システムで行っていた契約とワークフローを契約書管理システム1つだけで完結可能です。何度も行っていたデータ入力も一度で済むため、業務効率化が期待できます。
契約書管理システムは、契約からワークフローの承認までの全操作履歴が記録される仕組みです。記録の透明性が保たれることにより、企業の信頼性も担保されます。
乗り換え時や運用のサポートがついているか
乗り換え・運用のサービスがついていないと乗り換えるだけで人的コストがかかります。
契約書管理システムを乗り換える際は、サポートがついているかも大切です。どれだけ念入りにマニュアルを読み込んで導入したとしても、実際に触ってみると必ず不明点が出てくるものです。ここで導入時に適切なサポートがないと、問題を解決するまでに時間がかかり、解決するまでの人的コストも多くかかってしまいます。
乗り換え時や運用のサポートがつく契約書管理システムを選ぶと、必要以上の人的コストをかけずに、スムーズな乗り換えが可能です。
料金体系はどうなっているか
初期費用+基本料金の他に、従量課金が発生するか、オプション料金が発生する場合があります。
契約書管理システムにおいては、料金体系も重要な決定要素です。
契約書管理システムでは、定額費用となる月額利用料や初期費用も、システムやサービスによりまちまちです。1枚あたりで費用が発生する従量課金やオプション料金が発生する場合もあります。契約書の枚数が多い場合、従量課金だとコストがかさみがちです。
企業では、コストは必要最小限に抑えることが欠かせません。必ずかかる定額費用はもちろん、従量課金やオプション料金の有無も合わせて確認しておきましょう。
契約書管理システムの乗り換え方・流れ
契約書管理システムの乗り換えは、以下の流れで行います。流れを先に知っておくことで、スムーズな乗り換えが可能となるでしょう。
期限が切れそうな契約書がないか確認する
契約書管理システムを乗り換える際は、まず期限が切れそうな契約書の有無を確認します。契約が切れそうな契約書があると、移行中に契約が途切れてしまう恐れがあるからです。
契約が途切れないようにするには、システムの乗り換え前に契約を済ませておきます。乗り換えが無事に完了してから、旧システムで作成した契約書を新システムに移行することがおすすめです。
自社に必要な機能が備わった契約書管理システムを選定する
期限切れが近い契約書の洗い出しと並行して、契約書管理システムの選定も始めましょう。現在の課題を洗い出し、問題が解決できるシステムを選定します。1つのシステムだけを見ていると長所や短所が見えにくいため、複数のシステムを候補として選定すると良いでしょう。
契約書管理システムの詳細機能・サポートや料金体系を比較する
選定した契約書管理システムの中で、詳細機能やサポート、料金体系を比較します。導入当初は疑問が増えるため、サポート体制が整っているシステムが望ましいです。あわせて乗り換えた際の費用も比較します。月に何枚くらい契約書を発行するかを把握したうえで比較しましょう。
乗り換え先のシステムを決定する
複数のシステムを機能面と費用面で比較したあと、費用対効果が最適な契約書管理システムを決定します。導入は、担当部署で決定したら終わりではありません。購入するための稟議を社内で通す必要があります。
システムの導入をスムーズに行うために、乗り換えのメリットを事前に説明しておく、導入後の変化がわかる資料を作成する、といった準備も必要です。
既存の契約書のデータ移行準備をする
実際に契約書管理システムを乗り換える前に、既存の契約書をダウンロードしておきましょう。ダウンロードしておかないと、契約書管理システムを解約した途端に契約書が消えてしまうからです。
スムーズな乗り換えのために、アップロードしやすいよう仕分けをしておく、フォルダ分けを決めておく、閲覧・編集権限を付与する社員を決めておく、といった準備をしておくと良いでしょう。
新システムに契約書のデータをアップロードして運用を開始する
新しい契約書管理システムを購入したら、契約書のデータをアップロードして運用を開始します。無事に乗り換えられたからといって、旧システムをすぐに解約してはいけません。導入当初は、新しい契約書管理システムをスムーズに使えない可能性があるからです。旧システムの解約は、新システムで問題なく契約書を発行できることがわかってから行いましょう。
クラウドサービスなら常に最新の機能を利用できる
契約書管理システムには、クラウド型やパッケージ型などさまざまな種類があります。クラウド型の契約書管理システムは、自分たちでインストールやアップデートを行う必要がなく、常に最新サービスの利用が可能です。
「マネーフォワード クラウド契約」なら契約書の作成、申請・承認、締結、保存・管理までワンストップで対応しています。
マネーフォワード クラウド契約には、以下のような特徴があります。
- オプション料金や従量課金がなく、月額の利用料だけで使用できる
- 最短数分で契約の締結が完了できる
- 契約書だけでなくワークフローも一緒に管理できる
- 紙の契約書や他社の契約書管理システムで締結した契約データも一元管理できる
- リーガルチェック履歴も管理できる
さらに、他のマネーフォワードシリーズはもちろん、SlackやSalesforce、他のワークフローシステムなどとの連携ができ、バックオフィス全体の効率化も支援できるツールです。
契約書管理システムの乗り換えは自社の課題を解決できるシステム選びが大切
契約書管理システムを乗り換える際は、複数の契約書管理システムの中から、自社の課題を解決できる契約書管理システムを選びます。加えて、電子帳簿保存法に対応しているか、既存の契約書をそのまま使えるかなど、スムーズに乗り換えするためのポイントを押さえてシステムを検討することが欠かせません。
乗り換え時も、既存の契約書は必ずダウンロードしておく、旧システムをすぐに解約しない、といった注意点があります。契約書管理システムのスムーズな乗り換えに、ぜひこの記事をお役立てください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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