- 更新日 : 2024年11月12日
フリーランス新法対応の発注書の書き方・無料テンプレート
「フリーランス新法対応の発注書」とは、2024年に施行されたフリーランスの働き方の透明性を高めるための法律に基づき、発注者がフリーランスに業務を依頼する際に用いる文書です。
業務内容や報酬、納期などの重要事項を明確にすることで、双方のトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。この記事では、フリーランス新法に対応した発注書の書き方や、便利な無料テンプレートを紹介します。適切な発注書を作成し、安心して業務を進めるためのガイドとしてご活用ください。
目次
フリーランス新法における発注書の記載事項まとめ
フリーランス新法における発注書作成には、次の取引条件の明示が義務付けられています。発注時に必須となる項目を理解し、書類に漏れがないよう注意しましょう。
①業務の内容
委託する具体的な業務内容を明確に記載します。
②報酬の額
報酬の金額を正確に示し、内訳が必要であればそれも記載します。
③支払期日
報酬を支払う期日を記載します。契約時に定めた期日が必須となります。
④発注事業者およびフリーランスの名称
発注者側とフリーランス側の正式な名称を記載します。
⑤業務委託をした日
契約成立日を記載し、契約の有効開始日を明示します。
⑥給付を受領/役務提供を受ける期日
委託業務の完了予定日を記載し、必要に応じて提供日程を詳細に示します。
⑦給付を受領/役務提供を受ける場所
作業場所や納品場所を明確に記載します。オンライン納品の場合も、その旨を明記します。
⑧検査完了日(検査を行う場合のみ)
業務完了後に検査が必要な場合は、その検査予定日や完了日を記載します。
⑨報酬の支払方法
現金以外の支払い方法を用いる場合、振込先や支払いに関する詳細な情報を記載します。
フリーランス新法における発注書の無料テンプレート
フリーランス新法における発注書の無料テンプレートは、以下ページからダウンロードできます。
フリーランス新法の発注側の義務項目についてもう少し詳しく!
フリーランス新法は、フリーランスの権利を保護し、公正な取引環境の整備が目的です。
この法律では、発注事業者に対してさまざまな義務や禁止事項が定められており、これらを遵守することでフリーランスの就業環境の改善が期待できるでしょう。
これらの規定は、「適正な取引の実施」と「働きやすい環境整備」の2つの観点による構成です。以下に、発注側が注意すべき主要な義務項目を解説します。
特定受託事業者との適正な取引の実施
取引条件の明確化
フリーランス新法では、発注側はフリーランスに業務を委託する際、取引条件を明確化する義務があります。給付内容、報酬額、支払期日などを書面または電磁的方法で明示しなければなりません。電磁的方法で明示した場合でも、フリーランスから書面の交付を求められた際は、速やかに対応する必要があります。
60日以内での支払い義務
フリーランス新法では、従業員を雇用する発注事業者に対し、成果物受領後60日以内の報酬支払いを義務付けています。再委託の場合は、取り決めにより発注元からの入金日後30日以内に支払えば問題ありません。一方、フリーランス間の委託は本法の適用外となるため、支払期日の法的制限はありませんが、良好な関係構築のため早期の支払いが望まれます。
7つの禁止事項の遵守
フリーランス新法では、1ヶ月以上の業務委託を行う発注事業者に対して7つの禁止行為が規定されています。禁止行為は、「受領拒否」「報酬の減額」「返品」「買いたたき」「購入・利用強制」「不当な経済上の利益の提供要請」「不当な給付内容の変更・やり直し」の7つです。
特定受託業務者の働きやすい環境整備
募集情報の正確な表示
フリーランス新法では、発注事業者が業務委託先を募集する際、正確かつ最新の情報を提供することが義務付けられています。虚偽の内容や誤解を招く表示は禁止です。ただし、当事者間の合意がある場合、募集時の条件から実際の取引条件を変更することは許容されます。
育児・介護に対する柔軟な配慮
フリーランスの就業環境改善のため、ハラスメント対策や出産・育児・介護への配慮を義務付けています。長期的な業務委託の場合、委託事業者は妊娠・出産・育児・介護と業務の両立に必要な配慮を行わなければなりません。短期の業務委託でも、同様の配慮をする努力義務が課されています。
ハラスメント防止に向けた体制の整備
発注事業者にはハラスメント防止の義務が課されました。フリーランスからの相談に適切に対応するための措置を講じなければなりません。また、相談したフリーランスに対して契約解除などの不利益な扱いをすることは禁止されています。
中途契約解除時の事前通知と理由の開示
発注事業者は6ヶ月以上の業務委託契約を解除または更新しない場合、契約終了30日前までに通知する義務があります。予告後、フリーランスが理由を請求した際には、例外事由がない限り速やかに理由を開示しなければなりません。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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