- 更新日 : 2026年3月27日
特定商取引に関する法律に基づく表記とは?役割や注意点について例をもとに紹介
特定商取引法に基づく表記は、事業者情報と契約条件を明示する法定表示です。
- 事業者名・所在地
- 価格・支払方法
- 返品・解約条件
表示しないと行政指導や業務停止命令の対象となる可能性があります。令和3年改正により、最終確認画面での表示義務も強化されています。
「特定商取引に関する法律に基づく表記」とは、事業者と消費者の取引においてトラブルを避けるために、ネットショップなどの広告画面上で開示が義務付けられている表示のことです。事業者は、販売価格やその他の条件を明瞭かつ正確に記載する必要があります。
本記事では、特定商取引に関する法律に基づく表記が必要な取引の種類や記載項目について解説します。記載に関わる注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
特定商取引に関する法律に基づく表記とは?
特定商取引に関する法律に基づく表記とは、通信販売や訪問販売など一定の取引において、事業者が消費者に対して開示すべき情報をまとめた表示のことです。消費者トラブルを未然に防ぎ、安心して取引できる環境を整えることを目的としています。
特定商取引に関する法律に基づく表記は、事業者情報や契約条件を明示する法定表示事項
特定商取引法は、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売などトラブルが生じやすい取引類型を対象とし、事業者に対して一定事項の表示を義務づけています。事業者名、所在地、販売価格、支払方法、商品の引渡時期、返品・交換条件などを明確に示す必要があります。これにより、消費者が取引内容を正しく理解したうえで判断できるようにしています。
表示方法にも法令上のルールがあり、適切な運用が求められる
表示内容を記載すれば足りるわけではなく、その表示方法にも注意が必要です。消費者が容易に確認できない場所への掲載や、判読しづらい表記、誤認を招く表示は法令違反となる可能性があります。また、事業内容によっては追加的な表示事項が求められる場合もあります。違反した場合には行政指導や罰則の対象となるため、法令とガイドラインに沿った適切な運用が重要です。
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特定商取引に関する法律に基づく表記が必要なケースは?
事業者と消費者の間で取り交わす契約のうち、特定商取引法の対象とされる商取引は以下の7つです。
訪問販売
販売業者や役務提供事業者が消費者の自宅等を訪問し、契約を締結する取引です。営業所以外の場所で行われることが要件のため、喫茶店やホテル、路上販売などもこれに該当します。
また、営業所で行われる契約でも、消費者を営業所に誘引するキャッチセールスやアポイントメントセールスも規制対象です。
通信販売
事業者が新聞や雑誌、インターネット等の広告によって申込みを受ける取引です。消費者が郵便、電話、インターネットを用いて契約する方法で、ほかにもダイレクトメールやチラシ、テレビショッピング等も含まれます。
また、営利の意思をもって反復継続する取引に適用されるため、インターネット・オークションでも、出品者が事業者に該当する場合は対象となります。
電話勧誘販売
事業者が消費者に対して電話で勧誘を行い、申込みを受ける取引です。電話をいったん切った後、消費者が郵便や電話で申込みを行うケースもこれに該当します。
また、勧誘目的を告げないことや他の者に比して著しく有利な条件で契約できるなど、消費者を欺くような手法で電話をかけさせることも規制対象です。
連鎖販売取引
いわゆるマルチ商法のことで、個人を販売員として勧誘し、さらにその個人に次の販売員を勧誘させる形で販売組織を連鎖的に拡大する取引手法です。
具体的には、「入会金を支払えば会員になれる。さらに知人に商品を売るか会員に加入させればマージンがもらえる」などと勧誘して取引するものが該当します。
特定継続的役務提供取引
政令で定める特定継続的役務(サービス)を、一定期間を超える期間にわたり、一定金額を超える対価を受け取って提供する取引です。
具体的には、いわゆるエステティックや美容医療、語学教室、家庭教師など7つの役務がこれにあたり、政令で定める期間(エステ・美容医療は1か月、その他は2か月)を超え、尚かつ契約金の総額が5万円を超えるものが対象になります。
業務提供誘引販売取引
「事業者から仕事が提供され、それで収入が得られる」といった口実で消費者に商品の販売または役務の提供を行う取引です。
わかりやすい例としては、有料の研修を受けてデータ入力の在宅勤務を行う場合や、購入したチラシの配布、購入した着物を着用した接客業務などがこれに該当します。
訪問購入取引
事業者が消費者の自宅等を訪問し、物品の購入(買取り)を行う取引です。営業所以外の場所で行われることが要件のため、喫茶店や路上、一時的な買取会場などもこれに該当します。
なお、リサイクルショップやブランド品買取店などは店舗買取のため、訪問購入取引に該当しません。
特定商取引に関する法律に基づく表記のテンプレート
特定商取引に関する法律に基づく表記では、記載するべき項目が決められています。表記事項の漏れ・誤りを防ぐには、あらかじめ項目がまとめられたテンプレートの使用がおすすめです。
テンプレートは以下のページからダウンロードできます。
特定商取引に関する法律に基づく表記に記載すべき内容は?
特定商取引法では、規制によって以下の表示が義務付けられています。違反すると行政処分や罰則の対象となるため、それぞれの項目について確認しましょう。
事業者基本情報
事業者の基本情報としては、以下の記載が必要です。
- 販売事業者名
- 所在地
- 電話番号
法人の場合は基本的に登記簿上の名称・住所と同じになり、代表者の氏名または運営責任者の氏名の記載も必要です。
個人事業主は「戸籍上の氏名」もしくは「商業登記簿に記載された商号」の記載になります。
また、電子メールで広告をする際は、電子メールアドレスの記載も必須です。
販売価格
販売価格は商品の代金だけでなく、消費者が負担する金銭についてすべて明確にする必要があります。具体的には以下のような項目です。
- 商品販売価格
- 商品代金以外の必要料金(消費税、送料、代引き手数料、振込手数料など)
なお、商品の販売価格や送料などを商品ページでわかりやすく表記していれば、「各商品ページをご参照ください」と省略しても問題ありません。
不良品、および返品・交換・キャンセルについて
販売した商品が不良品だった場合や、消費者の都合によって返品・交換・キャンセルが求められた場合に、対応できる条件やルールについて記載する必要があります。具体的には以下のような項目です。
- 不良品(対応期間、送料、欠品時の対応方法など)
- 消費者都合による返品・交換・キャンセル(対応可否、対応期間、送料、返金方法など)
商品の引き渡し時期
特定商取引に関する法律に基づく表記においては、実際に消費者の手元に商品が届くタイミングを記載する必要があります。「注文後〇営業日以内」や「支払後〇日~〇日以内」のように具体的な日数を記載しましょう。
支払方法・期限
取り扱い可能な支払方法をすべて記載し、注文と支払時期が異なる場合は、その支払期限の明記も必要です。具体的には以下のような項目です。
- 支払方法(クレジットカード、銀行振込、代引き、コンビニ後払いなど)
- 支払期限(注文後の振込期限、到着後の支払期限など)
その他
そのほか、販売する商品に応じた情報も記載します。たとえば、ソフトウェア関連の取引では、それが動作するための環境(OS、メモリ容量、HDの空き容量等)の表示が必要です。また、免許が必要な商品であれば、その内容も記載しましょう。
特定商取引に関する法律に基づく表記の作成ポイントは?
特定商取引法に基づく表記は、必要事項を並べればよいものではなく、法令に適合した内容と表示方法が求められます。ここでは、作成時に押さえておくべきポイントを整理します。
必須表示事項を漏れなく具体的に記載する
事業者名、所在地、連絡先、販売価格、支払方法、商品引渡時期、返品条件など、法令で定められた事項を漏れなく記載することが基本です。価格については税込表示の有無や送料の扱いも明確にします。自社のビジネスモデルによって追加表示が必要となる場合もあるため、取引類型ごとに要件を確認することが重要です。
消費者が容易に確認できる表示方法にする
表示はウェブサイト上の分かりやすい場所に掲載し、リンク切れや判読困難な小さな文字を避けます。誤認を招く表現や重要事項を目立たない位置に配置する行為は違反となる可能性があります。ガイドラインに沿ったレイアウトと運用を徹底することが求められます。
最新の法改正やガイドラインを確認する
特定商取引法は改正が行われることがあるため、最新の法令や消費者庁のガイドラインを確認することが重要です。定期的に表示内容を見直し、変更があれば速やかに修正する体制を整えておくことが適切な運用につながります。
特定商取引に関する法律に基づく表記を怠った場合のリスクは?
特定商取引法に基づく表記は、消費者が安心して取引を行うための重要な情報開示義務です。これを怠った場合のリスク内容を整理します。
業務改善の指示・業務改善命令・業務停止命令などの行政処分
表示義務違反が確認された場合、まずは消費者庁や都道府県から報告徴収や立入検査が行われ、業務改善の指示が出されます。是正が不十分な場合や悪質性が高い場合には、業務改善命令が発出され、違反行為の停止や表示内容の是正、再発防止策の実施が義務づけられます。さらに重大な違反では、一定期間は該当業務の全部または一部を停止する業務停止命令が出されることがあるため注意しましょう。命令に違反した場合は刑事罰の対象となる可能性もあります。
契約取消しや損害賠償請求
重要事項の不表示や誤認表示があった場合、消費者は契約を取消すことができる場合があります。その結果、返金対応や損害賠償請求が発生する可能性があります。集団的なトラブルに発展すれば、消費者団体による差止請求の対象となることもあるため注意してください。
企業名公表による信用低下
行政処分を受けた場合、その内容や企業名が公表されることがあります。この情報は自治体等のサイトに数年間掲載されるため、顧客離れや取引先との契約解除に加え、融資の停止や採用難にまで発展しかねません。長期的な経営リスクにつながるおそれもあるでしょう。
直近の特定商取引法の改正のポイントは?
特定商取引法は、デジタル取引の拡大や定期購入トラブルの増加を背景に、近年大きな見直しが進められています。令和3年改正の施行による実務への影響に加え、2026年現在は法全体の再設計に向けた検討も本格化しています。
【令和3年改正】「最終確認画面の表示義務強化」と「書面の電子化」が進んだ
令和3年改正では、通信販売における表示義務が強化され、特にインターネット取引における最終確認画面での重要事項表示の明確化が義務づけられました。定期購入であること、支払総額、解約条件などを消費者が誤認しない形で表示しなければなりません。また、契約書面やクーリング・オフ関連書面の電磁的方法による交付(電子化)が制度上整理され、オンライン契約への対応が進みました。これにより、形式的な表示だけでなく、消費者が理解しやすい表示設計が強く求められるようになっています。
【2026年】「デジタル取引対応」を軸に法全体見直しの検討が進行中
2026年には消費者庁の検討会において、特定商取引法全体の見直しが議論されています。焦点は、ダークパターン(誤認を誘うUI設計)やサブスクリプション契約の解約妨害、オンライン勧誘の透明性確保など、デジタル特有の課題です。将来的にはプラットフォーム事業者の責任範囲や、AIを活用した表示・勧誘への規律整備も検討対象とされています。今後の改正は、表示義務の追加だけではなく、デジタル時代に即した消費者保護ルールの再構築につながる可能性があります。
特定商取引に関する法律に基づく表記でも重要視される契約条件
特定商取引に関する法律に基づく表記では、販売価格や返品・キャンセル条件などの明記が義務付けられていますが、こうした金銭や解約に関する条件の確認は、個人消費者との取引に限らず、企業間の契約においても非常に重要とされています。
株式会社マネーフォワードでは、業務委託契約に関与する方を対象に、契約に関する調査を実施しました。契約内容を確認する際、特に注意して確認している項目を尋ねたところ、最も重視されているのは「業務の内容・範囲」で32.6%でした。次いで「契約の解除・解約に関する条件」が28.8%、「委託料(報酬)の金額・支払時期」が28.3%と続いています。
トラブルを防ぐためにも条件の明記が重要
調査データから、ビジネスの実務の現場においても、報酬や解約に関する条件が特に注意深く確認されていることが読み取れます。特定商取引に関する法律に基づく表記を作成する際も、販売価格や支払時期、返品や解約の条件をあらかじめ分かりやすく明確に記載しておくことは、消費者との認識のズレを防ぎ、後々のトラブルを回避するために欠かせません。
出典:マネーフォワード クラウド、調査③ 契約内容確認時の重点項目(Q4)【業務委託契約書に関する調査データ】(回答者:業務委託契約に関与する605名、集計期間:2026年1月実施)
特定商取引に関する法律に基づく表記はルールに則って記載が必要
消費者と取引を行う事業者にとって、特定商取引に関する法律に基づく表記はトラブルを避けるための重要な表示です。記載事項のミスや漏れは消費者に誤解を与えるだけでなく、行政処分や罰則の対象になる可能性もあります。
今回ご紹介したテンプレートや注意事項を確認し、消費者にわかりやすく正確な情報が記載された書面やインターネットページを準備しましょう。また、特定商取引に関わる最新情報を知りたい方は、消費者庁公式サイト「特定商取引法ガイド 」が参考になります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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