• 更新日 : 2026年7月13日

民法566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)とは?わかりやすく解説

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Point民法566条の内容は?

民法566条は、売買目的物の種類・品質に契約不適合があると、買主は不適合を知ってから1年以内に売主へ通知しなければ責任追及できなくなる規定です。

  • 通知しないと追完請求・減額請求・損害賠償・解除などの権利を行使できなくなる
  • 期間制限は種類・品質の不適合にのみ適用される
  • 売主が不適合を知っていた場合は期間制限が及ばない

実務では通知期間を短縮する特約が設けられることが多く、契約書の内容を確認しておくことが大切です。

民法566条は、2020年の民法改正で旧来の瑕疵担保責任から「契約不適合責任」へと再編された際に新設された規定です。売買目的物の種類や品質が契約内容に適合しない場合、買主はその不適合を知ったときから1年以内に売主へ通知しなければ、追完請求や損害賠償といった権利を行使できなくなります。

この記事では、民法566条の要点や改正前との違い、民法166条・商法526条との関係、実務での注意点について解説します。

民法566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)とは?

民法566条は、引き渡された目的物が「種類」または「品質」に関して契約の内容に適合しない場合の契約不適合責任に関する通知期間を定めたもので、2020年の民法改正により新たに設けられた規定です。旧民法の瑕疵担保責任から改められた結果、瑕疵担保責任の概念は廃止されています。

改正前の民法566条の内容は?

旧民法566条は、目的物に地上権などの第三者の権利が設定されていた場合の売主の責任を定めた規定です。第1項では、買主がその権利の存在を知らず、そのために契約の目的を達成できないときに、買主が解除や損害賠償を求められるとされていました。

第3項では、上記の解除・損害賠償について、買主が事情を知ってから1年以内に行わなければならないとする期限が設けられており、権利行使の機会を不当に狭めるとの指摘もありました。こうした背景から、買主の利益をより適切に保護しつつ、売主の責任範囲との均衡を図るため、566条は現在の契約不適合責任に関する条文として再構成されたという経緯があります。

改正後の民法566条の内容は?

改正後の民法566条は、売買目的物の種類または品質について契約不適合があった場合、買主は不適合の事実を知ったときから1年以内に売主に対してその事実を通知する義務を負うとした規定です。買主がこの通知義務を怠ると、契約不適合を理由とする権利を行使できなくなります。なお、この1年の期間は目的物の「引渡し時」からではなく、買主が契約不適合の事実を「知った時」を起算点とする点に注意が必要です。

期間制限を設けた理由は、売主には目的物の引渡し後に履行が完了したという期待があり、その期待を保護する必要があるためです。また、契約不適合の内容は使用や時間経過による劣化などで比較的短期間のうちに判断が困難となるため、法律関係を早期に安定させる趣旨でもあります。

ただし、引渡し時に売主が契約不適合を知っていたか、重過失で知らなかったときは、1年以内に通知をしなくても買主は契約不適合責任を追及できます。このような売主には期間制限の恩恵を与える必要性が低いと判断されるためです。

期間制限は目的物の種類・品質のみ

民法566条の期間制限が適用されるのは、売買目的物の「種類」または「品質」に関する契約不適合に限られます。買主はその不適合を知ったときから1年以内に売主へ通知しなければ、契約不適合責任を追及できなくなります。

一方、目的物の「数量の不足」や「権利の欠缺(たとえば抵当権などの担保権が付着している場合)」については、通知期間の制限は設けられていません。数量の不足や権利に関する不具合は、外見や登記などにより比較的容易に判別でき、売主側にも予測可能性が高いと考えられているためです。改正後の民法ではこれらの期間制限が廃止されており、代わりに民法166条の消滅時効(権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年)が適用されます。

参考:民法|e-Gov法令検索

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民法566条と民法166条の違いは?

民法566条は契約不適合があった場合の買主の「通知期間」を制限する規定であり、民法166条は権利の不行使により債権が「消滅」する消滅時効を定めた規定です。名称が似ていることから混同されやすいですが、両条文の性質は大きく異なります。

民法566条は契約不適合責任の通知期間に関する規定

民法566条は、契約内容に適合しない目的物について買主の通知期間を制限する規定であり、期間内に通知しなければ契約不適合責任を追及できない状態になります。追完請求・代金減額・損害賠償といった買主の権利が行使できなくなるのであって、権利そのものが消滅するわけではない点に注意が必要です。

消滅時効のような「援用」などの手続きは不要で、期限の経過により当然に行使ができなくなります。

民法166条は契約不適合責任の消滅時効に関する規定

民法166条は、債権や財産権が一定期間の不行使によって消滅する「消滅時効」について定めた条文です。権利を長期間行使しないことで、その権利が法的に消滅する制度であり、契約不適合責任もこの時効制度の対象になります。

債権者が権利を行使できる状態になってから10年、またはその行使可能性を知ってから5年が経過したときに、時効によって債権が消滅します。消滅時効が成立するには、相手方が「時効を援用する」という意思表示を行う必要があります。これにより、権利が最終的に効力を失います。

民法566条と商法526条の違いは?

民法566条と商法526条は、いずれも契約不適合責任の通知期限に関する条文ですが、適用対象となる契約の種類や通知期限、立法趣旨が異なります。

民法566条は一般的な売買契約に関する規定

民法566条は、一般の売買契約に関する規定です。種類・品質の契約不適合を知ったときから1年以内に通知しなければならず、通知しないと追完請求・代金減額・解除・損害賠償などの契約不適合責任を行使できなくなります。契約の安定を図り、トラブルの早期解決を促すことを趣旨としています。

商法526条は商人間の売買契約に関する規定

商法526条は、商人間の売買契約に関する規定です。引渡し後は直ちに検査し、遅滞なく通知しなければ責任追及ができません。また、検査で直ちに発見できない契約不適合については、引渡し後6ヶ月以内に発見して通知する必要があります。

遅滞なく通知しなければ、契約不適合に基づく損害賠償などを請求できなくなります。商取引に特有の迅速性・効率性を重視するという趣旨で設けられた規定です。

民法566条に基づく通知の方法や記載事項は?

民法566条に基づく通知は、特定の方式は法律上定められていませんが、有効な通知として認められるためには一定の要件を満たす必要があります。

通知の方法

通知の方法は書面・口頭を問いませんが、後の紛争を避けるためにも、内容証明郵便などで送付して証拠を残すことが一般的です。口頭での通知は証明が困難になるため、書面での通知が望ましいとされています。

通知に必要な記載内容

通知には、不適合の内容を売主が把握できる程度に、不適合の種類や範囲などの情報を明示することが求められます。ただし、具体的な損害額やその根拠まで記載する必要はありません。たとえば、「購入した機械の○○部分に亀裂が生じており、仕様書に記載された性能を満たしていない」といった内容が記載されていれば、通知として有効と判断される余地があります。

判断に迷う場合は弁護士へ相談を

不適合の内容や請求できる権利の範囲について判断に迷う場合は、弁護士に相談することで適切な助言を得られます。特に、追完請求・代金減額請求・損害賠償請求など複数の手段を検討する際には、専門的な見地からの判断が役立ちます。

民法566条の通知期間を過ぎた場合の影響は?

民法566条の契約不適合責任には通知期間が設けられており、通知期間を過ぎると買主に不利な影響が生じます。

買主が契約不適合を知っていたが1年以内に通知しなかった場合

買主は、目的物の種類または品質に契約不適合があることを知ったときから1年以内に、その事実を売主に通知する必要があります。この通知を行わなかった場合、履行の追完請求・代金の減額請求・損害賠償請求・契約の解除といった契約不適合責任を売主に対して追及できなくなります。

なお、通知には具体的な損害額やその根拠まで記載する必要はありませんが、不適合の内容を売主が把握できる程度に、種類や範囲などの情報を明示することが求められます。

売主が契約不適合を知っていた場合

民法566条ただし書により、引渡し時に売主が目的物の契約不適合を知っていた場合、または重大な過失によって知らなかった場合には、買主による1年以内の通知期間の制限が適用されません。買主はその後であっても売主に対して契約不適合責任を追及できます。

契約不適合の存在を知りながら買主に告げなかった売主まで期間制限で保護する必要はないためです。

民法566条の通知期間を守るためのポイントは?

民法566条に基づく買主の権利行使は、契約不適合を知った時点から1年以内に売主へ通知しなければなりません。売主は買主が不適合に気づくまで責任を負い続け、さらにその後も1年間は責任を免れないため、実務上は通知期限を明確に定める特約が設けられることが一般的です。

契約不適合責任は任意規定であるため、当事者間の合意によって通知期間を短縮することも可能です。たとえば、売買契約では通知期間を3ヶ月程度とする条項が盛り込まれることがあります。買主は契約書の内容を十分に確認し、不適合を発見した際には速やかに通知できるよう備えておくことが大切です。

民法566条に関する判例と実務上の解釈は?

民法566条については、改正前の566条3項に設けられていた期間制限の法的性質や、裁判上の権利行使が争われた事案があります。

旧民法566条3項の期間は除斥期間

判例では、旧民法566条3項の1年の期間の法的性質について「除斥期間」であると判断しています。除斥期間とは、一定期間を経過すると当然に権利が消滅する期間であり、「時効」と異なり催告や訴訟提起などで進行を中断させることはできません。そのため、期間内に何らかの手続きをとらなければ、権利自体が消滅します。

裁判上の権利行使は不要

旧民法566条3項の除斥期間については、買主がその期間内に売主に対して瑕疵担保責任の存在を知らせ、責任を問う意思を明確に示せば足りるとされています。裁判を起こす必要はなく、内容証明郵便などで通知することによって請求権を保全できます。

民法改正では、瑕疵担保責任の規定は「契約不適合責任」へと整理され、566条3項の規定は削除されました。数量や権利に関して契約内容に適合しない場合における買主の権利については、期間制限は適用されません。

民法566条を正しく理解して権利行使に備えよう

改正民法566条では、売買目的物が契約上の種類・品質と異なる場合(契約不適合)、買主は売主に対して追完請求や損害賠償などを求めることができます。ただし、これらの権利を行使するには、買主が不適合に気づいてから1年以内に売主へ通知しなければなりません。

実務上は通知期間を短縮する特約が売買契約に盛り込まれることが多いため、契約書の条項を事前に確認しておくことが重要です。不適合を発見した際には、速やかに内容証明郵便などで通知を行い、必要に応じて弁護士へ相談することを検討するとよいでしょう。

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