- 作成日 : 2025年3月25日
下請け会社とは?元請けとの違いや働くメリット、言い換えについて解説
下請け会社とは、ある会社が引き受けた仕事をさらに引き受けて担当する会社のことです。下請け会社のほかにも元請け会社や孫請け会社などがあります。
本記事では、下請け会社の概要や発注者・元請け会社・孫請け会社との関係、下請け構造がよく見られる業界について解説します。
目次
下請け会社とは
下請け会社とは、元請け会社が引き受けた仕事を、さらに引き受ける会社のことです。関連する言葉としては、発注者や元請け会社、孫請け会社などが存在します。それぞれの関係性や言葉の意味について解説します。
発注者・元請け会社・孫請け会社との関係
下請け会社に関連する言葉として、発注者・元請け会社・孫請け会社が挙げられます。
- 発注者:国や地方自治体、民間企業など仕事を発注する業者
- 元請け会社:発注者から仕事を引き受ける業者
- 下請け会社:元請け会社から仕事を引き受ける業者
- 孫請け会社:下請け会社から仕事を引き受ける業者
元請け会社は下請け会社に対して業務について指示を出す立場にあります。また、納期や品質の管理も元請けが行います。
さらに、下請け会社が仕事をその下の孫請け会社に委託することも可能です。孫請け会社へ委託する目的としては、下請け会社の工事や業務を効率的に処理するために行われることが一般的です。
なお、孫請け会社より下には、孫請け会社から仕事を請け負う曾孫請け会社や玄孫請け(やしゃごうけ)会社などもあります。
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下請け構造がよく見られる業界
下請け構造がよく見られる業界としては、建設業界とIT業界が挙げられます。
建設業界
建設業界における構造は次の通りです。
- 発注者:国や地方公共団体、一般企業など
- 元請け会社:ゼネコン
- 下請け会社:サブコン
- 孫請け会社:工務店や職人を抱える業者など
ゼネコンとは、大手の総合建設会社のことです。国や公共団体、企業などの発注者と総合請負業者として請負契約を結びます。ただし、施工すべてをゼネコンが担当するわけではありません。元請けや下請け、孫請けなどの企業と契約を結び、それらの事業者を調整しつつ発注者からの契約を履行していきます。
サブコンとは、ゼネコンから工事を請け負う下請け会社のことです。英語の「subcontractor」を略してサブコンと呼びます。サブコンの業務は、電気工事・上下水道や排水設備工事のほか、足場の設置などです。
孫請け会社としては、設計事務所や工務店などがあります。設計事務所とは、建築物の設計を行う事業所のことです。工務店は地域密着型の建設会社のことで、リフォームや修繕などを行う工務店や自社ブランドを展開している工務店などがあります。
IT業界
IT業界における構造は次の通りです。
- 発注者:一般企業などのシステム開発をしたいと検討しているクライアント
- 元請け会社:システム開発の案件を請け負ったSIer(エスアイヤー)などの企業
- 下請け会社:元請けが定めた要件・仕様書に沿ってシステム開発を行ったり、テストをしたりする企業
IT業界では元請け会社がクライアントの要望を聞き取り、予算やスケジュールを決めてクライアントに開発に関しての提案を行います。その後、元請け会社で上流工程(システムの要件定義、システム設計など)に対応し、下請け会社へ実際の開発作業やテストなどを委託する流れが一般的です。
IT業界においても複雑かつ大規模なシステム開発などを行う際には孫請けや曾孫請け会社に仕事を委託することもあります。孫請けや曾孫請け会社では、システムのテストやプログラミングといった単調作業を行うことが一般的です。
元請け会社以外の会社では、クライアントとの打ち合わせやシステムの企画や開発などの業務は基本的に発生しないと考えてよいでしょう。
下請け会社には下請法が適用される?
下請け会社には下請法(下請代金支払遅延等防止法)が適用されます。下請法は、下請け業者の利益保護を目的とした法律のことです。
下請法における下請とは、規模の大きな企業が規模の小さな企業や個人へ業務を委託することを指します。その際、下請け会社は発注側よりも弱い立場になる傾向にあります。下請け会社が不利益を被ることのないように制定されたのが下請法です。
下請法では、下請取引を次の2つの側面で定めています。
- 取引の内容
- 発注する側と受注する側の資本金
下請法の規制対象取引
下請法の対象となる取引内容は、次の4つです。
- 製造委託
- 修理委託
- 情報成果物作成委託
- 役務提供委託
情報成果物作成委託とはコンテンツやソフトウェアの作成などを委託することです。役務提供委託とは、ビルメンテナンスや配送などのサービス提供を委託することを指します。
資本金による区分
下請法では、上記の取引内容ごとに、親事業者の資本金の規模と下請会社の資本金の規模が定められています。
| 親事業者 | 下請事業者 | 委託内容 |
|---|---|---|
| 資本金3億円超 | 資本金3億円以下 | 製造委託、修理委託、コンピュータプログラム作成の委託運送サービス、倉庫での物品保管サービス、情報処理サービスの委託 |
| 資本金1千万円超~3億円以下 | 資本金1千万円以 | |
| 資本金5千万円超 | 資本金5千万円以下 | コンピュータプログラムを除く情報成果物の作成の委託運送・情報処理・倉庫保管を除くサービスの委託 |
| 資本金1千万円超~5千万円以下 | 資本金1千万円以下 |
どこに分類されるか確認する際に注意したいのが、超・以下という言葉です。
- 1千万円超→1千万円は含まれない
- 3億円以下→3億円が含まれる
言葉の意味も正確に理解して、該当区分を勘違いしないようにしましょう。
「下請け会社」を言い換えるには?
解説してきたように、下請け会社という言葉は、あまり良い意味の言葉ではありません。下請法で規制されるなど、立場の優位性などが露見されるためです。
そこで政府は、法律上の「下請け」という言葉が上下関係を連想させるとして、「中小受託事業者」という言葉に改める方針を固めました。改正により、発注者と受注者の対等な関係作りや適正な価格交渉へつなげる狙いがあります。
なお、下請けに代わる言葉の候補としては、「パートナー」「受注業者」といった案もありましたが、役割や規模が伝わりやすい言葉である中小受託事業者に落ち着いた形です。
下請け会社はブラック企業が多いは本当?
下請け会社はブラック企業が多いというイメージは本当なのでしょうか?下請け構造の多重化した業界における問題点としては、次のようなことが挙げられます。
- 重層下請構造の下位に位置する会社ほどマージンが引かれて報酬が少なくなる
- それに従って従業員の給与も低くなる傾向にある
- 元請け企業からの工期要求や変更対応のために、過重労働を強いられる可能性がある
これらの事象に加えて、下請け会社において労働環境の整備や労働時間の管理が適切に行われていない場合、労働条件や従業員の健康に悪影響を及ぼすため、ブラック企業の状態になることが考えられます。
下請け会社とは元請け会社から仕事を引き受ける会社のこと
下請け会社とは、発注者から仕事を引き受けた元請け会社から仕事を請け負う会社のことです。下請け会社は、発注者と直接契約を行うわけではないため、元請け会社から仕事の指示をもらいます。
下請け会社にも下請法が適用されるため、仕組みを理解しておくことが重要です。下請法では、取引の内容と発注する側と受注する側の資本金によって下請取引を定めています。
本記事を参考に、下請け構造や下請法の適用範囲について理解を深めて適切な対応がとれるようになりましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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