- 更新日 : 2025年4月8日
残存条項とは?契約書チェック時の注意点や具体的な文例を紹介
残存条項とは、締結した契約の期間が満了した後も有効に存続する契約条項のことです。代表的な残存条項には、秘密保持の規定などがあります。本記事では残存条項の概要や設定の基準、記載例、代表的な残存条項、注意点などを解説します。
目次
残存条項(存続条項)とは
残存条項とは、締結した契約の期間が満了した後も、有効に存続する契約条項のことです。
原則として、契約条項は有効期間が満了すれば失効します。しかし、秘密保持など一部の条項については、契約終了後も有効性を維持しなければ、その役割を全うできません。
このような条項の有効性を契約終了後も維持するため、契約書において残存条項が定められます。
なお、残存条項の期間は、無期限とする場合と期限を定める場合があります。期限を定める場合は、契約終了後1~3年間程度とするのが一般的です。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
契約管理はじめ方ガイド
紙やExcelで契約書の管理を行っている方向けに、契約管理のポイントをまとめたガイドです。
特にExcelを利用した契約管理でお悩みがある方や、将来を見据えて契約管理の整備を行いたい人におすすめの資料です。
紙も!電子も!契約書の一元管理マニュアル
本ガイドでは、契約書を一元管理する方法を、①紙の契約書のみ、②電子契約のみ、③紙・電子の両方の3つのパターンに分けて解説しています。
これから契約書管理の体制を構築する方だけでなく、既存の管理体制の整備を考えている方にもおすすめの資料です。
契約書ひな形管理マニュアル
契約書のひな形管理は法的リスクの予防や、業務効率化の観点で非常に重要です。本ガイドでは、契約書のひな形を管理するコツを紹介しています。
社内体制を整備するための具体的なステップも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
契約書管理サービス比較マニュアル
本ガイドでは、契約書管理サービスを比較・検討する際の5つのポイントについて分かりやすくご紹介します。
契約書管理サービスの導入を検討する方におすすめのガイドです。
契約書における残存条項の具体的な書き方
契約書に定める残存条項の例文を紹介します。
<残存条項をまとめて定める場合>
第〇条(残存条項)
本契約第〇条、第〇条……の規定は、本契約終了後もなお依然としてその効力を有するものとする。ただし、第〇条の規定については、本契約終了後1年間に限る。
<各条項において残存条項を定める場合>
第〇条(……)
- ……
- ……
- 本条の規定は、本契約終了後もなお依然としてその効力を有するものとする。
残存条項を設定する際の基準
契約終了後も効力を残存させるべき条項は、取引の内容に応じて個別に検討すべきですが、「秘密保持に関する規定」と「紛争に関する規定」については、すべての契約に共通して残存条項とすることが推奨されます。
秘密保持に関する規定は、契約終了をもって失効してしまうと、秘密保持の実効性が減殺されてしまいます。そのため、少なくとも契約終了後一定期間は存続させて、秘密保持の実効性を維持するべきです。
紛争に関する規定としては、損害賠償や準拠法・合意管轄に関する規定などが挙げられます。紛争は契約終了後(解除された場合を含む)に発生することが多いため、これらの規定は残存条項とすべきです。
その他にも、取引の内容に応じて契約終了後も効力を維持すべきと考えられる条項については、漏れなく残存条項に指定しましょう。
残存させる代表的な条項
残存条項とされるケースが多い条項としては、以下のものが挙げられます。
- 秘密保持義務
- 競業避止義務
- 知的財産権
- 損害賠償
- 準拠法・合意管轄
- 反社会的勢力の排除
秘密保持義務
秘密保持義務を定める規定は、契約終了後も秘密保持の実効性を維持するため、残存条項とするのが一般的です。
秘密保持義務の残存期間は無期限とすることも多いのですが、主に秘密情報の受領者となることが想定される当事者としては、残存期間を限定することが望ましいです。
競業避止義務
競業避止義務を定める規定の目的は、契約終了後の競業を規制することであるため、残存条項とする必要があります。
ただし、義務者の自由を不当に制約する内容の競業避止義務規定は、公序良俗違反(民法第90条)により無効となる可能性があります。競業避止義務の残存期間を長期間に設定しようとする場合は、特に注意が必要です。
知的財産権
知的財産権の帰属や、知的財産権に関する紛争の取り扱いなどを定めた条項は、残存条項とすべきです。知的財産権は契約終了後も存続するため、紛争解決の基準として機能させるためには残存条項とする必要があります。
知的財産権に関する条項の残存期間は、無期限とするのが一般的です。
損害賠償
損害賠償請求は契約終了後に行われるケースが多いため、損害賠償に関する規定は残存条項としておきましょう。
損害賠償規定の残存期間は、無期限とするのが一般的です。
準拠法・合意管轄
準拠法・合意管轄に関する規定は、紛争が契約終了後に発生するケースを想定して、残存条項とする必要があります。
準拠法・合意管轄の残存期間は、無期限とするのが一般的です。
反社会的勢力の排除
反社会的勢力の排除に関する規定(反社条項・暴排条項)の多くには、違反した場合の損害賠償に関する規定が設けられます。
この場合、損害賠償に関する規定に限って無期限の残存条項とし、その他の反社条項については残存条項としないケースが多いです。
残存条項を設定する際の注意点
契約書に残存条項を定める場合は、以下の点に注意しましょう。
残存させるべき条項を漏らさない
秘密保持に関する規定や紛争に関する規定を中心に、残存させるべき条項を漏れなく列挙しましょう。
自社が過大な義務を負わないようにする
秘密保持義務が無期限である、競業避止義務の期間が長すぎるなど、自社が過大な義務を負う内容については修正を求めましょう。
条項を正しく特定する
条文番号によって、残存条項を正しく特定しましょう。契約交渉の過程で条項を追加・削除した場合は、条ズレが生じることがあるので最終チェックが不可欠です。
残存条項を適切に定めて契約の実効性を確保
契約終了後も効力が維持される残存条項としては、秘密保持に関する規定や紛争に関する規定が挙げられます。
残存条項を適切に定めれば、契約の実効性を確保できます。取引の内容に応じて、残存条項に指定すべき条項を過不足なくリストアップしましょう。
マネーフォワード クラウド契約では弁護士監修の契約書テンプレートを用意しています。無料で利用可能ですので、以下のページからダウンロードしてご利用ください。
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使える「契約書のひな形(テンプレート)パック」をご用意しています。
総務・法務担当者など、契約関連の業務がある方に、多くダウンロードいただいておりますので、ぜひお気軽にご活用ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
駐車場契約書(駐車場賃貸借契約書)とは?書き方や注意点を解説【無料テンプレート・ひな形付き】
月極駐車場や個人オーナー間の駐車場の貸し借りでは、賃料滞納などのトラブルが多く報告されています。こうした事態を防ぎ、貸主・借主双方の権利を守るために、駐車場契約書の作成は非常に重要です。 この記事では、駐車場契約書の基本的な知識から、具体的…
詳しくみる賃料不払いによる賃貸借契約解除通知書とは?ひな形をもとに書き方を解説
賃料不払いによる「賃貸借契約解除通知書」とは、貸主が契約解除を知らせるときに作成する文書です。賃料を払ってくれない借主と契約は続けられませんので、不払いになっているときはこれを作成することになるでしょう。 ただし解除も自由にはできません。ど…
詳しくみるノウハウ実施権許諾契約とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
ノウハウ実施権許諾契約とは、企業が営業活動を行ううえで秘密に管理している技術的知識について、他社の利用を許諾する契約です。企業の大切な知的財産であるノウハウを保護し、当事者双方が活用するには、適切な契約書の作成やレビューが欠かせません。 本…
詳しくみる契約書管理システムとは?比較ポイントや導入メリット・おすすめサービスを紹介
契約書を効率的に管理したい場合は、契約書管理システムの導入がおすすめです。契約業務を効率化するためのさまざまな機能が備わっており、コスト削減や人的ミスの軽減も期待できます。 しかし、契約書管理システムにはさまざまな種類があるため、どのシステ…
詳しくみる酒類販売免許の取引承諾書とは?ひな形を基に書き方を解説
酒類販売免許の取引承諾書は、酒類卸売業免許を得る際に作成する書類です。具体的な事業計画があることを証明するために、仕入先や販売先から取得するもので、申請結果に大きな影響を与えます。そのため、漏れのないように準備しなければなりません。当記事で…
詳しくみる取締役会の議長とは?役割や権限、社長・会長との違いや選任方法まで分かりやすく解説
取締役会の議長は、会社の重要な意思決定機関である取締役会を円滑に運営するためのキーパーソンです。その役割は単なる司会進行に留まらず、公正な議論を促し、決議の正当性を担保する重責を担います。 本記事では、この取締役会における議長の具体的な役割…
詳しくみる

