• 作成日 : 2025年1月29日

入会申込書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説

入会申込書とは、特定の組織やサービスへの入会を申し込むために、申込者が事業者へ提出する書類です。入会に必要となる申込者情報を取得できるように、事業者が書面を作成します。

本記事では、入会申込書の書き方や押さえておきたいポイント、注意点を解説します。具体例がわかるひな形も無料配付しているため、ぜひ参考にしてください。

入会申込書とは

入会申込書とは、特定のサービスを利用したり特典を受けられたりする会員制度への入会を希望する申込者が、サービスを提供する事業者へ提出する書類です。

たとえば習い事のスクールやスポーツジムの場合、サービスを利用したい消費者は、事業者側が用意した入会申込書に必要事項を記入して提出するのが一般的です。

入会申込書の作成は、申し込みの事実を書面で残しておくことが目的として行われています。

入会の合意(契約)は、口頭での意思表示だけで成立するものですが、その意思表示が書面として残っていなければ、当事者同士で認識の相違が起こる可能性があります。入会の意思表示を書面で明示して残しておくほうが、のちのトラブルを防げるでしょう。

また、組織への加入やサービス提供にあたって顧客に関する情報が必要だったり、入会審査が行われたりする場合において、入会申込書で顧客情報を取得する目的もあります。

入会申込書を作成するケース

事業者が入会申込書を作成するのは、以下のような場合です。

  • 学習塾やスポーツクラブの会員を募集する
  • 小売店のポイントカード会員を募集する
  • 会員制サービスを提供する
  • 学会や協会の会員を募集する

そもそも、企業が会員制度を取り入れるのは、自社の顧客に合ったサービスを提供したり、顧客とのよりよい関係性を構築したりすることが目的です。

「顧客情報を取得して顧客にマッチしたサービスへと改善したい」「継続的な利用を促したい」といった場合に、会員制を取り入れて入会申込書を作成するケースが多いでしょう。

入会申込書と契約書の違い

入会申込書と契約書は、目的や法的効力、作成タイミングなどにおいて違いがあります。

両者の違いを以下の表にまとめました。

入会申込書契約書
署名・押印者申込者のみ当事者双方
目的・入会を申し込む意思表示の証明

・サービス提供や審査に必要な情報の取得

・契約が成立した証明

・契約内容の明確化

法的効力入会を申し込む意思表示を示すのみ契約成立の法的な証明となる
作成のタイミング契約成立の前段階契約締結時

契約書は、契約の成立を証明するために契約締結の際に取り交わされる書面です。

一方の入会申込書は、契約が成立する前段階において、申込者の意思表示を書面で残し、顧客情報を取得するために記入を求める書類であり、契約書とは異なる役割をもちます。

入会申込書のひな形

入会申込書を作成する際には、テンプレートの使用がおすすめです。

テンプレートを参考にすると一般的な記載項目を把握できるうえ、カスタマイズによって自社に合った入会申込書も作成できます。

マネーフォワード クラウドでは、無料でダウンロードできる入会申込書のテンプレートを用意しておりますので、ぜひご利用ください。

入会申込書に記載すべき内容

ここからは、事業者が入会申込書を作成する際に、記載すべき内容をみていきましょう。

入会申込書は、申込者の必要な情報を取得したり、申込内容を明確にしたりするための記載欄を設けるのが一般的です。一般的には、以下のような項目を設定しましょう。

  • 書面の表題と申込年月日
  • 申込者の情報
  • 申込内容

それぞれについて詳しく解説します。

書面の表題と申込年月日

入会申込書には、どのような組織やサービスの会員になることを希望する文書なのかがわかるように表題を明示します。

たとえば「○○スポーツジム入会申込書」、「ポイントカード入会申込書」といったように、入会先の名称を示しておくとわかりやすいでしょう。

また、入会の意思表示をした日を明確にするために、申込書を記載し記載するときの日付を明記してもらう申込年月日の欄を設けます。

申込者の情報

サービスの提供に必要な顧客情報を取得し、申込者の入会意思が明示されるように、以下のような項目を記載する欄を設けます。

  • 氏名(会社名・代表者名)
  • 押印
  • 住所
  • 連絡先
  • メールアドレス
  • 生年月日
  • 勤務先

入会において審査がある場合は、審査に必要となる申込者情報を取得できるように項目を設定します。

法人向けの団体・サービスへの入会である場合は、「氏名」ではなく「会社名、代表者名」などに置き換えるといった修正が必要です。

申込内容

何に対する申し込みであるのかがわかるように、内容の詳細を明記します。

とくに、提供するサービスに複数のコースやプランがある場合には、どのコースに申し込みをしたいのか、選択肢から選べるようにしておくことが大切です。

スポーツジムを例にすると、「レギュラー会員」「デイタイム会員」といった会員区分がある店舗も多いでしょう。申込者が希望する会員区分に「○」を付ける欄を設けておくと、どの区分に申し込みをしているのかが申込者と事業者ともに明確になります。

また、申込時の認識の相違を防ぐには、サービス内容の詳細や利用規約などを、申込書の裏面などに印字しておくことも有効です。

入会申込書を作成する際の注意点

事業者が入会申込書を作成する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 入会申込書であっても契約書と判断される場合がある
  • 個人情報の取り扱いルールに従わなければならない

入会申込書の取り扱いが不適切であると違法とみなされる可能性もあるため、しっかり確認しておきましょう。

入会申込書であっても契約書と判断される場合がある

入会申込書は、入会の申込意思を表示するための書類ですが、内容によっては「契約の成立を証明する文書」として判断されるケースがあります。

なかでも、課税文書に該当する契約書とみなされる場合には、契約書と同様に収入印紙の貼付が必要となるため注意が必要です。

たとえば、以下のような内容の入会申込書は、書面の表題が「入会申込書」であっても契約書に該当する可能性が高いです。

  • 基本契約書や利用規約、約款などに「申込書の提出により契約が成立する」といった一文がある
  • 上記のような明文がない場合でも、運用の実態としては申込書の提出により自動的に契約が成立する
  • 入会を受け付ける側が作成した見積書などに基づいた申込である旨が、入会申込書に明記されている
  • 当事者双方の署名または押印がある

入会申込書が契約書とみなされる場合でも、印紙税が課税されるかどうかは契約の内容によって判断が必要です。

参考:国税庁 申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い

国税庁 No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断

個人情報の取り扱いルールに従わなければならない

入会申込書には申込者の個人情報が記入されるため、個人情報保護法にもとづいた取り扱いが求められます。

そのため、入会申込書の提出を求めるにあたって、個人情報の利用目的を具体的に特定し、本人に知らせなければなりません。

たとえば、「ご記入いただいた個人情報は、サービス提供や商品発送、資料等の送付を目的に利用させていただきます」といったように、明確な利用目的を定めます。そして、その内容を約款やホームページで明示するといった対応が必要です。

入会申込書の保管期間・保管方法

入会希望者から提出された入会申込書は、適切な期間において保管しておく必要があります。また、申込書に記載された情報には個人情報が含まれているため、目的以外に情報が使用されたり、情報が漏洩したりしないように保管しなければなりません。

入会申込書の保管期間と保管方法について、それぞれ説明します。

入会申込書の保管期間

入会申込書の内容が、以下のようなケースに該当する場合は、法的な保管期間に従わなければなりません。

入会申込書の内容法的な保管期間
・入会申込書が契約書としてみなされる

・入会申込書が取引証拠書類としてみなされる

7年間
・入会申込書が事業に関する重要な資料としてみなされる10年間

上記のように、入会申込書の内容によっては、法人税法会社法によって一定期間の保管が義務付けられる文書に該当します。その場合、求められた際にはすぐに提出できるように、適切に保管しておく必要があります。

一方で、法的に保管期間が定められていない場合には、会社独自の基準を設けて管理するのが一般的です。業務上やトラブル時における必要性を考慮して、適切な保管期間を設定しましょう。

入会申込書の保管方法

入会申込書を保管するには、個人情報の漏洩が生じないように管理しなければなりません。

情報漏洩や目的以外での個人情報の利用が発生した場合、個人情報保護法に反することになり、罰金などが科される恐れがあります。

情報の漏洩を防ぐためには、入会申込書の媒体に合わせて以下のような保管ルールを定めておきましょう。

  • 紙文書:鍵のかかるキャビネットに保管、取り扱える人を限定
  • 電子文書:ファイルにパスワードを設定、アクセス権限を設定

また、入会申込書を必要なときにすぐに参照しやすいように保管しておくことも大切です。

入会書類やその顧客にかかわる書類を1か所にまとめファイリングしておくと、顧客の情報を知りたいときにすぐに取り出せます。

入会申込書の電子化は可能?

入会申込書の電子化は可能です。入会申込書を電子化することで、書類の保管スペースを削減できたり、申込書の情報を有効活用しやすくなったりするメリットがあります。

入会申込書の電子化は以下のような方法で行います。

  • 入会申込の手続き自体をオンライン化する
  • 紙の入会申込書をスキャナで読み取り電子化する

入会申し込みの手続きをオンライン化するには、申込書をデータとしてメールでやり取りする、電子契約のクラウドサービスを使用するといった方法が考えられます。

ただし、契約書に該当する入会申込書である場合、電子帳簿保存法に従った保存が求められる可能性があります。

入会申込書が電子データで受け取ったものなのか、紙文書の原紙が保管されているのかといった条件によって、求められる保存の要件が変わるため注意が必要です。

入会申込書は内容に合わせた取り扱いが大切

入会申込書とは、サービスを受けられる会員になることを希望する消費者が、サービスを提供する事業者に対して提出する書類です。

入会申込書は、申込者の意思表示と顧客情報の取得を目的として作成されるものであり、契約書とは異なる役割をもちます。入会審査やサービス提供に必要な情報を取得するために、申込者の情報や申込内容などを記入してもらいます。

一方で、入会申込書と記載されていても、サービス内容や利用規約、運用実態などによっては契約書と判断され、さらに印紙税が課税されるケースもあるため注意が必要です。

そのほか、申込書に記載された個人情報や電子化された場合のデータにおいては、ルールに基づいた取り扱いを心がけましょう。


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