• 更新日 : 2022年3月30日

法人印鑑とは?会社印の種類と各用途をくわしく解説

法人印鑑とは?会社印の種類と各用途をくわしく解説

法人印鑑は、企業や団体などが組織を運営するために使用する会社印の総称です。主な法人印鑑は5種類あり、書類や手続きによって使い分けます。種類によって用途や形状が異なるため、それぞれの特徴を確認しておきましょう。

法人印鑑とは

法人印鑑は企業や団体などが組織を運営する際に、契約書などの書類に使用する会社印の総称です。

企業や団体を運営していくためには、取引先と契約を締結する、資産を管理するために銀行口座を開設するといった重要な場面で記名や押印が必要になります。また、納品書や郵便物の受け取りなど、日常的な業務でも押印が必要になる場面もあるでしょう。

一般的に使われる法人印鑑は5種類あり、印鑑の種類によって用途や形状が異なります。組織の運営を円滑に行うために、会社設立時に書類や業務内容に合わせて複数の印鑑を作成するのが一般的です。

法人印鑑の種類

法人印鑑と呼ばれるものは、大きく分けて代表印、会社銀行印、会社角印の3種類があります。必須ではありませんが、会社認印や会社の住所が入ったゴム印もあると便利です。ここでは、法人印鑑として作成されることが多い5種類の印鑑について解説します。

代表印(会社実印・法人実印・実印)

代表印(会社実印・法人実印・実印)は法人を設立する際に法務局に登録する印鑑で、企業にとって最も重要な印鑑です。代表印は個人の実印に相当します。

代表印は、重要な契約書や官公庁への書類などに組織の代表として押印する印鑑です。印影が丸く印面は二重になっており、円の外側に企業名、円の内側に役職名が入っているものが一般的です。

代表印は18~20mm程度の大きさで作成されるケースが多く、商標登記規則では以下のように定められているので、規定内のものを作成しましょう。

印鑑の大きさは、辺の長さが一センチメートルの正方形に収まるもの又は辺の長さが三センチメートルの正方形に収まらないものであってはならない。

引用:商業登記規則 | e-Gov法令検索 9条3項

会社銀行印(法人銀行印・銀行印)

会社銀行印(法人銀行印・銀行印)は、銀行での口座開設や手続きに使用される印鑑です。他の法人印鑑を会社銀行印として利用することもできますが、盗難や紛失リスクを避けるため、他の印鑑とは別に作成するのが一般的です。

代表印と同じく印影が丸く印面は二重になっており、円の外側に企業名、円の内側に「銀行之印」という文字が入っているものが一般的です。会社銀行印にサイズの制限はありませんが、代表印と区別するために小さめに作る企業が多いです。

会社角印(会社印、社印)

会社角印(会社印、社印)は日常業務で使用される印鑑です。代表印のように法務局への登録は不要で、サイズの制限もありません。

用途としては、見積書請求書領収書など企業で使用される書類の認印として使用します。一般的に印影が四角く、印面には企業名のみが入っています。

また、先ほど代表印で解説した商業登記規則の要件を満たしていれば、会社角印を代表印として登録することも可能です。しかし、代表印は企業にとってかなり重要な印鑑であるため、日常的に代表印を使用するとコピーや悪用のリスクを伴います。そのため、会社角印は代表印や銀行印とは別に作成することが推奨されます。

会社認印

会社認印は書留や荷物の受け取り時など、より簡易的な業務に使用される印鑑です。
形状や内容に決まりはありませんが、一般的には印影が丸く、印面に社名や代表者名が入っています。

会社角印と会社認印の違いは、使用する書類や業務の重要度です。会社角印はより重要な書類や業務に使用され、会社認印は簡易で日常的な業務に使用されます。

そのためインク浸透印で作成するなど、使いやすさを重視してもよいでしょう。

ゴム印(住所印)

ゴム印(住所印)は納品書や領収書など、組織名や住所、電話番号の記入が必要な時に使用する印鑑です。

形状や用途などに決まりはありませんが、印面には組織名、代表者名、住所、電話番号などが入っているものが一般的です。会社認印と同じく、インク浸透印が使用されるケースもあります。

ゴム印の作成は必須ではありませんが、日々の業務の中で書類に住所や電話番号を記載する場面は多いので、担当者の手間を省くために作成しておいたほうがよいでしょう。

法人印鑑の登録方法

法人設立の際に代表印として印鑑登録を行うことで、印鑑証明書を取得できるようになります。個人の印鑑登録は市区町村で行いますが、法人は法務局で手続きを行います。

法人設立時に行う登記申請も法務局で手続きを行うため、登記申請・印鑑登録は同時に行うことができます。法人印鑑の登録は以下の手順で行います。

STEP1:事業所本部を管轄している法務局へ印鑑届書を提出する
STEP2:印鑑カード交付申請書を提出する
STEP3:印鑑カードを受け取る

管轄の法務局は法務局の公式サイトで検索できるので、以下のリンクからご確認ください。
管轄のご案内(法務局)

「印鑑届書」とは、代表印を登録する際に必要な書類のことです。こちらも法務局の公式サイトからダウンロードできるので、以下のリンクからご確認ください。
登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式 (法務局)

印鑑届書を提出する際、登録する法人の印鑑のほかに、提出者の個人実印と印鑑証明書(発行から3ヵ月以内)が必要になるので、代表印と併せて準備しておきましょう。

印鑑カードの受け取りは会社設立時に必須の手続きではありませんが、印鑑証明書を取得するためには印鑑カードの提示が必要です。いずれ必要になるため、法人設立の際に一緒に手続きを済ませておくことをおすすめします。

オンライン申請時の印鑑登録は「任意」

法人登記の申請は法務局の窓口だけでなく、オンラインで行うことも可能です。以前は法人を設立する場合は印鑑届書の提出が義務化されていましたが、令和3年2月15日からオンラインで登記申請をした場合は、登記所への印鑑届出書の提出が任意になりました。

印鑑の登録は義務ではなくなりましたが、これまでどおり登録することをおすすめします。金融機関で融資を受ける際や、行政へ許認可の申請をする際など、実印の押印を求められることはまだ多いからです。

前述のとおり、印鑑登録をしないと印鑑証明書を取得できません。金融機関などから印鑑証明書を求められた時にすぐに取得できるようにしておくために、印鑑登録をしておくことをおすすめします。

ちなみに、これまでは法人の登記申請をオンラインで行った場合でも、印鑑届書の提出は郵送又は窓口で提出する必要がありました。しかし令和3年2月15日からは、オンラインで登記申請を行う場合に限って、印鑑届の提出もオンラインで行えるようになりました。

詳細は法務省の公式サイトをご確認ください
オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(商業・法人登記)(法務省)

印鑑の使い方

前章では印鑑の種類について解説しましたが、同じ印鑑でも使用する文書や目的によって使い方が異なります。ここでは、印鑑の5つの使い方を紹介します。

押印

押印とは、自筆での署名以外の方法で記された名前や名称に付して印を押すことです。自筆で署名した場合の印鑑は「捺印」といいます。

割印

割印とは原本と写しや正本と副本など、2つの書類が対であることを示すために、2つの書類にまたがって印を押すことです。例えば、契約書の原本と写しなどに使われます。

割印は、図のように2つの書類にまたがるように印を押すことで、2つの書類が対であることを証明します。
割印

図1:割印

契印

契印は契約書が複数枚に及ぶ場合に、一式の契約書であることを証明するためにページにまたがって印を押す方法です。引き抜きや改ざんを防止するために使われます。

契印は、図のようにすべてのページにまたがるように印を押します。
契印

図2:契印

捨印

捨印は図のようにあらかじめ書類の欄外に押印することで、「誤りがあった場合に訂正印として使える」ことを示すものです。あらかじめ捨印を押しておけば、いちいち訂正印を押す手間が省けます。
捨印

図3:捨印

捨印は必須ではなく、場合によっては相手の都合で書き換えられるリスクもあります。そのため、安易に使用するのは避けましょう。

消印

消印は、領収書など印紙税の課税文書に貼り付けた収入印紙に押すものです。郵便切手にも消印を押します。消印を押す理由は、収入印紙や郵便切手の再利用を防ぐためです。
消印

図4:消印

印紙税は収入印紙に消印を押すことで納税の証明となるため、消印を押していなかった場合は過怠税が徴収されます。収入印紙の消印は忘れずに押しましょう。

目的に応じて法人印鑑の役割は様々

法人を運営していくためには、複数の印鑑が必要です。組織を円滑に運営するために、法人印鑑は法人設立の際にまとめて作成しておきましょう。

また、法人印鑑はそれぞれ別の役割を担っています。日々の業務から重要な契約締結まで、目的に応じて正しく使い分けましょう。

よくある質問

会社設立時に作成するべき法人印鑑とは?

法人印鑑は、法人を運営するために使用する印鑑の総称です。一般的に必須とされている代表印、会社銀行印、会社角印のほか、日々の業務に役立つ会社認印やゴム印があります。詳しくはこちらをご覧ください。

代表印を認印として使用しても問題ない?

規定のサイズを守っていれば代表印を認印として使用することもできますが、不正使用のリスクを避けるために、認印とは別に作成することをおすすめします。詳しくはこちらをご覧ください。


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