• 更新日 : 2022年3月30日

口約束は契約として成立する?電話でも?

売買契約や請負契約、委任契約などの「契約」は、契約書を交わして締結するのが一般的です。これらの契約は、口約束や電話でも成立するのでしょうか?成立するとしたら有効期間はどうなるのでしょうか?変更や破棄はできるのでしょうか?今回は、口約束による契約について詳しく解説します。

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口約束は契約として成立します

「口約束」とは文書などによらない、言葉だけの約束のことです。結論から言うと、口約束であってもほとんどの契約は成立します。民法522条では、契約の成立と方式について以下のように定められています。

第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

引用:民法|e-GOV法令検索

つまり、契約は、法令に特別の定めがあるような例外的な場合を除き、原則として、契約内容について相手が同意した時点で成立します。それは、書面(契約書など)がなくても成立することになっています。

よって、口約束でも契約の内容に同意するという意思表示さえあれば、原則として契約は成立します。
例えば、友人から「その本を100円で売ってほしい」と言われ、それに対して「いいよ」と返事をすれば、民法上は売買契約が成立したことになり、約束を守らなかった場合は債務不履行となります。

電話で口約束した場合も契約として成立する?

電話で口約束をした場合も、やはり原則として契約は成立します。前述のとおり、契約は手段に関わらず、契約を申込まれた側が承諾の意思表示をすれば成立するからです。

わかりやすいのは出前です。顧客が飲食店に電話をかけて料理を注文する行為は、民法上の「申込み」という行為に該当します。スタッフが「かしこまりました。○○時にお届けします」と返事をすれば契約の締結を承諾したことになり、売買契約が成立します。もちろん電話でのやり取りなので口約束であり、契約書はありません。それでもお店が料理を配達しない場合や、顧客が代金を支払わない場合は債務不履行となります。

口約束での契約が有効な期間は?

契約が成立すると一方に「債権」が発生し、もう一方に「債務」が発生します。

「債権」はある人が別の人に一定の行為を請求する権利であり、「債務」は債権者が求める行為を履行する義務です。

例えばAさんがBさんに本を100円で売る約束をした場合、Aさんには「本を引き渡す」という債務と「代金として100円を受け取る」という債権が、Bさんには「本を受け取る」という債権と「代金として100円を支払う」という債務が発生します。

契約に基づく債権の消滅時効について、民法166条では以下のように定められています。

第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき

引用:民法|e-GOV法令検索

つまり、契約の有効期限は、通常、契約当事者である債権者において権利を行使することができる(例えば、代金の支払いを求めることができる)と知っていることから、5年ということです。契約書による契約でも、口約束でも同じです。

先ほどの例で考えてみましょう。AさんとBさんが口頭で本を売る(買う)という約束(契約)をしたにも関わらず、Bさんが本を譲るのを忘れていたとします。その4年後にAさんが約束を思い出して、本を引き渡すようBさんに催促することは可能です。逆にBさんが本を引き渡したにも関わらず、Aさんが代金の100円を支払わなかった場合は、4年後にBさんが100円を請求することができます。

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口約束で行った契約を破棄または変更したい場合は?

契約が成立したら、債務を履行しなければなりません。また、一方的に破棄したり変更したりすることもできません。口約束であっても、契約を履行しない場合は債務不履行となります。

ただし、契約を解除することはできます。例えば、民法では相手方が契約を守らない「債務不履行」や、債務の履行が契約の内容に適合しない「契約不適合責任」が認められる場合には解除ができると定めていますし、民法以外の特別法に定めがある場合にも解除がでると定めている場合がありますき(例えば、訪問販売が行われて特定商取引法が適用される場合など)。これらは法律に基づく解除として「法定解除」と呼ばれます。

また、法律とは別に当事者であらかじめ契約を解除できる事由を定め、その事由を満たしている場合も解除ができ、これは「約定解除」と呼ばれます。さらに、あらかじめ定めていなかった場合でも、当事者間で話し合って合意すれば解除(破棄)や変更も可能です。一旦契約を解除し、再度契約を締結することで実質的に契約内容を変更することもできます。

契約上の口約束について十分に注意しておこう

民法では口約束であっても契約が成立し、それを守らないと法律違反となります。たとえ軽い気持ちで承諾しても、契約は契約です。

特に口約束は証拠が残らないため、後々「言った」「言わない」のトラブルに発展しがちです。口約束から訴訟に至ったケースも多くあります。契約を締結する際には極力契約書を作成する、メールなど証拠が残るツールでやり取りするといった対策をしておくことをおすすめします。やむを得ず口約束をする場合は、後々のことも考えた上で返事をしましょう。

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よくある質問

口約束でも契約は成立しますか?

民法では申込みを受けた人が承諾の意思表示をした時点で契約が成立したとされ、その形式は問われません。よって、口約束でも契約は成立します。詳しくはこちらをご覧ください。

電話で口約束をした場合も契約は成立しますか?

電話であっても、契約の申込みに対して承諾すれば成立します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:福谷陽子(元弁護士、法律ライター)

弁護士時代は契約書作成やレビュー、不動産取引や債権回収、破産倒産、一般民事、家事事件など多種多様な事件を取り扱っていた。今はその経験を活かし、専門的な法律知識を一般ユーザーへわかりやすく解説する法律記事の作成に積極的に取り組んでいる。
各種サイトで法律記事を執筆監修。実績は年間1000件以上。ブログやYou Tubeなどによる情報発信にも熱心に取り組んでおりチャンネルを運営中。
元弁護士・法律ライター福谷陽子のblog
世捨て人mimi
元弁護士の世捨て猫🌟ぴりか(mimi)法律ライター

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