- 更新日 : 2024年11月7日
クラウド型の契約書管理システムのおすすめは?メリット、デメリットや比較ポイントを解説
契約書管理をクラウド上で行うと、法改正に自動で対応できる、管理コストを抑えられる、リモートアクセスができるなどのメリットがあります。料金体系・操作性・機能・サポート・セキュリティなどを総合的に考慮して、導入するクラウド型の契約書管理システムを選定しましょう。本記事では、クラウド型の契約書管理システムについて詳しく解説します。
目次
契約書管理をクラウド上で行うメリット
クラウド上で契約書管理を行うことには、主に以下のメリットがあります。
- 法改正に自動で対応できる
- 管理コストを抑えられる
- リモートアクセスができる
法改正に自動で対応できる
クラウド型の契約書管理システムは、契約書の管理方法などに関する法改正へいち早く対応する傾向にあります。例えば、2022年1月以降に電子帳簿保存法が改正された際には、各システムの運営会社において迅速な対応がなされました。
法改正へ自動で対応することにより、手間を省くとともにコンプライアンスを徹底できる点は、クラウド型の契約管理システムの大きなメリットの一つです。
管理コストを抑えられる
紙の契約書を保管するためには、物理的な保管スペースが必要です。契約書の通数が増えると、必要な保管スペースも増えてコストがかさみます。
クラウド上で契約を管理する場合は、物理的な保管スペースが必要ありません。特に契約書の締結が多い企業においては、クラウド管理によって契約書の管理コストを抑えられる可能性が高いでしょう。
リモートアクセスができる
クラウド上で管理されている契約書には、オフィスにいなくても遠方からオンラインでアクセスすることができます。スムーズに契約書ファイルを開くことができ、内容を検索することも可能です。
クラウド管理によって契約書へのリモートアクセスができるようになれば、業務の大幅な効率化につながります。
契約書管理をクラウド上で行うデメリット
クラウド上で契約書管理を行うことのデメリットとしては、主に以下の各点が挙げられます。
- ネットワークが不調だと利用できない
- メンテナンス中は操作ができない
- セキュリティが脆弱だと情報漏えいのリスクがある
ネットワークが不調だと利用できない
停電やサーバー側の問題などによってネットワークが不調になると、クラウド管理されている契約書にアクセスできなくなります。特に運営会社のサーバーに問題が生じると、契約書へアクセスできない状態が数日間にわたって続くかもしれません。
メンテナンス中は操作ができない
クラウド型の契約書管理システムは、運営会社によって定期的または不定期にメンテナンスが行われます。メンテナンス中は、原則としてクラウド管理されている契約書へのアクセスができません。
ただし、メンテナンスは事前に予告されるケースが大半で、短時間で終わることが多いので、それほど大きな問題にはならないでしょう。
セキュリティが脆弱だと情報漏えいのリスクがある
運営会社がサーバー攻撃などを受けた際には、クラウド管理されている契約書のデータが流出してしまう恐れがあります。システム上のセキュリティが脆弱だと情報漏えいのリスクが高まるので、導入するシステムを選定する際にはセキュリティ面にも注目しましょう。
クラウド型とオンプレミス型の違い
契約書管理システムを含むワークフローシステムは、「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類に大別されます。
クラウド型は、運営会社がオンライン上で提供しているサービスを、不特定多数の事業者が利用するものです。
これに対してオンプレミス型では、自社専用のシステムを構築します。
クラウド型とオンプレミス型の主な違いを下表にまとめました。
クラウド型 | オンプレミス型 | |
---|---|---|
導入や運用のコスト | 安い | 高い |
導入に要する準備期間 | 短い | 長い |
カスタマイズ性 | 限定的 | 自由度が高い |
クラウド型の利点は、導入や運用にかかるコストが比較的安く、契約すればすぐにシステムを利用できる点です。その反面、既存のシステムを利用するため、自社のニーズに合わせたカスタマイズの幅が限定されます。
オンプレミス型の利点は、自社のニーズに合わせて自由にシステムをカスタマイズすることができる点です。しかし、自社専用のシステムをゼロから構築するため、導入や運用のコストが高く、長い準備期間を要します。
一般的には、契約管理に当たってはクラウド型のシステムを利用するのがよいでしょう。
クラウドサービスの利用状況
引用: 令和5年通信利用動向調査の結果 5 クラウドサービスの利用状況(企業)|総務省
総務省の調査によると、2023年8月末時点で、クラウドサービスを全社的に利用していると回答した企業が50.6%、一部の事業所または部門で利用していると回答した企業が27.1%、合計で77.7%に達しました。クラウドサービスを利用する企業の割合は、近年一貫して増加傾向にあります。
クラウドサービスの利用用途として最も高い割合を占めているのが「ファイル保管・データ共有」です。ファイル保管とデータ共有が本質的な要素である契約管理は、クラウドサービスと相性のよい業務といえます。
クラウドサービスを利用する理由としては、「場所、機器を選ばず利用できるから」「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」という回答が多く見られました。
実際にクラウドサービスを利用した企業のうち、88.4%が一定以上の効果を実感しているとのことです。
クラウド型の契約書管理システムを選ぶポイント
現在、さまざまな種類のクラウド型の契約書管理システムがリリースされています。実際に導入する契約書管理システムを選ぶ際には、以下のポイントに着眼するとよいでしょう。
- 料金体系はリーズナブルかつ明確か
- 無料トライアルがあるか
- 操作性がよく使いやすいか
- 業務に必要な機能はあるか
- 紙の契約書のスキャンにも対応しているか
- サポートは充実しているか
- システム間連携や拡張性
- セキュリティ対策
料金体系はリーズナブルかつ明確か
クラウド型の契約書管理システムを導入するに当たり、コストパフォーマンスは無視できない重要なポイントです。毎月の料金がリーズナブルであり、かつ予期せぬ追加費用が発生しないものを選びましょう。
無料トライアルがあるか
クラウド型の契約書管理システムを本格的に導入する前に、試しに無料で使用できる期間が設けられていると、操作性や機能などを実体験として確認できます。どの契約書管理システムを導入するか決めかねているなら、無料トライアルができるものを試してみましょう。
操作性がよく使いやすいか
ストレスなく契約書のクラウド管理するためには、システムの操作性のよさも重要なポイントです。無料トライアルなどを活用して、契約書管理システムを実際に使ってみて、操作性に問題がないかどうかを確認しましょう。
業務に必要な機能はあるか
契約書管理システムに搭載されている機能は、各サービスによって異なります。契約管理に関する自社の業務フローを整理したうえで、必要な機能が備わっている契約書管理システムを選びましょう。
紙の契約書のスキャンにも対応しているか
契約書管理システムでは、電子的に締結した契約だけでなく、紙で締結した契約も一元的に管理できることが望ましいです。
紙で締結した契約は、スキャンをすれば電子データ化できます。紙の契約書のスキャンデータもクラウド上にアップロードできる契約書管理システムを選びましょう。
サポートは充実しているか
クラウド型の契約書管理システムを利用する中では、操作方法などについて分からないことが出てくるかもしれません。その際、運営会社の手厚いサポートを受けることができれば安心です。
契約書管理システムの利用に当たり、どのようなサポートが受けられるのかを事前に確認しておきましょう。
システム間連携や拡張性
契約書管理だけでなく、人事・労務管理や会計・税務などについても併せてクラウド管理したい場合は、システム間連携や拡張性に優れたサービスを選ぶとよいでしょう。分野横断的にクラウドを活用できれば、さらなる業務の効率化につながります。
セキュリティ対策
クラウド型の契約書管理システムを導入するに当たって、情報漏えいのリスク管理は必要不可欠です。システム上のセキュリティ対策を確認し、不安があれば運営会社に詳細を問い合わせましょう。
クラウド型契約書管理システムによる契約管理の流れ
クラウド型の契約書管理システムを利用して契約管理を行う際の大まかな流れは以下の通りです。
- 契約書ドラフトの作成
- ドラフトのレビューと承認
- 契約書の締結
- 契約書の保管・期限管理
契約書ドラフトの作成
契約書を締結するのに先立ち、まずは契約内容を確定するために、当事者のいずれかが契約書のドラフトを作成します。
契約書ドラフトの作成に当たっては、取引の内容が正しく表現されているか、自社にとって不利益な条項が含まれていないかなどを十分にチェックしましょう。また、取引の種類によっては、契約において一定の事項を定めることが義務付けられているケースもあるので注意が必要です。
営業担当者・現場担当者・法務担当者などの間で適切に連携を行い、契約書のファーストドラフトを仕上げましょう。
クラウド型の契約書管理システムの中には、さまざまな契約書のテンプレートを搭載しているものがあります。システム上のテンプレートを利用すると、契約書のドラフトをスムーズに作成できます。
ドラフトのレビューと承認
契約書のドラフトが完成したら、相手方との間で契約交渉を行い、その内容をドラフトに反映していきます。
契約書をクラウド管理する場合は、ドラフト段階でのレビュー(チェック)もクラウド上で行うことが望ましいでしょう。契約書管理システムのワークフロー機能を利用すれば、誰がどのような修正を行ったのか、必要な社内承認は得られているのかなどが一目で分かります。
契約書の締結
契約交渉を通じて契約書の内容が確定したら、当事者間で契約書を締結します。
契約書をクラウド管理する場合は、電子契約の方式で締結するのがよいでしょう。
電子契約の締結に当たっては、契約書ファイルに電子署名を付与することが推奨されます。電子署名機能を有する契約書管理システムを活用すれば、スムーズに電子契約を締結できます。
紙で契約書を締結した場合は、クラウド管理をするために紙の契約書をスキャンして電子データ化する必要があります。契約書管理システムがスキャンデータにも対応している場合は、システム上にスキャンデータをアップロードしましょう。
契約書の保管・期限管理
締結した契約書のデータは、契約書管理システム上でクラウド管理します。アクセス権とパスワードを適切に設定して、無関係の役員や従業員が契約書ファイルにアクセスできないようにしておきましょう。
契約書の有効期限を適切に管理することも重要です。契約が予期せず終了したり、打ち切り予定の契約が自動更新されてしまう事態を防ぐ必要があります。
契約書管理システムにおいて、有効期限のアラート通知機能が搭載されている場合には、アラートを設定しておくと有効期限の見落としを防ぐことができます。
マネーフォワード クラウド契約の特徴
「マネーフォワード クラウド契約」は、多機能で使いやすいクラウド型の契約書管理システムです。
このシステムにはテンプレート機能が搭載されており、契約書のドラフトをスムーズに作成できます。契約交渉の段階では、ワークフロー機能を活用すれば申請・承認プロセスの進捗状況が一目でわかるようになっています。
実際に契約書を締結する際には、このシステムを利用して電子署名とタイムスタンプを付与することにより、契約書の有効性が確実なものとなります。送信数による従量課金はありませんので、契約締結の頻度が高い企業も安心して利用できます。
スマートフォンからでも契約書の確認・署名・押印が可能で利便性に優れているほか、アクセスキーの発行によって本人確認の精度を高められます。
締結した契約書のデータファイルは、このシステム上で一元管理できます。他社の電子契約サービスで締結した契約書のデータや、紙の契約書のスキャンデータも登録が可能です。
クラウド上で管理されている契約書ファイルは、種別・契約書名・相手方の名称・契約開始時期などによって検索できます。契約書の有効期限に関するアラート通知も搭載されており、終了や更新のタイミングを見逃すことがありません。
セキュリティ面では、閲覧権限を個人単位またはグループ単位で設定できます。
このように多くの機能を備えている「マネーフォワード クラウド契約」は、幅広い企業の契約書管理に関するニーズを満たせると思われます。契約書のクラウド管理を始めようと考えている企業は、「マネーフォワード クラウド契約」の導入をご検討ください。
クラウド型の契約書管理システムを導入する際には、無料トライアルで機能面などをチェック
契約書管理は、クラウド型のシステムと相性がよい業務です。自社のニーズに合った機能を搭載したクラウド型サービスを導入すれば、契約書管理業務を大幅に効率化できます。
クラウド型の契約書管理システムの機能はさまざまなので、本格的に導入する前に無料トライアルを利用して、機能や操作性などをチェックしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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