• 更新日 : 2022年2月25日

印紙税が必要となるものの一覧表 こんなものでも必要に?

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印紙税は収入印紙を貼って納めるもので、契約書や領収書が課税対象の代表例です。

ただし、商取引で使う文書には、ほかにも印紙税が課税されるものがあります。この記事では、印紙税が課税される文書と印紙税額の一覧表をご紹介します。

あわせて、印紙税を納める方法と納めなかったときの罰則もお伝えします。印紙税を納めなければ最大で3倍の過怠税が課されるので注意しなければなりません。

印紙税の課税対象となる文書と印紙税額の一覧表

印紙税は、主に商取引で使う文書に対して課税されるものです。

課税対象となる文書の代表的な例は、契約書や領収書です。実際にこれらの文書に収入印紙が貼られているのを目にすることもあるでしょう。

このほか約束手形、預金通帳や会社の設立に必要な定款も印紙税の課税対象です。

印紙税の課税対象となる文書と印紙税額の一覧表は次のとおりです。文書に記載されている金額(受け取った金額や契約金額など)に応じて、印紙税額が定められています。また、文書の種類ごとに、1通あたりの印紙税額が一律に定められるものもあります。

なお、平成9年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡や建設工事の請負に関する契約書については、印紙税額が軽減されています。

文書の種類印紙税額(1通又は1冊につき)
1l  不動産、鉱業権、無体財産権、船舶、航空機又は営業の譲渡に関する契約書
l  地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書
l  消費貸借に関する契約書
l  運送に関する契約書(用船契約書を含む。)
記載された契約金額が
1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1千円
100万円を超え500万円以下2千円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円
平成26年4月1日から平成30年3月31日までの間 に作成される不動産の譲渡に関する契約書については次のとおり。
記載された契約金額が
1万円以上50万円以下200円
50万円を超え100万円以下500円
100万円を超え500万円以下1千円
500万円を超え1千万円以下5千円
1千万円を超え5千万円以下1万円
5千万円を超え1億円以下3万円
1億円を超え5億円以下6万円
5億円を超え10億円以下16万円
10億円を超え50億円以下32万円
50億円を超えるもの48万円
2請負に関する契約書記載された契約金額が
1万円未満非課税
100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下1千円
300万円を超え500万円以下2千円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円
平成26年4月1日から平成30年3月31日までの間 に作成される建設工事の請負に関する契約書については次のとおり。
記載された契約金額が
1万円以上200万円以下200円
200万円を超え300万円以下500円
300万円を超え500万円以下1千円
500万円を超え1千万円以下5千円
1千万円を超え5千万円以下1万円
5千万円を超え1億円以下3万円
1億円を超え5億円以下6万円
5億円を超え10億円以下16万円
10億円を超え50億円以下32万円
50億円を超えるもの48万円
3約束手形又は為替手形記載された手形金額が
10万円未満非課税
100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下600円
300万円を超え500万円以下1千円
500万円を超え1千万円以下2千円
1千万円を超え2千万円以下4千円
2千万円を超え3千万円以下6千円
3千万円を超え5千万円以下1万円
5千万円を超え1億円以下2万円
1億円を超え2億円以下4万円
2億円を超え3億円以下6万円
3億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下15万円
10億円を超えるもの20万円
手形金額の記載のないもの非課税
上記のうち、記載された手形金額が
(1)一覧払のもの10万円未満
10万円以上
非課税
200円
(2)金融機関相互間のもの
(3)外国通貨で金額を表示したもの
(4)非居住者円表示のもの
(5)円建銀行引受手形表示のもの
4株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託、若しくは受益証券発行信託の受益証券記載された券面金額が
500万円以下200円
500万円を超え1千万円以下1千円
1千万円を超え5千万円以下2千円
5千万円を超え1億円以下1万円
1億円を超えるもの2万円
(注)株券については、1株当たりの払込金額に株数を掛けた金額を券面金額とする。
5合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書4万円
6定款 (会社設立時作成の原本に限る)4万円
(非課税文書:株式会社又は相互会社の定款のうち公証人法の規定により公証人の保存するもの以外のもの)
7継続的取引の基本となる契約書4千円
8預金証書、貯金証書200円
(非課税文書:信用金庫その他特定の金融機関の作成するもので記載された預入額が1万円未満のもの)
9貨物引換証、倉庫証券、船荷証券200円
(非課税文書:船荷証券の謄本)
10保険証券200円
11信用状200円
12信託行為に関する契約書200円
13債務の保証に関する契約書200円
(非課税文書:身元保証ニ関スル法律に定める身元保証に関する契約書)
14金銭又は有価証券の寄託に関する契約書200円
15債権譲渡又は債務引受けに関する契約書記載された契約金額が
1万円未満のもの非課税
1万円以上のもの200円
契約金額の記載のないもの200円
(非課税文書:記載された契約金額が1万円未満のもの)
16配当金領収証、配当金振込通知書記載された配当金額が
3千円未満のもの非課税
3千円以上のもの200円
配当金額の記載のないもの200円
17売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書記載された受取金額が
5万円未満非課税
100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下600円
300万円を超え500万円以下1千円
500万円を超え1千万円以下2千円
1千万円を超え2千万円以下4千円
2千万円を超え3千万円以下6千円
3千万円を超え5千万円以下1万円
5千万円を超え1億円以下2万円
1億円を超え2億円以下4万円
2億円を超え3億円以下6万円
3億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下15万円
10億円を超えるもの20万円
受取金額の記載のないもの200円
営業に関しないもの非課税
売上代金以外の金銭又は有価証券の受取書記載された受取金額が
5万円未満非課税
5万円以上200円
受取金額の記載のないもの200円
営業に関しないもの非課税
18預金通帳、貯金通帳、信託通帳、掛金通帳、保険料通帳1年ごとに200円
(非課税文書:1.信用金庫など特定の金融機関の作成する預貯金通帳2.所得税が非課税となる普通預金通帳など3.納税準備預金通帳)
19消費貸借通帳、請負通帳、有価証券の預り通帳、金銭の受取通帳などの通帳(18号の通帳を除く)1年ごとに400円
20判取帳1年ごとに4千円

(参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁)
(参考:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁)
(参考:No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁)

課税対象になるかどうかは実質的な内容で判断する

商取引で作成した文書が印紙税額一覧表で示された課税対象文書にあたるかどうかは、文書の名前や表題にかかわらず、実質的な内容で判断することになっています。

たとえば、印紙税額一覧表の17号文書は「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」ですが、一般的には領収書のことをさします。領収書という名称でなくても、金銭や有価証券を受け取ったことを実質的に証明しているものであれば、印紙税の課税対象となります。

したがって、「受取書」、「レシート」、「お買い上げ票」という名称のものや、請求書納品書に「代済」、「相済」、「了」などと記載して領収書の発行に代えているものも、それらは印紙税の課税対象となります。

印紙税が課税されない場合もある

契約書、領収書や約束手形は、記載されている金額が少額であれば印紙税は課税されません。たとえば、領収書は記載の金額が5万円未満(平成26年3月までは3万円未満)であれば、印紙税は課税されません。

また、領収書であっても金銭の受け渡しがない場合は、印紙税は課税されません。具体的には、クレジットカードで買い物をした場合に、クレジットカード利用控とは別に発行される領収書があてはまります。

このとき、領収書には「クレジットカード利用」などと明記しておく必要があります。

このほか、特別な場合に印紙税が非課税になることがあります。詳しくは印紙税額一覧表や国税庁ホームページを参照してください。

印紙税の納め方と納めなかったときの罰則

文書に収入印紙を貼って消印する

印紙税は他の税金とは異なり、通常の場合は税務署に申告する必要はありません。印紙税額一覧表で定められた額の収入印紙を文書に貼って消印することで、印紙税を納税したことになります。

消印は、文書と収入印紙にまたがって印鑑を押すか、署名することとされています。単に「印」と書いたり斜線を引いたりしただけでは消印したことにはなりません。また、鉛筆やシャープペンシルなど、消せる筆記具で署名した場合も消印したことにはなりません。

量販店のレシートや銀行の預金通帳のように課税対象の文書を大量に発行する場合は、税務署に申請することで収入印紙を省略することができます。ただし、印紙税が免除されるわけではないので、1か月分の印紙税額を取りまとめて翌月末までに税務署に申告する必要があります。

収入印紙を省略する場合は、文書に次の図のような書式を表示する必要があります。「印紙税申告納付につき」と「税務署承認済」の間の空欄には所轄の税務署の名前を記載します。
書式表示による納付の特例

収入印紙を貼らなければ3倍の過怠税

他の税金と同様に、印紙税の納税を免れようとした場合には罰則があります。

印紙税の課税対象の文書に収入印紙を貼らなかった場合は、本来貼るべきであった収入印紙の額の3倍の過怠税が課されます。ただし、税務署による調査を受ける前に、収入印紙を貼らなかったことを自主的に申し出た場合は1.1倍に軽減されます。

また、収入印紙に消印をしなかった場合は、消印をしなかった収入印紙の額面と同額の過怠税が課されます。先ほどもお伝えしたように、印紙税は収入印紙を文書に貼って消印することで納税したことになります。収入印紙を貼ればそれでよいと誤解されることも多いので、注意が必要です。

まとめ

印紙税の課税対象となる文書には、契約書や領収書など、商取引で使うさまざまなものがあります。印紙税を納めなかったり収入印紙に消印をしなかったりした場合は、過怠税が課されてしまいます。

ここで掲げた印紙税額一覧表や国税庁ホームページなどでよく確認して、印紙税を正しく納めるようにしましょう。

また、作成した文書が印紙税額一覧表で示された課税対象文書にあたるかどうかは、文書の名前にかかわらず実質的な内容で判断する点に注意しましょう。

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よくある質問

印紙税の課税対象となる文書は?

課税対象となる文書の代表的な例は、契約書や領収書です。詳しくはこちらをご覧ください。

印紙税が課税されない場合はある?

あります。契約書、領収書や約束手形は、記載されている金額が少額であれば印紙税は課税されません。詳しくはこちらをご覧ください。

印紙税を納めないとどうなる?

印紙税の課税対象の文書に収入印紙を貼らなかった場合は、本来貼るべきであった収入印紙の額の3倍の過怠税が課されます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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