- 更新日 : 2025年12月2日
注文書や注文請書は電子契約にできる?電子化のメリットや保存要件も解説
注文書や注文請負書はさまざまな方法で電子化が可能です。電子帳簿保存法の改正やコロナ禍をきっかけにデジタルへの移行を試みているものの、よく分からないとお悩みの方も多いでしょう。
この記事では注文書や注文請負書、それぞれの電子契約の方法を詳しく解説します。
目次
注文書や注文請書は電子契約にできる
注文書や注文請書は紙媒体から電子契約へ移行できます。電子契約を導入することで契約書類のやり取りや管理がしやすくなり、効率的な業務運営が期待できるほか、ペーパーレスによるコスト削減や業務スピードの向上など、数多くのメリットがあります。
注文書と注文請書の違い
注文書とは発注者が商品やサービスの提供を依頼する際に発行する書類です。一方、注文請書は受注者がその注文を正式に受け付けたことを証明する書類を指します。
注文書と注文請書は、発注と受注の両者間で契約の確定を行う重要な役割を担っています。電子化すればこれらの文書のやり取りが迅速かつ効率的に行われ、確認作業の手間も省けるようになるでしょう。
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注文書や注文請書を電子化するメリットは?
以下で注文書や注文請書を電子化することのメリットについて見ていきましょう。
印刷・郵送のコストを削減できる
注文書や注文請書を紙で発行すると印刷や郵送のコストがかかり、さらにそれらの保管スペースも必要になります。電子契約によるペーパーレス化を実現できれば、印刷や郵送にかかる費用を削減できるのが大きなメリットです。注文書をデータ化すると書類を一元管理できるため、ファイルの検索や更新もスムーズに行えるようになります。
収入印紙が不要になる
紙の契約書には収入印紙が必要になるケースがありますが、電子契約の場合は基本的に収入印紙を貼る必要がなくなります。契約ごとに発生する印紙税の負担が削減される点も大きなメリットです。電子契約を導入することでこうしたコストも省き、企業にとって財政的な負担も軽減されます。
セキュリティを強化できる
電子契約を利用することで書類のセキュリティも強化できます。紙の契約書は紛失や改ざんのリスクが伴いますが、電子化された書類はデータとしてパソコンやサーバーに保管でき、暗号化技術やアクセス制御の設定も可能です。そのため、契約書の紛失や改ざんリスクを最小限に抑えられます。
さらに、ログ管理機能を利用すれば、誰が・いつ・どのように文書を扱ったかが記録されるため、トラブルが発生した場合にも素早く対処できます。
注文書を電子化する方法
注文書を電子化するにはPDF作成やスキャン、電子契約システムの活用など、さまざまな方法があります。こちらでは具体的な手順を5つ解説します。
WordやExcel、スプレッドシートでPDFファイルを作成する
注文書を電子化するもっとも簡単な方法はWordやExcel、Googleスプレッドシートなどで書類を作成し、PDFファイルとして保存する方法です。これらのソフトはほとんどの会社で使われているため、特別なツールを用意する手間やコストを防げます。
WordやExcelでは「名前を付けて保存」でPDF形式で保存することで、書類をPDF化できます。また、Googleスプレッドシートを使用すれば、オンラインで作成したファイルを簡単にPDF形式でダウンロードすることも可能です。
PDF形式にすることで、ファイルの改ざん防止や、他のデバイスでの互換性が確保でき、電子帳簿保存法の要件を満たした状態で保存できます。
さらに、電子署名機能を活用すれば電子的に作成された注文書でも法的効力を持たせられます。
書面をスキャンしてPDFに変換する
既に紙ベースで作成された注文書をデジタル化する場合、スキャナーやスマートフォンアプリを使用してPDF化する方法があります。専用スキャナーを使うことで、紙の書類を瞬時にデジタルファイルとして保存することが可能です。
また、最近のスマートフォンには高性能なカメラが搭載されており、スキャンアプリを利用すれば手軽に紙書類をPDF化できます。このプロセスにより、紙で保管する手間を省け、電子データとしての保存・管理が容易になります。
スキャンした注文書はクラウド上に保存してバックアップを取ることもできるので、取引先や社内への共有もしやすく、紛失するリスクも抑えられます。
書面を電子契約システムに取り込む
紙ベースの注文書を電子契約システムに取り込むことで、法的に有効な電子注文書として管理でき、ワークフローの効率化も図れます。
電子契約システムではまず紙の注文書をPDFなどのデジタルフォーマットに変換し、そのデータをシステムにアップロード。次に関係者の電子署名を行い契約書の確認や承認作業を行います。電子証明書を追加することも可能です。
電子契約システムを使うことで、書類のやり取りにかかる時間を短縮でき、郵送や印刷の手間がなくなります。また、データはクラウド上で安全に保管され、必要なときに迅速にパソコンやスマホからアクセスできるのもメリットの一つです。
電子契約システム上で注文書を作成する
電子契約システムを使用する場合、注文書をシステム内で直接作成することが可能です。電子契約プラットフォームを利用すると、注文書をデジタル形式で作成・署名・保存・共有できます。
注文書の作成から送信、契約成立までの全プロセスを一元管理できるため、時間やコストの削減が期待できます。また、電子契約システムは法的要件を満たすセキュリティ対策が施されているため、安心して利用できるでしょう。
特に複数の取引先と同時に契約を進める場合、紙ベースの注文書よりもはるかに迅速で効率よく作業が行えます。
電子化ツールを使用する
注文書の電子化には専用の電子化ツールを使用する方法もあります。例えばOCR(Optical Character Recognition/Reader)、つまり「光学的文字認識」を利用して書類をデータ化すると、画像から文字を読み取り検索しやすくなるのです。
OCRはOCR搭載スキャナーを利用したり、取り込んだ画像から文字を読み取るソフトウェアを利用したりする方法があります。
スキャンした書類でも文字の認識が可能なので、紙の書類を人力で打ち込んだりする手間が省けます。
注文請書を電子化する方法
注文請書を電子化する方法は複数存在します。ここからは書面をスキャンしてPDFにする、電子契約システムに紙の書面を取り込む、電子化ツールを利用するという3つの方法について詳しくご紹介します。
書面をスキャンしてPDFに変換する
PDF化することで紙の書類をそのまま電子データとして保存でき、電子帳簿保存法に基づく保存要件を満たせます。ただし、スキャンしたPDFデータには、タイムスタンプや電子署名を付与しましょう。これらのプロセスにより、データの改ざん防止や信頼性が担保され、法的効力も維持されます。
さらに、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たした場合、原則として原本の紙の書類は保存が不要となり、保管スペースを必要としません。
書面を電子契約システムに取り込む
注文書、注文請書のデジタル化において、スキャンした書類を電子契約システムに取り込むことも有効です。電子契約システムを使用することでデジタル化された書類を一元管理でき、契約の履歴や変更内容を確認しやすくなるため、自社・取引先ともにメリットの多い方法といえます。
また、電子契約システムでは法的に認められた電子署名やタイムスタンプが自動的に付与されるため、手作業で電子化するよりも法令遵守しやすくなるのも特徴です。紙書類に比べて業務プロセスが効率化され、コスト削減にも繋がります。
すべての契約書や注文書をデジタルで管理できるため、より安全かつスムーズな業務運営が可能ですが、不測の事態に備えてバックアップ体制やログイン情報の共有といった対策も必要です。
電子化ツールを使用する
注文請書の電子化には電子化ツールの利用も非常に便利です。クラウドベースのツールは注文請書の作成から署名、保存までを一貫して管理でき、データもクラウド上に保管できるため、特に個人事業主や小規模企業にとっては事務負担が軽減できます。電子帳簿保存法に基づいた保存要件を満たす機能が搭載されており、法的要件にも対応しています。
電子化ツールを使うことで、紙書類を取り扱う手間が省け、ペーパーレス化によるコスト削減が期待できます。また、注文請書だけでなく、他の契約書類も一括で管理できる点が魅力です。
注文書や注文請書の保存要件
注文書や注文請書は、税務調査や法律に基づいた監査に備えて適切に保存する必要があります。法人は原則として7年間、個人事業主は5年間の保存義務があります。
これらの書類を電子化する場合は、電子帳簿保存法に基づく厳しい要件を満たす必要があります。例えば、保存データは改ざんされないことを保証する技術的な措置を講じること、検索可能な状態で保管することなどが求められます。
適切な保存方法を導入することで、コンプライアンスの強化しつつ効率的なデータ管理が行えます。
法人は7年間、個人事業主は5年間保存する必要がある
法人は注文書や注文請書などの取引関連書類を7年間保存する義務があります。これは法人税法や会社法に基づいて定められており、税務調査や会計監査の際に必要とされることがあります。
一方、個人事業主は所得税法に基づき、5年間の保存義務があります。保存期間中は書類が劣化しないように適切に管理することが求められ、電子化されたデータであれば電子帳簿保存法に準拠した管理が必要です。
電子帳簿保存法の保存要件にも対応する必要がある
電子契約で注文書や注文請書を保存する場合、電子帳簿保存法の保存要件に従う必要があります。
電子帳簿保存法では、保存されるデータの「真実性」と「可視性」が求められ、具体的にはタイムスタンプの付与、電子データが改ざんされていないことの証明などが必要です。
また、検索機能を備えていなければならず、税務署の要請に応じてすぐに書類を提示できるように管理することも求められます。
注文書の電子化で期待される費用・工数削減効果のデータ
マネーフォワード クラウドが2025年5月に実施した調査(電子契約業務経験者1,563名対象)によると、電子契約システムで便益を感じられるポイントとして「費用削減」(35.6%)と「工数削減」(34.4%)が最も多く挙げられました。さらに、費用削減の詳細では「印紙税の不要化」(30.6%)、「郵送関連費用の削減」(20.0%)、「印刷・消耗品費の削減」(19.8%)が上位を占めています。
印刷・郵送コストと印紙税の削減効果が高い
工数削減面では「契約書の印刷・製本など手作業の省略」が21.6%で最も重視されており、本記事で解説した注文書や注文請書の電子化によって得られるメリットと一致しています。電子化により、印刷・郵送コストや収入印紙が不要になるだけでなく、契約締結までのリードタイム短縮も期待でき、多くの企業が実務上の効果を実感していることが明らかになっています。
注文書を電子化して効率よく書類を管理しよう
電子帳簿保存法の運用開始やDX化への需要が高まる中で、注文書や注文請負書の電子化は必須といっていいほど重要な工程です。難しいイメージがありますが、電子化することで紙の書類のように保管スペースを確保する必要がなくなり、過去の書類を探すのも容易になるなど、事業主にも多くのメリットがあります。
ただデータ化するのではなく、タイムスタンプの付与や真実性・可視性の確保といった電子帳簿保存法に定められた要件を満たさなければなりません。やり取りの都度、要件を満たす作業を行うのが手間だと感じる場合は、電子契約システムの利用がおすすめです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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