- 作成日 : 2025年3月3日
商号及び営業譲渡契約書とは?ひな形をもとに書き方・例文を解説
商号及び営業譲渡契約書とは商号や営業権を譲渡する際に、譲渡側と譲受側が締結する契約書です。この記事では、商号及び営業譲渡契約書がどのような書類であるか、またどのようなケースで締結されるのかに触れ、記載すべき項目や書き方についてテンプレートを交えて紹介します。
▼商号及び営業譲渡契約のひな形・テンプレートを無料でダウンロードいただけます
目次
商号及び営業譲渡契約とは?
商号及び営業譲渡契約書(しょうごうおよびえいぎょうじょうとけいやくしょ)は、店舗の商号や営業権を譲渡する際に、譲渡側と譲受側が締結する契約書です。
譲渡対象物、譲渡日、譲渡価格、従業員の雇用、取引先との関係、その他商号・営業譲渡に関わる取り決めが記載され、両者が署名および押印した時点で契約が成立したと見なされます。
なお、営業譲渡契約は口頭でも成立しますが、後に「言った・言わない」のトラブルに発展するおそれがあります。
契約書という書面にて取り決めを明記し、双方が署名・押印することで、契約成立の証拠を残すことが可能です。
参考:民法|e-GOV法令検索
事業譲渡契約書との違い
商号及び営業譲渡契約書に似たものとして事業譲渡契約書が挙げられます。
いずれも会社の事業を譲渡する際に締結する契約であり内容もほぼ同じです。商号及び営業譲渡契約書は、小売店や飲食店、サロンなどの店舗やその商号を譲渡する際に締結するケースが多いようです。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い45個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
実際の契約に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。
【弁護士監修】チェックリスト付き 改正下請法 1から簡単解説ガイド
下請法の改正内容を基礎からわかりやすく解説した「改正下請法 1から簡単解説ガイド」をご用意しました。
本資料では、2025年改正の背景や主要ポイントを、弁護士監修のもと図解や具体例を交えて解説しています。さらに、委託事業者・受託事業者それぞれのチェックリストを収録しており、実務対応の抜け漏れを防ぐことができます。
2026年1月の施行に向けて、社内説明や取引先対応の準備に役立つ情報がギュッと詰まった1冊です。
弁護士監修で分かりやすい! 契約書の作り方・書き方の教科書
弁護士の南陽輔氏(一歩法律事務所所属)が監修している「契約書の作り方・書き方の教科書」ガイドです。
契約書作成の基本知識、作成の流れ・記載項目、作成時の注意点・論点が、分かりやすくまとまっています。手元に置ける保存版としてぜひご活用ください。
自社の利益を守るための16項目 契約書レビューのチェックポイント
契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
契約書のレビューを行う企業法務担当者や中小企業経営者の方にもご活用いただけます。
商号及び営業譲渡契約を交わすケース
商号及び営業譲渡契約書は譲渡側がこれまで運営してきた店舗を他者に譲り渡す際に締結します。
例えば、会社の業績が悪化していて事業を譲渡する場合、逆に店舗の業績が好調で第三者から譲渡の打診を受けてそれに応じる場合、事業承継として子、親族、従業員、知人などに譲渡するケース、後継者が見つからないときに第三者に譲渡(いわゆるM&A)するケースなどが考えられます。
商号及び営業譲渡契約書のひな形・テンプレート
商号及び営業譲渡契約書は多くの方にとってはそれほど締結する機会は多くないでしょう。そこで、このサイトではすぐに使えるひな形をご用意しましたので、ぜひこちらを活用ください。
商号及び営業譲渡契約書の書き方や例文
ここからは商号及び営業譲渡契約書に盛り込むべき内容や書き方について、テンプレートをもとに紹介します。
表題
まずはその書類がどのような書類なのか、一目で分かるようにしましょう。大きなフォントで「商号及び営業譲渡契約書」と記載します。
契約の概要
契約者の氏名もしくは会社名と、両者が商号及び営業譲渡契約を締結する旨を記載します。
「株式会社 ○○(以下「甲」という。)と株式会社 ✕✕(以下「乙」という。)」「商号及び営業譲渡契約(以下「本契約」という。)」というように契約者名と契約名を置き換えることで、契約書の文面がスマートになります。
譲渡品目
譲渡側が譲受側に何を譲渡するのか、品目を箇条書きにして整理しましょう。
例えば、商号、営業権のほか、店舗の賃借権、店舗造作、在庫品などが該当します。
また、譲渡側が店舗経営によって生じた負債を譲渡するか否かも明記するようにしましょう。
譲渡日
商号および営業権の譲渡日を「令和〇年〇月〇日」といった具体的な日付で記載しましょう。
また、譲渡品目に関しては、引き渡し期限や店舗の賃貸人からの承諾期限も明確に定めるようにしましょう。
譲渡対価
譲受側が支払う対価を具体的に記載し、支払い方法、支払い期限、振込手数料や公租公課(例:固定資産税)の負担方法について取り決めるようにしましょう。
従業員の雇用
店舗で従業員を雇用している場合、譲渡後の雇用継続の有無を明確にし、継続する場合の条件や、譲受側との雇用契約に同意しない場合の対応について記載するようにしましょう。
善管注意義務
譲渡側が、経営引継ぎまで法律、規則、契約などを遵守し、顧客や取引先との関係を維持したうえで譲渡する旨を明記するようにしましょう。
競業避止義務
譲渡者が譲渡後、譲受者の事業に支障を来す恐れがあるため、例えば「譲渡日後〇年間は、乙の営業区域内で、乙と競合する同種の営業を行わない」といった内容の競業避止義務を盛り込むようにしましょう。
契約解除
双方が本契約を解除(無効とする)できる条件を明記しましょう。
例えば、相手側の契約違反、譲渡側が商号や店舗を期限内に引き渡さなかった場合、譲受側が対価を支払わなかった場合などが該当します。
協議
本契約で定められた内容で解決できない問題が生じた場合、両者が協議のうえで解決を図る旨を記載するようにしましょう。
合意管轄
万一、紛争が生じた場合に備え、調停または訴訟を提起する裁判所を指定しましょう。例えば、「○○裁判所」または、両当事者の所在地を管轄する地方裁判所を指定することが一般的です。また、署名押印済みの契約書を保管する旨も明記しましょう。
店舗物件の概要
店舗の表示、所在地、家屋番号、種類・構造・床面積などの店舗物件の情報を記載します。
署名押印欄
契約の締結日と両当事者の住所、氏名を記入する欄と押印欄を設けます。ここに両者が署名押印すれば契約が成立します。
商号及び営業譲渡契約書を書くうえでの注意点
商号及び営業譲渡契約書を作成する際には、以下のような点に注意して作成しましょう。
譲渡する品目・譲渡日、対価を明確にしておく
商号や営業を譲渡する際には双方で認識のズレが生じることがないよう、何をいつまでに、いくらで譲渡するのかを明らかにしておきましょう。
品目や譲渡する日付、対価の金額は具体的に記載しておくことが重要です。特にこれらは後々トラブルに発展する恐れが高い事項であるため、双方で事前にしっかりとすり合わせをしたうえで契約書を作成しましょう。
印紙税がかかる場合がある
商号及び営業譲渡契約書は印紙税法に定められた課税文書に該当するため、譲渡対価に応じた印紙税が課されます。以下の印紙税率が適用されます。
| 記載の契約金額(1通または1冊につき) | 印紙税 |
|---|---|
| 10万円以下 | 200円 |
| 10万円超 50万円以下 | 400円 |
| 50万円超 100万円以下 | 1,000円 |
| 100万円超 500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 10,000円 |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 20,000円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 60,000円 |
| 1億円超 5億円以下 | 100,000円 |
| 5億円超 10億円以下 | 200,000円 |
| 10億円超 50億円以下 | 400,000円 |
| 50億円超 | 600,000円 |
| 契約金額の記載なし | 200円 |
引用:印紙税額|国税庁
例えば譲渡対価が2,000万円の場合、2万円分の収入印紙を購入して貼付しなければなりません。
商号及び営業譲渡契約書の保管期間・保管方法
法人の取引に関する契約書は、法人税法施行規則により7年間保管する必要があります。さらに、青色申告を行っている法人は10年間の保存が求められます。譲渡契約締結後、万一のトラブルに備えて、上記の保管期限に関わらず可能な限り契約書を保存するようにしましょう。
なお、紙のまま保管するほか、電子帳簿保存法の要件を満たせば、スキャンしてPDFなどのデータとして保存することも可能です。
商号及び営業譲渡契約書の電子化は可能?
商号及び営業譲渡契約書は紙の契約書のほか電子契約でも締結可能です。電子契約システムを用いて両当事者がWEB上で契約を締結することで、紙の契約書を作成・郵送・管理する手間が省ける、契約までの時間が短縮できる、契約書を後から確認しやすくなる、高い本人性・非改ざん性が担保できるといったメリットがあります。
また、電子契約の場合は印紙税の納税義務が発生せず、税負担を軽減できるのも大きな利点です。
商号及び営業譲渡を行う際には細部まで詰めましょう
商号や店舗の営業権譲渡は非常に大きな取引であり、譲渡者、譲受者のみならず従業員や顧客、取引先にも大きな影響をおよぼします。
従って、事前に双方で条件を十分に協議し、内容をレビューしたうえで本契約書を作成・締結することが重要です。
契約締結時には、電子契約の活用も検討することで、コストおよび業務の手間を削減できるため、積極的に取り入れるようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
自由診療同意書とは?効力や書き方・例文をひな形つきで解説
自由診療同意書とは、自由診療を受けることについて、患者が医療機関に対して同意を表明する文書です。特にリスクの高い自由診療を行う際には、患者に自由診療同意書の提出を求めましょう。本記事では、自由診療同意書の書き方やレビュー時のポイントなどを文…
詳しくみる動産贈与契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
動産贈与契約書とは、動産を贈与するときに作成する契約書です。贈与は自身の財産を無償で与えることを示し、相手が受諾することで効力を生じますが、口頭で実施すると言った言わないのトラブルが発生する可能性があるため、契約書を作成するほうが良いでしょ…
詳しくみる借家権譲渡契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
借家権譲渡契約書は、賃貸物件を借りている人が賃借権を第三者に譲渡する際に締結する契約書です。 この記事では借家権譲渡契約書の意味や書き方について、ひな形も交えて見ていきましょう。また、作成が必要となるケースや作成する際の注意点についてもご説…
詳しくみる過払金返還請求書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
過払金返還請求書とは、貸金業者などに対して払い過ぎた利息の返還を求める請求書です。利息制限法の規定に照らして利息を払い過ぎた場合は、債権者に対して過払金返還請求書を送付しましょう。本記事では、過払金返還請求書の書き方やレビュー時のポイントな…
詳しくみる自動更新時に契約書の再作成は必要?自動更新条項の記載項目や例文を解説
契約時に自動更新条項をつけると、契約期間満了後に更新手続きなどの手間を省けます。ただし、必要に応じて更新拒絶する方法も理解することが重要です。 本記事では、契約書の自動更新条項について解説します。自動更新条項を設けるメリットやデメリット、条…
詳しくみる不動産コンサルティング業務委託契約書とは?ひな形や書き方を解説
不動産コンサルティング業務委託契約書とは、不動産に関するコンサルティングを第三者に依頼する際に締結する契約書です。不動産コンサルタントには不動産に関する調査や分析、助言などの業務を委託することができます。 本記事では不動産コンサルティング業…
詳しくみる



