- 更新日 : 2024年7月7日
電子印鑑とは?無料で印鑑作成する方法、おすすめのフリーソフトを紹介
電子印鑑とは、紙の書類に押印する印鑑の代わりに電子文書に付加する、電子的な印影のことです。近年、電子契約の普及に伴い、電子印鑑の需要が高まっています。この記事では、電子印鑑を使用するメリット・デメリット、無料で作成する方法、おすすめのフリーソフト、使用時の注意点まで、幅広く解説します。
目次
電子印鑑とは?
電子印鑑とは、電子データとして作成された印鑑のことです。これは、電子文書に押印するためのもので、一般的にはPNGやJPG、GIFなどの画像形式で保存されます。
電子印鑑は紙の印鑑と同じように、契約書や重要な文書に押印するために使用されます。
電子印鑑と電子署名の違い
電子印鑑と電子署名は、どちらもデジタル文書の真正性を確保するための技術ですが、その仕組みと法的な位置づけが異なります。
電子印鑑は、印鑑の画像をデジタルデータとして文書に貼り付けるもので、本人の意思確認は行われません。一方、電子署名は、暗号技術を用いて文書の作成者を特定し、文書が改ざんされていないことを保証します。
また、電子署名は法的に手書きの署名と同等の効力を持つのに対し、電子印鑑には法的な効力はありません。
電子印鑑と電子署名はどう使い分けるべき?
電子印鑑にも適したケースがあります。例えば、社内文書や議事録、案内状など、法的拘束力が求められない文書においては、電子印鑑を使用することで、文書の正式性や認証性を高めることができます。
また、電子印鑑は手軽に使用できるため、大量の文書に対して迅速に処理を行う必要がある場合にも便利です。
ただし、契約書や申請書など、法的効力が必要とされる重要な文書については、電子署名を用いるべきでしょう。電子印鑑と電子署名の使い分けについては、文書の種類や用途、法的要件などを考慮して、適切に判断することが大切です。
電子印鑑を無料で作成する方法
電子印鑑を作成する方法は、いくつかあります。ここでは、無料で電子印鑑を作成する4つの方法を紹介します。
実際の印影画像を利用する
既存の実印や認印の印影画像を使って、電子印鑑を作成する方法です。以下の手順で作成できます。
- スキャナーやカメラで印影画像を取り込む
- 画像編集ソフトで不要な部分をトリミングし、適切なサイズに調整する
- 透過PNG形式で保存する
この方法は、既存の印鑑を活用できるため、コストがかかりません。ただし、画像の品質によっては、電子文書に付加した際に見栄えが悪くなる可能性があります。
ExcelやWordで電子印鑑を作成する
Microsoft OfficeのExcelやWordを使って、電子印鑑を作成する方法です。以下の手順で作成できます。
- ExcelやWordで新しいドキュメントを作成する
- 図形や文字を組み合わせて、印影のデザインを作成する
- デザインを画像として保存する(透過PNG形式が推奨)
この方法は、Officeソフトを使い慣れている人には便利です。ただし、デザインの自由度は限られます。
Acrobat Readerで電子印鑑を作成する
Adobe Acrobat Readerを使って、電子印鑑を作成する方法です。以下の手順で作成できます。
- Acrobat Readerで新しいPDFを作成する
- 「編集」メニューから「スタンプ」を選択し、「カスタムスタンプを作成」をクリックする
- 印影のデザインを作成し、保存する
この方法は、PDFファイルに直接電子印鑑を付加できるため、便利です。ただし、他の形式のファイルに使用する場合は、別途画像として保存する必要があります。
サイトやフリーソフトで電子印鑑を作成する
電子印鑑作成用のWebサイトやフリーソフトを使って、電子印鑑を作成する方法です。テンプレートを使ってデザインを作成したり、自由にデザインしたりできます。作成した電子印鑑は、透過PNG形式などで保存できます。詳しくは、次章で解説します。
電子印鑑を無料で作成するおすすめサービス3選
電子印鑑を作成するためのサイト・フリーソフトは数多く存在しますが、ここでは特におすすめをご紹介します。
電子印影
「電子印影」は、電子印鑑を無料できるツールです。電子印鑑は、直感的な操作が可能で個人認印か法人角印を作成できます。
参考:電子印影|ASP名刺などの印刷複合システム【JOIN】
Excel電子印鑑
「Excel電子印鑑」はExcel マクロを利用した電子印鑑アドインです。窓の杜からダウンロードすることができます。
右クリックメニューから一般的な「認印」、日付入りの「データネーム印」を押印できます。このソフトは、Microsoft Excelの機能を活用して、独自の電子印鑑を作成することができます。
参考:「Excel電子印鑑」Excelのシートにさまざまな判子を押せるアドイン – 窓の杜
クリックスタンパー
「クリックスタンパー」は、サンプルを基に電子印鑑を作成できるツールです。丸印や角印、複数行のハンコを作成できるだけでなく、「社外秘」「極秘」などビジネスシーンで頻繁に使用されるスタンプも作成可能です。デザインの種類は少ないものの、縦横のサイズを調整できるため、用途に応じて最適な大きさで作成することができます。
参考:「クリックスタンパー」スタンプ風のベクター画像を手軽に作成できる電子印鑑ソフト – 窓の杜
電子印鑑を無料で作成するメリット・デメリット
電子印鑑を無料で作成することには、コスト面、時間面、利便性、などでメリットがあります。ただし、デメリットも理解した上で、最適な選択をすることが重要です。
電子印鑑を無料で作成するメリットとデメリットを、それぞれ詳しく見てみましょう。
電子印鑑を無料で作成するメリット
- コストの削減
電子印鑑を無料で作成できるため、印鑑作成にかかる費用を大幅に抑えることができます。特に、頻繁に印鑑を作成する必要がある場合、コスト削減効果は非常に大きくなります。例えば、複数の部署や担当者が個別の印鑑を必要とする場合、無料の電子印鑑作成ツールを使えば、それぞれの印鑑を低コストで用意できます。
- 時間の節約
無料の電子印鑑作成ツールを使えば、わずかな時間で印影を作成できます。従来の方法では、印鑑業者に発注し、納品されるまでに数日から数週間かかることもありました。しかし、電子印鑑なら、必要な時にすぐに作成できるため、業務をより効率化できるでしょう。
- 手軽さ
無料の電子印鑑作成ツールは、インターネット上で簡単に利用できます。専用のソフトウェアをインストールする必要がなく、Webブラウザさえあれば、どのデバイスからでも利用可能です。この手軽さは、在宅勤務やリモートワークが増えている昨今、大きなメリットと言えます。また、電子印鑑データはクラウドに保存できるため、どこからでもアクセスできる点も便利です。
電子印鑑を無料で作成するデメリット
- 品質の問題
特に、解像度が低かったり、画像が荒かったりすると、電子文書に付加した際に見栄えが悪くなります。印影の品質が低いと、会社の信頼性や専門性を損ねる可能性があるため、注意が必要です。
- 法的効力の問題
電子署名法に基づいて認定された認証局が発行する電子印鑑と比べると、法的な有効性が低くなります。重要な契約書や法的文書に使用する場合は、認証局発行の電子印鑑を使うことが望ましいでしょう。無料の電子印鑑は、社内文書や informal な書類に留めておくことが賢明です。
- セキュリティリスク
電子印鑑はデジタルフォーマットであるため、不正にコピーされたり、改ざんされたりする可能性があります。また、信頼できないサイトやソフトを使うと、個人情報や企業情報が流出するリスクがあります。特に、オンラインツールを使う場合は、サイトの運営者や評判を十分に確認してから利用しましょう。
電子印鑑を使用するときの注意点
電子印鑑を使う時は、いくつか気を付けなければならない点があります。
電子印鑑そのものには法的な効力がありませんが、電子署名とセットになった電子印鑑であれば、押印によって文書が真正に成立したことを推定させる効力が生じます。無料の電子印鑑作成ツールで作ったものは、電子署名とセットになっていないのが一般的です。電子印鑑に法的効力を持たせたいなら、有料ツールを活用しましょう。
次に、電子印鑑のデータをしっかりと守ることも大事です。他の人に勝手に使われたり、外に漏れたりしないように、難しいパスワードを設定して、定期的に変更するようにしましょう。ウイルスなどから守るために、信頼できるセキュリティソフトも忘れずに活用します。
また先述の通り、電子印鑑を使う場面を適切に選ぶことも大切です。重要な契約書には、電子署名や電子署名とセットになった電子印鑑を使い、社内文書などには、無料の電子印鑑を使うのもいいでしょう。
電子印鑑のデータは、常に最新の状態に保つようにしましょう。担当者や会社の情報が変わったら、すぐに反映させ、管理する人を決めて、しっかりと管理する体制を整えることが重要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
バックオフィス業務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
消印とは?収入印紙に正しく押す方法や印鑑選び、失敗時の訂正方法まで解説
消印とは、文書と収入印紙の模様(彩紋)とにかけて押すハンコのことを指します。収入印紙とは、契約書や領収書など一定の文書に貼付することで、国に印紙税などの税金を納付するための証票です。 この記事では、消印の適切な押し方や印鑑の選び方、押し忘れ…
詳しくみる同意書に押印の必要はある?適切な印鑑の選び方や押し方を解説
同意書とは、特定の事項について相手方に対して同意の意思を示す文書のことです。印鑑の使用は一般的ですが、必須ではありません。同意書には様々な利用シーンがあり、印鑑の必要性も状況によって異なります。 この記事では、同意書の基本的な仕組みから、印…
詳しくみるハンコなしでも契約書は有効?押印がないリスクや押し方のルールを解説
ハンコは契約書に押印する際に重要な役割を果たしていますが、実は法的にはハンコがなくても契約は成立します。一方で、ハンコがないと様々なリスクが生じる可能性があります。 この記事では、契約書に使われるハンコの種類(どのようなハンコが使われるのか…
詳しくみる割印とは?適切な押し方やビジネスで利用するケースを解説
割印とは、印鑑を用いて文書の正確性や一貫性を証明するために行う行為のことを指します。割印は、複数の関連する文書間で一貫性を確認する際に特に重要です。 今回は割印の概要や、適切な押し方、ビジネスで利用するケースについて解説します。 割印とは …
詳しくみる印鑑の適切な捨て方は?実印や銀行印、故人の印鑑を処分する際の注意点
印鑑は現金や重要書類と同様に大切に扱うべきもので、無造作に捨てると悪用されるリスクがあります。印鑑を処分する際は、そのままゴミに捨てることは避けましょう。 この記事では、印鑑の適切な捨て方について詳しく解説します。実印や銀行印、浸透印(スタ…
詳しくみる印章管理規程を設けるメリットは?役割や作り方をわかりやすく解説
印章管理規程は、電子署名を含む印章の使用に関する企業内ルールを定めるものです。不正使用の防止や権限の明確化を目的とし、署名や電子署名権限者などの定義、電子署名の種類、保管方法などを規定します。 この記事では、印章管理規程の目的や設けるメリッ…
詳しくみる