• 作成日 : 2025年3月24日

著作権に関する同意書とは?テンプレートや例文、書き方を解説

著作権に関する同意書は、著作権の譲渡への同意を明確にするための書面です。著作権の譲渡者と譲受者が締結します。この記事ではテンプレートや具体例を交え、書き方やレビューすべきポイント、条項・項目の記載例などを詳しくご紹介します。

著作権に関する同意書とは?

著作権に関する同意書は、企業や個人が制作した作品(Webコンテンツ、動画、写真、イラスト、小説、マンガ、音楽、キャラクターなど)の著作権を、業務委託契約やその他の契約に基づき譲渡する際に、双方が合意を形成するための書面です。

著作権の帰属や著作権者人格権の不行使、無償ライセンスの許諾などの事項を明確に定め、後々のトラブルを防ぐ観点で作成します。なお、著作権契約書との違いも踏まえ、契約の効力や消滅条件についても記載される点が特徴です。

そもそも著作権とは?

著作権とは、著作物(小説、マンガ、音楽、写真、Webコンテンツなど)を創作した者(著作権者)が、その創作物を独占的に使用できる権利です。著作権者は第三者に対して無断複製、翻案、頒布などを制限できるとともに、著作物の利用に際して報酬を得る権利を有します。これにより創作活動のインセンティブが保たれ、文化の発展につながるのです。

参考:著作権法|e-GOV法令検索

著作権に関する同意書と著作権契約書との違い

著作権に関する同意書は、第三者に著作物を使用させる際の同意事項を明確にするための書面であり、一般的に特定の著作権の譲渡や使用を許諾する際に締結します。一方、著作権契約書は、より幅広い権利関係を定めるもので、双方の権利と義務を包括的に規定する点で異なります。

著作権に関する同意書を結ぶケース

著作権に関する同意書は、企業がWebサイトや広告、キャラクターグッズの制作を外部のクリエイターに依頼する場合や、フリーランスのイラストレーター、作家、音楽家などと業務委託契約を締結する際に利用されます。

同意は口約束でも成立しますが、同意書で著作権の譲渡や無償ライセンスの許諾を明確にし、証拠を残しておくことで、後日「言った・言わない」のトラブルを未然に防ぐ効果があります。

著作権に関する同意書のひな形・テンプレート

著作権に関する同意書をスムーズに作成するためには、ひな形(テンプレート)を利用するのが効果的です。契約書を1から作る必要がなくなり、契約手続きをスムーズに進められるでしょう。

ひな形は、そのまま使うのではなく、内容を確認して案件ごとにカスタマイズしましょう。内容を簡単に変更できる、ワード形式のひな形を選ぶのがおすすめです。

マネーフォワード クラウドでは、著作権に関する同意書のひな形・テンプレートを無料でダウンロードいただけます。適宜加筆修正して活用してください。

著作権に関する同意書に記載すべき内容

ここからはひな形をもとに、著作権に関する同意書に設けるべき条項や項目、その内容について詳しくご紹介します。

表題・宛先

まず、書類の上部に大きなフォントで「著作権に関する同意書」と記載し、宛先として譲渡先企業(例:〇〇株式会社 代表取締役 〇〇 〇〇 様)を明記しましょう。

前文および契約の趣旨

冒頭で著作権者が業務委託契約に基づいて制作した著作物に関し、著作権譲渡や無償のライセンス許諾に同意する旨を記載しましょう。

著作権の保証および譲渡

著作権者が制作した著作物に関して、盗作等の不正を働いた事実がなく、著作権を保有していることを保証する条項を盛り込みます。さらに、譲渡対価についても記載しましょう。譲渡対価は業務委託料に含んで支払われるのが一般的です。

著作権者人格権等の不行使

著作権者が著作権者人格権や肖像権、パブリシティー権などの権利を、譲渡後は一切行使しないことを明記しましょう。

無償ライセンスの許諾

貴社が本著作物を利用するために必要な非独占ライセンス権を許諾する旨の条項を記載しましょう。場合によっては、第三者へのサブライセンスについても触れるとよいでしょう。

クレームおよび損害賠償請求の放棄

万一、著作物の利用方法等に関して後日トラブルが発生した場合、著作権者側からのクレームや損害賠償請求を行わない旨を明記しましょう。

署名押印欄

契約締結日、署名、住所、氏名等を記入する欄を設け、両者が署名押印することで契約が成立する旨を明記しましょう。

著作権に関する同意書を作成する際の注意点

著作権に関する同意書を作成する際は、以下のポイントに注意しましょう。

具体性の確保

同意書の文面はシンプルであるのが好ましいですが、業務委託料に含まれる対価や利用範囲、譲渡する権利の範囲などは曖昧にせず、具体的な文言で明記します。

契約書のレビュー

同意書の内容に不備があると後々トラブルにつながりかねません。弁護士などの専門家に内容をレビューしてもらい、法的リスクを最小限にしましょう。また、どちらか一方が極端に不利になるような内容が含まれていないか確認します。

押印の有無

民訴法第228条第4項では、

私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

引用:民事訴訟法|e-GOV法令検索

と定められています。押印があれば「その押印が本人の意思に基づいて行われた」と見なされ、かつ民訴法第228条第4項によって法律上の推定も成立します。この考え方を「二段の推定」といいます。書面の場合、押印があることでより証拠能力が高まりますので、可能な限り押印してもらうのが望ましいです。

著作権に関する同意書を締結する流れ

まずは依頼内容を双方で十分にすり合わせましょう。次に、同意書のドラフトをもとに双方で条項を検討・修正し、最終合意内容を正式な同意書に落とし込みます。

同意書に著作権者が署名押印をした時点で同意が成立したと見なされますので、特に著作権者は慎重に内容を確認することが重要です。その後、各自がコピーを保管しましょう。締結前には、関連条項の確認や疑問点の解消を十分に行い、後のトラブルを防止しましょう。

著作権に関する同意書の保管年数や保管方法

著作権に関する同意書は、業務委託契約書などと同様、契約終了後も一定期間の保管が求められます。法人税では取引関係の書類の保管期間は7年(一部の事業者では10年)と定められており、著作権に関する同意書も同様に7~10年程度保管しておくのが望ましいです。

参考:会社法|e-Gov法令検索
参考:記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁

紙媒体の場合は原本を安全な場所に保管し、電子データの場合は改ざん防止措置を講じたうえでクラウドシステムでのバックアップも行うことが重要です。各事業所あるいは業界の最新のガイドラインを参考にし、確実な保存方法を採用しましょう。

著作権に関する同意書の電子化、電子契約は可能?

著作権に関する同意書は、電子契約システムを用いて締結することが可能です。電子署名法に準拠すれば、紙の書面と同等の法的効力が認められます。

参考:電子署名及び認証業務に関する法律|e-GOV法令検索
参考:電子署名とは?仕組みや具体的なやり方までわかりやすく解説|Money Forwardクラウド契約

電子契約システムを使った場合、タイムスタンプが付与され契約の締結日や改ざん防止、本人確認が自動的に行われるため、業務の効率化や保管の容易さが大きなメリットとなります。さまざまなサービスがあるため、導入に際しては、システムの信頼性やセキュリティ対策、そして使い勝手を十分に確認しましょう。

業務委託契約書に加え著作権に関する同意書を締結しよう

著作権に関する同意書は、制作物の権利関係を明確にし、後のトラブル防止に不可欠な書類です。具体的な条項や項目をしっかり記載することで、依頼者と制作者双方の信頼関係が構築されます。

フォーマットを自社で作成する場合は、最新の法令や電子契約の動向にも注目し、必要に応じて内容を見直すことも大切です。著作権の最新情報は、日本著作権情報センターのホームページなどでチェックしましょう。


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