- 更新日 : 2024年8月30日
借地権付建物売買契約書とは?ひな形をもとに記載項目や注意点を解説
借地権付建物売買契約書は、借地権のある土地上の建物を売買する際に使われる書面です。借地権とは、建物を持つために他人の土地を借りる権利になります。
本記事では、借地権付建物売買契約書の概要を押さえ、その後ひな形を使って記載事項と作成ポイントを解説します。借地権付建物売買契約書を作成したい方は最後までご一読ください。
目次
借地権付建物売買契約書とは
借地権付建物売買契約書は、借地権のある土地上の建物を売買する際に使われます。契約書の具体的な書き方に入る前に、借地権の定義や内容を理解しておきましょう。
借地権の規定は、借地借家法にあります。同法2条では、借地権を「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定義しています。
つまり、借地権とは、建物を持つために他人の土地を借りる権利です。
地上権と賃借権
借地借家法では、借地権は地上権と賃借権に分けられます。
地上権は、地上権設定登記により土地に設定されます。地上権が登記されている場合は、賃借権は自由に譲渡可能です。一方、地上権の登記がない場合は借地権に基づき土地を借りているとみなされます。この場合、借地権の売却に際して土地の持ち主から承諾を得なければなりません。
借地権付建物売買契約は、地上権が設定されておらず、賃借権を利用している場合に使用します。建物を持つために土地を借りているとされることから、建物を売却する場合は同時に借地権も売却が必要です。
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借地権付建物売買契約書に記載する主な項目
借地権付建物売買契約書の内容を、項目ごとに見ていきましょう。
借地権付建物売買契約書では、まず借地権(=土地の賃借権)に関する契約内容を記載します。それから一般的な契約の取り決めを記載するといいでしょう。
売買契約の内容と借地権の譲渡
最初に、本契約が「借地権(=土地の賃借権)を利用して借りた土地上に建てられた建物の売買契約」であることを記載します。
同時に、借地権の譲渡に関する合意が取れていること、買主は本契約書により承諾の事実を確認したとみなすことにも触れましょう。
価格と手付金
次に、建物と借地権、手付金の額をそれぞれ記載します。手付金は売買金額に含めること、解約した際、手付金をどのように支払うかについても触れておきます。
所有権移転登記について
建物と借地権を売買した際は、所有権移転登記が必要です。ここでは、所有権移転登記の書類交付や手続費用の負担者について明記します。所有権移転登記を行うのは、原則として買主です。したがって、手続費用も買主負担であることを明記しましょう。
ただし、買主に不利となる権利(質権、抵当権や賃借権など)が土地に設定されている場合は、売主の費用負担にて抹消登記を行います。
建物が滅失、損傷した場合
売主や買主の責めに帰すべき事由によらず建物が滅失、もしくは損傷するリスクを「危険」と呼びます。契約成立後から建物の引渡しまでの間に、危険があった場合にかかった費用は売主負担です。
滅失、損傷により建物を引渡せなかった場合は契約を解除でき、建物や借地権の代金を返還することを明記します。代金返還以外の請求はできないことも定めておきましょう。
各種費用の負担割合
この項目では、建物にかかる公租公課や水道光熱費などを誰がどれくらい負担するかを明記します。
公租公課とは、固定資産税や所得税、住民税などの各種税金です。建物引渡し日を境として、費用負担者を切り替えるといいでしょう。
不適合があった場合の対処
契約に定められた状態で引渡しができなかったことを「契約不適合」と呼び、売主は契約不適合に対する責任=契約不適合責任を負います。
建物に不適合があった場合、買主は売主に建物の補修を請求できる旨を明記しましょう。加えて、買主の責任による破損の請求を防ぐために、不適合に対する請求期限を定めておきます。
契約解除
前項までに書かれた理由以外で契約を解除できる理由について記載します。例として、債務不履行、契約違反、強制的な財産処分などが挙げられます。
反社会的勢力の排除
売主、買主ともに反社会的勢力と関わらないこと、関わっていた場合は催告なしで契約を解除できる項目も必須です。脅迫や暴力行為、偽計または威力を用いての業務妨害が行われた場合も、契約解除可能としましょう。
契約に定めがない事項や紛争の解決方法
契約期間中、契約書に書かれていない問題が発生することもあります。このような事項は双方の協議で解決することを記載しておくと安心です。
協議で解決せず紛争になった場合の、管轄裁判所も決めておきましょう。この場合、建物の所在地を管轄する裁判所を第一審の管轄とします。
借地権付建物売買契約書をチェックする際のポイント
借地権付建物売買契約書をチェックするときは、押さえておくべきポイントがあります。契約書を作成する側、受理する側それぞれが注意して見るべきポイントを解説します。
作成する側
借地権付建物売買契約書を作成する際は、借地権対象の土地の地番、建物の家屋番号、面積を正確に記載しましょう。正確に記載しないと、本来権利が付与されていない土地や建物を売却することになってしまう可能性があるからです。地番などは、登記事項証明書や土地建物の権利書を参考にします。
契約不適合責任の規定も必須です。売主は、契約で定められた状態で建物を買主に渡す義務があります。定められた状態で渡せなかった(=不適合があった)場合に、売主は買主に対して契約通りに建物を保つ「契約不適合責任」があることを記載しましょう。ここで、買主の請求にもかかわらず売主が補修に応じない場合は、買主側からの契約解除が可能です。
受理する側
借地権付建物売買契約書を受け取る側は、借地権の売買に際して土地所有者の承諾を得ているか確認します。
口頭で「承諾を得た」と聞くだけではいけません。具体的には「借地権譲渡承諾書」の発行により承諾を得たことを確認しましょう。
また、契約書では買主の立場が不利になっていないかにも注意します。とくに確認しておきたいポイントは以下のとおりです。
- 引渡し日から起算するはずの公租公課が契約締結日からの支払いになっている
- 契約不適合の期間や範囲が狭く限定されている
借地権付建物売買契約書は固有の条項を押さえて作成することが大切
借地権付建物売買契約書は、借地権がついている建物の売買に用いられます。借地権付建物売買契約書を作成する際は、本契約に特有となる借地権の譲渡に関する規定や、契約不適合責任に関する条項を必ず入れましょう。また、正確な地番や家屋番号の記載も大切です。
借地権付建物売買契約書は、借地権があることに起因する独自の内容を押さえて作成することで、トラブルを未然に防げます。本記事を参考に、借地権付建物の売買で必須の内容を押さえ、正しい契約書を作成しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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