• 更新日 : 2023年3月23日

契約書レビューとは?AIサービスのおすすめ・流れについて解説

契約書レビューとは、契約を締結する前に、その内容を法的な観点やビジネス上の観点から精査し、リスクの洗い出しや内容の妥当性を確認する作業のことです。「リーガルチェック」とも呼ばれ、企業活動において自社に不利益な条項がないか、法的な問題点はないかなどを事前に検証する、極めて重要なプロセスです。

この記事では契約書のレビューのやり方について解説し、作業全体の流れや、その際に特に確認すべき具体的なポイントも紹介します。

契約書レビューとは

契約書レビューとは、契約の締結前に契約書の内容を精査し、法的リスクや不備がないか確認する作業のことです。契約書が自社の意図やビジネス条件を正しく反映しているか、違法な条項や想定外のリスクが潜んでいないかをチェックするもので、企業法務において代表的かつ重要な業務の一つと言えます。

契約書レビューの定義

契約書レビュー(リーガルチェック)とは文字通り契約書をレビュー(確認)することです。取引先から提示された契約書や自社で作成した契約書について、法的な問題点がないか、自社に不利益な内容になっていないか、取引の実態に合致しているかといった観点で内容を検証します。契約書レビューは契約締結前に必ず行うべきプロセスであり、内容に問題がないことを確認して初めて安心して契約を交わせます。

契約書レビューが重要な理由

契約書は一旦締結すると法的拘束力を持ちます。もし内容を十分に確認せずに契約してしまうと、後から自社にとって不利な条件に気づいても相手方の変更の合意が得られない限り変更できず、相手方がそのような合意をしてくれることはほぼないため、思わぬ紛争や損害につながりかねません。

契約書レビュー業務を怠ったために契約書の不備が原因でトラブルに発展するケースもあります。特に企業間取引では契約書の条項がトラブル発生時の拠り所となるため、契約書レビューはリスク管理の観点からも最も重要な工程の一つです。契約書レビューを適切に行うことで、契約による自社の利益を確保し、不必要なリスクを回避することができます。

AI・リーガルテックツールを活用した契約書レビューはおすすめ?

使い方と限界を正しく理解すれば、AI・リーガルテックツールを活用した契約書レビューは非常におすすめです。

特に、法務担当者や弁護士だけでなく、法務部門がない中小企業やスタートアップにとっても、業務の効率化とリスク軽減の観点から強力な武器となります。

AI・リーガルテックツールを活用した契約書レビューでおすすめなのが、「マネーフォワード クラウド AI契約書レビュー」です。法律のプロが監修したAIで、契約書の審査をAIが自動でサポートします。

契約書レビューツールの機能と利点

AI契約書レビューツールは、契約書データを読み込ませると、AIがリスクのある条文を検出し、修正案を提示するソフトです。

色分け表示や例文の提案、自社の過去契約との比較による抜け条文の指摘などが可能で、レビューにかかる時間を大幅に削減できます。AIは専門知識に基づいたテンプレートを参照するため、経験の浅い担当者でも一定水準のチェックを行えるのが特長です。

AI活用によるメリット

最大の利点は時間とコストの削減です。これまで弁護士に依頼していた契約書チェックも、AIツールの導入により自社内で対応可能になります。複数の契約書を高速かつ一括で処理できるうえ、24時間稼働するため、レビュー業務の滞留を防げます。チェック結果は蓄積され、将来的なドラフト品質の向上にも役立ちます。

  • 圧倒的な時間短縮と業務効率化
    • これまで数時間~数日かかっていた定型的な契約書の一次レビューが、数分で完了します。
    • これにより、法務担当者は修正案の検討や交渉など、より戦略的な業務に集中できます。
  • レビュー品質の均一化と見落とし防止
    • 人間によるレビューでは、担当者の経験や体調によって品質にばらつきが出がちです。
    • AIは、定義されたチェックリストに基づき、抜け漏れや不利な条項、欠落条項などを網羅的かつ客観的に洗い出すため、人的ミスの防止に繋がります。
  • コスト削減
    • レビュー業務にかかる人件費を削減できます。
    • すべての契約書を弁護士に依頼するのに比べて、費用を大幅に抑えられます。AIで一次チェックを行い、特に重要な契約や複雑な論点のみを弁護士に相談するという使い分けが効果的です。
  • 法務知識の補助
    • 法務部門がない、または経験の浅い担当者でも、AIが示すリスクや一般的な修正案を参考にすることで、一定水準のレビューが可能になります。契約交渉の際の「お守り」のような役割も果たします。

AI利用時の注意点と限界

AIはあくまで支援ツールであり、最終的な判断は人間が行う必要があります。AIは過去データに基づいた判断しかできず、ビジネス上の文脈や最新の法改正に即座に対応できるわけではありません。また、特殊な契約や国際的なルール・条約の適用を受ける契約などはツールの対応外となる場合もあります。提示された修正案が自社の実情に適合しているかを、法務担当者が必ず確認する必要があります。

AI契約書レビューを導入することで業務の効率化と精度の向上は期待できますが、ツールに依存しすぎず、人とテクノロジーのバランスを取ることが、質の高い契約管理につながります。

非弁行為にあたるのか?

AIによる契約書レビューサービスが、弁護士法で禁止されている非弁行為にあたるかについては、「サービス内容による」というのが現在の結論です。直ちに違法となるわけではありませんが、機能や提供形態によっては非弁行為と判断される可能性があります。

■ 基本的見解:グレーゾーンだがガイドラインによって基準が示されている

法務省は2023年8月に「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」というガイドラインを公表し、以下のように整理しています。

  • 事例ごとに判断が必要だが、以下のすべてに該当する場合は非弁行為と見なされる可能性が高い。

    1. サービス提供が報酬目的であること(有料、広告付き、有料プランへの誘導など)

    2. レビューする契約に事件性があること(訴訟に関わるものなど)

    3. 鑑定や代理、仲裁など法律事務的な行為が含まれること

出典:AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について|法務省

  • 非事件性の契約(取引契約、継続的な業務委託、雇用契約など)であれば、非弁行為には該当しない可能性が高いとされています。
  • 法的リスクを指摘するのみ、またはテンプレートとの比較・差異抽出に留まるレビューであれば、非弁行為には該当しない可能性があります
  • AIが提案した内容を弁護士がレビュー・修正する形で使う場合、それは合法と判断されます。

また、法務省はこのようなサービスに対して、「非弁行為にあたり違法になる可能性がある」という旨の回答を公表しています。

参考:新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表

このようなサービスの利用を検討する場合は、適法なサービスかどうかの見定めも必要です。

契約書をレビューする際の大まかな流れ

契約書レビューは、以下のような流れで行います。

  1. 契約内容を把握する
  2. 自社にとって問題となる箇所の有無をチェックする
  3. 修正案の作成
  4. 作成した修正案をチェックする

なお、報酬を得て法律事務を行う場合、弁護士資格がなければ弁護士法第72条規定の「非弁行為(弁護士以外が報酬目的で弁護士業務を行うこと)」に該当し、違法となる可能性があります。

会社に雇用されている法務部員などが自社の契約書をレビューする場合は弁護士資格がなくても非弁行為とはなりませんが、弁護士資格を持っていない業務委託の方が契約書のレビューする場合は非弁行為に該当する可能性があるため、注意が必要です。

1. 契約内容を把握する

契約書レビューを行うにあたり、まずは契約内容を把握しましょう。特に着目すべきポイントは「契約の概要と目的」「契約期間と契約金額」です。

契約の概要と目的

契約書をレビューする際は、何のための契約なのか、契約によって何をしようとしているのかをあらかじめ認識しておくことが大切です。契約締結の目的がはっきりしていると、契約書に足りないことや修正すべきことなどを見つけやすくなります。

例えば、秘密保持契約は「自社の秘密情報を漏らされないため」「目的外利用をされないため」といった目的で交わされると考えられます。自社がこの目的を実現するためにはどのような条項を設ける必要があるのか、取引先との関係性も鑑みてどのようなルールを作ることが効果的なのかを考えましょう。

契約期間と契約金額

契約書のレビューでは契約の概要や目的を把握した上で具体的な条項を見ていくことになりますが、特に契約期間や契約金額はしっかり目を通しておきましょう。

「いつまで契約関係が続くのか」「いつまで権利を持つのか」「いつまで義務を負うのか」「いくら対価を得られるのか」「いくら支払わなければならないのか」といったことを確認しましょう。

契約書に記載されている情報と認識にズレがあると、大きな問題に発展するリスクが高くなります。

2. 自社にとって問題となる箇所の有無をチェックする

自社にとってリスクとなり得る箇所は、特に注意深くチェックしましょう。

目的物と対価が適切に記載されているか

契約の目的物と対価については、適切な形で記載されていることを確認しましょう。自社が認識したとおりの金額や目的物が設定されているだけでなく、契約書における記載方法や表現が適切であるかどうかも確認すべきです。

例えば読み手によって解釈が異なるような形で記載されていると、後々トラブルに発展するおそれがあります。そのため、「別の意味で捉えられる書き方になっていないか」といった視点でもレビューを行う必要があります。

例えば「10万円」という契約金額でも、それが単価なのか月額なのかによって大きな差が生じます。契約前の相手方との協議においてその意味が明らかであったとしても、契約書には明記しておくべきです。

金額だけでなく、その他の条項についてもしっかり表現の適切さや明確さを確認しましょう。

必要な項目は漏れなく、重複なく入っているか

契約を締結する目的を達成するために必要な項目が漏れなく入っているかどうか、逆に同じような内容が重複して記載されていないかも確認します。

同じような条項が記載されていても大きな問題にはなりづらいですが、同じような内容であるにもかかわらず生じる効果に差がある場合は混乱を招くおそれがあります。

例えば、契約金額について「月額○○円」と記載されており、別の箇所で何の説明もなく契約金額について「単価○○円」などと記載されていると、どちらが正しい契約金額なのかわかりません。単に記載を間違えたのか、それとも月額費用の支払いに加えて納品のたびに単価に応じた支払いが必要なのかがわからず、混乱してしまいます。

契約書のひな形を流用していると削除すべき条項も出てきますし、このような重複にも注意が必要です。

不利益を被る項目はないか

自社にとって不利益となる項目については、特に注意する必要があります。

リスクとなる条項が一切含まれていないのが理想ですが、契約の締結は相手方との合意が前提となるため、バランスを上手く取らなければなりません。

例えば、損害賠償・違約金に関する項目には注意が必要です。自社の契約違反のリスクが低いとしても、過剰な損害賠償の支払いを認めるべきではありません。契約に違反してしまった場合も想定し、業界で一般的に設定されている賠償金額に近いものにしてもらうといった交渉を行うべきです。そのため、レビューを行うにあたっては契約に関する相場を知っておくことも大切です。

逆に自社が強い立場にあり、自社に有利で取引先に不利な条項を設けることができる状況だとしましょう。この場合でも、相場を逸脱して必要以上に相手方に負担をかけるべきではありません。契約には定めたものの、いざ当該条項が適用された場合にトラブルとなる可能性がありますし、契約時の印象も悪くなります。良好な関係性を築きづらくなりますし、極端な場合は法令に抵触するおそれもあります。

契約は当事者間で自由に定められるのが原則ですが、法令で制限が設けられていることがあります。また法令上のルールがなくても、あまりに高額な違約金などは公序良俗に反するとして、無効になることもあります。

3. 修正案の作成

ここでは、契約書の修正を行う際の具体的なフローを見ていきます。

誤字・脱字を修正する

契約書に限らず、書類作成において誤字・脱字のチェック・修正は欠かせません。

これは、書類の見栄えが悪くなるのを防ぐためだけの行為ではありません。特に契約書においては1つの誤字が契約内容を大きく変えるおそれがあるため、個々の文言をよく確認する必要があります。

「てにをは」や「または」「かつ」「あるいは」などの使い方が間違っていないか、また「甲」「乙」が逆になっていないか、注意してレビューを進めていきましょう。

曖昧な部分を明確にする

条件や義務の内容は明確にし、範囲についても明確かつ適切な内容になるように修正しましょう。

例えば、業務委託契約において「乙は、当契約に基づく業務の履行にあたり、甲の指示に従わなければならない」と記載されることがよくあります。
しかし、「無条件で指示に従わなければならない」とも読み取ることができ、乙としては不利益が大きいといえます。そこで、「甲の合理的な指示に従わなければならない」といった形で修正を行います。合理的な指示の範囲は定かではないものの、リスクの範囲を狭めるためには「合理的な」という文言が役に立ちます。

「義務」と「努力義務」の使い分けも大切です。

100%実現することが難しい事柄に対して「しなければならない」という文言がある場合は、「努めなければならない」などに修正しましょう。逆に実現可能性のある事柄で、相手方に特に守って欲しいルールに関しては「努める」ではなく「しなければならない」という表現を使うべきです。

また、賠償額についても注意して範囲を定めましょう。

単に「乙の故意または過失により甲に損害が生じた場合、乙はその損害を賠償する」などと定めたのでは、乙は上限なく賠償義務を負うことになってしまいます。乙としてはリスクヘッジのため、但し書きで「過去○ヶ月の間に乙が甲から受領した対価を上限とする」などと定めるのも1つの手段です。。

このような文言の追加について相手方の了承が得られない場合でも、上限のない定めとするのではなく、双方の納得が得られる形で上限額を模索していくことが大切です。

不利益を被る項目を排除する

自社が不利益を被る項目については排除できないか、相手側に交渉してみましょう。

特にバランスが悪く、一方的な義務が課せられているような条項については、スルーせずに指摘するべきです。

また、契約解除に関する規定もしっかり確認しましょう。

契約の継続によって自社に不利益が生じる可能性がある場合、この契約をスムーズに解除できるようにしておくと不利益を最小限に抑えやすくなります。

4. 作成した修正案をチェックする

契約書の修正案ができたら、以下のポイントを押さえて最終チェックを行いましょう。

関係先や担当者と認識のズレがないか確認する

修正後の内容が取引先やその他関係先の認識とズレていると、契約を締結することができません。

そこで、契約書のレビューを行う法務部門のみならず、現場の担当者にもヒアリングを行い、契約を締結することになった背景や、相手方との関係性などを調査しておくことが望ましいです。

自社の利益だけを追求するのではなく、互いにストレスのない取引ができるように調整しましょう。

一読してわかるか確認する

解釈の違いが生じない内容にしようとするあまり、非常に読みにくい契約書になってしまうケースがあります。

全体を通して判読性が十分かどうかにも着目し、意味が伝わる範囲で簡潔かつ明確な記載を目指しましょう。

また相手方に提出する修正案は、校閲モードなどを使って修正箇所をわかりやすく示し、コメント機能などを使って修正の意図や自社の要望などを伝えるとよいでしょう。

契約書レビューで確認すべきポイント

契約書を精査する際に、重大な見落としを防ぎ、後のトラブルを避けるために意識すべきポイントを整理します。

契約条件の妥当性

契約の内容と対価が適切かを確認することが基本です。提供する商品・サービスの範囲や納期が明確で現実的か、報酬が内容に見合った金額で設定されているかを見ます。提供する商品・サービスに比して報酬が過剰に高いような場合は、ビジネス部門と取引先の癒着なども問題となり得ます。条項の不備・矛盾がないか

契約書内の条項に矛盾がないか、不足している取り決めがないかを確認します。たとえば、契約期間が前半と後半で異なる記載になっていたり、条件が曖昧だったりする場合は、解釈の違いからトラブルが生じやすくなります。用語の統一も見落としがちなポイントです。全体を通して一貫した内容になっているか確認しましょう。

法令順守と法的有効性

契約書が法令に違反していないか、公序良俗に反していないかを確認します。例えば、取引の類型や相手と自社の資本金との関係では下請法が適用される場合がありますが、まず取引に下請法が適用されるかを確認し、適用される場合には下請法に違反した取り決めをしていないかをチェックします。また、署名や押印の有無、電子契約に必要な要件など、形式的な有効性についても見落とさず、常に最新の法令に照らして判断することが必要です。

将来のトラブル予防策

将来的なトラブルを想定し、事前に対応が定められているかを確認します。解除条件や損害賠償の範囲、遅延や不可抗力への対応、秘密保持や競業避止義務などが盛り込まれているかを見ます。問題発生時の対応が明記されていれば、実際にトラブルが起きたときにも迅速に対処できます。

契約内容の実効性・履行可能性

契約書に記載された内容が、実務として実行可能であるかも検討が必要です。無理のある納期や支払い条件は後の履行を難しくするため、現場の実情に合った内容かを確認します。違約金や保証など、履行を担保する仕組みも適切に機能するか併せて見ておくと、リスクを最小限に抑えることができます。

契約書レビューにおける課題と対処法

契約書レビューの必要性は理解していても、実務ではさまざまな課題に直面します。ここでは、企業がよく抱える悩みと対処法を紹介します。

課題① 業務負担と時間がかかる

契約書を1件ずつ丁寧に確認する作業は非常に時間がかかり、担当者の大きな負担となります。契約件数の多い企業では、レビュー対応が他業務に影響することも少なくありません。この対策として有効なのが、レビュー業務の標準化と効率化です。チェックリストやガイドラインを整備すれば、確認項目の漏れを防ぎつつ処理スピードを向上させることができます。また、定型契約にはあらかじめ法務確認済みのひな型を使用することで、一からレビューする手間を省けます。

さらにAIなどの支援ツールを活用すれば、作業時間の短縮とミスの削減が期待できます。

課題② 法務知識の不足とリソースの限界

中小企業やスタートアップでは法務担当者が不在で、契約書のレビューに不安を抱えることもあります。人事など法務以外の部署が兼務しているケースでは、最新の法規制への理解が不十分な場合もあります。こうした場合には、弁護士などの専門家への依頼や、レビュー支援ツールの活用が有効です。コストは発生しますが、重大な見落としのリスクを考えると、外部知見を得る価値は高いでしょう。

社内では契約研修を行ったり、複数人でチェックする体制を整えるなど、知識を組織内で共有していく取り組みも役立ちます。

課題③ 契約交渉への心理的ハードル

契約書の問題点に気づいても、「大企業が相手だと修正を提案しづらい」と感じる担当者もいます。しかし実際には、多くの大企業が取引先からの修正提案を受け入れた経験があるという調査結果もあります。取引の相手がどのような規模であっても、指摘すべき点は丁寧に伝えることが大切です。内容の合理性があれば、提案はむしろ信頼につながることもあります。レビューの結果を踏まえた冷静な交渉姿勢が、双方にとって納得できる契約締結につながるでしょう。

契約書レビューを外部専門家に依頼する判断基準

契約書レビューは可能であれば社内で完結できるのが理想ですが、状況によっては弁護士などの外部専門家に依頼したほうが安全なケースもあります。ここでは、依頼すべきタイミングやメリット、実務上のポイントを解説します。

専門家に依頼すべきケース

法務部門が整備されていない企業では、法的リスクが高い契約は初めから弁護士に依頼するのが無難です。大企業では、通常社内法務で対応しつつ、専門性の高い案件のみ顧問弁護士に回すことが一般的です。法務担当がいても契約件数が多すぎる、あるいは内容が高度な場合(国際取引や知財契約など)は外部依頼が安心です。

外部の弁護士や士業に依頼することで、法的リスクの洗い出しや適切な修正案の提示を受けられるほか、自社では気づけない盲点の指摘、最新の判例・法改正への対応も得られます。また、契約の内容によっては弁護士以外の専門家が適している場合もあります。たとえば労務系は社会保険労務士、特許やライセンス契約は弁理士の知見が役立ちます。契約の種類に応じて、最適な専門家を選ぶ視点も重要です。

依頼時に押さえるべきポイント

外部専門家にスムーズに依頼するには、契約書の現物に加えて、事業の概要や契約の背景、懸念点などを整理し、明確に伝えることが大切です。丸投げではなく、自社で一度目を通して要点を把握したうえで相談することで、より的確なフィードバックを受けられます。

弁護士から修正案が提示されたら、自社のビジネス観点で検討し、必要に応じて社内調整を行いましょう。弁護士は法律の専門家ですが、自社の業界事情には詳しくないこともあるため、認識のすり合わせも重要です。交渉がまとまったら、最終的にもう一度確認を依頼すると安心です。

費用は都度依頼で1件数万円〜10万円超、顧問契約であれば月額料金にレビューが含まれることもあります。コストとリスクのバランスを見極めながら、要所では外部の力を借りる判断も検討すべきでしょう。

契約書レビューはさまざまな事情を考慮して慎重に進めよう

契約書のレビューは慎重に行わなくてはなりません。契約内容をわかりやすくまとめること、解釈の違いが生じないようにすること、自社に不利な内容とならないこと、法令に反する内容にしないこと、誤字・脱字がないようにすることなど、さまざまな事柄を考慮して総合的にバランスの取れた内容に仕上げる必要があります。

自社のみで対応することが難しい事案である場合は、弁護士などに相談してレビューを進めましょう。

よくある質問

契約書レビューはどのような流れで行いますか?

契約内容の把握や自社に不利な箇所のチェック、修正案の作成、作成した修正案のチェックといった流れで契約書レビューを進めます。詳しくはこちらをご覧ください。

契約書のAIレビューサービスとは何ですか?

契約書をアップロードしてアプリ上でAIが契約内容を審査し、法的観点から有利・不利などの結果を示すサービスです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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