- 更新日 : 2025年11月14日
電子契約の導入の流れは?サービスの導入から契約締結までの進め方を解説
電子契約を導入する際は、【①導入目的の明確化→②法的・業務上の要件定義→③サービスの選定とスモールスタート】という流れが一般的です。
導入後には「④社内ルールの策定と関係者への周知」「⑤取引先への理解と協力依頼」といった作業も必要となります。
電子契約の導入にあたり、法的有効性や、万が一の際の訴訟リスクを検討するのは法務部門の役割です。導入プロセスの極めて早い段階で法務部門を巻き込み、電子契約が法的な要件を確実に満たしているか、また既存の契約リスク管理体制と矛盾しないかを検証してもらうことが最重要です。
この記事では電子契約を導入するまでの流れや契約締結のしかた、電子契約システムを選ぶポイントについて解説します。
目次
そもそも電子契約とは?
電子契約とは、紙の契約書を用いないで、インターネット上で契約を締結する方法です。従来は、紙の契約書を郵送したり、相手方に直接手渡したりして、署名捺印後に正式に契約する方法が主流でした。
一方、電子契約では契約書がメールなどで相手方に送付され、インターネット上で締結が完結します。これにより、従来のような紙の契約書は不要となります。
なお、電子契約については以下の記事でくわしく解説しています。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
「送信料0円」の電子契約が選ばれる理由
多くの電子契約サービスは送信料がかりますが、近年では「送信料0円」の電子契約サービスへの乗り換え・新規導入が多くなっています。
送信料0円の電子契約サービス導入のメリット・デメリットをまとめていますので、ぜひご活用ください。
導入で失敗したくない人必見!電子契約はじめ方ガイド
電子契約のキホンからサービス導入の流れまで、図解やシミュレーションを使いながらわかりやすく解説しています。
社内向けに導入効果を説明する方法や、取引先向けの案内文など、実務で参考になる情報もギュッと詰まった1冊です。
電子契約サービス比較マニュアル
日本には多数の電子署名・電子契約サービスがありますが、各サービスを比較する中で「ここだけは事前に確認しておくべき」と考えるポイントを5つまとめました。
電子署名・電子契約サービスが、そのポイントを満たしているかどうかを確認するのに、ぜひお役立ていただければ幸いです。
電子契約導入後のよくある悩み3選
電子契約サービスの導入後に発生しがちな、3つの「新しい課題」をまとめた資料です。
電子契約の導入を検討中の方はもちろん、電子契約を導入した後に課題を感じている方にもご活用いただけます。
電子契約のメリット
電子契約を導入することで、事業者にとっては以下のとおり、さまざまなメリットを得られます。
いつでもどこでも契約締結ができる
紙の契約書は、書面が手元に届かないと契約を締結できません。電子契約であればパソコンやスマートフォンがあれば、基本的にいつでもどこでも契約を締結することが可能です。相手方にとっては開封して契約書を確認して押印するという手間がなくなり、自社にとっては契約締結までの時間を短縮できるというメリットがあります。
紙の契約書のコストを削減できる
紙の契約書で契約を締結する場合、紙代や印刷代、封筒代や郵送費などがかかります。契約の件数が多い場合、コストの負担もかなり大きくなるでしょう。さらに、契約業務に携わるスタッフの人件費もかかります。電子契約を導入すれば契約に必要なコストが削減でき、人材の有効活用にもつながるでしょう。
契約業務の効率化につながる
紙の契約書で契約を締結する場合、契約書を印刷する、封入する、郵送する、ファイルに綴る、管理するといった作業が発生します。
電子契約に切り替えれば印刷や封入、郵送、ファイルに保管するといった作業は一切不要です。管理面においても楽になります。スタッフの業務負担が軽減でき、残業の削減や他業務への従事による生産性の向上が期待できるでしょう。
内部統制を強化できる
紙の契約書を用いた契約では印鑑を押す必要があります。印鑑は誰が押したのかがわからないため、実印や社印を持ち出して勝手に契約を締結してしまう、なりすまして契約をしてしまうというリスクもあります。
電子契約では自身のパソコンやスマートフォンから契約に同意し、その記録も残るため、内部統制の強化につながります。特に株式上場を目指している企業にとっては、電子契約の導入は非常に有効です。
電子契約のやり方・流れ
電子契約を導入するためには、まずその仕組みを知っておくことが大切です。ここからはシステムを使った電子契約のやり方について、流れを追って見ていきましょう。
パソコンで契約書を作成・アップロードする
まずはパソコンで契約書の文面を作成します。これまで使用していた紙の契約書の内容をベースにしても問題ありません。WordやExcelなどで契約書のファイルを作成したら、PDFファイルに変換します。そのPDFファイルを電子契約システムにアップロードします。
社内稟議を申請・承認する
電子契約の場合、契約書の内容に問題がないか、経営陣や幹部、上司などに確認や承認をしてもらう必要があります。インターネットを通じて社内稟議を申請すれば、申請先にメッセージが届くので、承認者はインターネット上で契約書を承認します。
契約書をメールやチャットで取引先に送付する
経営陣や幹部、上司の承認が得られたら、相手方に契約書を送ります。送り先を指定すれば、相手にメールやチャットが届くので、相手がインターネット上で契約書に合意することで、契約が成立できるのです。
送付した契約書を電子データのまま保存する
相手方に送付した契約書を電子データなどで保存します。電子契約システムによっては保存やクラウドへのアップロードを自動で行なってくれます。電子帳簿保存法では、電子データで発行した書類は電子データのまま保存しなければならないと定められています。たとえば、電子契約書をプリントアウトして保存しても、それは証憑書類として認められません。
電子契約サービスを導入する流れ
電子契約を導入するまでには、さまざまな準備が必要です。導入がスムーズにいけば、先述のようなメリットを享受できますが、失敗すれば社内外で電子契約が定着しない、かえって業務効率が悪くなってしまう、コストがアップしてしまうなどのリスクも発生します。主に以下のような流れで電子契約の導入を進めていきましょう。
現状の業務フローを整理する
まずは現状でどのような手順で契約が行われているのか、締結後の契約書はどのように管理されているのか、業務フローを見直してみましょう。また、現状の契約業務における課題点(例:承認までが遅い、契約書の持参や郵送で人手が割かれている、契約書の紛失が度々発生する、契約更新忘れが多いなど)を洗い出しておくことで、適切な契約システムも変わってきます。
電子契約サービスを選定する
自社に合った、あるいは抱えている課題が解決できるような電子契約システムを選びましょう。「電子契約」とネットで検索すると、さまざまなサービスを見つけることができます。まずはホームページでサービスの概要や機能、費用などの情報を収集しましょう。
自社に合っていそう、使いやすそうと思われるシステムは資料請求をしたり、問い合わせをしてみたり、説明会やセミナーに参加してみるなどして、詳細な情報を集めましょう。
また、トライアルとして一定期間無料で利用できるサービスもあるので、実際に使い勝手を試してみて検討することをおすすめします。
社内や取引先に事前周知する
電子契約を導入する前には、必ず社内や取引先に案内しましょう。周知を徹底しておかないといざ運用を開始した際に混乱を招く可能性があります。電子契約を導入したことを周知しないと、せっかく導入しても誰も使ってくれないという結果にもなりかねません。
また、従来の書面での契約を希望するスタッフや取引先も存在する可能性があります。電子契約を導入した後に不都合が発生しないようにするためにも、事前の周知は必要です。
電子契約サービスを導入する
以上のような準備が整ったら、いよいよ電子契約サービスの導入です。移行スケジュールを綿密に立て、必要に応じてベンダーからのサポートも受けながら導入を進めましょう。
マニュアル作成や社内研修を実施する
電子契約サービスを導入しても、従来の書面での契約を希望するスタッフや取引先も存在する可能性があります。不都合なことが発生しないよう、マニュアルの作成や社内研修を実施することも必要です。
電子契約サービスを選ぶポイントは?
電子契約導入の成功の鍵は、電子契約サービス選びです。現在、さまざまな電子契約サービスがありますが、機能や使い勝手はそれぞれ異なります。それらを吟味して自社に合ったサービスを選ばなければなりません。ここからは電子契約サービスを選ぶポイントをご紹介します。
電子帳簿保存法に対応しているか
まずは電子帳簿保存法に対応しているかどうかを確認しましょう。電子帳簿保存法とは税務申告に必要な帳簿や証憑書類(取引の証拠となる書類)を電子データとして保存する場合のルールを定めた法律です。視認性や検索性など、さまざまな要件を満たす必要があります。
電子帳簿保存法に準拠している電子契約システムを導入すれば、契約書を証憑書類として問題なく使用できます。
従業員にとって使いやすいUIか
電子契約システムを導入しても、誰も使ってくれないのでは意味がありません。従業員にとって使いやすいUI(ユーザーインターフェース=画面のデザインやボタンの配置など)になっているか、パソコンやスマートフォンの操作に自信がない方でも抵抗なく使えるような仕様になっているかを確認しましょう。前述のとおり、無料のトライアルを利用することで、使い勝手を検証することが可能です。
自社に合った料金体系か
電子契約サービスは料金がかかるので、料金についてもしっかりと検討しておきましょう。電子契約に移行すれば確かにコスト削減効果が期待できますが、料金体系が自社に合っていないとかえってコストが増大してしまう可能性もあります。
たとえば、月に何百件、何千件と契約を締結するような会社であれば、高額でも高性能・高機能な電子契約サービスを導入することでコスト削減効果が得られるでしょう。一方、月に数件しか契約を締結する機会がないのであれば、高額なシステムを導入しても費用対効果が得られません。
導入前後のサポート体制がしっかりしているか
電子契約システムの性能や機能だけでなく、サービス会社のサポート体制についてもしっかりと確認しておくことが大切です。導入前には説明会やセミナーを開いているか、質問に対してわかりやすく回答してくれるかをチェックしましょう。候補が絞られてきたら、実際に担当者と話してみるのがおすすめです。
特に導入直後は混乱が起こる可能性があるため、サポート窓口を活用する機会もあるかもしれません。導入後には操作や運用方法などに不明点があった場合、スピーディーにかつ丁寧に対応してくれるか、エラーやトラブルにもしっかりと対応してくれるかを確認しましょう。
電子契約導入の実態調査:企業が重視するポイントとは
電子契約の導入を検討する際、企業はどのような点を重視しているのでしょうか。
マネーフォワード クラウドが2025年5月に電子契約業務経験者2,141名を対象に実施した調査では、導入効果として最も期待されているのは「費用削減」(35.6%)と「工数削減」(34.4%)であることが明らかになりました。
企業規模別に見る電子契約への期待
企業規模によって重視するポイントには違いがあります。従業員2〜50名規模の企業では「セキュリティ強化」(30.3%)への期待が高く、51〜100名規模では「工数削減」(32.8%)と「働き方柔軟性向上」(24.4%)が重視されています。
一方、101名以上の大企業では「工数削減」(37.3%)と「費用削減」(37.0%)が最も高い数値を示しました。
費用削減の具体的な項目では「印紙税の不要化」(30.6%)が最多となり、次いで「郵送関連費用の削減」(20.0%)、「印刷・消耗品費の削減」(19.8%)が続きました。工数削減においては「契約書の印刷・製本作業の省略」(21.6%)、「契約締結までのリードタイム短縮」(19.9%)が上位となっています。
電子契約の導入を成功させるには、自社の規模や課題に応じて、どの効果を優先するかを明確にすることが重要です。
マネーフォワード クラウド契約なら作成から管理までワンストップで対応
電子契約の導入を検討されているなら、マネーフォワード クラウド契約も候補に入れてみてはいかがでしょうか。有名企業・大企業から中小、個人事業主まで、15万件以上の実績あり。電子帳簿保存法対応。どなたでも使いやすく、最短数分で契約締結が完了。契約書の管理もしやすく、契約にかかるコストと手間を大幅に削減可能です。
セミナーも開催しており、導入後のアフターフォローも万全です。料金が一切かからないトライアルもご用意しておりますので、まずは自社に合うかどうかをご確認いただけます。
ポイントを押さえれば電子契約の導入は怖くない
電子契約を導入するまでには、考えるべきこと、準備すべき事柄があります。導入には手間はかかりますが、導入後は業務効率改善とコストダウンが実現できる可能性があります。
電子契約の導入に迷っている方もいらっしゃるかと思いますが、今回ご紹介したポイントをもとに、自社に合った電子契約システムを選んで、契約業務をより便利に・快適なものに改善しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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