• 更新日 : 2024年7月28日

はんこを押すのに失敗したら?適切な訂正方法や修正が無効になるケース

はんこを押す際にはさまざまな失敗が発生する可能性がありますが、それぞれのケースに応じた適切な訂正方法があります。書類を再作成することも考えられますが、契約書などで相手方が捺印済みの場合は難しいでしょう。そのため、正しい訂正方法を知っておくことが大切です。

この記事では、はんこを押す際に起こりうる失敗の具体的な内容と、適切な訂正方法について詳しく解説します。これらの情報を参考にすることで、はんこの使用に関するトラブルを最小限に抑えることができるでしょう。

押し直しが必要なはんこの失敗とは?

一般的な許容範囲

書類に押されたはんこの印影がかすれていたり、欠けていたり、傾いていたりしても、軽度であれば多くの場合許容されます。特に日常的な業務では、再度押し直すよりも業務を円滑に進める方が優先されるケースも多々あります。

しかし、公式な書類や重要な契約書類においては、かすれや欠け、傾きなどがない印影が望ましいです。

押し直しが必要な例

銀行や役所に提出する書類

銀行や役所に提出する公式な書類では、はんこの失敗は許容されないことが多いです。印影が欠けていたり、かすれや にじみがあったりして文字の一部が読めない場合は、書類が無効となる可能性があります。書類を有効に受け付けてもらうためには、押し直しが必要です。

間違った場所に押印

はんこを押す場所が指定されている場合、別の場所にはんこを押してしても押印したことにはなりません。その場合は間違って押した印影を訂正し、正しい場所への押し直しが必要になります。

間違った印鑑を使用

例えば、銀行印と認印を間違えて押してしまった場合、押し直しが必要です。

印影の重複

一つの場所に二つ以上の印影が重なってしまった場合、押し直しが必要になります。

はんこの失敗例と適切な訂正方法

はんこを押す際には、様々な失敗が起こりうるものです。ここでは、それぞれの失敗パターンとその対処方法を詳しく見ていきましょう。

はんこを押す場所を間違えた

書類の指定された位置にはんこを押せなかった場合、その書類は無効になる可能性があります。印影が指定の枠からはみ出しても問題ないことがほとんどですが、契約書などで複数人が押印する書類で、他の人の場所に押印したような場合には訂正が必要です。

押印位置の訂正方法

まず、間違って押した印影の上にボールペンなどの消えないペンで二重線を引き、打ち消します。次に、同じはんこを間違って押した印影と二重線の一部に重なるように押します。これが訂正印となります。そして、同じはんこを正しい場所に押し直します。これで、正しく訂正したことになります。

違う印鑑を押してしまった

例えば個人の書類に法人印を押してしまうなどのミスがあります。これにより、書類が無効となる可能性があり、再度の提出が必要になる場合もあります。

特に、会社での重要な契約書や役所への申請書類などでは慎重に確認が必要です。

印鑑を変更する場合の訂正方法

間違って押した印影の上にボールペンなどの消えないペンで二重線を引いて打ち消し、訂正印として同じはんこを間違って押した印影と二重線の一部に重なるように押します。その横などの余白に、正しいはんこを押せば訂正したことになります。訂正印や正しい印影が指定の枠からはみ出しても、ほとんどの場合は問題ありません。

印影の欠けがある

印影が欠けていて文字の一部が見えない場合、実印が必要な書類や金融機関に提出する書類などでは、登録した印影と照合できないため訂正が必要です。重要な契約書などでも、訂正した方がよいでしょう。

印影が欠けた場合の訂正方法

欠けがある印影の上にボールペンなどの消えないペンで二重線を引いて打ち消し、同じはんこを訂正印として、その印影と二重線の一部に重なるように押します。その横などの余白に、同じはんこを改めてしっかりと押すことで訂正したことになります。

契約書など複数人が押印する書類でなければ、書類全体を再作成するのもひとつの方法です。

印影がかすれている

押印が薄く、かすれてしまった場合、文字が認識できればほとんどの場合は問題ありません。しかし、実印が必要な書類や金融機関に提出する書類などで登録した印影と照合できない場合は、効力を持たないため修正が必要です。

印影がかすれた場合の訂正方法

かすれた印影の上にボールペンなどの消えないペンで二重線を引いて打ち消し、訂正印として同じはんこをかすれた印影と二重線の一部に重なるように押します。その横などの余白に、同じはんこを押すことで訂正したことになります。

訂正する際は再度かすれが起こらないように、朱肉に十分なインクが含まれているかを確認しましょう。必要に応じてインクを補充したり、新しい朱肉を使用したりすることも大切です。

印影がにじんでいる

インクがにじんで、印影が不明確になった場合も、文字が認識できればほとんどの場合は問題ありません。しかし、実印が必要な書類や金融機関に提出する書類などで登録した印影と照合できない場合は、効力を持たないため修正が必要です。

印影がにじんだ場合の訂正方法

にじんだ印影の上にボールペンなどの消えないペンで二重線を引いて打ち消し、訂正印として同じはんこをにじんだ印影と二重線の一部に重なるように押します。その横などの余白に、同じはんこを押すことで訂正したことになります。

訂正する際は再度にじまないように、朱肉に含まれているインクの量を確認しましょう。インクが多すぎる場合は、印鑑にインクを付けた後にティッシュなどで軽く拭いてから押印したり、新しい朱肉を使用したりする必要があります。

印影が二重になっている

印鑑を押す際に、手ぶれやずれで二重になる場合です。この場合も、文字が認識できれば問題ないことが多いですが、実印を使用する書類や金融機関に提出する書類などでは訂正した方がよいです。

印影が二重の場合の訂正方法

二重になった印影の上にボールペンなどの消えないペンで二重線を引いて打ち消し、訂正印として同じはんこを二重になった印影と二重線の一部に重なるように押します。その横などの余白に、同じはんこを押すことで訂正したことになります。

はんこを押す向きが正しくない

はんこを押す向きを間違えても、押印の効力には影響がありません。実印を使用する書類や金融機関に提出する書類で、印影が上下逆さまや横向きになったとしても、登録した印影と照合可能であれば問題ないのです。

しかし、重要な契約書などで印影が90度以上傾いた場合は見栄えが悪いため、訂正した方がよいでしょう。

不正確な向きの印影の訂正方法

傾いた印影の上にボールペンなどの消えないペンで二重線を引いて打ち消し、訂正印として同じはんこを傾いた印影と二重線の一部に重なるように押します。その横などの余白に、同じはんこを押すことで訂正したことになります。

はんこの失敗には様々なパターンがありますが、適切な訂正方法を理解しておくことで、トラブルを最小限に抑えられるでしょう。訂正する回数に制限はありませんが、何度も訂正すると見栄えが悪くなりますし、契約書などでは取引相手からの印象が悪くなるおそれがあります。そのため、重要な書類には慎重に押印し、訂正するとしてもなるべく1度で済むように注意しましょう。

避けるべきはんこの訂正方法

修正液や修正テープの使用

はんこミスを修正液や修正テープで隠す方法は避けるべきです。これらの方法は改ざんと見なされる可能性が高く、正式な書類では受け付けられません。たとえば、金融機関に提出する書類では、修正の痕跡があると信頼性に欠けるとされ、書類全体が無効になることがあります。

契約書などでも、修正液や修正テープを使用すると雑な印象を与えてしまい、取引相手からの信用を損ねるおそれがあります。

ビジネス文書に修正液や修正テープを使用することは控えましょう。

はんこを上から押して重ねる

間違ったはんこの上に再び同じはんこを押して重ねることも、避けるべきです。完全に重ねて押印できれば問題ありませんが、ほとんどの場合はズレてしまいます。

実印や銀行印が少しでもズレると登録した印影と照合できないため、書類が無効となることに注意が必要です。

重要な契約書でも、はんこが重ねて押されていると信頼性が疑われるおそれがあるため、重ねて押し直す行為は避けましょう。

二重線を引くだけ

失敗した印影の上に二重線を引き、その横などにはんこを押し直すだけでも、社内の稟議書などでは問題ないことが多いです。

しかし、訂正印を押さなければ、誰が訂正したのかが分かりません。実印を使用する書類や金融機関に提出する書類、契約書などでは、押印した本人が訂正したことを示すために、失敗した印影と二重線と少し重なるように、同じはんこを訂正印として押しましょう。

横にはんこを押し直すだけ

失敗した印影の横に改めてはんこを押し直すだけの訂正方法も、社内の稟議書などでは問題ないことが多いです。

しかし、複数の印影が並んだ状態では、どれが正しい捺印なのかが分からなくなります。そのため、実印を使用する書類や金融機関に提出する書類、契約書などでは、どれが失敗した捺印で、どれが正しい捺印なのかが分かるように、「二重線で打ち消し」「訂正印を押す」「改めてはんこを押す」という3つのステップを省略せずに実践しましょう。

違うはんこを訂正印として使用する

もっぱら文書を訂正するために使用する印鑑として、「訂正印」と呼ばれる小型判も販売されています。この訂正印は簿記や社内文書の訂正などに使えますが、失敗した印影の訂正のために使うものではありません。

印影を訂正する際は、失敗した印影と同じはんこを、その印影と二重線と少し重なるように押す必要があります。

失敗しないはんこの押し方

机や作業台を安定させる

はんこを押す際、まず机や作業台がしっかりと安定していることが重要です。不安定な場所で押すと、印影がかすれたりずれたりすることになりがちです。

また、はんこを押す前には、押す場所の表面が平坦であるかどうか確認しましょう。汚れや凹凸があると、印影が乱れる原因になります。もし、ホコリや汚れが付いている場合は、布やティッシュで軽く拭き取るとよいでしょう。

硬い机などで押印する場合には、適度な柔らかさのある捺印マットを使用すれば、きれいに押印できるので便利です。

インクパッドの状態を確認する

朱肉やインクパッドが乾燥していないか確認します。乾燥していると印影がかすれがちとなるので、適度なインクを補充しておくことが肝心です。インクパッドが乾燥しているかどうかは、指で軽く押してみたり、試し押しをして確認できます。適度な湿り気があることを確認してから押すようにしましょう。

インクの付けすぎに注意する

インクを付けすぎると、にじみやすくなります。過剰なインクはティッシュなどで軽く拭き取ってから押すと、きれいな印影を残せます。過剰なインクは印影がにじんだりぼやけたりする原因になるため、適量を心掛けることが大切です。

特に、新しくインクを足したばかりの場合は、念入りに確認するようにしましょう。

はんこの試し押しを行う

書類に印鑑を押す前に、別の紙で試し押しを行います。これによりインクの量や押す力を確認し、最適な状態で本番に臨むことができます。試し押しがうまくできなかった場合は、インクの量を調整するなどして再度、試し押しを行いましょう。きれいに押せることを確認した上で、本番に進むことが大切です。

はんこをまっすぐ押す

はんこを押す際、はんこを持つ手をしっかりと固定し、まっすぐ直角に押し下げることで、印影がかすれたり二重になったりするのを防ぎます。斜めに押してしまうと、片側が薄くなったり、全体が歪んだ印影となりがちです。小さな印鑑でも特に注意が必要です。

まっすぐ押すためには、利き手の親指と人差し指、中指で持ち、逆の手を利き手に添えるのが有効です。押す際に紙がズレないように、重しを使って紙を固定させるのもよいでしょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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