• 更新日 : 2025年4月3日

電子印鑑とは?エクセルで無料作成する方法や人気のアプリ・フリーソフトも解説

印鑑には認印やシャチハタ、銀行印、実印などたくさんの種類がありますが、最近認知度が上がっているのが「電子印鑑」です。電子印鑑は特別なソフトがなくても無料で作成できるため、気軽に導入できます。

電子印鑑を導入すれば、わざわざ紙を出力しなくてもよいためオフィスに行く必要がなく、紙やインク代もかからないので業務効率化にもおすすめです。本記事では有料の電子印鑑サービス比較で注目したいポイントや、Excel・Wordを使って無料でPDF形式の電子印鑑を作る方法を紹介します。電子印鑑を導入する際は、ぜひ参考にしてください。

電子印鑑(デジタル印鑑)とは

電子印鑑とは、PCやタブレットで電子文書に捺印が可能な、データ化されたデジタル印鑑のことです。

電子印影は、印鑑による印影(印鑑を押した後にできる朱肉の跡)を模したもので、実物の印鑑のように電子データ上に印影を残すことが可能です。

従来のやり取りではPCで作成した文書を印刷し、それに押印したものをスキャンして再度データ化するといった作業が広く行われていました。しかし、在宅ワークやテレワークの普及に伴って、こうした非効率な手続きを見直す動きが生まれ、捺印作業もPC上で行える電子印鑑がにわかに普及しています。

電子印鑑を活用すれば、印刷する前のデータや文書をスキャナなどから取り込み、データ化したものに簡単に捺印ができるため、非常に便利です。

電子印鑑には、紙に押印した印影をスキャンしてJPGやPNG形式に保存した単純な画像データと、電子的な識別情報が付与されたものがあります。識別情報付きの電子印鑑は有料サービスで提供されているケースが多く、印鑑が悪用される懸念がある企業にとっては安心できるサービスです。なお、どちらも法的効力は変わりません。

電子印鑑と電子署名の違い

電子印鑑と似た言葉に電子署名というものがありますが、この2つにはセキュリティや改ざんリスクの面で大きな違いがあります。

電子印鑑は、WordやExcelなどを利用すれば誰でも比較的簡単に作成が可能です。しかし、誰でも作成ができるために電子印鑑は偽造や改ざんのリスクがあります。一方、電子署名は、紙に署名するのと同様に、電子データに対して付与される署名のことで、改ざん防止などの対策が講じられています。署名された文書全体が暗号化されているため、第三者による改ざんは非常に困難であり、セキュリティ面で安全といえます。

なお、無料で作成された電子印鑑には識別情報などの点でも、セキュリティ対策が十分でないものがあります。中には、識別情報が付与されセキュリティ対策が講じられているものもあり、識別情報が付与され認証を受けた電子印鑑であれば、一定の法的効力を担保されます。

セキュリティ面を重視するのであれば、識別情報が付与され、改ざん防止対策が徹底されたサービスを選ぶとよいでしょう。

電子印鑑と電子契約の違い

電子印鑑は、従来の印鑑をデジタル化し、データとして書面に押印することです。一方、電子契約は、紙で契約書を交わすのではなく、電磁媒体により契約を締結するという行為そのものをいいます。

電子契約では原則として押印は不要ですが、内容の信憑性や法的効力の観点から電子印鑑を押すこともあります。ただし、実印や社印などの重要な印鑑の印影をスキャンして画像化し、電子契約書に表示させる行為は、なりすましや悪用などのリスクが伴います。

電子契約では、本人識別情報などのセキュリティ対策が行われた電子印鑑を使用するか、電子署名を用いるほうがリスクを軽減できるでしょう。

電子印鑑の法的効力

「印鑑には法的効力がある」と信じている人は多いでしょう。しかし、捺印すること自体に法的効力はありません。

捺印そのものには「確認した、承認した」という意思が込められていますが、これはあくまでも慣習です。それでも重要書類に必ず捺印するのは、きちんとした書類を準備して捺印することで、意思表示を明確にする意味合いがあるからでしょう。

印鑑が法的効力を発揮するのは公的機関に提出する、ごく一部の書類だけです。普段捺印している書類のほとんどは、厳密には捺印が必須ではないということを理解しておきましょう。電子印鑑は本物の印鑑と変わらず、同じように使用できます。

ただし、本物の印鑑にもメリットはあります。重要な交渉の場面や、商談がまとまった時など、ここぞという時に印鑑を取り出して目の前で捺印すると、やはり気が引き締まるものです。今後電子印鑑が普及したとしても、重要な契約では実印で捺印する習慣が残るかもしれません。

電子印鑑は請求書や契約書に使える?

前述のとおり、電子印鑑は本物の印鑑と同じように使用できます。e-文書法という法律では電子印鑑が認められる書類が示されていますが、この中には見積書請求書納品書領収書、契約書など、日常的に使う書類のほぼすべてが含まれているため、電子印鑑を使用しても問題ありません。

電子印鑑は実印として使える?

電子印鑑は、実印として使用することはできません。

実印とは、所管の市町村役場に印影の届出をした印鑑です。不動産の取引など重要な取引の場面において、印鑑登録証明書とあわせて提出することで、本人が押印したことを証明する役目を果たします。

一方の電子印鑑は市町村役場で印鑑登録できず、実印の登録には現物の印鑑が必要です。

なお、電子印鑑には大きく分けると、以下の2種類があります。

  1. 印影を電子データ化したもの
  2. 印影に識別情報などが保存されたもの

印影を電子データ化したものとは、WordやExcelなどで作成したものや、印影をスキャンして画像化したものであり、比較的容易に作成できます。したがって、法的な効力は弱いといえます。

一方で、印影に識別情報が保存されたものは、誰が押印したかと、押印した日付などの情報が記録されており、電子証明書の付与などの条件を満たしていれば、一定の法的効力を得ることができます。

ビジネスの場で電子印鑑を使用する場合は、2種類それぞれの電子印鑑の特徴を理解し、場面によって使い分けることが必要です。

電子印鑑のメリット

電子印鑑には、ビジネスを効率化するためのメリットがたくさんあります。電子印鑑のメリットである効率化や環境への配慮は、これからの企業経営に欠かせない要素といえるでしょう。

誰でも簡単に作成できる

電子印鑑は使い方も簡単なので、誰でも簡単に作成・捺印できます。特別な知識が不要で、導入のハードルも低い点がメリットです。

逆に、「誰でも捺印できてしまうのではないか」と不安を覚える人もいるかもしれません。そのような場合は捺印の権限を設定できる有料の電子印鑑サービスもあるため、そちらを利用してもよいでしょう。

業務を効率化できる

電子データに捺印する際、電子印鑑に対応していなければデータをダウンロードし、印刷して捺印し、再度スキャンしてデータ化するという手間がかかります。データ化しない場合は、紙の書類を郵送するコストやFAXからの情報漏洩リスクもあり、優れた方法とはいえません。

電子印鑑を導入すれば、これらの問題はすべて解決します。業務効率化につながることで無駄な工数を削減でき、働き方改革の推進にも役立つでしょう。

コストを削減できる

企業側にも、環境への適切な対応が求められる時代です。ペーパーレス化することで無駄な資源を削減でき、コストカットだけでなく環境にやさしい企業であることのアピールにもつながるでしょう。

リモートワークに対応できる

電子印鑑を使用することで、リモートワークや在宅勤務に対応できるようになります。近年、リモートワークや在宅勤務を導入する企業は増加しています。

リモートワークや在宅ワークは、基本的に電子データでのやり取りが中心ですが、場合によっては社内の決裁文書や、領収書などに押印が必要な場面があります。このような時に電子印鑑を利用すれば、印鑑を押すために出社する必要がなくなり、効率的に業務に集中できます。

電子印鑑のデメリット

電子印鑑を導入するなら、デメリットもしっかり理解しておきましょう。当然ながら、本物の印鑑にはないデメリットもいくつかあります。

電子印鑑のみでは法的証拠力が低い

一般的な電子印鑑は、印影をスキャンしたものやWordやExcelなどで作成したものです。電子印鑑は第三者誰でも容易に複製や改ざんができるため、電子印鑑単体では法的証拠力は低いとされています。

そこで、電子署名法第3条で法的な効力が認められている電子署名と併用することで、電子印鑑の法的証拠力を担保する方法があります。

認印を使用するような簡易的な場面では、電子印鑑のみで十分なこともあります。しかし、重要な書類へ押印をする場合は、電子署名と併用して使用することが推奨されます。

セキュリティ上のリスクがある

印影の画像データを作成するだけならWordやExcelで簡単に作れますが、有料サービスのような識別情報は何も付与されていないため、簡単に複製できます。本当に企業の担当者が捺印したものかどうかわからず、なりすましの可能性もあります。よって、セキュリティ面に不安がある場合は、セキュリティ対策が施された有料サービスを使うべきです。

互換性の問題が発生する場合がある

識別情報は電子データなので、相手のOSによっては正しく表示できなかったり、電子印鑑が使用できなかったりすることも想定されます。その際は実印を使用したり、単純な画像データを使用したりするといった柔軟な対応が必要です。

相手によっては電子印鑑を使用できない

電子印鑑の認知度は、まだ高くありません。相手企業によっては「電子印鑑は信用できない」と思われる可能性があり、難色を示されることもあるでしょう。電子印鑑は徐々に普及していくと思われますが、このようなケースも想定しておきましょう。

参考:電子契約サービスの導入に関する調査(2022年時点) | マネーフォワード クラウド契約

電子印鑑を無料で作成する方法

識別情報なしの電子印鑑は、誰でも簡単に作成できます。最もシンプルな方法を紹介するので、ぜひ試してみてください。

Excel(エクセル)で電子印鑑を無料作成する方法

まず、「挿入」から「図」を選択し、円形を挿入しましょう。シフトキーを押しながら拡大・縮小すれば、印鑑らしい正円を描けます。枠線の色を朱色に変更し、太さは好みで調整してください。

電子印鑑の作成方法

次に図形を右クリックして、「塗りつぶし」を「塗りつぶしなし」に変更します。これで印鑑の外枠が完成しました。

円の中に名前を入力します。文字の色を赤にして、縦書きに変更して好みのフォントで入力してください。最後に図形を選択・右クリックして「図として保存」すれば、電子印鑑の印影をPNG方式で保存できます。

PNG方式だと背景透過になるため、書類に貼り付ける時に印鑑のように捺印できるため便利です。

Word(ワード)で電子印鑑を無料作成する方法

Wordで電子印鑑を作成するには、図形で作成する方法と印影の画像を使って作成する方法の2つがあります。それぞれの作成方法は次のとおりです。

図形で作成する方法

Wordを開いて、「挿入」タブから「図形」へ進み、円形(角印の場合は四角)を選択して作図します。

次に「図形の塗りつぶし」設定で「塗りつぶしなし」を選択し、枠線の色を赤または朱色に変更します。ここまでで印鑑の外枠の完成です。

次はテキストボックスで文字を作成します。「挿入」タブのメニューから「テキストボックス」を選択し、印鑑に使用する文字(苗字や会社名など)を入力します。

その後、最初に作成した図形に先ほど作成した「テキストボックス」を重ね、大きさと位置の微調整をします。印影のデザインが完成したら、「図形」と「テキストボックス」を「shift」を押しながら選択し、右クリックでグループ化を選択します。グループ化された印影の図を選択し、右クリックで「図として保存する」から保存して完了です。

図形で作成する方法

印影の画像で作成する方法

白紙の用紙に電子化する印鑑を押します。印影が鮮明になるように押し方には注意をしましょう。次に印鑑を押した用紙をスキャンします。スキャナが手元にない場合はスマートフォンのカメラで撮影します。

その後、スキャンまたはスマートフォンで撮影したデータをWordに取り込みます。データは「挿入」タブの「画像」メニューから取り込むことができます。

次は取り込んだ画像データを調整します。画像データをダブルクリックで選択し、「図の形式」タブから「トリミング」を選択し、不要な白紙部分を削除します。

次に「背景の削除」メニューをクリックし、「保持する領域としてマーク」「削除する領域としてマーク」で、印影の枠と文字を残すように設定します。この作業では、Word画面右下の縮尺設定で画面を大きくすると作業がしやすくなります。

最終的な調整が終わったら「変更を保持」を選択すると画像の完成です。

完成した画像は、右クリックで「図として保存」で保存します。

印影の画像で作成する方法

PDF形式で電子印鑑を保存する方法

先ほどの手順で「図として保存」ではなく、ファイルメニューから「名前を付けて保存」を選べばPDFとして保存することも可能です。また、一度PNG形式で保存したファイルをファイル変換ソフトなどでPDFに変換すると、印鑑として使いやすいサイズで保存できるのでおすすめです。

実際の印影をスキャンする方法

実物の印鑑の印影をスキャンして、電子印鑑の印影として使うこともできます。まず、きれいな紙に印鑑を押します。その後スキャナでスキャンするか、デジカメやスマホで印影を撮影します。その後パソコンに取り込んで印影の部分をトリミングし、画像ファイルとして保存すれば完了です。

実際に電子ファイルに押印する際は、この画像をコピーしてサイズを調整し、押印欄に貼り付けます。画像編集ソフトが必要になりますが、背景を透過させてPNG方式で保存するのがベターです。

印影をスキャンする

スキャンした印影を使うことで、実物の印鑑で押印したような、リアルな印影を残すことができます。特に契約書の印刷を前提としている場合は、おすすめです。

電子印鑑の作成に人気の無料アプリ・フリーソフト

電子印鑑は、無料のアプリやフリーソフトを使って作ることも可能です。ここでは、人気のアプリやフリーソフトを紹介していきます。

電子スタンプ・はんこ

「電子スタンプ・はんこ」は、横書きの印鑑を作成できるiPhone※・Mac用のアプリです。「重要」「見本」などのビジネスでよく使うスタンプを作成することが可能で、同じ印鑑を多く押す際に便利です。

文字サイズやフォントの調整など、基本的な機能は十分でスマートフォンから作成できるため、気軽に印鑑の作成ができます。

※iPhoneはApple inc.の登録商標です。iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。

電子印鑑

「電子印鑑」は、Google PlayとAppStoreの両方で使える人気のアプリです。「丸-縦」や「角-1列」など、6種類の中から好きな形の印鑑を作成でき、フォントや文字サイズなどの設定も可能です。作成した印鑑は画像データとして保存できます。ユーザーの評価も高く、電子印鑑を作成するなら一度利用してみるとよいでしょう。

Photo印鑑

「Photo印鑑」は、スマートフォンのカメラで撮影した画像をそのまま電子印鑑にできるアプリです。必要最低限のシンプルな機能で使いやすく、PC操作が苦手な人でも簡単に印影画像が作成でき、急に電子印鑑が必要になった時などに便利です。

「Photo印鑑」は、Appstore専用のアプリです。

Canva 電子印鑑メーカー

「Canva印鑑メーカー」は、Canvaのデザインツールを使って簡単に電子印鑑が作成できるサービスです。

スマートフォンはもちろん、PCに印鑑の写真を取り込んで電子印鑑とすることも可能です。「楷書体」「古印体」など多数の書体からフォントを選択することもできます。

無料で利用できますが、有料プランでは背景除去や一部有料のデザインを使用することが可能です。

クリックスタンパー

「クリックスタンパー」は、電子印鑑を作成できるフリーソフトです。PCにインストールするだけで簡単に作成でき、作成した印鑑の画像をWordやExcelに貼り付けが可能です。

最初から用意されたファイルをもとに、通常の印鑑の他、データネーム印なども作成できます。

職印くん32

「職印くん32」は、通常の印鑑はもちろん、ネーミングのとおり会社で使う社印や角印を作成できるフリーソフトです。PC向けのソフトですので、スマートフォンには対応していませんが、印鑑の他にQRコード※の作成も可能です。

※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

マイスタンプメーカー

「マイスタンプメーカー」は、Web上で印影を作成し無料でダウンロードできるWebアプリケーションです。スマートフォンアプリやフリーソフトと違い、ダウンロードやインストールすることなくブラウザ上で作成できます。

操作も簡単で、通常の認印や角印はもちろん、個性的なデザインの印影も作ることができます。

くいっくはんこ

「くいっくはんこ」は、氏名の入力のみで簡単に印影の画像をダウンロードできるサイトです。マイスタンプメーカーと同様に、アプリのダウンロードやフリーソフトのインストールの手間が不要で、ブラウザ上で気軽に印影が作成できます。作成した印影画像は、クリックするだけでダウンロードが可能です。

マネーフォワード クラウドなら契約書も電子化できる

電子印鑑を導入する際は、印鑑だけでなく契約事務を一気通貫で電子化できる有料サービスを活用することをおすすめします。

マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド契約」を使えば、契約書の作成からワークフローの承認、契約締結、保管・管理まで対応できます。クラウドサービスなので外出先や在宅ワークでも利用でき、紙の契約書にも電子契約書にも対応しています。

また、ワークフローのカスタマイズが可能で決裁権限者を固定できるため、内部統制強化にも寄与します。専用ソフト不要でブラウザ上で契約事務が完結するため、取引先にも負担がかかりません。まずは資料を請求してみてはいかがでしょうか。

電子印鑑作成サービスを比較する際のポイント

電子印鑑作成サービスを選ぶ際に比較すべきポイントには、以下のようなものがあります。

  • セキュリティ対策は万全か
  • 使う予定の書類に対応しているか
  • 必要な機能が網羅されているか
  • SFAやCRMなど、導入済みのサービスと連携できるか
  • 紙の契約書も一元管理できるか
  • システムは使いやすいか
  • 取引先でも問題なく使えそうか
  • コストは許容範囲内か

上記のポイントをよく検討して、自社に最適な電子印鑑作成サービスを選びましょう。

電子印鑑を導入して業務を効率化しましょう

電子印鑑を導入すれば、業務効率が大きく改善します。無料で電子印鑑を作成するのも手軽でよいのですが、セキュリティ対策や契約書管理の効率化を考えるのであれば、電子契約・契約書管理までを一括でできるサービス導入を検討するのが得策です。


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