- 作成日 : 2022年11月11日
定款を変更する際の書き方のポイントや手順を解説
創業当初定めた定款の内容に変更が生じることもあるでしょう。事業範囲が広がったり社名が変わったり、様々なケースが考えられます。株主総会での承認を経て変更ができるところ、実務上は株主総会議事録の作成も行わなければなりません。
定款変更があったときの議事録への書き方、そして変更登記申請書への記載方法についてもここで説明していきます。
定款を変更する際の書き方のポイント
定款を変更する際は、原始定款を作成するときと同じように書き方に気をつけなければなりません。
例えば“商号”の変更をする場合、株式会社であれば「株式会社○○」または「○○株式会社」といった形で「株式会社」という文言を入れる必要があります。
また“目的”を変更する場合、実際の事業内容との相違がないような書き方・表現をしなければなりません。特に注意が必要なのは許認可を要する事業を行う場合です。定款への書き方によっては、許認可が得られない可能性もあります。何を行うのか、見た人がある程度分かるよう具体的に記載することが大切です。
ただし、詳細に記載しすぎると事業内容が少し広がるだけで定款に記載の“目的”から外れてしまうため、含みを持たせた書き方をすると良いでしょう。
“本店の所在地”に関しても同様のことが言えます。定款への記載は最小行政区画までで問題ありません。具体的な所在地まで細かく書いてしまうと、今後また所在地が変わった際に必ず定款変更をしなければならなくなります。そのため特に記載する理由がなければ「〇〇丁目〇〇番地〇〇号」と詳細な情報は書かなくて良いでしょう。
株主総会議事録の作成に関しては、適法に定款変更の手続きが行われたことが分かるよう、株式の数や議決権の数を詳細に記載するのがポイントと言えます。「株主の総数」と「発行済株式の総数」、「議決権を行使できる株主の数」「議決権を行使できる株主の議決権の数」「出席株主数」「出席株主の議決権の数」などを書き記しておきましょう。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ30選
業務委託契約書など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
導入で失敗したくない人必見!電子契約はじめ方ガイド
電子契約のキホンからサービス導入の流れまで、図解やシミュレーションを使いながらわかりやすく解説しています。
社内向けに導入効果を説明する方法や、取引先向けの案内文など、実務で参考になる情報もギュッと詰まった1冊です。
紙も!電子も!契約書の一元管理マニュアル
本ガイドでは、契約書を一元管理する方法を、①紙の契約書のみ、②電子契約のみ、③紙・電子の両方の3つのパターンに分けて解説しています。
これから契約書管理の体制を構築する方だけでなく、既存の管理体制の整備を考えている方にもおすすめの資料です。
自社の利益を守るための16項目!契約書レビューのチェックポイント
法務担当者や経営者が契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
弁護士監修で安心してご利用いただけます。
法務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ
法務担当者がchat GPTで使えるプロンプトのアイデアをまとめた資料を無料で提供しています。
chat GPT以外の生成AIでも活用できるので、普段利用する生成AIに入力してご活用ください。
定款を変更の記載例
定款変更に関する株主総会議事録には、表題・開催日時・開催場所・出席役員、株式や議決権の数などを記載していきます。以下ではポイントとなる定款変更についての記載例を示していきます。
まずは“商号”の変更についてです。
株主総会議事録に「議案」と称した項目を設け、そこに「定款変更の件」などと記載し、具体的な変更内容を書いていきましょう。
記載例
1 定款第〇条を次のとおりに変更する。
(商号)
第〇条 当会社は、商号を○○と称する。
なお、商号は登記事項でもありますので、変更登記申請書の「登記すべき事項」の項目に変更後の新商号を記載するなどして法務局に申請を行いましょう。
他の事項についても同様に記載します。
例えば“目的”の変更なら以下のように書くと良いでしょう。
記載例
1 定款第〇条を次のとおりに変更する。
(目的)
第〇条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1 ○○
2 ○○
3 前各号に附帯する一切の事業
“目的”の変更については変更部分や追加部分のみならず、変更後の文言をすべて記載します。変更登記申請書も作成することになりますが、申請書に直接記載せず「登記すべき事項」の項目に「別紙のとおり」などと記載し、変更後の“目的”を記載した別紙を添える形でもかまいません。
定款を変更する際の手順
定款変更をするには、下記の流れに沿って手続きを進めていきます。
- 株主総会の特別決議で承認を受ける
- 株主総会議事録を作成する
- 変更登記の申請を行う
1の特別決議では、「株主総会に過半数の株主が出席すること」、そして「出席株主の2/3以上が賛成すること」が要件とされています。普通決議より厳しい要件が課されています。
また3について、上述のとおり“目的”や“商号”、“本店の所在地”など一部の事項を変更するには登記申請も必要となります。他にも株式に関する内容変更、役員に関する変更などが生じたときには変更登記の申請が必要です。
株式会社の定款変更に必要な手続きについて、詳しくはこちらの記事を参照ください。
定款変更の際には株主総会議事録の作成と登記申請を忘れないようにしよう
定款変更の効力自体は、株主総会で承認された時点で生じるのが基本です。しかし株主総会議事録の作成も忘れてはいけません。さらに、登記事項でもある内容を変更したのであれば変更登記の申請も忘れないようにしましょう。
よくある質問
定款を変更する際の書き方は?
原始定款作成時と同様の注意を払い、法令に則った書き方・表現をしなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
定款変更の手順は?
株主総会の特別決議で承認を受け、その内容を株主総会議事録に記載、必要に応じて変更登記申請も行います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
派遣契約とは?業務委託との違いや3年ルールについて解説
派遣契約とは、派遣会社に雇用される労働者を別企業で労働させる形式の契約です。通常の雇用契約とは異なる法律によって契約をする必要があります。 今回は、派遣契約の基本的な説明をした上で、業務委託や準委任契約との違い、中途解除の条件や契約を続ける…
詳しくみる新リース会計基準で再リースの処理はどうなる?
新リース会計基準によって、リース契約における経理処理はこれまでとは大きく扱いが変わるケースも少なくありません。再リースも例外ではなく、これまでと処理方法が異なります。 本記事では、新リース会計基準における再リースの扱いやこれまでと異なる点、…
詳しくみる委託とは?意味や委任・請負との違いなどを簡単にわかりやすく解説
「委託」は、特定の業務や行為を第三者に任せることです。特に、専門性の高い業務を外部に依頼する際は、委託する側と受託する側が締結する業務委託契約が重要な役割を果たします。 この記事では、委託の定義や他の類似した概念、業務委託契約で注意するべき…
詳しくみる飲食業におすすめの顧問契約先は?相談できる内容や費用について解説
飲食店経営において、社会保険労務士(社労士)や弁護士、税理士との顧問契約は大きな意味を持ちます。各分野の専門家とつながることで経営判断の質も上がりますし、トラブルの予防や解決にも効果的です。 ただし、専門家によって相談できる内容は異なります…
詳しくみるコンプライアンス資格の一覧を紹介!部門ごとの活用の仕方とあわせて解説
企業におけるコンプライアンス強化は、特定の部署だけでなく組織全体で取り組むべき課題です。その中で、各部門に適した資格を取得し、実務に活かすことは、リスクの早期発見や適切な対応につながります。法務では法的判断力、監査では内部統制力、人事では労…
詳しくみる契約締結権限とは?表見代理のリスクや確認方法・注意点を解説
契約締結権限は、企業が適切に契約を管理し、法的リスクを回避する上で基本となる仕組みです。誰がどの範囲で契約を結べるのかを正しく理解し、社内の規程や実務と整合させることが、信頼性の高い契約運用につながります。代表取締役、役員、従業員では契約で…
詳しくみる


