- 作成日 : 2022年10月14日
寄託契約書とは?雛形をもとに記載事項など解説
自社の商品を物流会社に預かってもらう、仕事で使う資材を社外などの倉庫で預かってもらう、知人に自分の荷物を預かってもらうなど、何らかの物を第三者に預かってもらうことを「寄託」といいます。
今回は寄託する、あるいは寄託を請ける際に締結する「寄託契約書」の書き方について、雛形をもとに解説します。
目次
寄託契約書とは?
寄託とは、自分の持っている物を第三者に預かってもらう行為のことです。例えば、美術品をセキュリティが完備されている倉庫に預ける、自社の商品を物流センターに預かってもらう、車を修理してもらうために整備工場に長期間預かってもらう、銀行に金銭を預かってもらうといった行為が寄託にあたります。
預けていた物品が破損・紛失する、盗難に遭う、寄託先から返却されないなど、寄託にはさまざまなトラブルが発生するリスクがありますが、寄託契約書を作成しておけばリスクを軽減することができます。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い45個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
実際の契約に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。
【弁護士監修】チェックリスト付き 改正下請法 1から簡単解説ガイド
下請法の改正内容を基礎からわかりやすく解説した「改正下請法 1から簡単解説ガイド」をご用意しました。
本資料では、2025年改正の背景や主要ポイントを、弁護士監修のもと図解や具体例を交えて解説しています。さらに、委託事業者・受託事業者それぞれのチェックリストを収録しており、実務対応の抜け漏れを防ぐことができます。
2026年1月の施行に向けて、社内説明や取引先対応の準備に役立つ情報がギュッと詰まった1冊です。
弁護士監修で分かりやすい! 契約書の作り方・書き方の教科書
弁護士の南陽輔氏(一歩法律事務所所属)が監修している「契約書の作り方・書き方の教科書」ガイドです。
契約書作成の基本知識、作成の流れ・記載項目、作成時の注意点・論点が、分かりやすくまとまっています。手元に置ける保存版としてぜひご活用ください。
自社の利益を守るための16項目 契約書レビューのチェックポイント
契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
契約書のレビューを行う企業法務担当者や中小企業経営者の方にもご活用いただけます。
寄託契約書の雛形
では、さっそくワード形式でまとめた寄託契約書の雛形を見てみましょう。下記リンクから無料でダウンロードできるので、契約書を作成する際に参考にしてください。
ここからは雛形に基づいて寄託契約書に記載すべき項目に関して説明します。雛形をご覧になりながら読み進めると、より理解が深まるでしょう。
寄託契約書に記載すべきこと
ここでは、寄託契約書に最低限記載すべき事項についてまとめました。後々のトラブルを防ぐためにも、これらの項目はしっかり押さえておきましょう。それぞれについて、詳しく説明します。
なお、民法では寄託契約について、「当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」と定めています(657条)。民法改正により要物契約から諾成契約になったことから、物の引き渡しは契約の成立要件ではなくなりました。
契約者
まずは誰が寄託を依頼し、誰がそれを受託するのかを明記します。寄託者(物品を預かってもらう側)を「甲」、寄託先(物品を預かる側)を「乙」とします。
寄託物件
何を預かってもらうのかを、数量も含めて具体的に明記しましょう。寄託物件が多い場合は目録を作成し、「別紙目録記載の物件」としてもかまいません。
保管費用
有償契約の場合は、保管費用の金額と支払時期を明記します。無償契約の場合は、この項目は不要です。
保管場所
どこに寄託物件を保管するのかを明記しましょう。住所及び「◯◯社の倉庫」「◯◯市所在の物流センター」といったように具体的な保管場所の他、第三者への再寄託の可否についても記載すると良いでしょう。
善管注意義務
有償契約の場合は、寄託先に「善管注意義務」が発生します。善管注意義務とは、善良なる管理者の注意義務のことを言い、簡単に言うと、お金をもらう以上、よくよく注意して、預かったものを保管しておく義務があるということです。具体的にどのように物品を管理するのか、もしも物品に何らかのトラブルが発生した場合はどのように対処するのかを記載しておきましょう。無償契約の場合は善管注意義務は生じず、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管すれば足りますが、管理方法については記載しておいてもよいでしょう。
譲渡等の禁止
寄託先に物品を預けた場合、それが無断で第三者に譲渡されることも考えられます。これを防ぐために、譲渡の禁止についても盛り込んでおきましょう。
保管期間
寄託先が、いつまで物品を保管すればよいのかを明記します。保管期間の延長が予想される場合は、更新についても記載します。
返還
寄託した物品を返還する際のルールについても、しっかりと記載しておきましょう。返還を請求した場合の返還期限、返還場所、返還が遅れた場合の損害金についても取り決めておくと、返還拒否や遅延などのトラブルを防ぐことができます。
契約解除
寄託者と寄託先が、寄託契約を解除できる条件について定めます。相手方が契約違反を行った場合や、倒産のおそれがある場合などが考えられます。
反社会勢力の排除
暴力団などの反社会勢力と取引を行うと暴力団排除条例違反に該当し、刑事罰が科せられるおそれがあります。また、これが社会に知れ渡ると企業の信用失墜にもつながります。相手および自身が反社会的勢力でないことを明らかにするために、反社会勢力の排除についても盛り込みましょう。
合意管轄
紛争などのトラブルが発生した際に、訴訟を起こす裁判所について記載します。
寄託契約を結ぶ際の注意点
前述のとおり、寄託という行為はさまざまなトラブルが発生するリスクを孕んでいます。例えば、寄託者には預かってもらった物品が破損したり紛失したりするリスクがあります。寄託先は、「返還された物品が壊れていた」などと言いがかりをつけられるかもしれません。
ここからは、寄託契約を締結する際の注意点について見ていきましょう。
有償で寄託契約を結ぶ場合の義務
前述のとおり、有償で寄託契約を締結する場合は寄託先に善管注意義務が発生します。例えば倉庫や荷物の預かりサービスなど、ビジネスとして寄託を請け負っている業者を利用する場合、寄託者は費用を支払わなければならず、寄託先は預かった物品を適正に管理し、保管期間が終わったら寄託者に返還しなければなりません。費用を支払っている以上、預けた物品が破損・紛失したり盗まれたりすることは、あってはならないことです。寄託先は寄託物がトラブルに遭わないよう、寄託者に返却するまで寄託物を善良な管理者としてしっかり管理する義務があります。
有償で寄託契約を結ぶ際は、善管注意義務の項目に寄託物をどのように扱うのかを明記しておきましょう。
なお、無償の場合は善管注意義務は発生しません。
再寄託が可能な場合
寄託先によっては自社に十分な保管スペースがなく、物品の管理業務を外注するケースがあります。その場合は、再委託についても契約書に盛り込んでおきましょう。再寄託についての記載がないのに勝手に再委託を行うと、トラブルになる可能性があります。
寄託契約書に収入印紙は必要か
印紙税法で印紙税の対象となるのは、金銭や有価証券の寄託契約のみです。物品の寄託契約については、契約書に収入印紙を貼付する必要はありません。
寄託契約書を作成してトラブルを未然に防ぎましょう
自分の物を他人に預ける、他人の大切な物を預かるという寄託という行為にはリスクが伴います。寄託を依頼する際や寄託を請ける際は、後々トラブルにならないよう寄託契約書を作成し、寄託物件の概要や数量、寄託期間、費用などを明記しておくことが大切です。
テンプレートを用意しましたので、本記事を参考にしながら寄託契約書を作成してみましょう。
よくある質問
寄託契約書とはどのような契約書ですか?
寄託者(物を預ける人)と寄託先(物を預かる人)が契約を締結する際に作成する契約書です。詳しくはこちらをご覧ください。
寄託契約書にはどのような事項を記載すべきですか?
契約者、保管費用・場所・期間、善管注意義務、譲渡等の禁止、返還方法、解除条項、反社会勢力の排除条項、合意管轄条項などの項目を記載します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
契約書の特約条項とは?意味・種類・注意点を解説
契約書には一般的な条件を定めた「一般条項」に加えて、取引の実情や当事者の合意内容を反映する「特約条項」があります。これらは将来的なトラブルを防ぎ、契約の実効性を高めるために欠かせないものです。 本記事では、特約条項の基本的な意味から種類、作…
詳しくみる連帯保証人なし・ボーナス併用の金銭消費貸借契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
金銭消費貸借契約とは、お金を貸し借りする契約です。契約時には、支払い方法や利息、返済期限や保証人の有無など、細かく決める必要があります。契約書の書き方がわからない方は、弁護士が契約前に書類をチェックする「レビュー」を経たテンプレートを活用す…
詳しくみるEPC契約書とは?ひな形をもとに書き方や民法改正に伴う変更点を解説
建物や工場、発電所などを建設する際には、工事請負契約ではなくEPC契約というものを結ぶ場合があります。この記事ではEPC契約の意味や契約書の書き方についてご紹介します。すぐに使えるテンプレートもダウンロードできますので、ぜひご活用ください。…
詳しくみる産業廃棄物委託契約書の保管期間は?保管義務や正しい管理方法について解説
排出事業者にとって、産業廃棄物の処理を委託する際の契約書は、適正処理を担保し、企業のコンプライアンスを守る上で極めて重要な書類です。しかし、その保管期間や正しい管理方法について、正確に把握できているでしょうか? 「契約書はいつまで保管すれば…
詳しくみる商標権侵害に基づく警告書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
商標権侵害に基づく警告書とは、自社の商標権を侵害する者に対して、侵害行為の停止を求める警告書です。侵害行為の内容を正確に示したうえで、速やかな停止を求める旨を記載しましょう。本記事では、商標権侵害に基づく警告書の書き方やレビューのポイントを…
詳しくみる出向契約書とは?ひな形をもとに書き方や事業者向けの注意点を解説
出向契約書とは、従業員を出向させるときに作成する書類の一つです。出向契約書には出向後の働き方に関わる事柄を明記し、事業者・従業員ともに認識の齟齬がないように備えなくてはいけません。出向契約書に含める事項や作成のポイント、ひな形を紹介するので…
詳しくみる



