- 作成日 : 2022年8月19日
海外では印鑑だと契約できない?代わりに使われるものは何?
契約などの際に日本では当たり前のように使われている印鑑ですが、実は海外ではあまり使われていません。今回は、海外の印鑑事情や印鑑の代わりに契約で使われるものについてご紹介します。特に海外の会社と取引がある方や、出張や旅行によく行かれる方は必見です。
印鑑は海外でほぼ使われない
結論からいうと、海外では日本のように印鑑が使われることはほぼありません。海外では、印鑑以外の手段で契約を結びます。詳しく見ていきましょう。
多くの国はサイン文化
欧米を中心に、海外では契約を締結する際に自筆のサイン(署名)をします。首脳同士が協定書や覚書にサインをしているシーンをニュースで見たことがある方は多いでしょう。海外出張や海外在住の経験がある方なら、書類にサインをしたことがあるかもしれません。逆に、海外で印鑑を押した経験がある方はほとんどいないでしょう。
日本では印鑑登録をして印鑑証明証を取得することで、その印鑑(実印)が本人のものであることを証明することができます。一方で海外では公証人が署名に立ち会うことで、本人が書いたサインであることを証明することができます。
印鑑が使われる国や地域はどこ?
とはいえ、印鑑を使っていた国や地域が日本だけかというとそうではありません。台湾、韓国、中国などでは印鑑を使う習慣があります。そもそも印鑑は、中国からアジア諸国に伝わった文化であり、ごく限定されています。また、これらの国でも印鑑の廃止に向けた動きが見られています。
印鑑の代わりに使用するもの
印鑑を使用しないのであれば、どうやって契約を締結するのでしょうか。ここからは、海外で印鑑の代わりに使われるものについてご説明します。
サイン
前述のとおり海外ではサイン、つまり自筆の署名が印鑑の代わりとなります。むしろ「日本ではサインの代わりに印鑑が使われる」という方が正しいかもしれません。
サインの書き方は、例えば山田太郎(やまだたろう)さんなら「Taro Yamada」というように、姓名をローマ字で記します。ブロック体よりも筆記体で書いたほうが偽造しにくいためおすすめです。
ビジネスの場では「Taro Yamada」とフルネームで書くのがベターですが、クレジットカードやデビットカード、プリペイドカードの支払いなどでは「T Yamada」と書いても問題ないケースが多いです。
電子署名
電子署名では、インターネットを介してパソコンやスマートフォン上で書類に署名します。例えば、相手から契約書のPDFファイルが送られてきた場合、それに電子署名を付して送り返すことで契約が成立します。電子署名にはタイムスタンプで署名をした日時が記録され、電子認証局が本人認証を行った上で発行する電子証明書が付与されるため、電子署名を付与した人が本人であること、また署名が改ざんされていないことを証明できます。
電子印鑑
印章を模した画像データを電子データに付す電子印鑑も、印鑑の代わりに使うことができます。電子印鑑も電子署名と同様にタイムスタンプと電子証明書を付与することで、高い本人性と非改ざん性が担保されます。
電子署名も電子印鑑も、インターネットを介してパソコンやスマホなどのデバイス上で契約締結ができます。日本にいながら海外の取引先と契約を締結できるため、契約までの時間を短縮できる、出張や郵送などの手間や費用を削減できる、ペーパーレス化が進むといったメリットがあります。
外国人が日本で印鑑を使う場合
ハンコ文化が根強く残っている日本で海外の方が契約を締結する場合は、印鑑を使ったほうがスムーズに契約することができるでしょう。しかし、文房具店などでは日本人の名前の認印しか置いていない場合がほとんどです。その場合、認印であっても印章店で印章を作ってもらう必要があります。外国人向けの印章を作ってくれる印章店を探しましょう。
海外の方の場合はアルファベット表記が基本ですが、外国人登録の際にカタカナ名も併記していればカタカナでも可能です。むしろ、カタカナのほうが日本人にはわかりやすいかもしれません。
印章店で作ってもらう手間はかかりますが、ビジネスからプライベートまで、日本では印鑑を使う機会が多くあります。1本作っておくと良いでしょう。
海外と取引するなら印鑑以外の方法を使おう
日本では当たり前になっている印鑑ですが、海外ではほぼ使われません。海外の企業と取引する場合や出張や旅行で海外に行く場合は、サインや電子署名、電子印鑑を使いましょう。
特に電子署名や電子印鑑はパソコンやスマートフォン上で使えて手間やコストを抑えることができるため、国内での契約でもおすすめです。この機会に導入を検討してはいかがでしょうか。
よくある質問
印鑑は海外との取引でも使用されますか?
ほぼ使用されていません。海外ではサインが主流で、現在契約で日常的に印鑑が使われるのは日本を含めごくわずかです。詳しくはこちらをご覧ください。
海外との取引では、印鑑の代わりに何を使用すべきですか?
サインや電子署名、電子印鑑が挙げられます。書面での契約であればサイン、電子データでの契約の場合は電子署名や電子印鑑を用います詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
印鑑届出書とは?提出時の書き方や必要な印鑑の種類について
印鑑届出書とは、会社の実印を登録(または登録した印鑑の変更)するために提出する書類です。会社設立にあたって印章を作り、「印鑑届出書」という書類を作成し、これを法務局に提出することで会社実印として使えるようになります。当記事では、この印鑑届出…
詳しくみる印相体とは?印鑑の書体の種類について解説
印相体は、実印として用いられることが多い印鑑用の書体の一つです。印鑑は企業において重要な役割を担うため、書体選びに悩む方は少なくありません。各書体の特徴について理解を深めておくと、用途に適した書体を選びやすくなります。今回は印相体をはじめ、…
詳しくみる実印とは?銀行印・認印との違いや印鑑証明、作成する時のポイントを解説
実印は、企業や個人のさまざまな取引に使用される印鑑です。公的な書類や契約書に実印を用いることで、その信頼性が確保され、正式な意思表示であることを証明できます。 この記事では、実印の定義、銀行印や認印との違い、印鑑証明の方法、作成する時のポイ…
詳しくみる電子印鑑を無料で作成する方法とは?PDFへの捺印についても解説
ペーパーレス化を目指すなら、まずは電子印鑑を導入してみてはいかがでしょうか?書類をパソコンで作成して電子印鑑を押せば、わざわざプリントアウトして押印する必要はありません。また、印刷する書類であっても電子印鑑を押印しておけば、はんこを押す手間…
詳しくみるハンコの押し方で失敗したら?訂正方法などを解説
書類にハンコを押す際に間違えたり、うまく押せなかったりすることがあります。確実なのは再度書類を印刷して押し直すことですが、相手方が捺印済みの場合などはそれができません。 今回は、ハンコを訂正する方法についてご説明します。 ハンコはどう訂正す…
詳しくみる訂正印の適切な押し方とは?印鑑の種類や修正内容の書き方を解説
「訂正印」とは文書の内容を訂正するときの印鑑です。当記事ではこの訂正印について言及し、文字の追加や削除を行う方法など具体的な訂正印の押し方を解説。「どの印鑑を使用できるのか」に関しても併せて説明します。記載ミスがあった場合の対処法をここで押…
詳しくみる