- 更新日 : 2024年11月7日
ゴルフ会員権の譲渡契約書に印紙は必要?金額や不要ケースを解説
ゴルフ会員権の譲渡契約書には原則として、締結時に収入印紙を貼る必要があります。収入印紙なしでゴルフ会員権の譲渡契約書を締結すると、後に追徴課税を受ける恐れがあるので注意が必要です。本記事では、ゴルフ会員権の譲渡契約書に貼るべき収入印紙の金額や消印の押し方、貼る場所、当事者どちらが負担するかなどを解説します。
目次
ゴルフ会員権の譲渡契約書に印紙は必要?不要?
ゴルフ会員権の譲渡契約書を書面で締結する場合は、原則として収入印紙を貼付する必要があります。
ゴルフ会員権の譲渡契約書は、印紙税法上の第15号文書(債権譲渡または債務引受けに関する契約書)に当たります。ゴルフ会員権は、ゴルフ施設運営者に対して当該施設の優遇的利用を請求する権利であり、その譲渡は「債権譲渡」になるためです。
従って、ゴルフ会員権の譲渡契約書を作成するに当たっては、原則として所定の金額の収入印紙を貼付しなければなりません。
印紙が必要な契約書の種類については、以下のページをご参照ください。
ゴルフ会員権の譲渡契約書に収入印紙が必要な場合の金額
ゴルフ会員権の譲渡契約書に貼付すべき収入印紙の金額は、下表の通り、契約書記載の契約金額に応じて異なります。
契約金額 | 貼付すべき収入印紙の額 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上 | 200円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
なお、ゴルフ会員権の譲渡契約書の原本を当事者双方が保管するために2通作成する場合は、それぞれの原本に上記の額の収入印紙を貼付しなければなりません。
これに対して、原本は1通しか作成せず、相手方当事者の保管用に原本の写しを作成する場合は、原本だけに収入印紙を貼付すれば足ります。
ゴルフ会員権の譲渡契約書の印紙税はどちらが負担するか
ゴルフ会員権の譲渡契約書にかかる印紙税は、当事者のどちらが負担しても構いません。契約書の中で、印紙税をどちらが負担するかを明記しておきましょう。
一般的には、原本を2通作成する場合、各当事者が自分の保管する契約書に貼る収入印紙を準備します。原本を1通しか作成しない場合は、譲受人が印紙税を負担するケースが多いようです。
ゴルフ会員権の譲渡契約書の印紙の貼り方
ゴルフ会員権の譲渡契約書において、収入印紙はどこに貼っても構いませんが、契約書の表紙や冒頭に貼付するケースが多いようです。後で契約書を見たときに、収入印紙がどこに貼ってあるかすぐわかる場所に貼っておくのがよいでしょう。
収入印紙を貼付したら、その印紙を以下のいずれかの方法によって消さなければなりません(印紙税法第8条第2項、印紙税法施行令第5条)。
- 消印
自己またはその代理人(法人の代表者を含む)、使用人その他の従業者の印章を、契約書と印紙の彩紋にかけて判明に押します。印章の種類は何でも構いません。
- 署名
自己またはその代理人(法人の代表者を含む)、使用人その他の従業者の署名を、契約書と印紙の彩紋にかけて判明に記載します。
印鑑が収入印紙から外れていたり、署名ではない文字(「印」など)を記載したりした場合は、印紙が消されているとは認められないのでご注意ください。
ゴルフ会員権の譲渡契約書の割印の押し方
ゴルフ会員権の譲渡契約書の原本と写しを作成する場合は、両者の内容が同一であることを示すため、割印を押すのが一般的です(原本を2通以上作成する場合も、割印を押すことがあります)。
割印は、契約書の原本と写しを少しずらして重ね合わせ、重なった部分に押します。両方の文書に押された印影を合わせると1つの印鑑になれば、正しく割印が押せています。
割印に用いる印章は何でも構いませんが、契約書の調印に用いるものと同じ印章を用いるケースが多いようです。
ゴルフ会員権の譲渡契約書に貼るべき印紙を貼らないとどうなる?
ゴルフ会員権の譲渡契約書に貼るべき収入印紙を貼らないと、契約自体は有効ですが、過怠税が課されたり、刑事罰を受けたりする恐れがあります。
契約書に収入印紙を貼らなかった場合の取り扱いについては、以下の記事も併せてご参照ください。
契約内容は無効にならない
収入印紙の貼付は、一部の契約書について印紙税法上義務付けられていますが、契約の有効性には影響を与えません。従って、収入印紙を貼っていない契約書も、他に無効事由や取消事由がない限りは有効です。
過怠税や刑事罰のリスクがある
収入印紙の貼付を怠った場合や消印(または署名)を怠った場合は、本税とは別に以下の金額の過怠税が課されることがあります。(印紙税法第20条)
①賦課決定を予知せず、自ら印紙税の不納付を申し出た場合
→本税額の10%
②①を除き、課税文書の作成時までに印紙税を納付しなかった場合
→本税額の2倍
③収入印紙への消印(または署名)を怠った場合
→本税額と同額
ただし、過怠税の合計額が1,000円に満たないときは、1,000円の過怠税が課されます。従って、印紙税額が200円であるゴルフ会員権の譲渡契約書の場合、過怠税の額は1,000円となります。
また、貼付すべき収入印紙を貼付しない行為や、消印(または署名)を怠る行為は刑事罰の対象とされています(印紙税法第21~23条)。特に悪質な脱税行為に対しては「3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」が科され、または懲役と罰金が併科されることもあり得るのでご注意ください。
電子契約ならゴルフ会員権の譲渡契約書の印紙は不要に
ゴルフ会員権の譲渡契約書を書面(紙)で作成する場合は、契約金額が1万円未満の場合を除いて収入印紙の貼付が必要となります。しかし、ゴルフ会員権の譲渡契約書を電子契約で締結すれば、収入印紙の貼付は不要です。
印紙税の納税義務は、課税文書を作成した際に生じます(印紙税法第3条)。印紙税法の解釈上、課税文書である契約書の「作成」とは、書面(紙)を相手方に交付する行為を意味すると解されています。
電子契約を締結する行為は、相手方に対する書面(紙)の交付を伴わないため、課税文書の「作成」に当たらず印紙税の納税義務が発生しません。従って、ゴルフ会員権の譲渡契約書も電子契約で締結すれば、印紙税を節約することができます。
ゴルフ会員権の譲渡契約書に限らず、その他の課税文書(不動産売買契約書・請負契約書・業務委託基本契約書など)も、電子契約で締結すれば収入印紙の貼付は不要です。印紙税を節約したいなら、電子契約の導入を検討しましょう。
電子契約をする際の収入印紙について、もっと詳しく知りたい方は以下の記事も併せてご参照ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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