• 更新日 : 2022年3月30日

契約書の製本方法を図から解説

契約書の製本方法を図から解説

ビジネスにおいて重要な役割を果たす契約書は、契約内容によっては多くのページが必要とされます。1ページでも抜けてしまうと大きな問題になる契約書を安全に扱うには、一冊の本の形にまとめる製本の処理が求められます。
ここでは製本を行う2つの方法を紹介し、契印の押し方なども説明します。製本のやり方が分からないという方はぜひ参考にしてください。

契約書は製本する必要がある?

複数ページにわたる契約書の多くは、製本処理が行われています。しかし契約書の製本は法律で義務づけられてはおらず、製本されていなくても契約書としての効力を失うわけではありません。ではなぜ契約書の多くは製本されているのでしょうか。

契約書が製本されていない複数枚の紙で構成される場合「書面の内容の書き換え」「ページの一部差し替え」が行われても判断がつかないリスクが生まれます。そのためひとつの契約書であると証明するために契印を行う必要がありますが、ページ数が多ければ多いほど、すべてのページに契印を行うのは困難です。

契約書が2、3枚程度であれば大きな手間にはなりませんが、数十枚以上で構成されるような契約書の全ページに契印を行うなら、非常に手間がかかるだけでなくミスが生じるリスクも高まってしまいます。

そうした複数回の契印を省略した上で安全性を確保するために、製本が用いられます。製本され一冊の本にまとまった契約書は、簡単に差し替えや抜き取りができなくなるため、少ない契印で済みます。またページがバラバラになる心配もなくなりますので、書類の管理性が大きく向上する点もメリットといえるでしょう。

契約書を製本テープで製本する方法

前述の通り、製本には押印の手間を減らすというメリットがあります。この「手間を減らす」という観点で製本方法を考えるなら、製本テープの利用がおすすめです。

市販されている製本専用のテープを使えば、大きな費用や手間をかけることなく契約書を製本できます。

製本テープを使う製本は、以下の手順に沿って進めていきます。

手順1:契約書のホチキス留め

まずは契約書をホチキスで留めます。紙の向きを揃え、左端から3~5mmのところを留めましょう。ホチキスを留めた場所は製本テープで隠せるよう、あまり内側に留めすぎないように注意が必要です。留める回数に決まりはありませんが、3か所ほど留めておけば十分でしょう。

手順2:製本テープのカット

次に製本テープを契約書のサイズにカットします。市販されている製本テープを使う場合、契約書の背に貼り付けたときに上下とも余裕が出るようにカットしましょう。目安としては約1cm、下図1のような形で、少しはみ出させておきましょう。

製本テープと契約書

図1:製本テープと契約書

なお、契約書の枚数が多く、下図2のように相当の厚みがある場合には、事前に厚みを測っておきましょう。あまり厳密に測る必要はありませんが、およその厚みは把握しておくことで横幅の調整がしやすくなります。

製本テープと厚みのある契約書

図2:製本テープと厚みのある契約書

手順3:片面ずつ貼り付け

次に製本テープの貼り付けです。貼り付けは片面ずつ行いましょう。

市販の製本テープは片面ずつ貼り付けられるように、裏面の紙が縦に半分ずつ剥がれるようになっています。まずは紙を半分剥がし、片面ずつ契約書に貼り付けます。この際、剥がしていない方の裏紙は方眼になっていますので、貼り付ける位置のガイドとして使うとよいでしょう。上下1cmずつ余らせるように貼り付けるのを忘れずに。

片面が貼り終わった次点で、製本テープの上下の余りを契約書のサイズに合わせてカットします。最後に残った裏紙を剥がし、契約書を製本テープで挟むように貼り付ければ完成です。
契約書に厚みがある場合には、背の厚みを考慮し、製本テープの中心からやや外側に貼り付け始めましょう。片面が貼り終わったら、上記と同様に製本テープの上下の余りを切り落とします。背の部分に製本テープを押しつけるように貼り付けてから、最後に反対側に貼り付けると、背の部分に隙間ができずにキレイな仕上がりになります。

契約書を袋とじで製本する方法

製本は、製本テープを使う方法の他にも「袋とじ」と呼ばれる方法があります。自作した紙の帯を使って製本を行う袋とじは、テープを使う場合に比べて手間がかかるのが難点ですが、帯の幅や厚みを自由に調整しやすいため、厚みのある契約書の製本に適しています。以下では製本テープを使わず、自前の紙を使って閉じる袋とじによる製本の方法を説明していきます。

手順1:契約書のホチキス留め

ホチキス止めは製本テープを使った製本の場合と違いはありません。3か所程度ホチキス留めしておきましょう。

手順2:帯を用意する

袋とじに使う帯を自作します。市販されている製本専用の商品を購入する必要がありませんので、製本のために追加のコストが必要ありません。またテープがない状況で今すぐ製本しなければならない、といったときなどには、その場にあるコピー用紙などで製本できる点が大きなメリットです。

帯の作成

図3:帯の作成①

まずは契約書に貼り付ける帯を作ります。帯の長さは図1や図2のように、契約書のサイズよりも少し多めにとります。A4サイズで契約書を作成している場合、同じA4サイズの用紙では上下の余りを作ることができません。そのためB4などの大きめサイズの用紙を使い、図3のように帯の形へ整えましょう。

帯の作成

図4:帯の作成②

契約書に厚みがある場合には、図4のようにはみ出ている部分に切り込みを入れておくと、製本時にキレイに貼り付けられます。

手順3:片面ずつのり付け

テープを使った製本同様に、契約書に帯を片面ずつ貼り付けます。この際、帯を折る位置にあらかじめ折り目をつけておくと、製本テープ裏面の方眼のように真っ直ぐ帯を貼るガイドの役割を果たし、キレイに真っ直ぐ貼り付けやすくなるでしょう。

厚み分の貼り付け
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図5:厚み分の貼り付け

両面の貼り付けが済んだら、帯の不要な部分をカットします。

契約書に厚みがある場合は、図4のカットの際、背表紙の上下を厚み分だけ残しましょう。最後は図5のように、厚み部分に帯を折り返して貼り付ければ完成です。

契印はどこに押す?

いずれかの方法で製本した契約書は、最後に契印を押す必要があります。契印は、複数枚にわたる契約書の繋がりを証明するための印鑑です。契約書の一部が抜き取られても分かるように、前後のページと連続していると分かるように押されます。

ただし、製本された契約書は、製本部分の帯が解かれない限り、抜き取りの心配はありません。そのため帯部分が未開封であることを証明できるように、契印は「帯と書面にまたがるようにして印鑑を押す」とされています(図3)。

契印の場所

図6:契印の場所

なお、契印の場所には細かな形式は決まっていません。一般的には表表紙、裏表紙、その両面の3パターンのいずれかが採用されています。

なお、契印に使用する印鑑は契約書内で押印されているものと同じでなければなりません。またその契約書内に署名している全員が押印する必要があります。

製本は差し替え防止がポイント

契約書の製本には様々な方法があり、すべての製本は契約書の中身を異なるものに差し替えられる危険をなくすために行われます。

契約書は複数の当事者間での契約のために作られるので、見栄えのよい体裁となる製本が望まれます。しかし製本の役割は、何よりも抜き取りや差し替えを防ぐこと。まずは契約書としての役割をしっかりと果たせるよう、ルールに従った製本を行うように心がけましょう。

よくある質問

契約書をテープで製本するには?

テープの方眼が利用できるよう、片面ずつ貼り付けるのがポイントです。 詳しくはこちらをご覧ください。

契約書を袋とじで製本するには?

のり付けの前に折り目を付け、平行に貼り付けられるようにしておくのがポイントです。 詳しくはこちらをご覧ください。


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