- 更新日 : 2024年8月30日
リース契約書とは?レンタルとの違いや作成方法をひな形をもとに解説
リース契約書とは、リース契約の際に交わす書面です。リース契約書には、リース契約特有の内容を入れなければいけません。
本記事では、リース契約書の概要や入れるべき内容、そして作成のポイントを解説します。あわせて、弁護士監修済みのひな形も紹介します。リース契約書の内容や作成のポイントを知りたい方は、参考にしてください。
目次
リース契約書とは?
リース契約書とは、リース契約の際に交わす書面です。レンタル契約や売買契約とは異なる点があるため、リース契約ならではの条項を入れる必要があります。
リース契約書の内容に入る前に、リース契約の仕組みや、そもそも賃貸借契約(レンタル)とはどこが違うのかを解説します。リース契約の基礎知識を頭に入れておくことで、リース契約書への理解がより深まるでしょう。
リース契約の仕組み
リース契約は、ユーザーにリース商品を中長期間貸与して対価を受け取る仕組みです。対象品は、ユーザーが選んだ事務・IT機器、車両運搬具(バイクや自動車)などの動産です。少ないですが、土地や建物など不動産でもリース契約を締結する場合もあります。
リース契約には、ファイナンスリースとオペレーティングリースの2種類があります。
ファイナンスリースは、リース契約の大半を占める契約です。ユーザーの支払総額は物件の購入総額に諸費用やリース会社の利益を足した額となり、契約終了後には商品を返却します。
オペレーティングリースは、リース終了後も商品に残存価値があることが想定される場合に締結される契約です。ユーザーの支払総額は、物件購入額に諸費用を足した額から契約満了時の残存価値を差し引いた額をもとに計算します。
オペレーティングリースについては、以下のページで詳しく解説をしています。
リース契約と賃貸借契約(レンタル)の違い
リース契約と似た契約として、賃貸借契約(レンタル)が挙げられます。一見同じように見えますが、以下のような違いがあります。
| リース契約 | 賃貸借契約(レンタル) | |
|---|---|---|
| 商品選定 | ユーザーが選定できる (ユーザーが選定した商品をリース業者が購入する) | ユーザーは選定できない (リース業者が持っている商品内で決める) |
| 契約期間 | 中長期 | 短期 |
| 取引の関係 | ユーザー、リース会社、販売業者の三者間取引 | ユーザー、レンタル業者の二者間取引 |
| 契約の締結者 | ユーザー=リース会社間でリース契約を締結 リース会社=販売業者間で売買契約を締結 | ユーザー=レンタル業者間でレンタル契約を締結 |
| 中途解約の可否 | 原則禁止 | 可能 |
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※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
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リース契約書のひな形、テンプレート
以下のページにてリース契約書のひな形がダウンロードできます。本契約書は、弁護士の監修済みです。リース契約書を作成する際にご活用ください。
リース契約書に記載すべき内容
ここからは、前掲のひな形に沿って、リース契約書に記載すべき内容を見ていきましょう。
リース契約書では、リース会社は「賃貸人」=「甲」、ユーザーは「賃借人」=「乙」となります。販売業者や売主はそのままの表記で構いません。複数回登場する場合は「丙」としてもいいでしょう。
目的
最初に、リース契約の目的を記載します。
「甲(賃貸人=リース会社)は商品を丙(販売業者)より購入し、乙(賃借人=ユーザー)に賃貸する」契約であることを記載しましょう。
リース期間
次にリース契約の期間や中途解約を禁止していることを明記します。
リース契約は商品の購入費用をリース料で回収する仕組みであることから、原則として中途解約ができません。特別な事情がある場合は、契約途中でも解除可能なので「特段の事情がない限り解除できない」旨を付記しておきましょう。
本件物件の引渡しおよび検収
リース商品は、「物件借受(かりうけ)証」がリース会社に手渡された時点で引渡しが完了します。「物件借受証」とは、商品を借りた証拠となる書面です。契約書には、物件借受証に記載の借受日から契約開始となることや、物件借受証には借受日を記載する旨を記載します。
商品引渡しまで、リース会社には「善良なる管理者の注意義務」のもとに商品を管理することが求められます。
物件の使用・保存
リース商品の使用開始期間と、保存方法について記載します。引渡し後のリース商品の管理については、ユーザー側に善管注意義務があることを明記しましょう。
リース料
ここでは、月額のリース料や月ごとの締日、支払方法を記載します。
リース料は基本的に月払いです。しかし、双方の合意があれば、複数月のリース料をまとめて納付できます。その場合、前払い額やその充当期間について定めておきましょう。
物件の所有権侵害の禁止等
リース商品の所有権は、購入したリース会社にあります。リース会社の権利を保護するために、リース商品の所有権はリース会社にあることや、ユーザーの禁止事項を明確にしておきましょう。
各種免責事項
リース商品の品質に不適合があった場合や、物件引渡しの遅延や不能となった場合、リース会社は責任を負わないこと、ユーザーが販売業者と直接対応してもいいことを記載します。
あわせて、ユーザーが販売業者と直接対応した際の規定や、ユーザーの間違いによる物件選択や決定でも責任を負わないことも記載しましょう。
本件物件使用に起因する損害
リース商品の使用により第三者が損害を受けた際の賠償責任はユーザーが負うこと、リース会社は一切の責任を負わないことを記載します。
反社会的勢力の排除
リース会社、ユーザーとも、反社会勢力との関わりをもたないこと、反社会的勢力と関わりをもっていた場合、無催告で契約を解除できることを記載します。
無催告解除
ユーザー側の原因によりリース会社が契約解除するための条件です。支払いが滞った場合や、契約の内容に違反した場合などが挙げられます。
解除後の対応
リース契約の期間が満了、もしくは解除により終了したときの対応を記載します。
契約が終了したときは、ユーザーがリース商品を引渡し前の状態に戻して返却する旨を記載しましょう。損耗や経年劣化がある部分については、引渡し前の状態に戻す義務から除外します。
定めのない事項および特約
本契約書に書かれていない問題が発生したときは、リース会社とユーザーが都度協議して解決することを記載しましょう。
管轄裁判所
リース会社とユーザーの間で紛争が起こり裁判となった場合のために、リース会社の所在地を管轄する地方裁判所もしくは家庭裁判所を第一審の裁判所に指定しましょう。
リース契約書の作成ポイント
リース契約書を作成するポイントとして、次の3点が挙げられます。
- リース期間の設定
- 物件借受証の発行
- 収入印紙の有無
①リース期間の設定
ファイナンスリースの期間は、法定耐用年数の70%以上と定められています。耐用年数が10年以上の場合は60%以上です。以下に、耐用年数とリース期間の一例を示しました。
| リース商品 | 法定耐用年数 | リース期間 |
|---|---|---|
| 一般の自動車 | 6年 | 6×0.7=4年 |
| コピー機 | 5年 | 5×0.7=3年 |
| 金属製キャビネット | 15年 | 15×0.6=9年 |
※リース期間の端数は切り捨て
法定耐用年数について、詳しくは下記の記事でも解説しています。
②物件借受証の発行
物件借受証は、ユーザーが商品の品質に問題がないことを検査したうえで、リースを受ける意思表示として発行されます。
物件借受証は、契約の意思表示だけでなく、契約開始の起算日を定めるためにも必須です。契約書にも、物件借受証の発行によりリース契約が開始する旨を明記しましょう。
③収入印紙
収入印紙が必要な課税文書は、印紙税法により定められています。リース契約書は課税文書に該当しません。したがって、リース契約書への収入印紙の貼付は不要です。
リース契約書を正しく作成し契約を円滑に進めよう
リース契約書は、リース契約の際に締結されます。リース契約では、締結の意思表示として物件借受証の発行が必要です。また、リース契約は、受け取った代金を商品購入費用に充当することから、原則として中途解約ができません。
リース契約書には、上記のような特記事項の記載が必須となります。その他、リース期間の設定やリース商品の所有権についても記載が必要です。
リース契約書は、自社の権利を守り円滑にリース契約を進めるために大切な書面となります。本記事やひな形を参考に、必要事項が正しく記載されたリース契約書を作成しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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