- 更新日 : 2024年12月4日
外国為替及び外国貿易法(外為法)とは?概要と業務への影響を解説
外国為替及び外国貿易法(外為法)は、対外取引について必要最小限の管理・調整を行うための規制を定めた法律です。輸出・輸入をはじめとする海外取引を行う企業は、外為法の規制を理解する必要があります。本記事では、外為法の概要や適用場面、違反の予防策などをわかりやすく解説します。
外国為替及び外国貿易法(外為法)の概要
外国為替及び外国貿易法(略称:外為法(がいためほう))は、対外取引に対し必要最小限の管理・調整を行うことにより、対外取引の正常な発展や、日本・国際社会の平和・安全の維持を期し、それをもって国際収支の均衡・通貨の安定を図るとともに、日本経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律です(同法第1条)。
外国為替や外国貿易などの対外取引は、経済的自由権に基づいて自由に行うことができるのが原則です。
しかし、無秩序に対外取引が行われると、国際収支の悪化や通貨相場の乱高下などにつながるおそれがあります。外為法ではこうした事態を防ぐために、一定の対外取引に対して規制を設けています。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い45個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
実際の契約に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。
【弁護士監修】チェックリスト付き 改正下請法 1から簡単解説ガイド
下請法の改正内容を基礎からわかりやすく解説した「改正下請法 1から簡単解説ガイド」をご用意しました。
本資料では、2025年改正の背景や主要ポイントを、弁護士監修のもと図解や具体例を交えて解説しています。さらに、委託事業者・受託事業者それぞれのチェックリストを収録しており、実務対応の抜け漏れを防ぐことができます。
2026年1月の施行に向けて、社内説明や取引先対応の準備に役立つ情報がギュッと詰まった1冊です。
【弁護士監修】法務担当者向け!よく使う法令11選
法務担当者がよく参照する法令・法律をまとめた資料を無料で提供しています。
法令・法律の概要だけではなく、実務の中で参照するケースや違反・ペナルティ、過去事例を調べる方法が一目でわかるようになっています。
自社の利益を守るための16項目 契約書レビューのチェックポイント
契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
契約書のレビューを行う企業法務担当者や中小企業経営者の方にもご活用いただけます。
外為法による規制の内容・影響を受けるケース
外為法では、以下の4種類の対外取引を管理しています。
- 支払等(第3章)
- 資本取引等(第4章)
- 対内直接投資等(第5章)
- 外国貿易(第6章)
各類型の対外取引について、規制の内容と影響を受ける取引を紹介します。
支払等
「支払等」とは、支払または支払の受領を指します。以下のいずれかに該当する支払等の一部は、財務大臣の許可を取得しなければ行うことができません(外為法第16条等)。
- 日本から外国に向けた支払
- 外国から日本に向けた支払の受領
- 日本および外国において、居住者が非居住者との間で行う支払、支払の受領
例えば、クロスボーダー取引の決済等を行う際には、外為法に基づく許可の要否を確認し、必要であれば事前に許可を取得しなければなりません。
また、小規模な支払等など一部の例外を除き、(事前許可を要しないものも含めて)支払等を行った際には、財務大臣への事後報告が必要です(外為法第55条第1項)。
資本取引等
「資本取引」とは、物やサービスの移転を伴わない対外的な金融取引を指します(外為法第20条、第20条の2等)。
<資本取引の例>
- 預金契約
- 信託契約
- 金銭消費貸借契約
- 債務の保証契約
- 債権譲渡契約
- 証券の発行、募集
- 不動産に関する権利の取得
など
資本取引の多くは自由に行うことができますが、証券の取得・譲渡や発行・募集など、一部の資本取引については財務大臣への事後報告が必要です(外為法第55条の3)。
また、漁業、皮革または皮革製品の製造業、武器の製造業、武器製造関連設備の製造業、麻薬等の製造業を行う投資先に対して対外直接投資を行う際には、財務大臣へ事前に届け出なければなりません(外為法第23条第1項)。
さらに、条約の履行や国際平和のための努力の妨げ、国際収支の均衡の維持困難、円相場の急激な変動、大量の国際資金移動による日本の金融・資本市場への悪影響が生じ得る資本取引については、財務大臣が許可を受ける義務を課すことができます(外為法第21条第1項、第2項)。
参考:外為法Q&A(資本取引編)|日本銀行国際局国際収支課外為法手続グループ
対内直接投資
対内直接投資とは、外国投資家が行う日本国内向けの投資などのうち、一定の類型に該当するものを指します。
<対内直接投資の例>
- 上場株式の取得であって、出資比率が1%以上となるもの
- 非上場会社の株式の取得
- 国内会社の事業目的の実質的な変更、取締役または監査役の選任に関する議案、事業の全部譲渡の議案などについて同意すること
- 日本国内への支店、工場その他の事業所の設置
- 国内法人に対する1年を超える金銭の貸付けのうち、一定規模以上のもの
- 法人居住者からの事業承継
- 償還期間が1年を超える国内会社の社債の取得であって、一定規模以上のもの
- 日本銀行など、特別の法律に基づいて設立された法人の発行する出資証券の取得
など
外国投資家が対内直接投資を行う際には、例外的に手続きが不要である一部の場合を除き、財務大臣および事業所管大臣に対して事前に届け出るか、事後報告を行う必要があります(外為法第27条第1項、第55条の5)。
参考:外為法Q&A(対内直接投資・特定取得編)|日本銀行国際局国際収支課外為法手続グループ
外国貿易
外国貿易に関する章(外為法第6章)では、輸出および輸入に関する規制が定められています。
<輸出の例>
- 海外市場向けの製品の出荷
など
<輸入の例>
- 海外の製造拠点からの製品の入荷
- 海外農場からの原材料の仕入れ
など
輸出については、輸出貿易管理令所定の地域を仕向地とし、特定の種類の貨物を輸出しようとする場合に、経済産業大臣の許可を受ける必要があります(外為法第48条第1項)。輸出貿易管理令では、国際的な平和・安全の維持の観点から、ハイリスクと考えられる仕向地・貨物の種類が定められています。
輸入については、輸入割当てを受ける必要がある場合などの例外的な場合に限り、経済産業大臣の承認を受ける必要があります(外為法第52条、輸入貿易管理令第4条)。
外為法の違反をどう防ぐ?
外為法違反とならないためには、必要な許可・届出・報告等の手続きを見落とさないことが重要です。そのために以下の流れでチェックを行い、必要な対応を把握した上で手続きを行いましょう。
①対外取引に当たるかどうかを確認する
→対外取引に当たらなければ、外為法への対応は不要です。ただし、国内取引が主であっても、対外取引の要素が含まれている場合には、外為法への対応の要否を確認する必要があります。
②対外取引に当たる場合は、支払等・資本取引等・対内直接投資・外国貿易のどれに該当するかを確認する
→外為法上の定義や、日本銀行が公表しているQ&Aを参照して、実行を予定している対外取引がどの類型に該当するかを確認しましょう。
③外為法の該当規定を参照して、許可・承認・事前届出・事後報告等の要否を確認する
→支払等(第3章)・資本取引等(第4章)・対内直接投資(第5章)・外国貿易(第6章)のうち、実行を予定している対外取引に適用される規定を参照し、許可・承認・事前届出・事後報告等の要否や手続きの内容を確認しましょう。
対外取引を行う際には外為法に注意
外為法は、主に日本国内の事業者が関与する対外取引に適用されます。対外取引の類型に応じて、主務大臣の許可・承認や、主務大臣に対する事前届出・事後報告を要する場合があるので注意が必要です。
外為法に違反した事業者は、刑事罰の対象となる可能性があります。輸出や輸入をはじめ、対外取引に関わる事業者には、外為法を踏まえた正しい手続き・対応が求められます。必要に応じて弁護士等のアドバイスを受けながら、外為法を遵守した上で対外取引を行ってください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
義務とは?意味や例文、権利との違い、国民の三大義務などをわかりやすく解説
義務とは、人がある行為をしなければならないとされる法的・道徳的な責任や決まりごとです。義務が課される対象は、個人と法人に関わらずその内容によってさまざまですが、特に企業活動において…
詳しくみる電気通信事業法とは?概要や対象事業者、禁止行為などを解説
電気通信事業法とは、電気通信事業者が事業を営む上で守るべき規則について定めた法律です。電話会社やプロバイダ、インターネットサービスやWebサイトの運営者などの電気通信事業者は、電気…
詳しくみる民法601条とは?使用収益させる義務や騒音トラブルの判例などわかりやすく解説
民法601条は賃貸借契約の効力に関する規定です。貸主の「使用収益させる義務」と借主の「賃料支払い義務」を定めており、これに違反する場合、契約解除や損害賠償請求などにつながることもあ…
詳しくみる履行とは?言葉の意味や使い方、民法における関連用語まで解説
履行という言葉は、一般的には、契約に基づいて約束された義務を果たすことを指します。この用語は、特に民法の分野において、債務の履行や債務不履行に関連してよく使用されます。 本記事では…
詳しくみる2022年6月施行の特定商取引法改正を解説
消費者の無知につけ込む悪質な送付商法やサブスク商法が問題視され、特定商取引に関する法律(特商法)や、それに関連する法令が改正されました。2021年に改正された特商法は、2022年6…
詳しくみる表見代理と無権代理を分かりやすく解説!具体例や成立要件を解説
「無権代理」は代理権がない者による代理行為のことで、そのうち代理権があるかのように見せかけてする行為を「表見代理」と呼んでいます。それぞれ法律上、どのような場合に成立するのか、具体…
詳しくみる


