• 作成日 : 2023年4月14日

契約上の義務に違反するとどうなる?不履行の種類や対処を解説

契約上の義務に違反するとどうなる?不履行の種類や対処を解説

契約を締結しても相手が契約した内容を守らない、いわゆる「契約違反」が発生するリスクはゼロではありません。また、逆に自分が何らかの事情によって契約違反をしてしまうことも考えられます。

今回は契約違反とはどのような状態を指すのか、対処法や予防法はあるのかなど、債権者、債務者双方の視点で説明します。自身や自社が契約違反をされてしまった場合、もしくはしてしまった場合に備えて、しっかりと対策を考えておきましょう。

契約上の義務の違反とは?

契約で定められた債務に違反することを「債務不履行」と言います。債務とは特定の者に対して特定の行為や給付をする義務のことです。債務不履行とは契約時に約束した債務を果たさなかったことを指します。

たとえば売買契約を締結したら、店側には商品を引き渡すという債務が、客側にはその対価を支払うという債務が発生します。店が商品をお客に引き渡さなかった場合は、店側が債務不履行をしたということになります。客が商品を受け取ったにもかかわらず代金を支払わなかった場合は、客側が債務不履行をしたということになります。

債務を負っている人のことを「債務者」、債務を履行してもらう権利がある人のことを「債権者」と言います。

ちなみに、最初から約束を守るつもりがないのにも関わらず契約を締結した場合、故意に債務を履行しなかった場合には債務者が詐欺などの罪に問われる可能性があります。

今回の記事ではあくまで債務者が債務を履行できなかったというケースを前提に説明していきます。

債務不履行のパターン

債務不履行には「履行遅滞」「履行不能」「その他の債務不履行」という3つのパターンがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

履行遅滞(民法第412条)

履行遅滞とは契約時に約束した期日までに債務者が事前の相談や連絡などをせず債務を履行しなかったことを指します。納期を過ぎても商品が納品されない、支払期日までに代金が支払われないなどのケースが該当します。

履行不能

履行不能とは債権者が何らかの理由で債務を履行することができなくなってしまったことを指します。たとえば引き渡す予定の商品が破損してしまったり火災や事故で消失してしまったりして納期通りに納品できなくなったケースが該当します。

その他の債務不履行

その他の債務不履行には、債務履行自体はあったものの、完全には履行されていない不完全履行状態の場合などがあります。たとえば納期までに商品が納入されたものの発注した数量に足りなかったケース、支払期日までに代金が支払われたものの金額が足りなかったケースなどが挙げられます。

債務不履行が起きた際の対処法

債務不履行が発生してしまった場合はどのように対処すればいいのか、債務者と債権者それぞれの立場から考えていきましょう。

債務者側が取るべき対応

債務者の立場として債務不履行の状態に陥ってしまった場合は、まずは債権者に対して謝罪と事情説明をし、債務を履行できるよう努めましょう。債務を履行できるまで待ってもらう、数量や金額などの条件を変更してもらうなどの落とし所を探っていきましょう。

債権者側が取るべき対応

債権者の立場としては債務不履行が発生した場合は、債務の履行や契約解除、損害賠償の請求が可能ですが、まずは話し合いを進めましょう。履行遅滞や不完全履行の場合は債務を履行するよう求めてみてください。それでも履行されなかった場合は契約解除や損害賠償請求を検討しましょう。

ただし、履行不能の場合は相手が債務を完遂できない状態に陥っているので、債務の履行を求めることができません。契約の解除か損害賠償の請求を行うことになります。

債務不履行を防止するには

債務不履行が発生すると債権者、債務者ともに大きな損失を被ることになりかねませんので、なるべく避ける必要があります。ここからは債務不履行を防止するポイントについて、ご説明します。

まずは、契約を締結する際に、しっかりと契約内容を確認することが大切です。契約書にリスクが大きい条項、極端に自身が不利になるような条件が含まれていないかをチェックしましょう。仮に債務の履行が難しいと感じた場合は債権者側と協議を行い、条件や取引内容についてすり合わせを十分に行いましょう。

また、契約を締結する際には、相手が信頼できるかどうかを見極めましょう。相手方の会社の経営状態が悪い、多重債務を負っているといった状態にあると債務が履行されないリスクが高いので、与信管理(取引相手が債務を履行できる能力があるかどうかを見極めてリスクを管理すること)も非常に重要です。

契約書には条件をしっかりと明記した上で、「契約解除」や「損害賠償」の条項も設け、契約不履行になった場合にどのように対応するのかを明らかにしておきましょう。

契約時に確認をして債務不履行のリスクを軽減しよう

大切なのは債務不履行を未然に防ぐことです。債務者、債権者ともに、「相手が信用できるかどうか」を見極めた上で、契約書という証拠を残して契約を締結する必要があります。

双方の見解の相違が生じないよう、契約条件をしっかりとすり合わせ、契約書にはその条件とともに「どのような状態を契約違反とするのか」「契約解除はどのようなケースでできるのか」「損害賠償としていくら請求できるのか」を盛り込むことが大切です。

よくある質問

契約上の義務に違反するのは、どのようなケースですか?

債務の履行が遅れている「債務遅延」、債務が完全に履行されていない「不完全履行」、債務者が債務を履行できない状態に陥っている「履行不能」の3種類があります。 詳しくはこちらをご覧ください。

契約不履行を防止するには、どうすれば良いですか?

与信管理をしっかりと行いましょう。契約内容をしっかりとすり合わせ、「契約解除」や「損害賠償」の条項を契約書に盛り込んで契約違反が発生した場合の対応方法について明らかにしておくことが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。


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