- 更新日 : 2026年1月27日
予約契約とは?契約書の種類や締結時のポイントを解説
将来、あるタイミングである契約(本契約)を成立させたいという場合、「予約契約」が役に立ちます。
ここでは「予約契約とは具体的にどのような契約なのか」「どんな書類で予約契約は成立するのか」や、その他締結時のポイントについて解説しますので、参考にしていただければと思います。
予約契約とは
契約における予約とはどのような意味を持つのか、具体的にどのような書類が予約契約書として機能するのか、以下で見ていきましょう。
契約における予約とは
契約における「予約」とは、将来、当事者のいずれかが希望したタイミングで一定内容の契約(これを「本契約」という)を締結することを約する契約のことを指します。
本契約を成立させる権利のことを「予約完結権」と呼び、その権利者が権利を行使すれば、本契約成立の効力が生じます。
例えば売買契約における予約に関しては民法第556条第1項に、以下のように規定が置かれています。
売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。
引用:e-Gov法令検索 民法第556条第1項
同条項にいう「売買を完結する意思」を表示して本契約である売買契約を成立させる権利が「予約完結権」です。ここでは「一方の予約」とありますが、予約完結権は当事者双方が持つことも許されます。これを「双方の予約」と呼び、一方当事者の意思表示のみによらない予約とすることで本契約成立をより確実なものにできます。
予約契約書になるのはどんな書類?
契約の予約を行う場合、必ずしも「予約契約書」と題した書類を交わす必要はありません。どのような題が付された書類であっても、内容が予約契約であれば予約契約書として機能します。
実際、「覚書」や「念書」として書類が交わされることもありますし、その他にも「承諾書」「約定書」「証明書」「協定書」といった多様な名称が使われることもあります。書類の名称にとらわれることなく、常にその書類に記載されている内容に着目するようにしましょう。
この観点は、後述の収入印紙の必要性を検討する場面においても大切なことです。
マネーフォワード クラウド契約では弁護士監修の契約書テンプレートを用意しています。無料で利用可能ですので、以下のページからダウンロードしてご利用ください。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い45個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
実際の契約に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。
【弁護士監修】チェックリスト付き 改正下請法 1から簡単解説ガイド
下請法の改正内容を基礎からわかりやすく解説した「改正下請法 1から簡単解説ガイド」をご用意しました。
本資料では、2025年改正の背景や主要ポイントを、弁護士監修のもと図解や具体例を交えて解説しています。さらに、委託事業者・受託事業者それぞれのチェックリストを収録しており、実務対応の抜け漏れを防ぐことができます。
2026年1月の施行に向けて、社内説明や取引先対応の準備に役立つ情報がギュッと詰まった1冊です。
弁護士監修で分かりやすい! 契約書の作り方・書き方の教科書
弁護士の南陽輔氏(一歩法律事務所所属)が監修している「契約書の作り方・書き方の教科書」ガイドです。
契約書作成の基本知識、作成の流れ・記載項目、作成時の注意点・論点が、分かりやすくまとまっています。手元に置ける保存版としてぜひご活用ください。
自社の利益を守るための16項目 契約書レビューのチェックポイント
契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
契約書のレビューを行う企業法務担当者や中小企業経営者の方にもご活用いただけます。
売買契約や賃貸借契約でも予約は有効
上に挙げた条文の通り、民法は売買契約において予約という行為を想定しています。
しかし売買契約のみ予約が有効になるわけではありません。民法第559条では、予約に関する規定等を、売買契約以外の有償契約に対しても準用するとしているからです。
この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
引用:e-Gov法令検索 民法第559条
つまり、賃貸借契約などでも予約契約を交わすことはできます実際。実際、土地や建物の売買・賃貸借といった取引で予約が用いられるケースはよくあります。
例えば「土地賃貸借予約契約書」などと題した契約書が作成されることがあります。この契約書内では、土地の貸し借りという本契約を予約する旨のほか、必須ではありませんが予約保証金や予約の解除に関する事項なども定めることができます。
予約保証金に関しては、「予約保証金として金〇〇円を、〇〇(期日)までに、〇〇(方法)により、預託しなければならない」「本契約の締結後、予約保証金は返還する」といった形で定めることになります。
どのような状況になれば解除ができるのか、ということも併せて取り決めておくことでトラブルを防ぎやすくなるでしょう。本契約に関する効力発生が将来になってしまうため、不確定要素に対する対策を打っておくことが大切です。
予約契約を結ぶ際のポイント
予約契約を締結する上では以下のポイントも押さえておきましょう。
予約契約の内容は変更できる?
予約契約締結後、予約完結権を行使するまでに事情が変わってしまう可能性もあります。そこで予約契約の内容変更に関する規定も置いておきましょう。
例えば本契約が賃貸借契約である場合において、予約完結権行使までに経済事情が大きく変動し、賃料設定を設定し直す必要が出てくるかもしれません。
基本的には当事者間での話し合いにより契約内容を変更することはできるのですが、相手方がその要求に応じてくれるとは限りませんし、一方的に内容を変更することはできません。そこで内容変更の必要性があらかじめ想定される場合には、契約書内で改定についての規定を設けておきましょう。
改定が認められる事由を具体的に列挙しても良いですし、何か著しい状況の変化があったときには双方の協議により改定ができる旨を規定し、幅広く改定の余地を設けても良いでしょう。
収入印紙は必要?
契約書を交わすとき、収入印紙を貼付して印紙税を納めるケースがよくあります。
そして、これは予約契約書も例外ではありません(印紙税法別表第一課税物件表の適用に関する通則5参照)。予約契約書が印紙税法上の課税物件表においてどこに所属するかは、成立させようとする本契約書の内容によって決まります。契約金額と税額を調べて印紙を貼付しましょう。
文書を作成する都度課税されるため、予約契約と本契約で2通の契約書が作成されたならそれぞれの書面に貼付しなければなりません。
また、文書の名称は問われず実質面が見られますので、「覚書」や「協定書」「念書」などと題して交付される文書であっても収入印紙貼付を忘れないように注意しましょう。収入印紙について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
ただし、収入印紙は紙の文書として作成する場合に課税されるものです。電子契約を交わす場面では課税されませんので、電子契約システムを導入して対応することで契約のコストを下げることはできます。今後電子契約の機会が増えると考えられますし、一度導入を検討してみると良いでしょう。
条件付き契約などとは異なる
予約契約と似た契約に、「停止条件付き契約」「期限付き契約」があります。
停止条件付き契約とは、将来発生することが不確定な事象の発生を条件に、履行請求を認める契約を指します。「私が試験に合格したら」などと条件を付する場合の契約です。
一方、期限付き契約とは、将来発生することが確実な事象をきっかけに履行請求を認める契約を指します。「〇年〇月〇日になったら」や「あなたが亡くなったら」などと期日を設定することになります。
いずれも将来のある時点で契約の効力が生じる点予約契約と共通していますが、それぞれ異なる特徴・性質を持っています。予約契約と違って停止条件付き契約や期限付き契約では基本的に「当事者の意思表示」に依存しません。
ちなみに予約契約の場合においては当事者の意思表示に基づいて契約の無効、取り消しもしくは解除が可能です。
予約契約や条件・期限を上手く使い分けて本契約を成立させよう
将来、ある契約の締結をしたいのであれば予約契約を検討しましょう。最適な手段、契約内容については専門家に相談して決めるようにしましょう。
よくある質問
予約契約とは何ですか?
予約契約とは、将来、売買や賃貸借などの本契約を成立させることを約する契約のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
どのような書類が予約契約書にあたりますか?
必ずしも「〇〇予約契約書」としてなどの名称が付されている必要はなく、予約契約としての内容 を備えていれば、念書・覚書・承諾書などであっても同じ効力が生じます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
契約書 個別契約の関連記事
新着記事
-
# 企業法務
IPO準備・M&A検討で見直したい「契約の整理状態」。企業の信頼を支える3つの条件
IPO準備やM&Aの検討が進むと、財務情報だけでなく、主要な契約の内容や管理状況についても説明を求められる場面があります。しかし、紙の契約書、複数の電子契約サービス、部門ご…
詳しくみる -
# 企業法務
「あの契約書どこ?」からの脱却。ファイル名ルールに依存しない、これからの契約書管理術
「ファイル名のルールを決めたのに、人によってバラバラで守られない」 「過去の契約書を探すのに、毎回時間がかかる」 このような悩みを抱えてはいないでしょうか。 契約書の管理において最…
詳しくみる -
# 企業法務
契約管理ツールの費用対効果はどう示す?経営層に伝わる4つの評価軸と試算方法
「契約管理ツールの必要性は感じているものの、経営層へ費用対効果をうまく説明できない」 「今のExcelや共有フォルダによる管理で何が問題なのかと問われ、明確に答えられない」 バック…
詳しくみる -
# 企業法務
不透明な時代の経営判断を支える「契約情報の資産化」という考え方
「契約条件をすぐ確認したい」 「更新や解約の可否を判断したい」 「トラブル発生時に契約内容を精査したい」 こうした局面で、契約書を探す作業そのものに時間を取られてはいないでしょうか…
詳しくみる -
# 電子契約
契約書は「増え続ける資産」。5年後、10年後のコストを左右するプラットフォーム選び
「初期費用も月額基本料も安いから、まずはこのツールで始めよう」 そう決めて導入した契約管理システムが、数年後に想定外のコスト増につながる可能性があるとしたらどうでしょうか。事業が成…
詳しくみる -
# 電子契約
取引先が「紙」でも慌てない。電子と紙の混在を解決する、契約管理の『ハイブリッド運用』
電子化が進まない原因は「締結方法」と「管理方法」の混同にある 電子契約を導入しても紙の契約書が残るのは、取引先の対応が遅れているからだけではありません。多くの場合、契約の「締結方法…
詳しくみる




