- 更新日 : 2025年3月6日
海外での電子契約の普及状況は?法的有効性についても解説!
現在、日本では電子契約が普及しつつあります。海外の企業と取引を行っている日本企業は、その取引に電子契約が使えるのか気になるかもしれません。今回は海外における電子契約の普及状況や、導入することで得られるメリット、電子契約を導入する上で理解しておきたいリスクなどについて解説します。
海外での電子契約の普及状況は?
海外には日本よりも電子契約の普及が進んでいる国があり、社会保障や納税などのデジタル化が進んでいる国(エストニアなど)もあります。電子契約の導入に積極的な国々と比べると、日本は電子契約を含む「デジタル化」が遅れているといわれていますが、近年は日本でも国や民間企業が電子契約の普及を進めるようになりました。それに伴って法律が整備され、さまざまな電子契約サービスが登場しています。
海外における電子契約は、電子契約サービスを導入して行われるケースが多いようです。
海外での電子契約の法的有効性は?
海外では、すでに電子契約に関する法律が整備されている国と、そうでない国があります。電子契約の法整備が進んでいる国でも、その要件は国によって異なります。そのため、日本企業が海外企業との取引に電子契約を用いる場合は、取引先の国の法律をよく調べる必要があります。その場合は取引先の国だけでなく、日本の電子契約に関する法律の要件も満たさなくてはなりません。また、電子契約に関する法律が整備されていない国もあり、その場合は電子契約を行えません。
海外取引に電子契約を用いるメリットは?
海外取引に電子契約を用いることの最大のメリットは、輸送コストを削減できることでしょう。
書類を送る際、それを返送してもらう際に輸送コストがかかりますが、電子契約ではこのようなコストがかかりません。また、海外企業との書類のやりとりでは、確実に相手に届くのか、確実に自分に返送されるかといった心配もあるでしょう。電子契約であれば、そういった心配も不要です。
ビジネスのスピードアップも期待できます。海外企業との取引では、書類の輸送に多くの時間を要するためです。電子契約であれば即座に契約書のデータが相手に届くため、タイムラグがありません。それによって、契約にかかる時間を大幅に短縮できます。
海外取引に電子契約を用いるリスク・デメリットは?
海外企業との取引に電子契約を導入することには、リスクやデメリットもあります。
まず、取引相手の国の電子契約に関する法律に関する問題です。前述のとおり、国によって電子契約の要件は異なります。要件には技術的なものや、国や地域における商習慣が反映されたものがあり、さまざまな規制が設けられています。日本の電子契約に関する法律の要件だけでなく、相手国の法律の要件も満たさなければならず、その調査に時間がかかるケースも少なくありません。
海外の法律が、日本の法律よりも複雑である場合が多いことも問題です。日本では法律は国が定めますが、海外では国よりも小さい行政単位で法律が定められているところも少なくありません。例えば、アメリカ合衆国の法律は、連邦法と各州法で構成されています。そのため、調査が必要な電子契約の法律も取引相手の国だけでなく、州法なども調査する必要があるのです。
海外取引にも電子契約は使える!一方で調査は重要
欧米諸国は日本よりも電子契約が普及しているといわれますが、日本企業が海外企業との契約に電子契約を用いる場合は、相手国の電子契約に関する法律をよく調べる必要があります。調査を怠ると契約が無効になったり、トラブルに繋がったりするおそれがあるため、時間をかけてしっかり調査を行いましょう。
よくある質問
海外企業と電子契約はできる?
海外企業との電子契約は基本的に可能です。海外では日本よりも電子契約の法整備が進んでいるといわれていますが、そうでない国もあります。そのような国の企業との契約には、電子契約を用いることができません。詳しくはこちらをご覧ください。
海外企業と電子契約を行う場合の注意点は?
まず、相手国において電子契約に関する法整備がなされていることを確認します。その上で、日本における電子契約の法整備とうまく合致するかどうかを確認しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
電子契約の契約日はいつ?タイムスタンプによるバックデートも解説
電子契約の契約締結日は、原則として当事者全員の合意が得られてタイムスタンプが押された日付となります。しかし、契約書内に効力発生日が記載されていたり、合意形成した日付が明記されていたりする場合など、例外も存在します。 正当な理由があれば後から…
詳しくみる他社事例で学ぶ!店舗運営事業者に必要な契約業務改革
アルバイトとの雇用契約締結や、FC加盟店契約や賃貸借契約の管理、本社での承認工数の増加など、契約関連の業務に課題を感じていませんか? 店舗運営のDXが加速し、飲食店や小売店を運営する事業者様からお問い合わせをいただく機会が増えてきました。 …
詳しくみる注文書や注文請書は電子契約にできる?電子化のメリットや保存要件も解説
注文書や注文請負書はさまざまな方法で電子化が可能です。電子帳簿保存法の改正やコロナ禍をきっかけにデジタルへの移行を試みているものの、よく分からないとお悩みの方も多いでしょう。 この記事では注文書や注文請負書、それぞれの電子契約の方法を詳しく…
詳しくみる電子契約と電子署名の違いは?無料で電子署名するやり方や法的効力なども解説
電子契約と電子署名の違いについて理解できているでしょうか?電子契約とは電子文書に電子署名をして締結した契約のことです。電子署名は、電子文書の内容に法的効力を持たせるために有効な技術です。 本記事では、混同しがちな電子契約と電子署名の相違点や…
詳しくみる電子署名は改ざんできる?改ざん手口や改ざん防止セキュリティを解説
テレワークの普及やDX推進の流れを受け、契約業務においても電子契約システムと「電子署名」の利用が急速に広がっています。特に、タブレットなどに手書きでサインする手軽な電子サイン(手書き電子サイン)は、電子契約等の導入を検討する企業にとって魅力…
詳しくみる不動産仲介会社の電子契約の流れは?メリット・デメリットや注意点も解説
不動産仲介会社の電子契約は、2022年5月の宅建業法改正により全面的に解禁され、重要事項説明書から契約書まで、ほぼすべての書類を電子化できるようになりました。 この記事では、不動産仲介取引の電子契約について、導入のメリットや具体的な手順、注…
詳しくみる