• 更新日 : 2022年10月13日

顧問契約書とは?作り方や記載のポイントを解説!

弁護士や税理士などと結ぶことの多い契約に顧問契約があり、その際は顧問契約書を作成します。業務委託契約と同じものに思えますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは顧問契約の基本やメリット、さらに顧問契約書の作成方法を雛形(テンプレート)とともに解説します。

顧問契約書とは?

顧問契約書は、顧問契約を締結する際に作成される契約書のことです。そもそも顧問契約とは、どのような契約を指すのでしょうか。ここでは顧問契約の基本を確認した上で、似ている契約である業務委託契約との違い、そして顧問契約のメリットを解説します。

顧問契約の定義

顧問契約とは、専門家に対価として顧問料を支払い、必要なタイミングで相談や助言、事務処理を行ってもらう契約のことです。弁護士や税理士といった専門家と締結するケースが多いですが、技術的な専門家と締結することもあります。
顧問契約は契約期間内に必要なタイミングで業務を依頼するというものですが、依頼内容によっては顧問料のほかに別途費用が発生することもあります。ただし、顧問契約を締結している場合は、通常料金よりも安くなるのが一般的です。

顧問契約と業務委託契約の違い

顧問契約に似た契約に、業務委託契約があります。これらには、どのような違いがあるのでしょうか。
顧問契約は、特定のスキル・知見を持つ専門家に対して、その能力を企業経営などに活かすことを目的とし、必要なタイミングで業務を依頼するためのものです。一方で業務委託契約は、プロジェクト単位の対象となる事務や業務などを、委託(委任)することを目的に結ばれます。顧問契約はアドバイスをもらうといった業務を委託する点では、業務委託契約の一種ともいえます。
なお、会社が設置する監査役について、社外監査役として顧問弁護士に依頼している企業もあります。これも継続的な依頼を前提としているため顧問契約に見えますが、社外監査役との契約は委任契約です。

顧問契約のメリット

弁護士との顧問契約を例に、顧問契約のメリットについて見ていきましょう。

企業が弁護士に何かを相談したい場合は、急ぎの用件であることが多いでしょう。例えば、客先から受け取った契約書を締結前に確認してもらいたい時や、取引相手とトラブルに発生しそうな時、または発生した時などです。顧問契約を締結していれば弁護士はすぐに対応してくれますが、そうでない場合は弁護士を探すことから始めなくてはなりません。また、顧問弁護士であれば自社の状況を把握していますが、都度依頼する弁護士の場合は自社の現状を把握してもらうことから始まるため、問題の解決に時間がかかります。そのほかにも、いつでも電話やメールで相談できたり、顧問契約をしていない場合に比べて優先的に対応してもらえたりすることもあります(場合によっては、費用も相対的に低い対価(たとえば、時間単価を下げてもらえるなど)で対応してもらえたりすることもあります。)。必要な時に迅速に対応してもらえるのが、顧問契約の主なメリットといえるでしょう。

顧問契約書の作成プロセス

実際に顧問契約を締結する場合、どのように顧問契約書を作成すればよいのでしょうか。多くの場合、依頼先の専門家がすでに書式を用意しています。企業側は内容をチェックして、疑問点や間違っている点、訂正したい点を協議することになります。ここでは、そのような書式がない場合における顧問契約書の作成プロセスを3つに分けて解説します。

契約内容についてすり合わせる

顧問契約書には、後のトラブルを防ぐために曖昧な書き方を避け、具体的な内容を明記する必要があります。そのために必要になるのが、契約内容のすり合わせです。
顧問を依頼する側が、相手に対してどのようなことを求めているのかをしっかりすり合わせましょう。依頼内容はもちろん、対応範囲なども重要です。また、顧問料に含まれる対応内容や、含まれない依頼に対する報酬の決め方なども、あらかじめすり合わせておくとよいでしょう。

顧問契約書のドラフトを作成する

すり合わせた内容をもとに、顧問契約書のドラフトを作成します。この段階で依頼したい内容が網羅されているか、顧問料に問題はないかといったことを確認します。顧問契約書に記載する項目については後述します。

ドラフトをもとに契約書を完成させる

ドラフトの内容に問題がなければ、顧問契約書として完成させます。

顧問契約書に記載する項目は?

顧問契約書の作成プロセスを確認したら、次は実際に作成していきます。顧問契約書には、具体的にどのようなことを書けばよいのでしょうか。ここでは、顧問契約書に記載する項目について解説します。

1.契約書名

顧問契約書のタイトルを書きます。「顧問契約書」でも問題ありませんが、依頼したい内容を含めるのもよいでしょう。例えば、弁護士との顧問契約の場合は「法律顧問契約書」などとします。

2.契約当事者の名称

契約当事者である相手の名前と、自社の名前を記載します。法人の場合は「株式会社」などを含めた正式名称を記載します。

3.契約するサービス(委託業務)の内容

顧問契約を締結することで、どのようなサービスを受けるのか、委託業務の内容を具体的に記載します。

4.費用

顧問料の金額を記載します。その際、支払い方法や支払日についても明記します。顧問料以外に発生する可能性がある費用がある場合は、その条件や金額の決め方なども明記しましょう。

5.契約期間

顧問契約の期間を記載します。契約期間が終了した時に契約を自動延長とするのか、協議の上延長とするのかも明記しましょう。

6.解約の取り決め

途中解約の方法や、顧問契約が解約となる条件などを記載します。解約後に未払いの顧問料がある場合などの清算方法なども記載しておくとよいでしょう。

7.管轄する裁判所

顧問契約に関してトラブルが発生した場合に、どの裁判所を管轄裁判所とするかを記載します。

顧問契約書の雛形(テンプレート)

顧問契約書がどのようなものかより深く知ってもらえるよう、顧問契約書の雛形(テンプレート)を用意しました。なお、合意する内容によって項目が増減することに注意してください。

顧問契約書のテンプレートは下記のページからダウンロードできます。

顧問契約書に関する注意点

実際に顧問契約を締結する際、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。ここでは、顧問契約書に関する2つの注意点を解説します。

顧問契約の一般的な期間はどれくらい?

一般的には1年間で、自動更新とするケースがほとんどです。ただし、初めての相手との顧問契約に不安がある場合などは、お試し期間として3ヵ月程度の契約期間を設定することもあります。

個人ではなく法人とも顧問契約を結ぶことはできる?

顧問契約を依頼する相手は、個人・法人を問いません。弁護士や税理士は個人事業として行っているケースが多いため、その場合、顧問契約は個人と結ぶことになります。弁護士法人や税理士法人などの場合は、顧問契約を法人と結びます。

顧問契約書は顧問契約を締結する時に交わす契約書

顧問契約書は、顧問契約を締結する際に交わす契約書です。似ている契約に、業務委託契約があります。業務委託契約がプロジェクトなどにおける業務の依頼を目的に締結するのに対し、顧問契約は特定のスキル・知見を持つ専門家に対して、必要なタイミングで相談できるようにするために締結するといった違いがあります。顧問契約は他社に業務を委託するという意味では、業務委託契約の一種といえます。

よくある質問

顧問契約書とは何ですか?

顧問契約を結ぶ際に交わす契約書のことです。顧問として専門家に依頼する内容や、契約期間、報酬(顧問料)などが定められています。 詳しくはこちらをご覧ください。

顧問契約と業務委託契約の違いについて教えてください。

顧問契約は、特定のスキル・知見を持つ専門家に対して、必要なタイミングで相談したい場合に交わします。業務委託契約は、プロジェクトなどにおける業務を依頼する際に交わします。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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