- 更新日 : 2022年3月30日
電子署名付き電子メールの仕組みや確認方法とは?
電子メールに電子署名を付加することで、改ざんやなりすましなどのトラブルの防止につながります。今回は、電子メールに電子署名を付加する意義や仕組みを紹介し、実際にOutlookでメールに電子署名を付加する方法も解説します。
ビジネスで取引先にメールを送る機会が多い方や、メールにファイルを添付する機会がある方は参考にしてください。
目次
電子署名とは
電子署名とは、電子ファイル(PDFやWord、Excelのファイルなど)を「いつ」「誰が」作成したものなのかを証明するための署名のことです。書類に署名したり、印鑑を押したりすることをイメージするとわかりやすいでしょう。電子署名を付加するためには、電子認証局が本人認証を行った上で発行される電子証明書が必要です。これらがセットになっていることで、本人性を担保することができます。
電子署名は電子メールにも付加でき、メールソフトで簡単に設定することができます。具体的な方法は後述します。
電子署名付き電子メールとは?いつ使用する?
電子メールに電子署名を付加することで、第三者による改ざんやなりすましを防ぐことができます。特に取引先や顧客にメールを送る際は、電子署名を付加して送信することをおすすめします。
近年、有名企業や通販サイトなどになりすました詐欺が横行しています。特に多いのが、なりすましメールから偽のサイトに誘導し、お金を振り込ませるフィッシング詐欺です。詐欺師はメールの偽装や偽サイトの作成はできますが、電子署名の偽装はできません。
電子メールに電子署名を付加することで、フィッシング詐欺を防ぐことができます。顧客や取引先も、電子証明書が付加されていないメールを受信した場合は開かない、リンクをクリックしないといった対策が可能です。
メールソフトでの電子署名付きメールの表示例
メールソフトで電子署名付きのメールを受信した場合の表示は、普通のメールとは異なります。
Outlookの場合は、日付の下に赤いリボンのようなマークが表示されます。このマークの有無によって、電子署名が付加されているかどうかがわかります。また、「宛先」の下に「署名者」が表示されます。
Outlookでは「デジタル署名」と呼ばれていますが、電子署名とほぼ同じ意味と捉えていただいて構いません。本記事では呼び方を「電子署名」で統一します。
電子署名付き電子メールの仕組み
近年はメールのセキュリティ性能が向上しており、なりすましや改ざんをしにくくなっていますが、万全を期するためには電子署名を付加するべきです。前述のとおり、電子署名は電子データに付加する印鑑のようなものです。電子署名を付加すると電子証明書が添付されます。電子証明書は、認証局という機関が本人確認を行った上で発行するものです。電子署名が印鑑なら、認証局は市区町村役場、電子証明書は印鑑登録証明書のようなものです。電子証明書とともに公開鍵と秘密鍵が交付されるため、本人しか電子証明書を添付することができません。
例えば、顧客の大切な財産を預かるA銀行が顧客に対してメールを送る際に電子署名を付加することで、顧客はそのメールをA銀行が作成して送ったことと、それが改ざんされていないことを確認できます。
社内でのやり取りやプライベートのメールなら、電子署名を付加する必要性はそれほどないかもしれませんが、顧客に改ざんされては困る契約書などのデータを送る際や、個人情報や金銭に関わる情報を送る際は、電子署名を付加して送ると安心です。
電子署名付き電子メールの設定と作成方法
まず、電子証明書をメールソフトにインポートします。事前に電子証明書をダウンロードしておくか、保存場所を確認しておきましょう。この流れに関しては今回説明を省略します。
Outlookの場合は「ファイル]タブをクリックし、「オプション」を選択します。その後「トラストセンター]をクリックし、「トラストセンターの設定」を選択します。
「電子メールのセキュリティ」をクリックし、「インポート/エクスポート」を選択します。「既存のデジタルIDのインポート」にチェックを入れ、「選択」でダウンロードした電子証明書ファイルを選択し、パスワードを記入して「OK」ボタンをクリックします。
「電子メールのセキュリティ」の画面で「送信メッセージにデジタル署名を追加する」にチェックを入れることで、メールを送信する際に自動的に電子署名が付加されるようになります。
メールに電子署名を付与する場合は「オプション」タブをクリックし、「返信先」を選択します。その後「セキュリティ設定」をクリックし、「このメッセージにデジタル署名を追加する」にチェックを入れて「OK」をクリックします。これで、メールに電子署名を付加することができます。
電子署名付き電子メールの確認方法
電子署名付き電子メールが届いた際、「その署名が有効なものかどうか」「送信者本人が送ったものかどうか」を確認することができます。
Outlookの場合は、前述の赤いリボンマークをクリックすると電子署名に関する情報が表示され、件名や差出人、署名者、電子署名が有効であるかどうかを確認できます。「詳細」をクリックすると、電子証明書の詳細情報や証明機関に関する情報を閲覧できます。メールが改ざんされていなければ、上記の画像のように表示されます。
電子署名付き電子メールを上手く活用しよう!
近年は電子メールのセキュリティが向上しており、パソコン自体のセキュリティ性能も向上しているため、改ざんや詐欺被害のリスクは以前と比べて大幅に減少しています。しかし、その脅威はゼロにはなってはいません。特に取引先や顧客に対して、改ざんされては困る資料や個人情報や財産に関わる情報を送る際は、メールに電子署名を付加することをおすすめします。
電子署名には難しいイメージがあるかもしれません。確かに仕組みは複雑ですが、電子署名付きでメールを送るという行為自体は簡単です。今回の記事を参考にして、ぜひ実践してください。
大切な顧客や取引先の財産を守るため、また自分自身を守るためにも、電子署名を有効活用しましょう。
よくある質問
電子署名付き電子メールとは何ですか?
電子署名が付加されたメールのことで、改ざんやなりすましのリスクを軽減することができます。詳しくはこちらをご覧ください。
電子署名付き電子メールの仕組みについて教えてください
送信者は、メールに電子署名と電子証明書を添付して送ります。受信者は電子証明書を参照することで、そのメールが本人から送られたものであることと、改ざんされていないことを確認できます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
個人サロンの同意書とは?ひな形や例文、書き方を解説
個人サロンの同意書は、安全な施術とトラブル防止のために作成する重要な文書です。重要事項について顧客から同意を得、その事実と同意の内容を形に残したものとなっています。 本記事で、サロン経営に関わる方に向けて同意書について解説し、作成のポイント…
詳しくみる借入申込書とは?例文や書き方を解説(テンプレート付)
「借入申込書」は、資金の借入を申込む際に作成する書類です。通常は金融機関が定めた様式を使用しますが、当記事ではテンプレートを用意したうえで、一般的な借入申込書の書き方などについて解説しています。事業計画書を一緒に提出する際は整合性にも留意す…
詳しくみる契約書管理システムとは?比較ポイントや導入メリット・おすすめサービスを紹介
契約書を効率的に管理したい場合は、契約書管理システムの導入がおすすめです。契約業務を効率化するためのさまざまな機能が備わっており、コスト削減や人的ミスの軽減も期待できます。 しかし、契約書管理システムにはさまざまな種類があるため、どのシステ…
詳しくみるソフトウェア開発委託契約とは?ひな形をもとに書き方を解説
ソフトウェア開発委託契約とは、システムの開発や端末上で動作するアプリ・ソフト等の開発に関する業務を委託する契約のことです。ソフトウェア開発委託契約の作成や締結にあたっては、トラブルのリスクを回避するため、その内容をきちんと確認しましょう。本…
詳しくみる土地使用承諾書とは?ひな形や例文、書き方、使用料の相場を解説
土地使用承諾書は、他人が所有する土地を利用するときに作成する承諾書です。車庫証明の取得や、建築確認、電柱設置などさまざまなシーンで締結します。本記事では土地使用承諾書の書き方やレビューのポイント、注意点、承諾料の相場などをご紹介します。 土…
詳しくみる買取承諾書とは?テンプレートや例文、書き方、法律の注意点を解説
買取承諾書は中古品を買い取る際に作成する書類です。品目の詳細や買い取りに関するルールが記載されており、中古品を売却する人が買取業者に提出します。本記事では買取承諾書の書き方を、ひな形を交えてご紹介します。 買取承諾書とは? 買取承諾書は売主…
詳しくみる