- 作成日 : 2022年1月26日
ライセンスフィーとは?相場や支払い方法についても解説!
「ライセンスフィー」や「ロイヤリティ」という言葉を耳にすることがありますが、「違いがよくわからない」という人は多いでしょう。そこで今回は「ライセンスフィー」「ロイヤリティ」の定義や、ライセンスフィーの相場、支払い方法(定額支払い、一括支払、売上の一定割合)などについて解説します。
目次
ライセンスフィーとは?
ライセンスフィーとは、知的財産権に対する使用料のことです。「ライセンス」は「免許」「許可」などを意味しますが、「ライセンスフィー」の「ライセンス」は一般的に特許や商標などの知的財産権の使用許可を指します。「フィー」は「料金」や「手数料」という意味なので、「ライセンスフィー」は「知的財産権の使用許可に対する対価」ということになります。
ライセンスフィーの発生は、ライセンス契約の締結が前提となります。有名ブランドの名前やデザインを使うことについてライセンス契約を交わした場合、その使用許可に対して支払うのがライセンスフィーです。
英国の有名ブランドである「バーバリー」は、かつて日本の三陽商会とライセンス契約を結んでいました。三陽商会はバーバリーにライセンスフィーを支払って、バーバリーの商品を販売していたのです。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い45個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
実際の契約に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。
【弁護士監修】チェックリスト付き 改正下請法 1から簡単解説ガイド
下請法の改正内容を基礎からわかりやすく解説した「改正下請法 1から簡単解説ガイド」をご用意しました。
本資料では、2025年改正の背景や主要ポイントを、弁護士監修のもと図解や具体例を交えて解説しています。さらに、委託事業者・受託事業者それぞれのチェックリストを収録しており、実務対応の抜け漏れを防ぐことができます。
2026年1月の施行に向けて、社内説明や取引先対応の準備に役立つ情報がギュッと詰まった1冊です。
【弁護士監修】法務担当者向け!よく使う法令11選
法務担当者がよく参照する法令・法律をまとめた資料を無料で提供しています。
法令・法律の概要だけではなく、実務の中で参照するケースや違反・ペナルティ、過去事例を調べる方法が一目でわかるようになっています。
自社の利益を守るための16項目 契約書レビューのチェックポイント
契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
契約書のレビューを行う企業法務担当者や中小企業経営者の方にもご活用いただけます。
ライセンスフィーとロイヤリティとの違い
「ライセンスフィー」と意味が似た言葉に「ロイヤリティ」がありますが、「ライセンスフィー」と「ロイヤリティ」の違いは何でしょうか。結論から言えば「ライセンスフィー」と「ロイヤリティ」に大きな違いはありません。
どちらも特許権、商標権、著作権、ノウハウなど、無形の知的財産を利用することの対価として支払うものです。ロイヤリティは英語の「Royalty」であり、王室などを意味する「Royal」の派生語です。王族は権力を持っていたことから、王族の権利を使わせてもらう際の利用料として「Royalty」という言葉が使われるようになりました。
「ライセンスフィー」と「ロイヤリティ」の意味はほぼ同じですが、日本では特許については「特許料」ということが多く、ブランドなどの商標の利用料は「ライセンスフィー」と呼ぶケースが多いです。ロイヤリティという言葉は、フランチャイズビジネスなどでよく使われます。
ライセンスフィーは必須?
「知的財産権を利用する場合は、ライセンスフィーを支払わなければならない」と思っている方が多いのですが、ライセンスフィーは必ず支払わなければならないものではありません。
特許を取得するためには莫大な研究開発費がかかり、ブランドを形成するためには長年の信用の積み重ねが必要です。そのため知的財産権を利用する場合は、一般的にライセンスフィーを支払います。
ただし、ライセンスフィーをもらうかどうかは知的財産権の所有者の自由であり、知的財産権の所有者が無償での利用を認めた場合、利用者は無償で知的財産を利用できます。
ライセンスフィーの決め方、相場
ライセンスフィーは利用対象となる権利の種類や収益の見込み、類似のライセンスフィーの価格などを参考に、当事者の交渉によって決められます。著名ブランドのライセンスフィーは当然高くなります。製造に不可欠な特許技術のライセンスフィーも高くなるでしょう。
特許には、専用実施権と通常実施権があります。専用実施権は特許の使用を許諾された人だけが独占的に使える権利で、通常実施権は複数の人が特許を利用できる権利です。一般的に、専用実施権のほうがライセンスフィーは高くなります。
ライセンスフィーの主な支払い方法
ライセンスフィーの支払い方法に特に決まりはなく、当事者間で自由に決めることができます。ライセンスフィーを支払う側が気になるのは、支払い方法でしょう。
支払い方法には、「定額支払」「一括支払」「売上の一定割合による支払」などがあります。それぞれについて解説します。
定額支払
定額支払は当事者で決めた一定額のライセンスフィーを支払う方法で、例えば「四半期毎にライセンスフィーとして30万円を支払う」というものです。ライセンスフィーを受け取る側は、安定的な収入を得られるというメリットがあります。ライセンスフィーを支払う側は支払い額が一定なので予算を立てやすく、売上が伸びた場合でも費用が変わらないというメリットがあります。
ライセンスフィーを受け取る側のデメリットは、売上が伸びたとしても受け取るライセンスフィーが変わらないことです。ライセンスフィーの支払う側のデメリットは、売上がゼロでも一定額を支払うことになるため、コスト高になるおそれがあることです。
つまり、この支払方法で利益を享受できるかどうかは、知的財産権の利用によって売上が大きくなるかどうかにかかっているということです。
一括支払
一括支払は、ライセンス契約を締結する際にライセンスフィーを一括して支払う方法です。例えば「契約時にライセンス期間である2年分のライセンスフィーとして200万円を支払う」というものです。
ライセンスフィーを支払う側は契約時に支払いが完了するので、その後はライセンスフィーを気にすることなく事業に専念できるというメリットがあります。ライセンスフィーを受け取る側のメリットは、契約締結時にまとまったお金を受け取れるので、研究開発費を早く回収することができます。受け取ったライセンスフィーを次の研究の資金にすることもできるでしょう。
ライセンスフィーを支払う側のデメリットは、最初に大きなお金が出ていくため、見込みどおりの売上が立たない場合は資金繰りが苦しくなることです。ライセンスフィーを受け取る側のデメリットは、定額支払と同様に売上に連動していないため、売上が伸びたとしてもライセンスフィーが変わらないことです。
売上の一定割合
売上の一定割合での支払は、売上の一定割合をライセンスフィーとして支払う方法です。「ランニング・ロイヤリティ方式」とも呼ばれます。例えば、「月の売上の5%をライセンスフィーとする」と定めた場合、月の売上が300万円だとライセンスフィーは15万円(=300万円×5%)になります。
ライセンスフィーを支払う側にとっては、売上が増加すればライセンスフィーが増えても問題はなく、ライセンスフィーを受け取る側にとっても、売上が増加すればライセンスフィーが増えるので魅力があります。売上の一定割合での支払は、双方にとって魅力的な支払い方法といえます。
ライセンスフィーの設定は慎重に行おう
今回は「ライセンスフィー」「ロイヤリティ」の定義や、ライセンスフィーの相場、支払い方法(定額支払い、一括支払、売上の一定割合)などについて解説しました。
ライセンス契約を交わしたことがない企業は、ライセンスフィーをどのようにして決めたらよいのか迷うでしょう。ライセンスの利用によって得られる売上や利益を試算し、それに見合う経費としてどのくらいのライセンスフィーを設定するのが適切かを判断する必要があります。
適切なライセンスフィーを算定したら支払い方法を決定し、ライセンス契約に反映しましょう。
よくある質問
ライセンスフィーとは何ですか
ライセンスフィーとは、知的財産権に対する使用料です。主な対象は、特許、商標、著作権などです。詳しくはこちらをご覧ください。
ライセンスフィーとロイヤリティの違いについて解説してください
「ライセンスフィー」と「ロイヤリティ」に大きな違いはありません。同じ意味と考えて問題ありません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
金銭債権とは? 特徴や具体例、種類もわかりやすく解説!
債権・債務は日々の企業活動で発生します。一口に「債権」といっても、発生原因や契約内容によってその性質は異なります。ここでは特に「金銭債権」ついて解説し、ほかの一般的な債権と異なる特徴や、金銭債権の種類についても紹介します。 金銭債権とは? …
詳しくみる履行の請求とは?履行の意味、請求方法や対応方法を解説
現代社会は無数の契約によって成り立っており、その円滑な機能のためには、当事者が約束した内容(債務)を実行する「履行」が不可欠です。契約における約束が守られることは信頼関係の基礎であり、経済活動の安定性を支えます。 しかし、相手方が約束通りに…
詳しくみる宅建業法改正における電子契約の推進とは?不動産取引での重要ポイント
2022年5月、宅建業法改正により不動産取引(賃貸・売買)での電子契約が可能になる見込みです。改正法の施行直前で慌てないために、電子契約に向けた社内環境を早めに整えておくことをおすすめします。今回は、直前に迫った宅建業法改正のポイントと不動…
詳しくみる法律行為とは?定義や種類、事業者が注意すべき点などをわかりやすく解説
「法律行為」は、意思表示を通じて法的な効果を生じさせることを目的とした行為のことです。法律行為は、「契約・単独行為・合同行為」の3つにわけられます。本記事では、法律行為の基本的な定義やその種類、そして事業者の注意すべき点などについて解説しま…
詳しくみる【2023年施行】電気通信事業法改正の概要は?事業者への影響まで解説
2023年6月に電気通信事業法改正が施行され、新たに規律が追加されました。事業者へも影響するため、電気通信事業の経営者は、改正の概要やどのような影響を及ぼすのかを理解しなければなりません。本記事では、電気通信事業法改正の内容や気を付けるべき…
詳しくみる政令とは?法体系における役割や具体例、確認方法を解説
法律に似た用語として「政令」という言葉を見かけることがあります。字面から政府が関係しているとイメージするかもしれませんが、政令は日本の憲法と法律を補完するために定められたルールのことです。 今回は、政令の基礎知識、法体系における政令の位置づ…
詳しくみる


