- 作成日 : 2024年12月3日
マネジメント契約とは?エージェント契約との違いやメリットを簡単に解説
マネジメント契約とは、タレントやスポーツ選手などがマネジメント会社と取り交わす契約形態の1つです。専門的かつ包括的なサポートを行う契約内容であり、タレントやスポーツ選手は契約することにより活動に専念する環境を整えることができます。
本記事はマネジメント契約のメリット・デメリットや、エージェント契約との違いなどについて簡単に解説していきます。
目次
タレントやスポーツ選手のマネジメント契約とは?
マネジメント契約とは、タレントやスポーツ選手の活動に関する業務をマネジメント会社が包括的に担う契約です。
民法上、マネジメント契約という契約形態はなく、マネジメント会社が担う業務内容や報酬の決め方などは、個別の契約によって異なります。
一般的には、タレントならメディア出演交渉やPR活動、スポーツ選手なら移籍や契約交渉、練習環境の整備など、活動全般をマネジメント会社が包括的にサポートします。
マネジメント契約とエージェント契約の違い
マネジメント契約は活動に必要な業務を全般的にマネジメント会社が担当します。タレントやスポーツ選手の活動に関する業務を包括的にマネジメント会社が行うため、芸能活動・スポーツに専念することが可能です。
一方、エージェント契約は特定の業務に限定してエージェント会社が代行する契約形態です。代表的なエージェント契約は、仕事獲得のための営業活動や報酬交渉のみを担当する契約が該当します。
そのためエージェント契約では、契約した業務内容以外は、タレントやスポーツ選手自らで担う必要があります。その代わりに、マネジメント契約と比較してブランディングや仕事の選択における自由度が高く、自分の方向性を主体的に決められる特徴があります。
マネジメント契約と雇用契約の違い
雇用契約とは、労働者が使用者のもとで労働に従事し、それに対する賃金を受け取る形式の契約を指します。一方、マネジメント契約は、個人事業主として業務をマネジメント会社に委託する契約です。
タレントやスポーツ選手は会社の従業員という立場ではないため、基本的には契約内容にはない指示や命令に従う必要はありません。また、会社側も社会保険に加入させる義務も発生しません。
さらに報酬の考え方も異なり、雇用契約では労働者の就業日数や時間数にもとづいて給与が決定されるのが基本ですが、マネジメント契約では成果にもとづいた歩合制を採用するのが一般的です。
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マネジメント契約のメリットは?
マネジメントを受けるタレントやスポーツ選手にとって、マネジメント契約を交わすことにはさまざまなメリットが存在します。
以下に、マネジメント契約のメリットを紹介します。
専門的なサポート体制がある
マネジメント会社はマネジメント業務を事業として行っているため、経験豊富で業界に精通したスタッフが多数在籍しています。
そのため、仕事の交渉や営業、PR戦略のためのマーケティングや立案、スキルアップのためのトレーニング環境の提供など、個人では難しい活動をバックアップしてサポートしてもらうことが可能です。
自身のブランドの確立
マネジメント会社は、タレントやスポーツ選手の活動全般を戦略的に計画し、メディア戦略やブランディングを行います。ブランディングで自身の強みを確立させることで、世間からの評価を高めることができます。
マネジメントを事業として行う会社だからこそ有するマーケティングのノウハウなどにより、どのように売り出していくべきか導いてもらえます。
事務作業を任せることができる
マネジメント契約では、法務や税務関連の作業もすべてマネジメント会社に任せることができます。
個人事業主となるタレントやスポーツ選手は、トラブル対応や経理業務などについて、自分で対応するか、または担当の弁護士や税理士を探さなければなりません。
マネジメント会社と契約をした場合、そのような事務作業を担ってくれるため、本来の活動に専念できます。
マネジメント会社側にもメリットがある
タレントやスポーツ選手と交わすマネジメント契約では、会社側にも以下のようなメリットがあります。
【雇用契約と比較した場合】
- 契約相手が従業員ではないため、社会保険や労災保険に加入させる義務がない
- 報酬が歩合制の場合、従業員に対する給与のように固定給を支払う必要がない
【エージェント契約と比較した場合】
- 会社側にタレントに対する裁量権が大きく、どのような売り出し方をするかを決定できる
マネジメント契約のデメリットは?
あらゆる業務を包括的に任せることができる一方で、マネジメント契約にはデメリットといえる点もいくつか存在します。
スケジュールの自由度が低い
マネジメント契約では、ブランディングやスケジュール管理をマネジメント会社が行うため、タレントやスポーツ選手の活動の自由は制限されることが多いです。関心のない仕事も受けなければならなかったり、希望する仕事がマネジメント会社の方針と合わず受けられなかったりすることも考えられます。
どの程度の制約があり、自由度をもたせるのかは、契約内容やマネジメント会社によって異なります。
報酬の取り分が少ない
マネジメント契約では、マネジメント会社の担当業務が多岐にわたるため、報酬の配分としてマネジメント会社側の取り分が大きい傾向があります。
報酬の決定方法は個々の契約で決まりますが、一般的に歩合制が多く見られます。有名なタレントや選手の場合は本人の取り分が大きい場合もありますが、まだ芽の出ていない新人の場合、キャリア形成や育成をマネジメント会社が支えるため、本人への取り分は少なくなります。
マネジメント会社側のデメリットは?
マネジメント契約は会社側にも、以下のようなデメリットがあります。
- 活動全般やトラブル対応を担うため、責任が重い
- 経費負担が会社側の場合、芽が出るまでは赤字になる可能性がある
マネジメント契約書の書き方は?
マネジメント契約書は、互いの権利関係や義務を明確にするための重要な書類です。
マネジメント契約は法律上で決められた契約形態ではないため、規定された必須項目はありません。だからこそ、トラブルを回避するためにも契約内容を具体的に明記しておくことが重要です。
一般的に求められる記載事項として、下記のような内容が挙げられます。
マネジメント業務の内容
マネジメント会社が具体的にどのような業務を担当するのかを記載します。業務内容を明文化することで、双方の担当や責任の所在を明確にできます。
契約期間と更新条件
契約における開始と終了の日、更新に必要な条件、自動更新の有無などを明記することで、関係がいつまで継続するのかを明らかにします。
報酬と支払方法
マネジメント契約における報酬の決め方は、主に次の3パターンです。
- 完全歩合制
- 定額報酬制
- 歩合と定額報酬の併用
契約の内容がどのパターンに該当するのかを明らかにした上で、歩合制の場合はマネジメント会社へ支払う報酬の計算方法を、定額報酬の場合は支払う報酬額を記載します。
そのほか、支払時期、支払方法や経費負担の取り決めなどの事項も記載が必要です。
タレントの名称等の使用許諾
契約したタレントやスポーツ選手の名称等の使用許諾権の帰属先を記載します。
マネジメント契約は専属契約として行われることが多く、上記の権利はマネジメント会社に帰属するのが一般的ですが、契約書に下記の点を明記することで、認識の相違を防ぐことができます。
- 氏名、肖像、音声等の使用範囲
- 使用期間
- 使用目的の制限
- 使用料の有無
権利の帰属
活動をする際に発生した著作物に対して、著作権や知的財産権がどこに帰属するかを記載します。さらに、二次利用を許可した場合の収益分配などを決めておくことが望ましいです。
契約書作成は、双方の権利義務を明確にしてトラブルを防ぐため、できるだけ具体的な記載が必要です。
また、必要事項を網羅した契約書を作成するために、専門的な知識を有する弁護士などを交えて契約書を作成することも重要です。
マネジメント契約を締結するときの注意点は?
マネジメント契約を締結する際には、当事者双方が認識しておかなければならない注意点があります。
マネジメント契約を解除する方法を記載する
契約書を作成する際は、必ず契約を解除する方法を決めて記載することが重要です。どのような条件下で契約を終了できるのかといった解約条項を明確に記載しておきます。
例えば、前もって解約を通知するのに必要な日数、通知方法、中途解約の方法などです。これにより、一方がマネジメント契約の停止を望んだ際などに、トラブルなくスムーズに契約を終了できるようになります。
所属タレントやスポーツ選手は個人事業主になる
マネジメント契約を結ぶタレントやスポーツ選手は、原則として個人事業主となります。
会社に使用される雇用契約とは異なり、独立した立場で活動することを意味します。したがって、所得税や健康保険料の手続き・支払いは自分で負担する義務があります。
マネジメント契約の内容に含まれている場合は、事務手続きをマネジメント会社が担当しますが、それら諸手続きの義務を自ら負う個人事業主であるという認識を互いにもっておく必要があります。
トラブルのないマネジメント契約を結ぶために
マネジメント契約は、タレントやスポーツ選手が活動に専念できる環境を整えられる包括的なサポートを行う契約形態です。
タレントや選手にとって、専門的なサポートやブランディングを受ける環境があり安心して活動ができるメリットがある一方で、活動の自由度や報酬面でのデメリットも存在します。
マネジメント契約は独自の法にもとづく規定がないため、契約締結をする際は契約書に具体的な内容がわかるように明記することが重要です。
業務内容や権利関係を明確にし、専門家を交えた慎重な契約書を作成することで、双方にとって利益のある契約を締結できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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