- 更新日 : 2026年1月28日
委託契約と請負契約の違いとは?各契約の特徴や注意点をわかりやすく解説
「委託契約(業務委託契約)」は委託者が雇用関係にない受託者に対して業務を委託する契約で、「請負契約」は注文者が仕事の完成と引き換えに請負人へ報酬を支払う契約です。
委託契約と請負契約では、対象となる業務(仕事)の内容や性質に違いがあります。本記事では、委託契約と請負契約の違いについてわかりやすく解説します。
目次
委託契約と請負契約の違いとは?
委託契約(業務委託契約)と請負契約は、いずれも当事者の一方が相手方に対して何らかの業務を委託し、相手方がそれを受託して業務を行うという内容の契約です。
ただし、委託契約(業務委託契約)によって委託される業務の内容は特に限定されないのに対して、請負契約によって委託される業務は成果物の納品が必要となるものに限られるという違いがあります。
委託契約(業務委託契約)とは
「委託契約」とは、委託者が雇用関係にない受託者に対して何らかの業務を委託し、受託者がこれを受ける内容の契約です。「業務委託契約」と呼ばれることもあります(以降「業務委託契約」にて呼称を統一)。
請負契約とは
「請負契約」とは、請負人がある仕事を完成させることを約束し、注文者がその仕事の完成と引き換えに報酬を支払う契約です(民法632条)。
業務委託契約と請負契約の違い
業務委託契約と請負契約の主な違いは、委託される業務(仕事)の内容です。
請負契約の場合は、対象となる業務は成果物の納品が必要となるものに限られます。具体的には、建設工事やコンテンツ制作などが請負契約の対象です。
これに対して、業務委託契約の場合、委託される業務の内容は限定されていません。どのような業務であっても、幅広く業務委託契約の対象とすることができます。
コンサルティング業務のように、業務を行うことに対して報酬が支払われる場合は、請負契約ではなく、委任契約または準委任契約の対象です。
なお、「請負」については民法で定められていますが、「業務委託」という類型の契約については法で規定されてはいません。「業務委託契約」は実務上用いられている呼称に過ぎず、次の項目で解説するように、請負契約・委任契約・準委任契約の総称です。つまり、請負契約とは業務委託契約の一部といえます。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い45個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
実際の契約に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。
【弁護士監修】チェックリスト付き 改正下請法 1から簡単解説ガイド
下請法の改正内容を基礎からわかりやすく解説した「改正下請法 1から簡単解説ガイド」をご用意しました。
本資料では、2025年改正の背景や主要ポイントを、弁護士監修のもと図解や具体例を交えて解説しています。さらに、委託事業者・受託事業者それぞれのチェックリストを収録しており、実務対応の抜け漏れを防ぐことができます。
2026年1月の施行に向けて、社内説明や取引先対応の準備に役立つ情報がギュッと詰まった1冊です。
弁護士監修で分かりやすい! 契約書の作り方・書き方の教科書
弁護士の南陽輔氏(一歩法律事務所所属)が監修している「契約書の作り方・書き方の教科書」ガイドです。
契約書作成の基本知識、作成の流れ・記載項目、作成時の注意点・論点が、分かりやすくまとまっています。手元に置ける保存版としてぜひご活用ください。
自社の利益を守るための16項目 契約書レビューのチェックポイント
契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
契約書のレビューを行う企業法務担当者や中小企業経営者の方にもご活用いただけます。
業務委託契約の種類|請負契約・委任契約・準委任契約の違い
業務委託契約は、請負契約・委任契約・準委任契約の3つに分類されます。
請負契約
成果物の納品を必要とする業務を委託するのは、請負契約にあたります(民法632条)。
たとえば、建設工事やコンテンツ制作などが請負契約の対象となる業務です。
請負契約では、受託者(請負人)が委託者(注文者)に対して報酬を請求できるのは、仕事を完成させた後になります。
請負契約にあたる業務委託契約を書面で締結する場合は、契約金額に応じて以下の金額の収入印紙を貼付しなければなりません。
| 契約金額 | 貼付すべき収入印紙の額 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円を超え200万円以下 | 400円 |
| 200万円を超え300万円以下 | 1,000円 |
| 300万円を超え500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下 | 2万円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 6万円 |
| 1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
| 5億円を超え10億円以下 | 20万円 |
| 10億円を超え50億円以下 | 40万円 |
| 50億円を超えるもの | 60万円 |
| 契約金額の記載のないもの | 200円 |
委任契約
特定の法律行為を委託する業務委託契約は、委任契約にあたります(民法643条)。
法律行為とは、意思表示を通して、法律上の効果(権利や義務を取得したり消滅させたりすること)を生じさせる行為のことです。
たとえば、弁護士への訴訟行為の依頼、司法書士への登記手続きの依頼、税理士への税務申告の依頼などは、「業務委託契約」という名称であっても、法律上は委任契約となります。
委任契約では、受託者(受任者)は業務遂行の結果にかかわらず、委託者(委任者)に対する報酬の請求が可能です。請負契約とは異なり、成果物の納品は必須ではありません。
委任契約の契約書には原則として、収入印紙を貼付する必要はありません。ただし、継続的取引の基本となる契約書(契約期間が3か月以内かつ更新の定めがないものを除く)を作成する場合は、4,000円の収入印紙を貼付する必要があります。
準委任契約
法律行為でない事務を委託する業務契約は、準委任契約にあたります(民法656条)。
たとえば、コンサルティング業務や自社オフィスによる常駐業務などは、準委任契約の対象となる業務です。
準委任契約には、民法の委任契約に関する規定が準用されるため、受託者(受任者)は業務遂行の結果にかかわらず、委託者(委任者)に対して報酬を請求できます。
委任契約と同じく、準委任契約についても、原則として収入印紙の貼付は不要です。ただし、継続的取引の基本となる契約書(契約期間が3か月以内かつ更新の定めがないものを除く)を作成する場合は、4,000円の収入印紙を貼付する必要があります。
【企業側】業務委託契約を締結するメリット・デメリット
業務委託契約は、企業が自社のために働く人材を確保することを目的として締結されるケースがほとんどです。
業務委託契約によって外部人材を活用することには、企業側にとってメリットとデメリットの両面があります。
企業が業務委託契約を締結するメリット
企業が業務委託によって外部人材を活用することの大きなメリットは、自社のニーズに応じて業務を発注できる点です。
労働者を雇用する場合は、自社の業務状況にかかわらず、一定以上の賃金を支払う必要があります。これに対して業務委託では、受託者の稼働時間や作業内容などに応じて報酬を支払えばよいので、無駄な人件費を抑えることができます。
また、外部の専門的人材やノウハウを活用できることも、企業が業務委託を行うメリットの一つです。自社だけでは対応が難しい専門的な業務についても、業務委託によって外部人材を活用すれば、効率的かつ適切に対応できる可能性が高くなります。
企業が業務委託契約を締結するデメリット
企業が労働者を雇用する代わりに、業務委託によって外部人材を活用することのデメリットとして挙げられるのが、社内にノウハウが蓄積しにくい点です。外部人材である受託者に業務を任せきりにすると、社内の人はその業務について十分に知見を深めることができません。
また、業務委託の委託者は受託者に対して、業務の進め方や時間配分などを指揮命令することができません。そのため、業務や成果物の品質確保、スケジュール管理などがうまくいかないおそれがあります。
業務の進め方や時間配分などを具体的に指示したい場合は、業務委託ではなく労働者として雇用しましょう。
【受託者側】業務委託契約で働くメリット・デメリット
近年では個人の働き方としても、企業に雇用されて労働者として働く形のほかに、フリーランスとして業務委託で働く形が注目されています。
とはいえ、個人が業務委託で働くことにも、やはりメリットとデメリットの両面があります。
業務委託契約で働くメリット
個人が業務委託で働くことの大きなメリットは、仕事の進め方を自由に決められる点です。委託者から指揮命令を受けることがないため、企業に雇用される場合と比べて、より自由な働き方ができるようになります。
また、仕事の方法を工夫して効率化すれば、労働者として働くよりも多くの収入を得られる可能性がある点も、業務委託で働くことのメリットといえるでしょう。
業務委託契約で働くデメリット
業務委託で働く場合は、労働者とは異なり固定給がありません。したがって、受注の内容や量などに応じて、毎月収入が変動します。
発注の量や時期などは委託者が決めるため、安定して受注できるとは限りません。極端に受注が減ると、収入が大幅に減少するおそれがあるので注意が必要です。
また、報酬額が作業時間ではなく成果によって決まる場合は、仕事の効率が悪いと過重労働になり、収益性が低くなってしまう点にも注意しましょう。
企業側が業務委託契約を締結する際の注意点
企業が業務委託契約を締結する際には、契約条件を明確に記載することが大切です。具体的には、以下のような事項を明確な文言によって定め、相手方とのトラブルの予防に努めましょう。
- 委託する業務の内容
- 発注および受注の手続き
- 納品および検収の手続き
- 報酬(額、計算方法、支払方法など)
- 受託者が遵守すべき事項
- 知的財産権の帰属
- 再委託の可否
- 契約の有効期間、更新手続き
- 合意管轄など
業務委託契約の各種テンプレート
業務委託契約書や関連契約のテンプレートは、以下のページからダウンロードできます。実際に業務委託契約書を作成・締結する際の参考にしてください。
業務委託契約と請負契約の違いは、業務(仕事)の内容
業務委託契約と請負契約の主な違いは、委託できる業務(仕事)の内容です。業務委託契約は幅広い業務が対象となりますが、請負契約は成果物の納品を必要とする業務に限定されています。
業務委託契約は、請負契約・委任契約・準委任契約のいずれかに分類されます。契約書の名称にかかわらず、委託する業務(仕事)の内容を踏まえて、どの契約に該当するかを適切に判断しましょう。
また、トラブル防止の観点から、契約書の種類を問わず、契約条件を明確に記載することが大切です。当事者間で合意した契約条件を、疑義のない文言で契約書に記載しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
寄託契約書とは?雛形をもとに記載事項など解説
自社の商品を物流会社に預かってもらう、仕事で使う資材を社外などの倉庫で預かってもらう、知人に自分の荷物を預かってもらうなど、何らかの物を第三者に預かってもらうことを「寄託」といいま…
詳しくみる競業避止義務とは?法的に有効な内容や就業規則への記載方法などを解説
競業避止義務とは、自社の従業員が競業にあたる事業を行えないようにすることを指します。競業避止義務は、契約締結などによって課されるケースが多いです。 従業員は業務内容によって重大な情…
詳しくみる私道利用契約書とは?ひな形をもとに書き方・例文、覚書との違いを解説
「私道利用契約書」は、私有地を通路として使用させてもらう契約を結ぶ際に作成する文書です。土地所有者と利用者の権利義務を明確にし、将来のトラブルを防ぐうえで重要な役割を担っています。…
詳しくみる誠実協議条項とは?定める目的記載例、レビュー時の注意点を解説
誠実協議条項とは、契約に定めがない事項やトラブルなどの発生時、当事者間で誠実に協議することを定める条項です。法的効力はありませんが、日本では慣習的に多くの契約書に記載されています。…
詳しくみる訪問販売のクーリングオフ通知書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
クーリングオフ通知書とは、訪問販売など特定の販売方法により契約を交わした場合に、これを取り消すために相手方事業者へ送付する文書のことです。 特定商取引法で整備された消費者保護の仕組…
詳しくみる賃料減額請求書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
「賃料減額請求書」とは、賃貸借契約に基づく賃料について減額を求める文書のことです。契約時に取り決めた賃料を支払い続けるのが基本ですが、減額を求めるのがいけないわけではありませんし、…
詳しくみる



