- 更新日 : 2026年1月6日
派遣個別契約書はどちらが作成?記載事項や注意点も解説
派遣個別契約書は、一般的に派遣元会社が作成します。派遣個別契約書とは、派遣元会社と派遣先業者が取り交わす、派遣労働者の労働条件を定める書類です。労働者派遣法によって作成が義務付けられている書類で、記載事項は細かく決まっています。派遣個別契約書を電子化すれば、契約締結の効率化も可能です。
目次
派遣個別契約書とは
派遣個別契約書とは、派遣する労働者の具体的な労働条件を定める書類です。派遣元会社と派遣先会社が取り交わすものであり、派遣労働者本人と取り交わすものではありません。
派遣個別契約書は派遣労働者を守るために必要とされており、労働者派遣法で締結が義務付けられています。労働条件は「同一条件同一賃金」の考え方で決めなければなりません。派遣先の従業員と同等にする方法、または同地域で同じ業務を行う労働者と同等または同等以上にする方法のいずれかによって、十分な待遇を保証する必要があります。
労働者派遣基本契約書との違い
派遣元会社と派遣先会社が交わす契約書には、「派遣基本契約書」もあります。派遣基本契約書は、派遣元会社と派遣先会社が、契約全体にわたる基本的な事項を取り決める書類です。内容の例として、派遣料金の決め方、機密保持や損害賠償に関する内容などが挙げられます。すべての派遣契約に適用される基本的な事項を取り決める点で、基本契約書は個別契約書と異なります。
労働者派遣法では、派遣基本契約書の作成は義務付けられていません。しかし、トラブル防止のために作成することが一般的です。
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派遣個別契約書は派遣元と派遣先のどちらが作成する?
派遣個別契約書は、一般的に派遣元会社が作成します。ただし、法律で定められているわけではなく、派遣元会社と派遣先会社で合意できていれば、いずれが作成しても問題はありません。
派遣元会社は、派遣労働者の労働条件について定めた派遣個別契約書を派遣先会社と取り交わします。派遣労働者本人には、労働条件通知書・就業条件明示書にて労働条件の通知を行います。また、派遣基本契約書を作成するのも、派遣元会社です。
一方で、派遣先会社が作成しなければならない書類もあります。派遣労働者の受け入れに先立って「抵触日の通知書」を作成し、派遣元会社に通知しなければなりません。派遣労働者の待遇を自社雇用の社員とそろえるために、派遣元会社に対して待遇に関する情報提供を行う必要もあります。受け入れ後は派遣労働者ごとに「派遣先管理台帳」を作成して、保管しなければなりません。
派遣個別契約書の記載事項
派遣個別契約書の記載事項は、労働者派遣法第26条によって定められています。具体的な記載項目について、以下で見ていきましょう。
業務内容
派遣労働者の担当する業務を記載します。
派遣先会社の名称・就業場所
派遣労働者の勤務する場所について記載します。派遣先会社と実際の就業場所が異なる場合は、明確に区別することが必要です。
派遣社員を直接指揮命令する人の氏名・役職
指揮命令を行う人についての情報を記載します。
派遣期間・就業日
就業期間は具体的な日にちを記載します。就業の開始・終了の日をそれぞれ記載しましょう。
業務の開始・終了時刻と休憩時間
就業時間についても、具体的な記載が必要です。休憩時間も、「12時~13時まで」「60分」と細かく記載しましょう。
安全および衛生に関する事項
労働者派遣法を遵守し、派遣労働者の安全・衛生に配慮する旨を記載します。
派遣労働者から苦情があった場合の対応方法
苦情を受け付ける派遣先会社の担当者氏名や部署・役職、連絡先を記載しなければなりません。苦情をどのように処理するのかについても記載が必要です。
労働者の雇用安定を図る措置
派遣契約を解除する場合に、派遣労働者の雇用安定を図るために行う措置を記載します。
紹介予定派遣に関する内容
紹介予定派遣の場合は、派遣先が派遣労働者を雇用する際の労働条件や、その他必要事項の記載が必要です。
派遣責任者の氏名・連絡先
派遣元会社の派遣責任者の情報を記載します。
時間外・休日労働に関する事項
時間外労働をさせる場合の上限時間や、休日労働の上限日数などを記載しなければなりません。
派遣労働者の福祉に関する事項
派遣労働者が使える施設や設備などについて記載します。たとえば、社員食堂や更衣室、休憩室に関する事項が挙げられます。
派遣受入期間の制限を受けない業務に関する事項
派遣先が派遣労働者を受け入れられる期間は原則3年までですが、業務や派遣労働者によっては例外となる場合もあります。たとえば、終了する時期が明確なプロジェクトに携わる業務、1か月のうち少ない日数で行う「日数限定業務」に該当するものなどが挙げられます。派遣労働者が産前産後休業や育児休業、介護休業を取得する場合も記載しなければなりません。
参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-Gov 法令検索
派遣個別契約書のテンプレート
派遣個別契約書には、記載すべき事項が多くあります。法律によって記載事項が決まっているため、漏れのないようにしなければなりません。そのためには、空欄を埋めることで完成するテンプレートが役立つでしょう。以下から、派遣個別契約書のテンプレートを無料でダウンロードできます。ぜひ活用してみてください。
派遣個別契約書を作成する際の注意点
派遣個別契約書は、労働者派遣法によって作成が義務付けられているため、法律に従って作成する必要があります。以下では、個別契約書の作成にあたっての注意点を具体的に見ていきましょう。
派遣社員が働き始める前に締結する
派遣個別契約書は、派遣労働者が派遣先会社で働き始める前に交わさなければなりません。契約書は早めに準備をし、労働者を派遣する前に契約が締結されている状態にできるよう調整しましょう。
法定記載事項を漏れなく記載する
派遣個別契約書の記載事項は、労働者派遣法によって定められています。記載すべき事項が多いため、漏れのないよう確認しましょう。
法定記載事項に漏れのあった場合は、労働者派遣法違反となります。たとえば、個別契約書にない業務を派遣労働者にさせた場合や、契約書とは異なる会社や部署で業務をさせた場合、契約書に記載した就業時間を守らない場合などが挙げられます。
違反とみなされた場合の罰則は、内容によってさまざまです。勧告や会社名の公表のほか、罰金や懲役を課せられる場合もあります。
派遣社員の氏名は入れない
派遣個別契約書には、派遣労働者の氏名は記載しません。派遣契約は、特定の労働者の提供ではなく、労務そのものの提供を目的とするためです。派遣労働者の氏名を記載することは、労働者派遣法に反する可能性があります。派遣先会社が派遣労働者を受け入れる前に、面接をしたり履歴書を確認したりすることもできません。
とはいえ、派遣する労働者についての情報を派遣先に伝えることは必要です。派遣元会社は派遣個別契約を締結したあとに、派遣する労働者の氏名や性別、健康保険・厚生年金の加入状況などを派遣先会社に通知する必要があります。
派遣個別契約書に押印や収入印紙は必要?
派遣個別契約書には、押印や収入印紙は不要です。労働者派遣法では、個別派遣契約書への押印は義務付けられていません。派遣元会社と派遣先会社の同意があれば、押印がなくても契約は成立します。押印の欄がある場合には、押印しても問題ありません。また、派遣個別契約書は印紙税法上の課税文書にあたらないため、収入印紙を貼付する必要はありません。
派遣個別契約書は電子化できる?
派遣個別契約書は、電子契約ができます。2021年に労働者派遣法が改正され、電子契約が可能となりました。背景には、新型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワーク対応の必要性が高まったことがあります。
電子契約によって、契約書の保管・管理を効率化できます。紙を移動させる手間やタイムラグもなくなり、迅速な契約締結が可能です。
派遣個別契約書を作成するのは主に派遣元会社
派遣個別契約書は、派遣先会社ではなく派遣元会社が作成することが一般的です。派遣労働者の労働条件を定める派遣個別契約書は、労働者派遣法によって作成が義務付けられています。記載項目も労働者派遣法によって決まっているため、漏れのないように注意しましょう。
労働者派遣個別契約書は、紙での契約だけでなく電子契約も可能です。迅速に契約を締結でき、管理の手間も軽減できます。人材派遣業の契約業務効率化のために、ぜひ電子契約の導入を検討してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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